さいごのかぎ / Quest for grandmaster key

「TYPE-MOON」「うみねこのなく頃に」その他フィクションの読解です。
まずは記事冒頭の目次などからどうぞ。

「朱志香=ベアトリーチェ」説・総論

2009年05月27日 02時35分56秒 | 犯人特定
※初めての方はこちらもどうぞ→ ■うみねこ推理 目次■ ■トピック別 目次■


「朱志香=ベアトリーチェ」説・総論
 筆者-初出●Townmemory -(2009/05/16(Sat) 22:36:13)

 http://naderika.com/Cgi/umi_log_cbbs/umi_logcbbs.cgi?mode=red2&namber=25121&no=3 (ミラー
 Ep4当時に執筆されました]


●再掲にあたっての筆者注
 これが初めての書き込みでした。これを書いた時点では、これ以上のことはまったく考えていませんでした。書いていくうちに、いろんなことが思いついていきました。

「嘉音が戦人に否定された」とか「3つのうちから2つを取れクイズの解答」とか、現在では、ちょっとどうかなと思われる部分もありますが、そのまま掲載します。必ずしも、現在の私が考えてることと一致しないと思って下さい。

[注:Ep4時の推理です!]
 発想の根幹はここにある通りですが、考えを変えた部分もあります。各Ep推理や「サファイア・アキュゼイション」シリーズも併せてご覧下さい。


 以下が本文です。


     ☆


●朱志香説からの魔女同盟

「ベアトリーチェ=朱志香」説をもとにいくつかのことを説明できるかもしれないので、やってみます。

 ベアトリーチェは朱志香の魔女名であると仮定します。
 真里亞の魔女としての名前がマリア卿であるように、朱志香の魔女としての名前はベアトリーチェ卿であるとする。

 幼少ベアトリーチェが大事な壺を割ってしまい、それを先代ベアトリーチェに魔法でごまかしてもらうくだりは、実際にあったこととする。
 金蔵の大事な壺を朱志香が割ってしまう。熊沢チヨはそれをアロンアルファか何かでごまかし、屋敷に野良猫を放り込めば良い。
 熊沢は冗談好きな人格であるから、幼少朱志香に対して、
「ベアトリーチェはほんとうにいるの?」
「ハイハイ、私がベアトリーチェですよー」
 といった会話をしていた。
 そしてある日、熊沢は、
「じゅうぶん修行したから、名前の継承をゆるします、あなたは今日からベアトリーチェですよ」
 と言う。
 これによって、魔女ベアトリーチェ(ジェシカ・ベアトリーチェ)は六軒島に誕生する。

 朱志香は真里亞を弟子にとり、魔法を教える。
 この「魔法」とは、ep4で縁寿が学び、身につけた通りのもの。他人には妄想でも、自分にとっては真実であるものによって自分を幸せにすること。
 朱志香は真里亞の妄想を「真実である」と認め、真実であるように振る舞う。
 真里亞は朱志香の妄想を「真実である」と認め、真実であるように振る舞う。
 これによって妄想は真実になる。
 私には視えて、あなたにも視えるものは実在する。
 互いの妄想を互いに裏打ちする約束、これが魔女同盟、マリアージュ・ソルシエールである。

 ここまではそんなにおかしくないと思います。


●「戦人の罪」って何なのか。

 ここから、大いに想像をはたらかせます。


 真里亞は、魔女同盟の「最初の」同盟者だったのかどうか。
 真里亞以前にも、同盟者がいたのではないか。
 そしてその人物は、裏切り、除名された。
 魔女同盟にとっての裏切りとは、互いの妄想の裏打ちを拒否して、「魔法なんかない、これは妄想だ!」と喝破してしまうことです。

 ベアトリーチェは縁寿が同盟に参加することをかなりしぶった、という記述があります。
 なぜしぶったのか。
 かつて同盟者に裏切られた経験があるから、新規加盟をいやがった。そう考えると理解しやすいです。
 そしてその裏切り者とは、縁寿の兄、戦人ではないのか。
 戦人が裏切ったから、妹の縁寿もそうだろう。そう考えたのではないか。

 つまり、魔法をおぼえて、魔女になった朱志香は、この楽しみを誰かと分かち合おうと思い、戦人を誘った。
 戦人に魔法の秘密を打ち明け、魔法の手ほどきをした。
 戦人は朱志香の、最初の魔女同盟者になった。
 これが6年前、あるいはそれ以上前にあったと考えます。そういう想像です。


 さて、これだけの「想像上の前提」をかさねたうえで、
 もうそれは砂上楼閣といってもいいんですが、この前提上に存在する「戦人の罪」って何なのか。

 大づかみにいうと、「魔法を否定したこと」となります。
「私には視える。あなたにも視える。だから実在する」
 このメカニズムで存在していたものは、「あなた」が、
「そんなものは視えない!」
 と宣言することで、存在できなくなってしまいます。
(正確には、「存在を証明できなくなる」)
 それは魔女同盟にとって重大な禁忌で、罪です。

 たとえば、魔法で存在させていた友達を、
「おまえなんか、いない」
 と宣言してしまったら、その友達は、死んでしまいます。
 それは人殺しと同じことです。
 人殺しは罪です。

 魔法の友達殺しは、どのくらいの罪でしょうか。
 それは作中で、すでに提示されています。

 楼座が「さくたろ」を殺しました。
 その罪に対する罰のシーンが描かれています。もう、正視に耐えない拷問でした。
 そもそも、「黒き魔女」としてのマリア卿、黒マリア、「きひひ真里亞」は、楼座がさくたろを殺した、否定したことがきっかけで誕生しています。

 もし、朱志香に、「さくたろ殺し」に相当するショックな事件が起こったとしたら。
 魔法で幸せを生み出す白い魔女だったベアトリーチェは、黒ベアトリーチェに、「くっひひひあひゃひゃひゃベアトリーチェ」になってしまうだろうと考えられます。

 だから、もし、「朱志香にとってさくたろに相当するもの」を戦人が否定したとしたら、それは魔女同盟への裏切りであり、しかも「友人殺し」でもあるという、重大な罪になるのではないか。

 さて、そこでさらに想像を広げましょう。
「朱志香にとってさくたろに相当するもの」とは何か。

 それって、嘉音なんじゃないでしょうか。

 嘉音は、朱志香が魔法で生み出した「家具」である。と考えます。

 朱志香が嘉音を学園祭に連れてきたとき、同級生のひとりが、「実在したの? 絶対エア彼氏だと思ってた」みたいなことを言いますが、実は本当にエア彼氏だったという真相です。わあ、さみしい。

 嘉音が殺される場合、遺体が確認不能になるパターンが多いです。
 うろおぼえですが、戦人が嘉音の死体をはっきりと確認する場面ってないんじゃないでしょうか。いつも、誰かが「死んでるよ」と言い、それをうのみにしているんじゃないでしょうか。
 嘉音が存在する、という場面が幻想なのです。
「事件の二日間、この島には、嘉音の肉体(死体を含む)は存在したことがない!」
 というのを復唱要求したいです。

 ep2の死亡状況、「嘉音は朱志香の部屋で殺された」は、「いつ」が指定されていないので、6年以上前でも成立します。
「嘉音は朱志香の部屋で6年以上前に、戦人によって、おまえなんか存在しないと宣言された」
 これで「嘉音は朱志香の部屋で殺された」が成立します。マリアは「さくたろはママに殺された」と言っているわけですからこれも成立のはずです。たぶん。

 嘉音は「人間になりたい家具」です。家具だから「おまえなんかいない」と言われただけで死んじゃうんだ。人間だったらそんなことで死なないのに。
 嘉音が家具じゃなくて人間だったらよかったのに。
 朱志香がそう思っているから、嘉音には「人間になりたいよ」というキャラクターが与えられている。

●追記
 嘉音関連については、ep6以降、推理に変更があります→ ep6初期推理1・紗音嘉音問題/八城十八と「ふたつの真実」



●「どうして右代宮の名前を捨てたのか」から考える

 戦人には忘れていることがあり、忘れていることが罪であり、それに関連して、どうして右代宮の名前を捨てたのか、とベアトリーチェに問われます(ep4)

「ベアトリーチェ=朱志香」説にもとづくと、以下のような想像ができます。

 留弗夫再婚事件で、ブチっとキレてしまった戦人が、感情にまかせて、朱志香にこんなことを言ったんじゃないでしょうか。

「俺の家族は母さんの一族だけだ」
「右代宮なんて大嫌いだ」
「右代宮なんて俺の家族じゃない」

 そして戦人は苗字を母方に変えてしまい、島に来なくなります。

「右代宮なんて俺の家族じゃない」
 それはいいかえれば、「朱志香なんて俺の家族じゃない」です。

 たぶん朱志香は、戦人のことが大好きだったんだと思います。
 朱志香は戦人のことが大好きで、家族だと思っているのに、戦人は「右代宮」朱志香のことを大嫌いで、家族だとは認めない。

 それって、
「おまえなんか、いない」
 と言われたのと、同じではないでしょうか。

 実際に戦人は、朱志香がいない世界だけを「自分だけの世界だ」と宣言してしまったのです。「自分は右代宮ではなく母方だけの人間だ」と宣言することによって。

 相互に認めあわないと、魔法は解けてしまうのです。
 朱志香と戦人のあいだにあった、二人の世界は、砕かれて、壊れてしまった。好き同士だという魔法、二人の世界という魔法は否定されてしまった。

 それによって朱志香を傷つけた。それが戦人の罪です。

 このゲームは、戦人の罪を問うものです。
 ベアトリーチェは戦人に、魔法を認めろ、と迫ります。
 それは、「かつて私たちの間にあり、あなたも認めていたはずの魔法を再び認めろ」という意味なのではないでしょうか。
 ベアトリーチェは魔法を使います。
 ベアトリーチェは朱志香です。

 ベアトリーチェは、自分の正体が朱志香であることを戦人に言い当ててもらいたい。
 私たちの間に、かつてあったもの、かつて存在した交流を、思い出して欲しい。
 それがベアトリーチェのゲームの目的で、それを思い出せないのが罪で、思い出すまで離さない、といっているわけです。
 縁寿は、大好きなお兄ちゃんがいない世界に突然放り出されたようで、悲しかったと言います。
 朱志香も、大好きな戦人がいない世界に放り出されている。だからそれを取り戻そうと一生懸命になっているのではないでしょうか。


 愛がなければ視えない。
 ベアトリーチェは、彼女の魔法を、「視てほしい」と、一貫してそれだけを戦人に要求しています。
 それはいいかえれば、「愛して欲しい」といっているのと、同じことです。

 ep4に、三つのうちひとつを生け贄にささげて残り二つを取る問題文がありました。
 あれは、碑文の謎をものすごーく難易度を下げたものではないでしょうか。
 ベアトリーチェは、私の正体を言い当てて、そして私を認めて、私を愛して、と言っているのです。
 だから、戦人は、空欄に「朱志香」と書き、「それ以外の全員を生け贄に捧げる」と解答していたら、このゲームは終わっていたと考えられるのです。


■目次1(犯人・ルール・各Ep)■
■目次2(カケラ世界・赤字・勝利条件)■
■目次(全記事)■


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「朱志香=ベアトリーチェ」説・総論
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 サソリのお守りが効いた理由
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 魔女が鏡に弱い理由
 留弗夫「俺は殺される」と「07151129」
 「魔女の手紙」の取り出し方

●盤面解析
 駒の動きその1・南條(大爆発説)
 駒の動きその2・戦人、真里亞、嘉音
 ルールXYZを指さそう
 駒の動きその3・銃(とわたしはだあれ)
 駒の動きその4・盤面(I)
 駒の動きその5・盤面(II)
 駒の動きその6・盤面(III

 チェックメイト――黄金郷再び・金蔵翁の黄金郷
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14 コメント

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申し訳ないです。 (キト)
2009-05-31 13:27:03
以前2つの書き込みは、
他の仮説も全てを読むと、自分の早計でした。
すみません。

改めます。考えてるベクトルは同じでした。
ただ、2つだけ言いたいですね。

1自分は、ジェシカよりも、マリアをその率先する主犯格の魔女役に置きたいですね。

2,他のマクロの事象とこの完結した仮説を絡めてみて欲しいです。

★金蔵が、魔女復活の碑文・儀式を行おうとした。碑文の謎がとかれるとしかし、事件はおきない。島で、殺人事件が起きた。が概要なので

■金蔵が求めたベアトリーチェ像。監禁したベアトリーチェ と ジェシカ=ベアトリーチェの関連

■金蔵が碑文を作った意図・それを行う儀式的な意味。目的と魔女ジェシカとの関連

■殺人事件と魔女ジェシカとの関連。
(これは、最後の詰めかと思いますので放置?)
考察済みだと思いますよ (Townmemory)
2009-05-31 19:44:24
●キトさんへ
「他のマクロの事象」と「この完結した仮説」の内容がわからないので、んー、なんとも言えないです。マリア主犯説で推理してみてほしいという意味ですか?

 「■」マークで箇条書きにしてくださった点、ほぼ全て、推理済みで、その内容はこのブログに書かれていると思います。
「ジェシカ=ベアトリーチェ」というのはそもそも、私が仮につけた朱志香の魔女名で、ようはペンネームとかハンドルネームみたいなものですので、中身は朱志香です。なので、「殺人事件と魔女ジェシカとの関連」というと、「殺人事件の犯人が魔女ジェシカ」ということになります。
お詫び。 まとめて書きます。 (キト)
2009-06-02 01:14:59
すいませんでした__m

全部ページを見ていないかったことと、
あるいは、読んだ部分を理解できてなかった。
自分の漠然とした指摘についてです。

それでも、回答頂いて感謝しています。
これからも参考にさせて頂きます。


追伸、
マリアとベアトの世界に割り込んでいって、エンジェが喋った台詞が 「最小単位~」ですね

描写している主観の人物にだけ、魔法が見えていればいい。ロノウェがいる。とみんな信じているように『見て』描写をすればいいのですね。
ん?すると、魔法描写のほとんどが、ジェシカによる描写となるということですね。
ありがとーです! (Townmemory)
2009-06-02 06:45:55
そうそう、そうです。描写する人にだけ見えてれば良い。ていうか、実際には見えてなくても、「あとで書き加えれば」良いともいえます。

そうか、最小単位発言はエンジェのほうでしたか、あの子18歳くらいなのに、いいことを言いますよね……。

あとおわびとか不要です。お気遣いなく。全部読まなきゃいけないなんて、そんなことないです。しっかり読んでくださって、ありがとうございます。ちょう嬉しいです。
疑問色々 (ベアト☆LOVE)
2009-12-13 14:05:23
「朱志香=ベアトリーチェ」説に感動しました。
非常に愛に溢れるストーリーで、これで正解じゃないのか?いや、
むしろこのストーリーであってほしいと願うほどの感動巨編でした。

ですがいくつか疑問があります。

まずジェシカ・ベアトリーチェが誕生する動機が弱いと感じました。
魔女が誕生するには強いストレス、願いが必要であると私は思っています。
マリアは親の愛を得られない孤独感、エンジェは家族がいない孤独感、
エヴァは自分が優秀であるにも関わらず家督を得られない苦痛が、本作で描かれました。
それらを消し去るためにマリアにはさくたろ、エンジェには七姉妹、エヴァは自らを魔女に
変換しました。

しかしジェシカはどうでしょう?
特に不満があるワケでもなく、欲望があるワケでもありません。
強いていうと夏妃から勉強しろ、家督を継ぐに相応しい人間になれ、ってとこでしょうか。
しかしそれは魔女を産むほどのストレスとは思えません。
大らかな性格のため友達も多そうですし。孤独感もないでしょう。
全EPを通して朱志香に強いストレスがある描写はなかったと思います。
朱志香は天才的に魔法の才能があるのなら話は別ですが、
そんな描写もなかったと思います。
あと朱志香が脳内彼氏にフラれたのもよく分かりません^^
マゾすぎないでしょうか?

第2の疑問ですが、蔵臼と夏妃は親として何をしているのかと問いたいです。
犯人は右代宮家の財産を実際に把握している人物だと私は推測しています。
熊沢と南條には協力者としての報酬を与えており、EP4でそれは示されたでしょう。
そしてそれを実現するには名目上の当主を引き継ぐだけではなく、
実際に右代宮のお金を動かすことが必要だと意味していると思います。
なら年老いた親の代わりにお金を握っていた蔵臼は何をしているのでしょうか。
娘が碑文の謎を解いたから家督とお金を渡したのでしょうか。
自分の経営する事業がうまくいってないのに、あっさりお金を渡すでしょうか。
何より親のプライドがありますし、娘にあっさりお金を渡すとは思えないのです。
夏妃も何をしているのかとなります。
流石に娘の劇的な変化に気付くでしょう(少なくとも蔵臼が相談する)
娘が「妾は黄金の魔女ベアトリーチェである」なんて言い出したら
教育熱心な夏妃は頭をバーン!と叩いて「いい加減にしなさい!」って怒ると思います。
そして夏妃もお金を娘に預けるとは思い難いのです。

ここからは自分の希望と妄想になってくるのですが、
一人の人間が金蔵とベアトを兼ねるのは、何か腑に落ちないんですよね。
作中、何度も金蔵がベアトを探し求めるシーンがありますが、ワケ分からなくなります。
金蔵は自分であるベアトに会いたいよー、と言い、
自分で「愛がないから見えぬとは愚かなヤツ」
と演じていることになります。
何か変じゃありませんか?
いくら幻想であったとしても、現実で可能な現象を比喩している・・・であって
ほしいと思っています。私の希望ですがね。
私としては嘉音は実在しており、嘉音こそが金蔵であり、朱志香はベアトリーチェである。
そして二人は世代を超えてもなお、許されぬ関係にある・・・
何て妄想をしております><

長文失礼しました。
この質問は既出ならばすいません。
私も全てのページを読破はしていませんので。
ではでは。
Re:疑問色々 (Townmemory)
2009-12-13 18:12:44
●ベアト☆LOVEさんへ

 こんにちは。質問ありがとうございます。
 朱志香の動機については、目次の「盤面解析」の項を、番号順にさいごまで読んでいくと、しぜんとあぶりだされてくるようになっています。よかったら読んでみて下さい。

 いくつか補足的なことを書いておきますと、「朱志香=ベアトリーチェ」説をとると、作中の描写をしているのは基本的に朱志香ということになります。つまり彼女は、自分が疑われないような描写をすることができます。

 じつのところ、わたしは、
「朱志香は高校の人気者で、生徒会長である」
 という描写を、まったくの幻想だと考えています。じっさいにはもっと孤独な、ちょうど縁寿の高校生活みたいな日々をおくっていたんじゃないかな、という想像をしています。

 嘉音くんのことについては、たんに惹かれあって幸せになることよりも、ドラマチックな展開を求めたいという心理も、あるような気がしています。
 それと、わたしは「嘉音くんは自分が幻想存在であることに、ひけめをもっている」とい推理です。「家具だから」とか「僕だって」のセリフですね。
 キャラクター性というのは、いちどできあがってしまうと、もう作者にも動かせないんだ、ということがあるのかもしれないです。漫画家さんのよく言う「キャラクターが勝手に動き出した」ですね。



 財産については、蔵臼は金蔵翁の財産を、全部は管理していない、一部とか半分しか管理していない、という理解です。
 金蔵翁は、戦後の混乱期を、違法すれすれの方法で生き延びて富をなしてきたハードな人物ですから、自分が持っているマックスの財力を、息子とはいえ簡単にあけわたしたりはしないように思います。
 きっと半分以上は、自分が手元にホールドしていて、その中のかなりの部分は、税法的にもすごく問題があるようなお金だったんじゃないでしょうか。朱志香が金蔵から手渡されたのはそういうお金、いわば、
「右代宮家の裏側の力」
 なのだろう、という解釈です。


 ベアトリーチェに会いたくてめめしく泣いている金蔵の姿は、朱志香の記憶の中に焼きついている金蔵、つまり、
「朱志香が記憶から再構成した幻想の金蔵翁」
 であって、朱志香本人のロールプレイではない、というのが、わたしの理解のしかたです。朱志香が金蔵を直接的に演じたのはep4だけだと考えています。
 あ、いや、ロールプレイなのですから、つまり「演技」なのですから、「金蔵翁がいいそうなことを表現してみただけで、べつに朱志香本人がそういう願望をもっているわけではない」これでもいけますね。

 そんなかんじです。答えになっていますでしょうか。
ご回答ありがとうございます (ベアト・LOVE)
2009-12-15 00:44:03
こんにちわ。ご回答ありがとうございます。

財産管理の説明に大変納得しました。それはある思います。
莫大にお金を持っているから全部を朱志香に渡す必要はない。
確かにそれならば両親に気づかれることなく、お金を使うことが可能です。

そして幻想シーンはロールプレイングと朱志香の記憶内に分かれる。
これも確かにありうると思います。

朱志香が実は暗いコ・・・というのはちょっと悲しいです。
文化祭で生き生きとライブをしていた彼女が妄想だなんてそんなの悲しいです><
結局、認識の違いなんでしょうか・・・
Re:ご回答ありがとうございます (Townmemory)
2009-12-15 03:46:42
●ベアト・LOVEさんへ
 そうですね。ちがう人間だから、ちがう意見をもっている。わたしはそれはすてきなことだと思います。自分以外の人間の存在に価値があるのは、「自分とはちがうから」ですからね。

 でも、明るくて生気にあふれた女の子はもちろんすてきだけれど、友や味方のいない逆境にあってもユメミルチカラを失わない女の子もすてきかもしれませんよ(^_^)
魔女がいたら (fragment)
2010-03-07 22:32:53
朱志香=ベアトリーチェだとしましょう。
つまりは朱志香は魔女だと。

人の手では到底再現できない事を魔法と呼んだり、自らの世界を作り真実を塗り替える力を魔法と呼んだりしました。

その場に居た人たちが想像できなかっただけ、高度な科学やそれを生み出す思考は魔法と変わらない。
魔女とは優れた思考(魔法)を用いて、他人には想像できない事をする人ではないか。

と考える傍ら、
本当に魔法を使える魔女が、人間にも可能な方法で殺人を行っていたらどうなるのか考えてみました。

仮に、本当に手から刃が出せる人(魔女)Aが人間に紛れているとします。
他の人のアリバイは完ぺきです。
Aにしか犯行は不可能だと特定できました。
密室も死体消失も説明できました。(人間にも可能な方法)
しかしAは魔法で人を殺していました。

これってファンタジー?ミステリー?
魔女否定できるの?
ひぐらし羽入のようにファンタジー入りミステリーの可能性はあるでしょうか?
Re:魔女がいたら (Townmemory)
2010-03-07 23:46:13
●fragmentさんへ

 それは「ミステリー」「ファンタジー」の定義によると思います。ミステリーとファンタジーを分別することで、わたしたちが得られるものは何か? という目的意識しだいだとも思います。
 fragmentさんの(現状の)考えはどういったものでしょう。教えてくださるとうれしいです。

(コメント欄でわたしに質問し、その答えをほとんど丸写しで自分のブログ等に上げる、という例が過去にあったのです。なので、ご自分の考えの提示ぬきでジェネラルな(一般度の高い)質問をいただいたときには、先にお考えを聞くモードになっています。恐縮ですが、ご理解くださいませね)

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