↑ 撮影・中島
私がフランキー堺さんに初めて会ったのは、彼がまだ新東宝に何本か出始めたころで、
偶然に会ったのですが、気持ちよく写真を撮らせてくれて会話も数分でしたが、とても気
さくで優しい青年だと思いました。そのあたりから個性的で人柄もいい彼は映画出演を日
活、東京映画、日活と引っ張りだこ状態になって行ったのです。
そんな中で大映での出演が「女は二度生まれる」「末は博士か大臣か」「六人の女を殺し
た男」「ラーメン大使」「与太郎戦記」「続・与太郎戦記」「新・与太郎戦記」「女組長」「与太
郎戦記 女は幾万ありとても」と9本あります。
フランキー堺さんは昭和4年生れで鹿児島の出身。ジャズドラム奏者、コメディアン、俳優、
司会者と何でもこなす才能人ですが、慶應義塾大学時代から進駐軍のキャンプでジャズ・
ドラマーとして活躍し、このころには後の活躍が予見できる才能開花時期に当たると思わ
れています。彼を面白い男として映画界に引き入れたのは伴淳三郎でした。
映画界での活躍はご存知の通りですが、テレビドラマでも大活躍、「私は貝になりたい」「赤
かぶ検事シリーズ」は代表作です。
他にも8代目桂文楽の弟子でもあり、桂文昇という噺家の名を持っていたし、多額の私財
を投じて「写楽」の研究家であったことも有名な話です。平成8年(1996)肝不全で帰らぬ人
となりましたが、67歳の早い死は万人から惜しまれました。
彼の大映作品で「末は博士か大臣か」「与太郎戦記シリーズ」は私も好きな作品。「与太郎
戦記」シリーズに共演した南美川洋子さんは、当時を振り返りながら次のように語っていま
す。
「フランキーさんには撮影中も笑わされて困りました。まだ18か19歳くらいでしたので、横浜
に行ったことのない私を、ご自分のベージュのベンツに乗せて下さり、横浜のニューグランド
ホテルへお食事に行き、地下だったでしょうか、ナイトクラブにも連れてってくださいました。
大人になったような気分で、帰宅してから興奮気味で母に報告したのが思い出されます。続
編、新と3作にご一緒させていただき、父のいない私に、毎回優しく接してくださり、本当に優
しい方でした。キャストを見ると、ほとんどの方がもうこの世にいらっしゃらなくて、とても寂し
いです・・・」と。
ついにフランキーさん登場ですね。一番上のスチールは早川さんと成田さんですね。与太郎が間違って中野学校に入れられるというところでしょうか。下のスチール、南美川さんはやっぱり清楚でいいですね。「与太郎戦記」シリーズでは、原作通りの戦闘シーンを湯浅監督の特撮で見たかったと思います。
「末は博士か大臣か」も、もう一度見たいと思います。北原さんが夏目漱石、早川さんが久米正雄の役でした。フランキーさんの菊池寛先生が学生時代に、後架から拾い上げた辞書を売りに行くというシーンがおかしかったです。
出演本数は少ないので
すが、大映に新しい風を吹き込んでくれた貴重な人という思い入れがあります。
南美川さんもフランキー堺さんには、深い思い出があるようです。
梅津栄さんの訃報に接しました。怪優という表現がぴった
りの方で、善人役も悪役もこなせる演技力のある方だったと思います。フランキーさんの記事に梅津さんのことを書くのは、なんといっても「与太郎戦記」の、刑務所帰りの6年兵どのが印象に残っているからです。強面で、でも与太郎にはホの字で、与太郎の食器をなめるというシーンで大笑いしました。
銀座の並木座が出資して製作した、史上最高額予算の自主映画と言われる「戦争の犬たち」にも、東南アジアの村の村長という役で出演されていました。学生時代に、この映画を見るためだけに銀座に出かけたことを思い出しました。
ご冥福をお祈りいたします。
この人も大映に何本か出ていてユニークなお芝居を見せてくれました。
類をみない俳優さんなので惜しいですね。
突然の横やりで申し訳ありません。以前に上野山功一さんを取り上げていただきありがとうございます。私は10年ほど前より上野山さんと親交があります。御本人もとても喜んでいました。タム親父様は「つうきゃっと」に御来店されたとのことで、上野山さんより「本当にありがとうございます。また是非御来店ください!」と言われてましたよ。
タム親父さんは、上野山さんのお店に行ったと嬉しい便りを寄せてくれましたが、
残念なことにそれから数か月後、心不全で亡くなりました。