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気が向いたら書く

ペグの盲点

2017-09-18 13:16:08 | ギター
シルエットの作業の合間に無駄話を。

前回、ジャックプレートの穴を拡げていたら、プレートを止めていた木片が割れた、という事件がありました。

それで思い出したのが、ペグの話。

昔ながらのクルーソンのペグは、ペグポストにガタがあるものです。また、古いギターにはよくペグが曲がっているものを見かけます。当時のペグはあまり丈夫に作られていない、という印象です。



対して、ある有名ペグメーカーの高級機種などはペグポストにガタつきがないものがあるようです。ぼくはそんな高級なペグがついた高級ギターを持っていないので、実際の使い心地は知らないのですが。

しかしこの、高級な機能は本当に必要な、優れた機能なんでしょうか。ここから書くのは聞きかじりからの仮説というか、与太話なので話半分で読んでもらえれば。

クルーソンのペグポストのガタつき、というか遊びに関しては、弦を張ってしまえばブリッジ方向に引っ張られるので、ガタつきは抑えられます。機能上、特に問題無いわけです。前出の有名メーカー、仮にG社としておきましょうか。そのG社のペグでも昔からある機種はペグポストに遊びがあります。通常使用で特に問題を感じたことはありません。

ではなぜ、ペグポストに遊びのないモデルが作られたかと言えば、それはもちろんニーズがあったからなのでしょう。「ペグポストにガタつきがあるとチューニング精度が低いんじゃない?それならポストがガタつかないモデルを作ろうよ」と。ただ、それは「ペグ」という「パーツ単位」での精度を求めた結果であると思います。

ペグポストに遊びがあったり、そもそもクルーソンが頑丈に作られていないのは、衝撃を受けた時にペグで吸収させるためだと思われます。ギターにとって、ネックの木材よりも交換が可能なペグが壊れた方が、モノとしての性能は高い、寿命は長い、と言えるでしょう。

ジャックプレートを加工していて、気づいた部分が正にこれで、ギターのパーツは替えは効きますが、ネックが割れたりしたらその修理の手間はどれだけの労力がかかるでしょうか。ギブソンのようなセットネックならば、目も当てられませんよね。よく、3弦や4弦のペグが曲がっているオールドのアコギなどを見かけますが、ギターを倒してしまったりした衝撃を受けてのことだと思います。この衝撃を、ペグが吸収せずにネックに行ってしまったら?

50〜60年代のギター制作において、ペグを頑丈にしていないのは、ギター本体を守るという意味があったのだと思います。あえてペグを、強度としての弱点と設定していたのではないかと。
では、現代のギターではその必要が無いのでしょうか?そんなはずは無いですよね。相変わらずギターのネックには木材を使用しているのですから。

これらのことを、長年ペグを製作してきたG社の開発陣は考えなかったのでしょうか?
多分、気づいていると思います。
じゃあどこに弱点を設定するか。ぼくはこれをネジに設定してると思います。ネット上でG社のペグのレビューに「ネジが脆い」「ネジが折れた」というのを、よく見かけます。これは、衝撃を受けた時にネジが折れて、ペグとギターを多少なりとも守るためではないでしょうか(まあ、ネジが折れたらギターにダメージを与えて取り出さなければならないんですが)。ネジなんて安いものですから、高級機種に強度が高いネジを入れてもペイできるはずです。それをしないのは、あえて、だと思うのです。

まあ、いつもの妄想ですけどね笑。

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