うみねこ推理1週目・Ep6(2)

2016年12月31日 21時14分47秒 | 1週目Ep6

<<Ep6考察>>

★ロジックエラーの謎に挑む

【順番】

 まず、言及したいのは、所在確認と、いとこ部屋と隣部屋の二つの部屋の封印とを、行なった順番である。本来なら、まず二つの部屋の封印をして、それからその中に全員が閉じ込められていることを確認すべきところだ。先に所在確認をしたのでは、所在確認と部屋の封印との間に隙が生じていれば、その隙に誰かが脱出して戦人を助けに行くことが出来る。“所在確認の直後に救出者が部屋を抜け出し、部屋の封印が完了したのはその後”ではないか?

 ヱリカはこれに反論できる。先に部屋の封印をするという手の内を明かせば、バトラが所在確認に応じなくなるのは必定。だから先に所在確認を行なった。所在確認と部屋の封印との間で時間が空いたら意味がないことは十分承知しているので、“所在確認を終えて、ゲームを進め始めた瞬間に二つの部屋を封印した。ゲーム盤上でもそう描写されている。だから、所在確認と部屋の封印の間に隙はない”。

 

【封印の方法】

 ヱリカの反論を受けて、次は封印の具体的な方法について言及する。ゲーム盤上ではドラノール達が現れて一瞬で封印を施したように見える。しかしこれは演出。ニンゲン側が、本当にドラノール達が封印したとは主張できない。実際には、封印はニンゲンがガムテープで行なわないといけない。だが、二つの部屋の扉と窓すべてに一瞬でガムテープを貼ることはできない。“所在確認の後すぐに二つの部屋の封印に取りかかったとしても、封印の開始から完了までにどうしてもタイムラグが生じる。その隙に救出者が部屋を脱出した”のではないか?

 これにもヱリカは反論できる。部屋の封印の時に飛び出した赤字は、“いとこ部屋、隣部屋の両部屋の密封は保証されマシタ。”である。“封印した”ではなく、“密封は保証されマシタ”である。つまり、ドラノール達は封印を確認して赤字で保証しただけなのだ。実際の封印は、部屋割りの時にヱリカが窓や扉にあらかじめガムテープを貼付することですでに施されていたのだ。“二つの部屋の封印は、所在確認の前に開始され、すでに完了していた。所在確認後に行ったのは封印の保証だけである。だから、所在確認の後に脱出することはできない”。

 

【所在確認】

 次は、所在確認から攻める。所在確認では“それ以外の全員が、いとこ部屋にいることを認める”ということになったが、“それ以外の全員”のなかにヱリカ自身が含まれるのではないか? ヱリカは例外と言いたいところだがそうはいかない。“密室破壊後、部屋に入ったのは、私を除き、蔵臼、留弗夫、秀吉、郷田の4人のみである”というように、ちゃんとヱリカ自身に言及しているし、“それ以外の全員”の例外として金蔵は含まないこともちゃんと確認している。だからヱリカも例外でなく、所在確認時、ヱリカはいとこ部屋、もしかしたら隣部屋のどちらかに存在していたことになる。所在確認の時点で二つの部屋の封印がすでに完了していたらヱリカは戦人のいる客室に行くことができないので、所在確認の後にヱリカが部屋の外に移動し終えるまで、少なくともヱリカがいた部屋の扉(もしくは窓)の封印はできない。つまり、所在確認から、二つの部屋の封印の保証までの間に、ヱリカが部屋の外に移動するための隙が存在する。ヱリカが出口に使った扉(窓)以外はあらかじめ封印できるから、“所在確認後、ヱリカが部屋の外に移動するその隙に、救出者はヱリカと一緒に部屋の外に出た”のではないか?

 ヱリカの反論。「“私が部屋を出るときに、一緒に外に出た人物はいませんでした”」。ヱリカは探偵宣言をしていないので、誤認の可能性はありうる。しかし、ヱリカが誤認をしたというのは、ノックス第8条に従い、何らかの手掛かりでもって誤認していることが示された場合はじめて主張できることだ。「“いくらなんでも、一緒に部屋を出る人物に気が付かないほど、私の目が節穴だと言うことを示す伏線は存在しません”」

 

【探偵不在】

 ヱリカはEp6において人を殺した。だから探偵宣言の事を抜きにしてもヱリカは探偵の資格を失っている。従って、“ヱリカの視点に基づく主張は信用に値しない”のではないか?

 ヱリカの反論。ヱリカはそれでもニンゲン側のプレイヤーである。バトラがヱリカを対戦相手と認めている以上、ヱリカには、自分の視点で、幻想抜きで、状況を確認する権利があり、その確認した状況をニンゲンの立場で主張するのであれば、それは否定できない。だから、“ヱリカが、一緒に部屋の外に出た人物はいない、と主張するのなら、それを認めざるを得ない”。

 

 残念ながら、私の推理はヱリカにことごとく反論されてしまいました。ロジックエラーの謎は、正攻法では解くことができないようです。

 

★ロジックエラーの本質

 ●面白い考え方でも触れたが、改めて、このゲームはあくまで、魔女側とニンゲン側が、魔法の有無を主張しあうものである。だから、魔女側は、必ずしも全ての謎に人間に説明可能なトリックを用意する必要はない。なにしろ、魔法が存在するというのが魔女側の主張なのだから、極端な話、全てを魔法で説明してもかまわないのだ。もちろんそうなると、ニンゲン側は手も足も出なくなってしまうが、それでも構わない。なぜならニンゲン側は屈服さえしなければ良いのだから。

 とはいえ、ことここに至って本当に謎の答えが魔法でしたと言うのは興ざめもいいところだ。問「目が10個、手が12本、足が14本、なーんだ」、答「バケモノ」。こんななぞなぞを出すやつは相手にされなくなってもしょうがない。ロジックエラーは最悪のマナー違反だ。魔女側はそんなことをしないと信じてニンゲン側は謎に挑むのである。

 それでも、ロジックエラーをタブーにしてはいけない。そこまでするということは、魔法が存在してはいけないと断言してしまうことになる。つまり、ロジックエラーをタブーとすることは、それ自体がフールズメイトなのだ。ロジックエラーは最悪のマナー違反だが、ロジックエラーは決してタブーではない

 

★全ては芝居2

 ロジックエラーは決してタブーではない、ということは、バトラにペナルティが課せられる必要はない。しかし、実際にバトラはペナルティとしてロジックエラーの密室でもがき苦しむことになってしまった。これはいったいどういうことか。それは、Ep6でどういう結果が得られたかを考えれば答えは見えてくる。

 すなわち、かつてベアトが、メタ戦人が全ての謎を解いて覚醒する奇跡を“千年”待ち続けたのと同様に、バトラも、雛ベアトがロジックエラーの謎を解いて覚醒する奇跡を、ロジックエラーの密室の中で“千年”待ち続けるために、わざと、ロジックエラーの密室に閉じ込められたのだ

 Ep6開幕当初はバトラも、ヱリカとの対決を目的としていた。だが、雛ベアトが未熟な存在として生まれたため、バトラの目的は雛ベアトに本来の魔女の姿を思い出させることに変更された。幸い、小賢しく知恵の回るヱリカがロジックエラーの罠に自分を陥れようとしているようなので、それを利用することにした。そのために、まんまと騙されたふりをしてヱリカにガムテープを渡す。そして、ロジックエラーが成立した際には、本来は課せられる必要はないペナルティとして、ロジックエラーの密室に閉じ込めてもらうよう、バトラから、ラムダデルタに依頼する。ロジックエラーの密室の中で、ガチで苦しむバトラを見せて、雛ベアトの本気を促すためだ。

 Ep6では、バトラはゲームマスターのくせに、ヱリカに良いようにやられて、結局新ベアトに助けられただけという無様をさらしたかの様に見える。しかし、実際は、全てがバトラの計画通りだったのだ。確かに愛のないメタ戦人は無能だったかもしれない。だが、愛を理解したバトラは有能だ!

 

★ゼパルとフルフルのヒントのヒント

 ゼパルとフルフルの試練がロジックエラーの謎を解くヒントのヒントになっているというが、どういうことか。

 そもそも、雛ベアトはなぜこんな試練が必要なのかがわかっていない。姉ベアトも、紗音と嘉音の決闘後に嘉音と雛ベアトの姿が消えるのを見て狼狽しており、どうも試練の本質までは理解していないようだ。ベアト世界を反映した試練なのに雛ベアトも姉ベアトもそれを理解していない。ということは、逆に言うと、ゼパルとフルフルの試練を理解することは、雛ベアトが真なるベアトになるために必要なのは確かなようだ。

 ゼパルとフルフルの試練は、第一の試練は第一の晩と連動していてゲーム盤の一部となっている。なので、バトラがヱリカに見せるために作ったストーリーとも言え、実際にヱリカも退屈そうにそれを見ている。だが、第二の試練は、●ゲーム盤の譲治と朱志香でも述べたが、試練を受けているはずの譲治と朱志香がゲーム盤に現れた時点でゲーム盤とは独立し、ヱリカに見せるものではなくなっている。実際ヱリカも第二の試練以降は見ていない。では誰に見せるための試練か。もちろん雛ベアトに見てもらうためのものである。バトラの目的は雛ベアトに本来の魔女の姿を思い出させることだ。バトラにとっては、雛ベアトが真なるベアトになるために、雛ベアトにはゼパルとフルフルの試練をしっかりと見て理解してほしいのだ。

 ゼパルとフルフルの試練は、バトラが雛ベアトに見せるために用意したストーリーである。それがヒントのヒントになるというなら、Ep6のゲーム盤自体が雛ベアトのためのものとなっているという考えに至れる。となればロジックエラーの謎も同じである。つまり、ゼパルとフルフルの出したヒントのヒントとは、Ep5でワルギリアがメタ戦人に出したヒントのヒントと同じ、“バトラは、雛ベアトに解いて欲しいと願って、解けるようにロジックエラーの謎を生み出した”である。

 

★“愛”の方向

 本考察では、Ep1~4の戦人の視点を、基本的には真実として扱っている。

 その根拠として、〇探偵視点の取扱いでも述べたことだが、Ep5でドラノールが、これまでのあなたは探偵デシタとEp1~4の戦人を探偵だと確定し、探偵なら主観を偽る権利はありマセンッ!!と定めているからだ。これによりEp1~4の戦人は与えられた情報を虚偽なく主張しているとみなせるので、誤認していることが示されない限りは戦人視点の主張は信用できる。

 しかし、本当はもう一つ根拠が必要だ。それは、“ゲームマスターは、ニンゲン側のプレイヤーの駒の視点に、必ず正しい情報を与えている”という根拠だ。普通なら信頼できるはずの地の文が信頼できないのだから、戦人視点が取得する情報だって正しいかどうかを疑わなければいけない。そして、困ったことに、正しい情報であると保証する根拠はどこにも示されていない。それでもなお、ベアトが戦人視点に正しい情報を与えていると考えるのは、“ベアトは、俺に解いて欲しいと願って、解けるようにこのゲームの謎を生み出した”という赤字が得られているからだ。直接正しい情報だと保証するものではないが、プレイヤーの駒の視点が得る情報までもが虚偽では、とても謎は解けないだろうから、ベアトはメタ戦人に謎を解いてもらうために、Ep1~4の戦人視点には必ず正しい情報を与えていたと信じるしかない。

 Ep5については後述。

 今回問題とするのは、Ep6のヱリカの視点である。“バトラは、雛ベアトに解いて欲しいと願って、解けるようにロジックエラーの謎を生み出した”ということは、バトラの“愛”はすでに雛ベアトに向けられており、バトラにはヱリカに謎に挑んでもらうつもりはなくなっているということだ。だとしたら、バトラがヱリカ視点に必ず正しい情報を与えているという根拠がない

 Ep6開始当初は、バトラもヱリカと正々堂々対決するつもりでヱリカをニンゲン側のプレイヤーに据えたのだから、ヱリカ視点に正しい情報を提供するつもりだったのかもしれない。しかし、雛ベアトの誕生で事情が変わった。バトラの目的は雛ベアトに本来の魔女の姿を思い出させることに変更され、都合の良いことに、ヱリカの側から探偵の資格を失わせる行動をとってくれた。ニンゲン側のプレイヤーに正しい情報を与えないと言うのは、ゲームマスターとして非常にアンフェアだ。それこそ、“こんなトリックじゃ、またニンゲンどもが、こんなのミステリーじゃねーって、騒ぎ出す”程に。しかし、それを実行するための条件は整っており、バトラは有能だと“愛”を持って見てみればそれがわかる仕組みになっている。 

 

★ロジックエラーの謎の答え

 バトラがヱリカ視点に必ず正しい情報を与えているという根拠がない以上、ヱリカが“私が部屋を出るときに、一緒に外に出た人物はいませんでした”と主張しても通らない。

 従って、ロジックエラーの謎の答えは、“所在確認後、ヱリカが部屋の外に移動するその隙に、救出者はヱリカと一緒に部屋の外に出た。封印の完了はその直後。救出者は戦人が客室を出た後、客室の内側からチェーンロックを掛け直した”となる。

 

★嘉音消失の謎の答え

 嘉音が客室のクローゼットから、密室を維持したまま脱出する方法について。

 “そなたの入室からロジックエラー時まで、客室を出入りしたのは、そなたと戦人と嘉音のみだ。”という赤字があるので、一見、ヱリカ、戦人、嘉音以外の人物は客室を出入りしていないかのように見える。しかし、人の出入りが制限されるのはあくまでロジックエラー時までなのだから、ロジックエラー修復後ならヱリカ、戦人、嘉音以外の人物も客室を出入りできる。ゲーム盤でも描写されているように、嘉音が戦人を客室から逃がすことでロジックエラーは修復されるので、それ以降なら誰でも客室を出入りすることができるのだ。

 従って、嘉音消失の謎の答えは、“ヱリカがバスルームで悪戦苦闘している隙に、戦人が客室を出て、救出者の嘉音が客室に入り、チェーンロックを閉める。これでロジックエラーが修復される。そのすぐ後に、まだヱリカがバスルームで悪戦苦闘しているうちに、第四の人物が客室を訪れ、嘉音と入れ替わりに客室に入り、チェーンロックを閉めた”となる。

 第四の人物も、所在確認後、ヱリカが部屋の外に移動するその隙に、ヱリカや救出者と共に部屋の外に出たのだ。

 

★ヱリカの正体

 Ep6でヱリカは、自分は今回探偵宣言をしていないので、“ノックス第7条。探偵が犯人であることを禁ず。”に違反することなく殺人を犯すことが出来た、と主張しているが、もう一つ、ヱリカが犯人になれないはずの条件がある。それは、“ノックス第1条。犯人は物語当初の登場人物以外を禁ず。”だ。

 Ep5の探偵宣言によれば、Ep5の古戸ヱリカはEp5までの世界には存在しないし、影響も与えないことになっており、物語当初から登場していないので殺人を犯すことはできない。この“影響も与えない”というのがかなり強固で、例えば、物語当初から登場していた人物Xが、Ep5で初めて古戸ヱリカを名乗ったとすると、それは古戸ヱリカは“Ep5までの世界には存在しない”というのはクリアできるかもしれないが、人物Xとして登場していた以上、“影響も与えない”とは言い難い。従って、Ep5の古戸ヱリカは、既出の登場人物の別名という意味でもなく、正真正銘Ep5で初登場の人物である

 なので、Ep5の古戸ヱリカは例え探偵でなくなっても、殺人は犯せない。なのに、Ep6のヱリカは人を殺した。ということは、Ep6のヱリカはEp5の古戸ヱリカとは別人である物語当初から登場していた人物の誰かが、ヱリカを名乗っているのだ全ての名は、本人以外には名乗れないはずだが、Ep6では“ヱリカ”とは赤字で出てくるが、最後の“初めまして”な自己紹介を除いて、“古戸ヱリカ”とは赤字で出ていない。そして、Ep6のヱリカはEp5の古戸ヱリカとは別人なのだから、“古戸ヱリカ”の名を騙ったのではなく、“ヱリカ”という偽名を名乗っただけなのだ。名乗ったのが偽名なら、名乗った人物が本人と言えよう。

 では、ヱリカを名乗り殺人を犯したのは誰か。Ep6ではその描写がないので、碑文は解かれていないと思われるのだが、それならEp6の殺人は碑文殺人と言うことになり、それならその犯人は真犯人なので、秀吉か紗音のいずれかが犯人ヱリカということになる。ところが、封印の完了はヱリカが部屋の外に移動したその直後なので、封印時の隣部屋に居たことになっている秀吉紗音もヱリカではあり得なくなる。それならば、描写はされてなくともEp6では碑文が解かれたと解釈するしかない。

 この場合誰が犯人ヱリカの可能性があるか。金蔵はすでに死んでいるので金蔵ではない。封印時の隣部屋に居たのは、秀吉、譲治、熊沢、紗音、南條であるから、彼らもヱリカではない。蔵臼、留弗夫、秀吉、郷田たち4人は、夏妃、絵羽、霧江、楼座、真里亞、戦人たち6人の殺人にかかわっていないので、犯人ヱリカではない。ヱリカが殺した5人全員ももちろんヱリカではない。戦人を救出したのは、間違いなく嘉音本人であり、ヱリカは救出者ではないから、嘉音もヱリカではない。戦人くんは犯人ではありませんから、犯人ヱリカではない。残るは朱志香と源次だ。

 “Ep6では碑文が解かれ、朱志香か源次のどちらかが、真犯人とは異なる犯人ヱリカとして、殺人を犯した”というのが現時点での推理である。

 

★自己紹介

 最後にヱリカは、“初めまして、こんにちは! 探偵ッ、古戸ヱリカと申します!!”と自己紹介をしている。

 Ep6のヱリカはEp5の古戸ヱリカとは別人であり、Ep6のヱリカは探偵の資格を失っている。だから、探偵の古戸ヱリカは、Ep6ではまだ登場していない。だから“初めまして”となる。ヱリカは、Ep6では自分が探偵古戸ヱリカして扱われていなかったことに最後に気付いたというわけである。まさに、概念否定の毒だ。

 

★18人目と17人

 ヱリカと、バトラ・新ベアトの、二つの矛盾しているように見える赤字。現時点では説明しきれません。

コメント    この記事についてブログを書く
« 推理の折り返し(1) | トップ | うみねこ推理1週目・Ep6(1) »

コメントを投稿

1週目Ep6」カテゴリの最新記事