うみねこ推理1週目・Ep5(3)

2016年12月31日 21時16分00秒 | 1週目Ep5

<<Ep5考察>>

★ゲーム盤の愛のなさ

 ロノウェが評したように、ラムダデルタのゲーム盤には愛がない。つまり、真実が視えるように作られていない。その点を改めて列挙してみる。 

○探偵視点がほぼ皆無

 地の文が信頼できない以上、赤字と探偵視点での記述を足がかりにして推理を進めるしかない。ところがEp5では探偵ヱリカの視点で描かれた部分が全くと言っていいほど存在しない。そのため幻想と疑える部分が非常に多くなっており、秀吉殺しに至ってはそれが本当に起こったかどうかも疑わしくなっている。

○碑文殺人が発生しない

 第一の晩が始まる前に碑文が解かれてしまうので、真犯人が行なう碑文殺人が発生せず、他の人物によるイレギュラーな殺人しか発生しない。碑文殺人の実行犯が誰かを推理しようと言うのに、これではどうしようもない。

○形だけの幻想大法廷

・ラムダデルタがゲームマスターなのに、魔女側ではなく審判に立っている。

・魔女側もニンゲン側も正しく主張を行なっていない。

・真実を解き明かすのに不要なルールが適用されている。

・ヱリカもバトラも、最初から赤字で否定された推理を主張している。

・金蔵が生きていると言う夏妃の幻想を散々擁護しておきながら、最後にあっさりと切り捨てている。

 

★ゲーム盤外に溢れる愛

 それでもメタ戦人はEp5を通じて最後には真実に至っている。それは、ゲーム盤外には多くのヒントがちりばめられていたからだ。

○ワルギリア

 ワルギリアが与えてくれる赤字は六軒島に実在するベアトリーチェが黒幕であり、黄金の所有者であることを確定してくれる。また、解けるように謎が生み出されているという保証は、メタ戦人が謎を解く上で大きな力となった。

○ドラノール

 ドラノールがノックスの十戒を使えるという事実は、ベアトの謎を解くのにノックスの十戒を利用できると言いうヒントになる。

○ラムダデルタ

 結果からみればラムダデルタがゲームマスターをしてくれたからこそ、メタ戦人が真相に至れたようなものだ。そうなると、ゲーム盤そのものに愛がないのは、時間稼ぎが目的だからだと思えてくる。ワルギリアや煉獄の七杭に赤字をリークしており、味方としか思えない。

○探偵宣言

 大ヒント。

 

★事の真偽

 Ep5のゲーム盤では下記のような出来事が描かれているが、赤字でも探偵視点でもない場面が多いので、本当にあった事かどうかをいちいち吟味しなければならない。

 

□19年前の夏妃の罪

□夏妃への脅迫

□古戸ヱリカの存在

□碑文解読

□手紙とノック

□第一の晩(殺人)

□第一の晩(狂言殺人)

□遺体消失

□書斎での攻防

□秀吉殺し

□ラストシーン

 

 比較的簡単に結論付けられるところだけ列挙しておく。

■夏妃への脅迫

 脅迫電話の全てが真実かはわからないが、事件発覚の朝の電話については、電話で声を聞かせた直後に蔵臼が殺されてる事は確かなので、蔵臼を捕え夏妃に脅迫じみた電話をし、その直後蔵臼を殺した人物は存在する

■古戸ヱリカの存在

 探偵宣言で“古戸ヱリカが1人増えただけ。“と言っている以上、Ep5において、島内の既知の人物とは別に、古戸ヱリカに該当する人物が必ずひとり存在する。真。

■碑文解読

 “碑文の謎の仕掛けを解いた時”という表現があり、それには赤字での否定がないので、碑文解読も事実。真。

■手紙とノック

 ●ゲーム盤との相違でも述べたが、源次の行動について、ゲーム盤で描かれたことと赤字とで食い違いが生じている。それを根拠に、手紙とノックは幻想であると主張する。偽。

■第一の晩(殺人)

 蔵臼、楼座、朱志香、譲治、真里亞、源次が殺されていることは赤字で語られている。いつ、どこで、どのように殺されたかは議論の余地があるが、殺人そのものは否定できない。真。

■書斎での攻防

 戦人の推理した金蔵の行動を、使用人も親族も金蔵ならあり得ると言う場面、ここだけは探偵ヱリカの視点で描かれている。この場面が真である以上、それに連なる金蔵の書斎をこじ開けるシーンは否定しがたい。真。

 

★第一の晩

【真犯人以外の動機】

 碑文は確かに解かれており、碑文が解かれたら儀式は終了し、その後の事件に真犯人は一切関与しないので、Ep5の第一の晩の犯人は真犯人とは別人である。真犯人ならほぼ無作為に第一の晩の犠牲者を選ぶかもしれないが、真犯人とは別人が起こした事なら、蔵臼、楼座、朱志香、譲治、真里亞、源次を殺す明確な動機があるはずである。

 

【いとこ殺し】

 そこでまず、なぜ朱志香、譲治、真里亞が殺されたのかを考えてみる。その答えは、この三人が死ぬことで今後右代宮家がどうなるかを考えると見えてくる。金蔵亡き後、今すぐは蔵臼たち四兄弟の誰かが跡を継ぐにしても、その次の世代が戦人(と縁寿)だけしかいないので、いずれは戦人に跡を継いでもらう、少なくとも実権を握れるだけの立場に置かざるを得なくなる。つまり相続について最も利するのは戦人なのだ。しかし、戦人くんは犯人ではありませんから、戦人以外の誰かが、戦人に右代宮家を継いでもらうためにそのライバルたちを殺したのだ。朱志香、譲治、真里亞を殺したのは、戦人が右代宮家を継ぐのを望む人物である。該当するのは、戦人の親である留弗夫と霧江、それと金蔵の遺志を尊重する源次だ。

 

【夏妃への脅迫と蔵臼殺し】

 次に、蔵臼を捕え夏妃に脅迫じみた電話をし、その直後蔵臼を殺した人物の条件を考えてみる。ポイントは、この人物は、碑文が解かれていないEp1,2,4では自ら蔵臼を殺さず、碑文が解かれたEp5で初めて自ら蔵臼を殺している点だ。この点を考える上で、夏妃への脅迫が、[1]ゲーム盤で描かれているように10月4日以前からあったのか、[2]碑文が解かれた後の蔵臼殺しに関わる電話のみが真なのか、で結論が変わる。

 [2]なら話は簡単だ。黄金の存在を知り、黄金に目がくらんだのが動機だ。これなら碑文が解かれないEpで犯行を起こさない理由として妥当だ。この場合容疑者は留弗夫・霧江夫妻と言うことになる。

 [1]の場合、動機が、碑文が解かれる以前から存在している事になるため、黄金の発見は理由にならない。碑文解読以前から動機が存在していて、碑文が解かれるかどうかで自分が手を下すかどうかが決まる。このような行動式を取れるのは、真犯人の意図を理解している共犯者だけだ。つまり、碑文が解かれなければ蔵臼や夏妃はいずれ碑文殺人で殺されることが分かっているので自らは手を下さずに済むが、碑文が解かれると碑文殺人が起こらず蔵臼も夏妃も死なないので、自ら手を下す必要が出てくるというわけだ。この場合容疑者は源次だ。

 

【源次の動機】

 ところで、源次に、夏妃を脅し、蔵臼を殺す動機があるのだろうか。Ep5は夏妃のがんばり物語のように描かれているのでつい夏妃に同情してしまうが、この夫婦がしたことはやはりひどい。金蔵の死を隠す理由が右代宮家を守るためと言っても、そもそも右代宮家が窮地に至ったのは蔵臼たちの責任である。自分達の失敗をごまかすために当主の死を隠し、しかも最後は失踪した形にするということは、いずれ金蔵の葬儀を行うにしても棺は空にしなければいけないし、遺骨を墓に納めることもできない。これは金蔵に忠誠を誓う源次にしてみたら、許せないことではないだろうか。それでも右代宮家を守る必要があるし、一応蔵臼が次期当主なので従わざるを得なかったが、内心、源次は蔵臼と夏妃に対し強い憤りを抱いていることだろう。

 

【狂言殺人】

 ここで、■狂言殺人について考えてみる。ゲーム盤で語られた通りの狂言殺人が起きたと仮定して、まず、いとこ部屋の朱志香、譲治、真里亞に狂言殺人の話を持ちかけたのは楼座であろう。譲治たちは黄金が見つかったことはまだ知らされてないので、戻ってきた楼座がその情報をもたらさない限り狂言殺人など考えもしないだろう。そして、その楼座とともに午前1時に一旦食堂をでた絵羽も狂言殺人に一枚かんでいる可能性が高い。だが、仮に事前に狂言殺人の事を知らなかったとしても、絵羽が譲治の生死をちゃんと確認しないわけがないので、譲治が死んだふりをしたら、絵羽は必ずその事実を知っているということになる。

 そんな絵羽は蔵臼が行方不明である事実をどう捉えるか。もし絵羽が蔵臼殺しに加担しているなら絵羽にとって想定内の事だが、ゲーム盤で語られた通りの狂言殺人が起きたと仮定するなら、朝の脅迫電話が夏妃にかかっている時絵羽はいとこ部屋にいるので、絵羽自身が蔵臼を殺したわけではない。実行可能なのは紗音か熊沢、もしかしたら源次だが、そうだとしたらこの三人は蔵臼たちに長らく味方しておきながら、裏切って殺したということになる。そのような人物は共謀しているとしても絵羽には信用できないだろう。そんな信用できない殺人者がいるのに、譲治に死んだふりをさせて目を離すということを絵羽がするとは思えない。そもそも蔵臼殺しをするうえで、狂言殺人が必須とも思えない。従って、絵羽は蔵臼殺しには加担していない。

 蔵臼自身が狂言殺人に加担しても蔵臼にはデメリットしかないので、蔵臼の失踪と狂言殺人とは別の事件であることは明らかだ。だから、絵羽が狂言殺人に関わっているにしてもいないにしても、絵羽が預かり知らぬところで蔵臼を失踪させる人物が存在することになる。蔵臼の部屋の様子を見れば殺されている可能性もある。やはりそんな状況で絵羽が譲治に死んだふりをさせたままにするとは思えない。実際に、譲治は最終的には殺されてしまうのだからこれは杞憂ではない。

 蔵臼を殺すのでなければ、絵羽にとって狂言殺人のメリットは、金蔵の書斎に侵入する絶好の口実が出来ることであるが、侵入自体は強引に行なうこともできるので、狂言殺人も必須ではない。

 くどくどと理屈をこねたが、要するに、狂言殺人と言う絶対に必要と言うわけでもない計画のために譲治を危険にさらすような事を絵羽がするはずがない。このことから、ゲーム盤で語られた通りの狂言殺人は実行されなかったという結論が導かれる。

 

【第一の晩の実際】

 では実際の事件の流れはどうだったのか。朝、数名が行方不明なので島内を捜索したら、蔵臼は見付からず、楼座、朱志香、譲治、真里亞、源次の遺体が普通に見付かった。それだけの事だと思う。少なくともその遺体は大勢が確認しているのは赤で保証されている。遺体発見後に遺体が消失することはありえないので、■遺体消失も起こらなかった

 この前提で事件の夜何が起こったかを想像してみる。

 戦人が黄金を発見したのに事前の取り決めを無視するかのようにごねる蔵臼と夏妃を見て、なお金蔵が生きていると主張して黄金の分配が遅らされることを恐れた絵羽と楼座は、狂言殺人を起こし金蔵の書斎に侵入する口実を作ろうともくろむ。楼座がいとこ部屋にもどり、朱志香、譲治、真里亞に狂言殺人の話を持ちかける。口実は、「戦人くんが碑文を解いて黄金を発見した。」「それを巡って兄弟が殺し合いを起こしかねない雰囲気になった。」「それを諌めるために死んだふりをして身内が死ぬ恐怖を味わわせて欲しい。」といった感じ。死んだふりをする場所は戦人が戻ってくるいとこ部屋ではなく屋敷と決める。しかしラウンジではヱリカが午前3時まで見張りをしていたため、それまでは楼座と真里亞の部屋で身をひそめ、その後屋敷へ移動する。

 一方犯人(留弗夫&霧江 or 源次)は、親族会議が終わった後、屋敷で蔵臼を捕獲する。留弗夫&霧江の場合は源次も殺す。留弗夫&霧江の場合の動機は絵羽や楼座と同じだが、もっと直接的な手段に出て夏妃を追い詰めようというわけだ。その時、屋敷にやってきた楼座たちを見つける。彼女たちを殺すことにメリットを見出した犯人は楼座たちを殺害する。これで狂言殺人が本当の殺人になってしまい、ゲーム盤で語られた通りの狂言殺人は実行されなかった形になる。

 ところで、この流れだと蔵臼を捕縛するところを楼座たちに見られ口封じのため殺したと言う動機も浮かび上がるが、それでも留弗夫・霧江と源次以外に蔵臼と源次を殺すタイミングと動機をもつものはいないので、推理に変更はない。そして朝、夏妃に電話を掛け、蔵臼の声を聞かせた後で蔵臼を殺したというわけだ。

 楼座、朱志香、譲治、真里亞は朝発見された時点ですでに死んでいた。ただし、その発見場所はゲストハウスではなくおそらく屋敷内だった。源次も朝発見された時点ですでに死んでいた。ただし、その発見場所は控え室内でなく、屋敷内の別の場所だった

 

【それぞれの犯人説検証】

○源次犯人説

 夏妃への脅迫が、ゲーム盤で描かれているように10月4日以前からあった場合はこちら。

 脅迫の事実を幻想扱いしなくてよいのがこの説の利点。

 だが、最終的に誰がなぜ源次を殺すことになるのかが最大のネックだ。これを理由に源次犯人説を否定してもいいのだが、例えば熊沢も長く金蔵につかえ源次ほどではないが同様に蔵臼と夏妃に怒りを覚えており、源次がしようとしていることも理解していたとして、源次は蔵臼を殺した後、自分の役割は終わったとばかりに切腹をして、その介錯を熊沢にお願いした、というのは少し無理があるだろうか。

 もう一つ心情的な問題がある。真犯人もしくは黒幕は、自分の行動を止めて欲しいとも考えており、戦人が碑文を解いてくれるのは一つの理想形だと考えられる。しかし、源次の動機が常にくすぶっており、碑文を解かれることでそれが爆発してしまうのであれば、どうしたって悲劇が起こってしまうことになる。これは悲しい。

○留弗夫・霧江犯人説

 碑文が解かれた後の蔵臼殺しに関わる電話のみが真の場合はこちら。

 源次を殺すのがやや短絡的で、源次もなぜ控え室に戻らず屋敷をうろついていたかが不明だが、他はおおむね説明できているように思う。

 黄金の存在を公にさえしなければ悲劇を防げると言う答えが見えてくるのも良い。

 

★秀吉殺し

 ■秀吉殺しは幻想でもいいような気がします。

 幻想でないとすれば、源次はこの時点でワルギリアにて死亡が確定されているので、源次は犯人ではない。留弗夫・霧江犯人説がほぼ確実となる。

 

★金蔵の遺体の扱い

 幻想大法廷で、バトラは証拠提示と言って右代宮金蔵と識別可能な遺体を提示したが、具体的にはどこに何を提示したのだろう。ベアト世界の法廷の場に金蔵の遺体を出現させてもしょうがないので、ゲーム盤上の六軒島のどこかにある金蔵とおぼしき死体を指さし、それを証拠として提示したのではないか。しかしこの時金蔵の遺体はどこにどんな状態で存在していたのか。

 そこで、実際の六軒島では金蔵の遺体がどう扱われたかを考えてみる。Ep4●金蔵の遺体で述べた様に、蔵臼たちにとっては、遺体は火葬した方が都合がよい。だから私は、すでに金蔵はすでに火葬されており、多くのゲーム盤で見つかる6本指の焼死体は金蔵ではなく、真犯人が用意した、指をくっつけた別人の死体ではないかと考えた。しかし、登場人物以外の死体は登場しないという赤字が出てしまったので、やはり6本指の焼死体は金蔵なのだ。するとどういうことなのか。

 蔵臼たちは、金蔵を極秘に火葬にするよう源次に命令する。しかし、源次は蔵臼と夏妃に対し強い憤りを抱いているし、出来ることなら正しい形で金蔵の葬儀を執り行いたいと考えているだろう。もし、蔵臼たちの計画が破綻すれば、金蔵の死が公になり正々堂々と葬儀を行うことができる。その時のために源次はこっそりと九羽鳥庵あたりに金蔵の遺体を保管していたのではないだろうか。そして蔵臼たちには空の骨壷を見せて命令どおりにしたと嘘をついた。骨壷の保管は源次の役目になるだろうからばれる心配は薄い。

 となれば、バトラが証拠として提示したのは九羽鳥庵の金蔵の遺体だろう。焼死体ではないので十分右代宮金蔵と識別可能だ。

 そして、■ゲーム盤ラストの戦人の駄目出しシーンで、戦人は骨壷を提示したのではないだろうか。中は空なのでそれを確認すれば証拠にはならないのだが、夏妃は骨壷が空だとは思っておらず、それを見て驚愕する態度を見せてしまったので、これ以上嘘が通らなくなってしまうのだ。

 

★戦人とヱリカの行動

 戦人がなぜ骨壷を入手できたか、戦人は夏妃の嘘を守りたいのか暴きたいのか。

 また、ゲーム盤上でのヱリカはベルンカステルの命令を受けて行動している様に見えるが、ゲーム盤上ではヱリカは魔女の駒ではなくあくまでニンゲンなので、ニンゲンとしての行動原理があるはずではないか。

 これらの事については、2週目で。

コメント    この記事についてブログを書く
« うみねこ推理1週目・Ep6(1) | トップ | うみねこ推理1週目・Ep5(2) »

コメントを投稿

1週目Ep5」カテゴリの最新記事