Ep7

2016年12月31日 20時50分47秒 | Ep7

Ep7: Requiem of the golden witch

<オープニング>

●棺

 バトラとワルギリアが何者かの棺を前に祈りをささげている。これは、メタ戦人の覚醒を待ち続けたが、ついにはEp5で消滅してしまったベアトの棺だろう。

 

使用人が犯人であることを禁ずッ!!

……ヴァンダイン二十則、第11則。

 

●使用人が犯人であることを禁ず

 ここで出てきた赤字の扱いは本当に微妙。ベアト世界とは無関係の場所で出てきた赤字だから無視していいのか、赤字は赤字だから絶対に適応なのか。黒幕ベアトリーチェは六軒島の真の領主だから、例え使用人として働いていても使用人でないと言えるのか、やっぱり駄目なのか。

 …………ベアト世界とは無関係の場所で出てきた赤字だから無視する事にする

 

<ベアトリーチェ殺人事件>

★理御世界

 結論から言う形になるが、ベアトリーチェの葬儀が執り行われ、ウィルと理御が登場するこの世界は、ベアトリーチェがベアトリーチェにならず、理御として育てられた世界を、ベルンカステルがコピーし、さらに、ベアト世界の情報も混入させて作った、答え合わせのための世界である。これを「理御世界」と呼ぶ。その性質は「12年後の世界」が最も近い。

 

ヴァンダイン二十則、第7則。死体なき事件であることを禁ず。

第1則。手掛り全ての揃わぬ事件を禁ず。

安心なさい。全てはここに揃っている。

 

★十戒と二十則

 ルールを決めるのはゲームマスターなので、十戒や二十則に従うかどうかはゲームマスター次第だ。ドラノールやウィルが赤字で十戒や二十則を口にできるのは、ゲームマスターがそれに従っているから初めてできることで、ゲームマスターがそれに従っていないなら、ドラノールやウィルも赤字で言うことはできない。だから、ノックス第5条は欠番だし、ウィルも二十則の全てを使うわけではない。

 

<楼座の告白>

●3人目のベアトリーチェ

 ウィルが言うところの3人目のベアトリーチェが姉ベアトに相当する。姉ベアトは連続殺人犯のベールにはなるが、姉ベアトには戦人への恋心がないので、姉ベアトそのものは連続殺人犯ではない。姉ベアトに雛ベアトの要素が加味されて、初めて連続殺人犯ベアトリーチェとなる。

 

●紗音と嘉音、そして理御

 皆に姿を堂々と見せられる“嘉音”は紗音だけなので、紗音と嘉音は探偵の前に同時に姿を現すことはできない。だから、ウィルが無理やり紗音と嘉音を同席させようとしたら紗音がバグったわけだが…。

 そもそも理御が存在する世界には本来紗音も嘉音も存在しないはずだ。これは、「理御世界」にベアト世界の情報が混入されているから起こった事であろう。紗音・嘉音の存在はベアト世界のルールに則っているから紗音と嘉音は同席できないが、理御と紗音・嘉音では本来所属する世界が異なるので、同席できるのだ。

 

<右代宮金蔵>

●妻と子供たち

 金蔵はベアトリーチェに会う前に、結婚し、子供を何人か儲けていたらしい。この表現だと少なくとも蔵臼と絵羽は生まれていたようだ。

 

<サロ共和国>

★ビーチェ

 金蔵が出会った初代ベアトリーチェを、当考察でも「ビーチェ」と呼ぶ。

 

●潜水艦ドックと潜水艦

 ここで出てくる潜水艦はさすがに使えないだろうが、もしかして、このドックと潜水艦の存在は、金蔵が潜水艦を再現して作っていたかもしれないという伏線になっているのだろうか。だとしたら……

 

<海から来た魔女>

 

<ベアトリーチェの誕生>

●ベアトリーチェを見た6人

 真里亞は、ベアトリーチェが南條、源次、紗音、嘉音、熊沢とそれぞれ同席しているのを目撃している。

 紗音はベアトリーチェ本人である。なので、基本的にベアトリーチェは紗音。南條、源次、熊沢が彼女と同席するのは容易だ。

 嘉音との同席も、ベアトリーチェ(紗音)と嘉音(朱志香)が同席することで実現できる。

 しかし、ベアトリーチェが紗音と同席するためには、紗音以外のベアトリーチェが必要となる。この場合、朱志香がベアトリーチェである朱志香は“嘉音”だけでなく、“ベアトリーチェ”の存在も紗音と共有していた。紗音との同席は、ベアトリーチェ(朱志香)と紗音が同席することで実現できる。

 

●2人目を欲する

 とある存在を生み出してもそれを自分しか認識していないのであればそれはただの妄想だ。自分以外の誰かにもその存在を信じてもらうことで、初めてこの世界に実在させることが出来たとみなせる。この発想こそが黄金の魔女を黄金の魔女足らしめるもう一つの心臓だ。

 

<貴賓室の怪談>

 

<こいつが、犯人だ>

●2人の犯人

 ウィルが挙げた2人の犯人。“ベアトリーチェを概念ごと殺す犯人”と、“ベアトリーチェを生み、殺す犯人”。これをもう少し厳密に解釈する。

 1986年のベアトリーチェには二つの性質があり、それが姉ベアトと雛ベアトである。まず、姉ベアトが生み出されるが、生み出したのは紗音だけではない。朱志香がベアトリーチェであることができるということは、朱志香も姉ベアトの誕生に寄与している。朱志香は“嘉音”だけでなく、“ベアトリーチェ”の存在も紗音と共有していた。厳密には、姉ベアトは、紗音と朱志香とで生み出された概念である。そして、その姉ベアトに、戦人への恋心として雛ベアトの性質を追加したのは紗音のみである。こうして姉ベアトと雛ベアトの性質を併せ持った存在が、ベアト世界でベアトとして登場する。そしてこのベアトはEp5で消滅し、蘇ることは、二度となく、Ep7の冒頭でバトラとワルギリアに弔われた。

 以上を踏まえて考えると、まず、“ベアトリーチェを概念ごと殺す犯人”が理御なのは問題ない。理御が存在する場合、姉ベアトも雛ベアトも、ベアト世界のベアトも存在し得ない。そして、“ベアトリーチェを生み、殺す犯人”だが、この場合、問題となるのは姉ベアトでも雛ベアトでもなく、実際に死んだベアトということになるだろう。だから姉ベアトを生み出した紗音と朱志香の二人が犯人、ということにはならない。ベアトをベアトとして完成させたのは紗音のみである。だから、“ベアトリーチェを生み、殺す犯人”ということなら、答えは紗音だ。

 つまり、ベアトリーチェを殺すためにはベアトリーチェを理解していないといけないということだ。生み出した本人には殺せるが、生み出した本人以外が殺すためには、ベアトリーチェの心臓が何なのかを理解しなければならない。そういうことだろう。

 ただ、個人的には、ベアトリーチェを殺した犯人は、Ep4で心ない言葉を浴びせたメタ戦人だと思います。正確には自殺に追い込んだということだから“殺す”には該当しないのかもしれないけど。

 

★魔女ベアトリーチェの心臓

 魔女ベアトリーチェを魔女ベアトリーチェ足らしめているもの、それが魔女ベアトリーチェの心臓である。これを理解することで、魔女ベアトリーチェを“殺す”ことができる。

 ではその心臓はいったい何なのか。魔女ベアトリーチェの心臓は二つ存在することが作中で語られている。何故二つなのか。それは、魔女ベアトリーチェを、“魔女足らしめる心臓”と、“ベアトリーチェ足らしめる心臓”の、二つが存在しているからだと考えられる。

“魔女足らしめる心臓”:六軒島世界にはベアトリーチェが実在するが、六軒島世界に存在する以上、あくまでニンゲンである。そのニンゲンがいかに魔女の如く碑文殺人を遂行したか。源次たち使用人の共犯者の協力を得、莫大な黄金を提示して親族を共犯に引き込み、全てを爆弾で吹き飛ばして後世に大きな謎を残した。忠実な使用人、莫大な黄金、全てを吹き飛ばす爆弾、これらは全て金蔵が遺したものである。紗音はそれを手に入れてしまったため、六軒島世界では妄想にすぎないものを、ベアト世界における魔法に昇華させることができた。“魔女足らしめる心臓”とは、金蔵の遺産のことである

“ベアトリーチェ足らしめる心臓”:六軒島世界にはベアトリーチェが実在すると言える。なぜなら、紗音はベアトリーチェ本人であると、真里亞に本人認定してもらっているからだ。紗音をベアトリーチェ足らしめているのは真里亞である。すなわち、“ベアトリーチェ足らしめる心臓”とは、本人認定師真里亞のことである。Ep4で、ベアトは本当に絶望して殺してほしいと願い“心臓”を差し出したにもかかわらず、ラムダデルタが言うところの“奥の手”すなわち“もう一つの心臓”は隠した。それは、隠さざるを得なかったからだ。なぜならつい直前に、“もう一つの心臓”であるマリアはさくたろうと再会できた後、どこか安らぎの地へ立ち去った後だったからだ。

 

●19年前の赤ん坊の分岐

 右代宮理御が、夏妃に受け入れられた場合の19年前の赤ん坊だと言うのなら、Ep5で語られた■19年前の夏妃の罪は真実であるということになる。19年前の赤ん坊は男だから、右代宮理御は男

 

<新しき生活>

●2ぃ2ぃ

 ヤスの同僚たちが、何でヤスだけは3人部屋じゃないのか、普通2ぃ2ぃにするはずだと不満を漏らしている。だが、ヤスは紗音と相部屋のはずなので、3人部屋じゃないのはヤスだけでなく紗音もだし、ヤスは紗音と2人なのに、2ぃ2ぃにしろとはおかしい。つまり、実際は、ヤスは一部屋にたった1人割り当てられているのだ。だから、1人あぶれた形にするのではなく、他の3人部屋と合わせて、4人を2ぃ2ぃに分けて部屋割りするのが普通だと同僚たちは主張しているのだ。

 ヤスの友人の“紗音”は幻想である。この“紗音”は、ヤスの抱く“紗音”としての理想像で、ヤスこそが安田紗代、つまり紗音である

 

●名医南條

 南條は、死んでもおかしくない大怪我をした生まれて間もない赤ん坊を、秘密裏にするために単独で診たにも関わらず、奇跡的に生き永らえさせた。どんなブラックジャックだっつー話だよ。医者だからって便利に使いすぎじゃない?

 

●源次の詐称

 源次は理御の存在を隠ぺいするために、年齢を詐称させている。そしてもう一つ、性別も詐称させている。本当はなのに、女の名を与え、女として育てている。いくら金蔵でも男相手に過ちを犯すとは考えにくいから(たぶん…)、夏妃の目を誤魔化すのが一番の目的だったということだろう。確かに夏妃の悲しみも理解できないことではない、だがそれだけに、源次は再び理御が夏妃に害される可能性は決して低くないと考え、非常に恐れていたのだ。

 

<初めての友人>

●ガァプ姿のベアトリーチェ

 Ep2では、朱志香には、“もう一人の自分”という発想があり、文化祭で朱志香が魔女に扮していることを示唆する伏線も提示されていた。そして、朱志香は“嘉音”だけでなく、“ベアトリーチェ”の存在も紗音と共有していた。すなわち、このガァプ姿のベアトリーチェは朱志香である。

 チビ箒を朱志香が一緒に探してあげて、それで二人が友人となったエピソードと捉えることができる。この時より、紗音と朱志香の魔女ごっこが始まったのだ。朱志香も六軒島に住み、熊沢の怪談は耳にしているので、怪談としてのベアトリーチェの発想を紗音と共有できる。

 

<虜になる日々>

 

<新しき日々>

●世界を、変更

 これまでは、ベアトリーチェの役を務めていたのは朱志香だった。しかし、推理小説を熟読し、トリックの扱いには紗音の方が長けるようになり、以後は紗音がベアトリーチェの役をするようになる。朱志香には、ベアトリーチェの友人の魔女という役が与えられる。

 

<新しき元素>

 

<試される日>

●葛藤のない理御

 右代宮理御は、別の世界のヤスと同一人物でありながら、ヤスが将来恐ろしい事件を起こす首謀者になることが理解できない。つまり、理御はヤスが抱く葛藤、すなわち、心と体の解離から生まれる苦しみを、実感していないということである。普通に男性として育てられたせいか心が男性なのか、実は心は女性だけどまだ恋をしていないから気付いていないだけなのか。

 ヤスの苦しみは、性同一性障害という概念を知らないと、そんな苦しみが存在することすらも、理解しがたいかもしれない。だがヤスにしてみればそんな概念の有無など関係なく、現実に自分自身が抱えている苦しみなのだから、在って当然のものなのだ。この、当事者とそうでない者との意識の差が、Ep5ででてきた、ドラゴンと「ナイト」のなぞなぞの例えとして出てきたのかもしれない。

 

<恋の芽、恋の根>

●世界を、変更2

 紗音は戦人への恋を諦め、恋心を“ベアトリーチェ”に預ける。これで“ベアトリーチェ”に戦人に恋する乙女という雛ベアトの性質が付与される。

 そして、紗音と朱志香は、嘉音という人物を設定する。この設定に当たって腑に落ちないのは、嘉音は、“福音の家で仲の良かった、年下の男の子”のはずなのに、Ep1では紗音も嘉音も公には16歳で同い年であることが示されている。これは、嘉音を“福音の家で仲の良かった、年下の男の子”と設定したのが虚偽であることを示している。本当は、嘉音を“紗音と同い年の、血のつながった姉弟”と設定したのを、幻想で覆ったのだ。

 

●朱志香の気付き

 嘉音という人物を設定したからには、紗音と朱志香は、それぞれが嘉音の役割で互いと会話することもあっただろう。紗音と嘉音(朱志香)、朱志香と嘉音(紗音)というように。そうすると、ある事実が露呈する。紗音は、体は男性なので、男の嘉音に扮すると、本当に男に見えるのだ。だから、朱志香はついに、紗音が実は男であることに気付く。親友と思っていた仲の良い女の子が、実は男の子だったのだ。

 Ep2冒頭に、朱志香が、“何年も昔から顔を合わせてて半ば幼馴染状態。互いに男女であることを意識しないナチュラルな関係ってのは、一度意識し始めるとトントン拍子らしいぜ?”と言って紗音をからかうシーンがあるが、これはまさに自分のことだ。

 朱志香と紗音は何年も昔から顔を合わせてて半ば幼馴染状態。紗音は女性として振舞っていたので、互いに男女であることを意識しないナチュラルな関係。それが実は紗音の体は男性であることに気付いて一度意識し始めるとトントン拍子。

 これはべたな恋物語で語られる、恋に落ちる一つのシチュエーションだ。朱志香の恋はこの時点から始まる。

 

●紗音の気付き

 公には13歳ごろの紗音が、学校でどんな性教育を受けたのか、地域と時代でまちまちだろうからわからないが、何もない六軒島に居て今までは性について無知でいられたかもしれないが、そろそろ自覚させられる時期だ。さらに、朱志香が自分に向ける感情に気付けば、本格的に自分の体は男性であることを思い知らされるようになってくるだろう。

 

<黄金郷への旅立ち>

●マリア卿による命名

 真里亞が、朱志香にガァプ、源次にロノウェ、熊沢にワルギリアの名を与えた。正確には、それぞれが扮する悪魔や魔女に名を与えた。

 

●譲治と良い雰囲気

 このころから、紗音と譲治も恋仲になりつつあるようだ。

 

<魔女の蘇る日>

●深まる絶望

 紗音は、金蔵の実の子供である。ということは、紗音にとって、朱志香・譲治・戦人は甥または姪に当たると言うことである。この関係の恋愛は、現代日本では忌避される。金蔵の所業に憤りを感じれば、なおのことである。

 自らの恋の悩みに、何らかの奇跡を期待して、奇跡的に碑文を解けたと思ったら、突きつけられたのはさらなる絶望的な事実であったわけだ。その心中、察して余りある。

 

<魔女幻想、散る>

●魂が満たない家具たちの葛藤

 戦人への恋心は“ベアトリーチェ”に封印するにしても、“紗音”として譲治との関係も進み、かつ、“嘉音”として朱志香からの恋の告白も受け、ヤスは、どちらかを選ぶ必要に迫られた。女性の心としては譲治を選びたい。しかし、老後の事まで夢を語る譲治が、体は男性だと知ってなお受け入れてくれるかどうか。ならば朱志香を選べば身体的には問題ない。しかし心は女性の自分が朱志香を愛せるかどうか。この葛藤が、決闘。

 そして、決着もつきかけていた。やはり心に従い譲治を選ぼうとした。譲治に真実を打ち明けようと思った。ところがそこに、戦人が戻ってくると言う情報が入る。すると、“ベアトリーチェ”に封印していた戦人への恋心が戻ってきてしまった。これでは譲治に真実は打ち明けられない。なぜなら、譲治に、真実を打ち明け、それでもなお私を愛してくださいと決断を迫っておきながら、自分は譲治も戦人も好きだと言う浮気者なのだ。魂が一つに満たない自分には、恋をする資格はない。

 後1年遅ければ例え玉砕するにせよ、譲治を選びきれたのに。後1年早ければ戦人も選択肢に入れて正しく決断できたのに。どうして心が定まりかけたこのタイミングで舞い戻ってきたのか。

 ことここに至って、ベアトと戦人、紗音と譲治、嘉音と朱志香、この3組の成就困難な恋を一身に背負いながら、どれ一つ選ぶこともできなくなってしまった。だから、委ねる決断をせざるを得なかった。

 

★運命のルーレットの出目

「勝利」:碑文殺人が完遂される。黄金郷に至る必要条件。3組の恋が全て成就する可能性。Ep1、Ep2。

「敗北」:碑文が解かれる。その時点で碑文殺人は終了。あとは碑文を解いたものに全てを委ねる。Ep3、Ep5。

「失敗」:碑文殺人が完遂できない。碑文も解かれない。Ep4。

「成功」:戦人、譲治、朱志香のいずれかが碑文を解き、かつ、紗音を受け入れる。

 

*碑文殺人が完遂されても、ラムダデルタに選ばれなければ、実質「失敗」。

*縁寿が来ても、嵐が来なくても、「失敗」。

*Ep5では、戦人は何も思い出さず、紗音を受け入れられなかったので、「敗北」。

 

★答え合わせ

「第1のゲーム、第一の晩。園芸倉庫に、6人の死体。」

「幻は幻に。……土には帰れぬ骸が、幻に帰る。」

→紗音は死んでいない。

 

「第1のゲーム、第二の晩。寄り添いし二人の骸は鎖で守られし密室に。」

「幻は幻に。……幻の鎖は、幻しか閉じ込めない。」

→チェーンロックによる施錠は偽証。

 

「第1のゲーム、第四の晩。密室書斎の老当主は灼熱の窯の中に。」

「幻は幻に。……幻の男は、あるべきところへ。」

→最初からすでに死んでいた金蔵の遺体を焼却。

 

「第1のゲーム、第五の晩。杭に胸を捧げし少年の最後。」

「幻は幻に。……幻想の魔女と杭は、幻想しか貫けない。」

→嘉音(紗音)は死んでいない。

 

「第1のゲーム、第六、第七、第八の晩。歌う少女の密室に横たわる3人の骸。」

「幻は幻に。……盲目なる少女が歌うは幻。密室幻想。」

→真里亞、南條、源次、熊沢は全員紗音の計画に加担しているつもりだから内から鍵を掛けない。従って、真里亞の証言は嘘。

 

「第2のゲーム、第一の晩。腹を割かれし6人は密室礼拝堂に。」

「幻は幻に。……黄金の真実が、幻の錠を閉ざす。」

→礼拝堂の施錠は偽証。

 

「第2のゲーム、第二の晩。寄り添いし二人は、死体さえも寄り添えない。」

「幻は幻に。……役目を終えたる幻は、骸さえも残せない。」

→朱志香が死に、嘉音(朱志香)が死んだ。

 

「第2のゲーム、第四、第五、第六の晩。夏妃の密室にて生き残りし者はなし。」

「土は土に。……棺桶が密室であることに、疑問を挟む者はいない。」

→内から密室を構築し、最後に紗音が自殺した。

 

「第2のゲーム、第七、第八の晩。赤き目の幻想に斬り殺されし二人。」

「土は土に。幻は幻に。……幻に生み出せる骸はなし。」

→嘉音ではなく、紗音が二人を殺した。

 

「第3のゲーム、第一の晩。連鎖密室が繋ぎし、6人の骸。」

「幻は幻に。……輪になる密室、終わりと始まりが、重なる。」

→最初に発見された紗音が、最後に嘉音として発見された。どちらも死んだふり。

 

「第3のゲーム、第二の晩。薔薇庭園にて親子は骸を重ねる。」

「土は土に。……語られし最期に、何の偽りもなし。」

→絵羽が二人を殺した。

 

「第3のゲーム、第四、第五、第六の晩。屋敷にて倒れし3人の骸。」

「土は土に。……語られし最期に、何の偽りもなし。」

→留弗夫と霧江は絵羽に殺された。秀吉は絵羽と会話している時に瀕死の霧江に後ろから撃たれた。

 

「第3のゲーム、第七、第八の晩。夫婦二人は東屋にて骸を晒す。」

「土は土に。……明白なる犯人は、無常の刃を振るいたり。」

→絵羽が二人を殺した。

 

「第4のゲーム、第一の晩。食堂にて吹き荒れる虐殺の嵐。」

「幻は幻に。……黄金の真実が紡ぎ出す物語は、幻に帰る。」

→戦人が耳にした虐殺の様子は全て虚偽。

 

「第4のゲーム、第二の晩。二人の若者は試練に挑み、共に果てる。」

「幻は幻に。……黄金の真実が紡ぎ出す物語は、幻に帰る。」

→第二の晩を朱志香と譲治だと思わされている。

 

「第4のゲーム、第四、第五、第六、第七、第八の晩。逃亡者は誰も生き残れはしない。」

「土は土に。幻は幻に。……虚構に彩られし、物言わぬ骸。」

→戦人が、目にしたものは真実。耳にしたものは虚偽。

 

「第4のゲーム、第九の晩。そして、誰も生き残れはしない。」

「土は土に。幻は幻に。……虚構は猫箱に閉ざされることで、真実となる。」

→真実を知るものの口は全て閉ざされるべし。

 

「私は、だぁれ……?」

「幻は、幻に。……約束された死神は、魔女の意思を問わずに、物語に幕を下ろす。」

→2日目24時の大爆発。

 

<Tea party>

●永遠の玩具

 「理御世界」には明らかにファンタジーが存在し、六軒島世界に連なっていない。従って、そこに属してしまった理御は、残念ながら六軒島世界には戻れない。

 

★本当のEp7ゲーム盤

 当考察では、ゲーム盤とは魔女が用意する六軒島殺人事件の再現のみを指すので、Tea partyで縁寿と理御が見せられるストーリーをゲーム盤として扱います。

 

  1. 薔薇庭園。薔薇を愛でる一同。
  2. 嘉音を戦人に紹介する朱志香。紗音をすっかり忘れてた戦人。紗音は譲治と仲良しだと言う真里亞。
  3. 夕食後。碑文を解いてみろと言うベアトリーチェからの手紙。子供たちはゲストハウスへ返され、親族会議が始まる。
  4. 大人たち七人全員で碑文の謎に挑むことに。郷田にお茶とお菓子と台湾の地図を持って来させる。
  5. 譲治と紗音の逢瀬。指輪を渡しプロポーズする譲治。
  6. いとこ部屋。譲治と紗音の仲に驚く戦人。6年をしみじみ思う朱志香と戦人。真里亞は寝ている。6年前の自分と紗音の仲を思い出す戦人。
  7. 碑文の謎に挑んでいる大人たち。絵羽がついにキリガンの地名に気付く。
  8. 東屋。6年前の、戦人と紗音の仲を妬く譲治。今年戦人が帰ってくることも正直不安だった。正直言えば6年前は紗音も戦人が好きだった。しかし、この6年間でその気持ちとは決別した。
  9. 礼拝堂前。碑文に従いQuadrillionのレリーフを操作する一同。ライオンの像の向きが変わる。ライオンの促す先へ進む一同。
  10. 地下貴賓室。黄金を発見し狂喜する一同。
  11. 一同の前にベアトリーチェが姿を現す。ベアトリーチェは、一同の勝利を宣言する。そして、4丁のライフル銃を指し示し、碑文が解けなかったら碑文殺人を起こすつもりだったと告げる。
  12. さらに、第9の晩に誰も生き残らせないための仕掛けとして、900tの爆薬と連動した時計の仕掛けを一同に教えるベアトリーチェ。仕掛けを作ったのは金蔵。爆薬を用意したのは旧日本軍。
  13. スイッチを解除しておかなければ24時に爆発する仕掛け。爆薬が健在なのはすでに鎮守の杜で実験済み。
  14. 九羽鳥庵の存在も明かされる。そこなら爆発は及ばない。
  15. 黄金の一部を現金化した10億のキャッシュカードも差し出されるが、いぶかしんで誰も受け取ろうとしない。
  16. 仕掛けのスイッチは、本当は今オンではないかと疑う絵羽。今がオフだと言うベアトリーチェ。
  17. 時計は24時を周り、スイッチを切り替えない結果、爆発は起こらなかった。
  18. 絵羽はベアトリーチェからキャッシュカードを引っ手繰る。ベアトリーチェは8桁の暗証番号を告げ、絵羽と霧江が書き留める。
  19. 役目を終えたかのように、以後、ベアトリーチェは何も語らない抜け殻のようになる。
  20. 黄金の山分けについて揉める一同。金蔵の死はすでに明らかにされているようだ。
  21. 銃を挟んだ言い争いの末、絵羽が夏妃を撃ち殺してしまう。怒り狂う蔵臼を秀吉が抑えようと揉めているうち、今度は蔵臼の持つ銃が蔵臼自身を撃ち殺してしまう。
  22. 絵羽は二人の死を誤魔化すために爆発事故で全てを吹き飛ばす事を提案する。しかし、楼座は反対し、絵羽と秀吉に自首を勧める。言い争う絵羽と楼座。
  23. 突然撃ち殺される楼座。撃ったのは霧江。霧江は楼座の案には反対だった。楼座が未発砲の銃を持っていたから撃った。そして、霧江は秀吉を射殺し、絵羽も撃った。
  24. 10億のカードを回収する留弗夫。霧江はベアトリーチェを射殺する。仕掛けのスイッチはオンにされる。
  25. いとこ部屋。戦人が電話を受けテストだと言われ驚く。譲治に替わる戦人。電話の相手は留弗夫。
  26. 留弗夫が言うには、金蔵に、大人たちは次期当主失格と言われた。孫から次期当主を選ぶという話になった。まずは朱志香が屋敷の客間へ、譲治が礼拝堂の前へ行くように。
  27. 電話の内容を朱志香、戦人、真里亞に伝える譲治。指示通り移動する朱志香と譲治。
  28. 電話を終えた留弗夫。傍らには郷田の遺体。
  29. 地下貴賓室。絵羽は撃たれてはいなかった。譲治を守るため、銃に弾を装填する絵羽。
  30. 客間から食堂に、霧江に案内された朱志香。朱志香に銃が突き付けられ、弾が放たれる。
  31. 礼拝堂前。留弗夫に脇腹を撃たれた譲治。ついには、譲治は留弗夫に殺される。
  32. 食堂。朱志香は最初の銃弾は避けられたらしい。しかしその結果、霧江に殴り殺された。霧江は電話で戦人を礼拝堂前に呼び出す。
  33. 留弗夫が食堂に戻り次の打ち合わせ。留弗夫は戦人を説得にかかり、駄目なら殺す。霧江はゲストハウスの連中を全て片付ける。
  34. ゲストハウスを出る戦人。戦人が礼拝堂に向かうのを見計らい、入れ替わりに霧江が中に入る。
  35. 礼拝堂前。戦人を待つ留弗夫。姿を現したのは絵羽。撃ち合いになり、留弗夫は胸を撃たれ、留弗夫の弾は外れる。留弗夫は譲治の死を絵羽に告げ、絵羽は留弗夫に止めをさす。絵羽は譲治の亡骸を発見する。
  36. ゲストハウス。虐殺を終えた霧江。薔薇庭園に行くと、絵羽が待ち構えていた。霧江は留弗夫の死を理解する。
  37. 縁寿など留弗夫を繋ぎとめるための駒にすぎないと言い放つ霧江。それを怒る絵羽。二人の撃ち合いになるが、撃たれて命を落としたのは霧江のみ。

 

●猫箱の中身

 猫箱の中身とは、ベアト世界の元となった、六軒島世界での事件に関する謎の事だ。

 この縁寿と理御が見せられたストーリーは、猫箱の中身ではない。なぜなら碑文が解かれ、運命のルーレットは「敗北」となっているからだ。碑文殺人が完遂されてない以上、ラムダデルタは紗音の願いを聞き届けず、ベアト世界は誕生しない。だからこのストーリーはベアト世界とは無関係である。

 そもそも、ラムダデルタの絶対の力を借りて猫箱に閉じた事実を、ベルンカステルが自由に暴けるなら最初からやっている。ベルンカステルには猫箱の中身を暴く力はない。その代わり、可能性のカケラを探して、真相に近いと思われるカケラを用意することは出来る。このストーリーは、そうやってベルンカステルが見つけてきた、可能性のひとつすぎない。

 

これは全て真実「嫌ぁあああああああああぁああああああぁああああああああああああああああぁああぁあああぁぁッ!!!」

 

●ゲーム盤ではない

 確かにこのストーリーは、ベルンカステルが見つけてきた可能性のカケラをそのまま見せたものだから、正しくはゲーム盤ではない。ゲームマスターも必要ない。そして、別の可能性の六軒島世界で起きたことでもあるから真実と言っても差支えない。だが、それだけである。ベアト世界とは無関係真実である。

 ただ、もしかしたら実は、メタ縁寿は、このストーリーの12年後から連れてこられたのかもしれない。だとしたらメタ縁寿にとって最悪の事実を突き付けられたことになる。だが、それも違う。Ep4で、メタ縁寿は“目の前のあの魔女が、家族を全て、お兄ちゃんさえも奪い取ってしまった…!”と赤字で口にしている。メタ縁寿がベアト世界とは無関係な未来から来たのなら、その家族を奪ったのは“あの魔女”すなわちベアト世界のベアトではなくなる。つまり、メタ縁寿が所属していた「12年後の世界」は、確かに猫箱の中身の12年後から生み出された世界である

 

●クレルのハラワタ

 ベルンカステルには猫箱の中身を暴く力はない。だから、例え過去の事であっても、真相そのままを直接露わにすることはできない。真相に近いと思われる可能性のカケラを用意できるだけである。実はイタリア人の黄金を狙ったのは金蔵であるという事実も、金蔵が九羽ベアトに迫るシーンも、紗音が、大怪我で恋をすることも出来ない体で生きさせられたことで、南條と源次をなじるシーンも、その可能性が提示されただけで、全てをうのみにする必要はない。

 

●恋も出来ない体

 紗音が、大怪我で恋をすることも出来ない体で生きさせられたことで、南條と源次をなじるシーンは、成長するにつれ、性にも無知でなくなった紗音が、自分が昔の大怪我で子供が作れなくなっていた事に気付き、それを嘆いていると解釈するのが一番しっくりきてしまう。しかし、それではどうにも悲劇が過ぎるし、そこまで悲劇にしなくても動機は揃っているし、第一これが動機なら戦人が帰ってこようがこまいが関係なくなってしまう。ここは、大きな傷跡が醜く残ってしまったという解釈でも良いのではないでしょうか。

 

●語られなかった2年間

 クレルの語る過去は、紗音が碑文を解いたところで終わり、そこからの2年間は語られなかった。

 私は、碑文を解いてさらなる絶望的な事実を突き付けられた紗音が、その後、自殺未遂を起こしてしまったのだと思います。それを南條と源次が助けた時のシーンが、南條と源次をなじるシーンだと解釈します。大怪我で傷跡が残っていることも、心と体が解離を起こしてしまっていることも、好きな人とは本来結ばれてはいけない血筋であることも、すべてないまぜにして南條と源次に怒りと嘆きをぶつけているのではないでしょうか。

 結局死にきれなかった紗音は、何とか気を取り直して恋を実らせる可能性を模索する。葛藤し、決断し、さあ勇気を出して真実を告げようとしたところで、また戦人に心を揺さぶられることになる。

 死ぬこともできない、未来に向けての決断も出来ない、そんな人間が莫大な黄金と爆薬を手にしている!!! もはや事件は必然である。

 

●257万8917分の

 ベルンカステルが言うには、257万8917分の1の確率で夏妃は理御を受け入れ、その理御は、最期は霧江に殺されてしまうという。

 その一方で、257万8917分の257万8916の確率で夏妃に拒絶され、その全てが気の毒な最期を遂げると言う。つまり、夏妃に拒絶されると、100%気の毒な最期を遂げると言っている。しかし、さすがに100%はおかしい。19年の歳月を積み重ねればいくらでも運命の分岐は発生するのに、その全てが悲劇に収束するとは思えない。

 おそらく、ベルンカステルは理御に絶望を味わわせるために、最初から、悲劇に終わるカケラばかりを探していたのだ。だから、夏妃が理御を受け入れる確率が257万8917分の1と非常に低く算出されるのも当然だ。本当は夏妃が理御を受け入れる可能性はもっともっと高いのかもしれないが、夏妃が理御を受け入れるとほとんどが悲劇に至らないものだから、ベルンカステルが数に入れなかったのだ。

 すなわち、19年前の赤ん坊が幸せになるカケラはいくらでも存在する

 

第1則、手掛り全ての揃わぬ事件を禁ず

 

<????>

このゲームに、ハッピーエンドは与えない。

 

●このゲーム

 ベルンカステルが持ち出したそのゲームは、フェザリーヌがベアトのゲーム盤を模して作った贋作である。その贋作にハッピーエンドを与えようが与えまいが、好きにすると良い。

 

★紗音と嘉音の決闘前の言葉(Ep6)

【お互いのありがとう】

 嘉音は、紗音が自分を支えるために生み出した幻想。幻想であっても恋ができるほどに丁寧に人格を設定した。

 

【生まれた時に死ねればよかった】

 六軒島の惨劇は、自分達が死んでいれば起こらなかった。

 それでも無理に生かされたのは“お父さん”すなわち金蔵の罪。金蔵自身が生かしたのではない。金蔵につかえるものが金蔵のために生かした。だから死ね。みんな死ね。

 

【10月5日の決闘】 

 事件の二日目に、紗音か嘉音どちらかが死ぬ。あるいは二人とも死ぬ。

 黒幕の計画として、奇跡ではあるが、六軒島世界において、紗音が譲治と、もしくは嘉音が朱志香と結ばれる結末も用意していた。このどちらかが成就すれば、紗音か嘉音どちらかが死に、一方は生き残る。

 碑文殺人が成功して大爆発も起これば黄金郷に至ることができ、紗音と嘉音の恋はどちらも成就する。ただし、六軒島世界においては二人とも死ぬ。

 もっと早く紗音と嘉音だけで決着がついていたら、皆を巻き込む惨劇は起きなかった。

 

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