テリヤキくんの近況

このごろなにをしてるかな?

モバイルプリンタ

2006-01-15 23:42:19 | Gadget
毎週日曜日には、いくつかの教会で聖餐式の司式と説教の奉仕をさせて頂いている。ありがたいことなのであるが、しかし毎週の説教の準備は正直なところ楽ではない。私が未熟者であるということと、学校の教員というウィークデーの任務があまり自由時間を与えてくれないため、日曜朝もぎりぎりまで原稿とにらめっこせざるを得ない。礼拝に遅刻することは絶対にゆるされないので、朝早めに家を出て教会の近くまで移動し、そこで喫茶店やファミレスに陣取って原稿をいじるのである。

私は手書きの文字を書く能力が退化してしまっているので、文字を書く仕事はパソコンがないとすごくやりにくい。特に、説教の原稿のようにある程度まとまった量の文字を書く仕事はなおさらである。しかし、私がふだん行っている教会でパソコン用のプリンタを持っているのは1教会しかなく、しかたがないのでいったん家でプリントした原稿に当日書き込みをすることになっていた。いじる箇所が多いと非常に原稿が読みにくくなるので、何とかしたいと思っていた。

モバイルプリンタを導入すれば簡単に解決はつくのであるが、このジャンルのプリンタは今や絶滅寸前で、選択肢としてはキヤノンのPIXUS ip90くらいしか思いつかない。でも、このプリンタは価格が2万5000円以上もして、使用頻度を考えると出しにくい価格である。早い話が大げさすぎるのである。もっと小さくて、機能も必要最小限でよい。ということで、ネットオークションで古いプリンタを探すことにした。

PIXUS ipシリーズの前の機種も1万円台で出ているので、まあこのくらいなら出してもよいかとも思ったが、しかしそれも当たり前すぎて面白くない。同じくBJシリーズの古いやつなども結構見かけるし、5000円程度なのでちょっと心も動いたが、USBをもたない機種だとこの他に変換アダプタの値段もかかるので結局7000円くらいについてしまう。「いや、まだまだ」と思っていろいろ探していた。

すると、ありましたよ。目的にぴったりのやつが。

シチズンのPN60Jという、10年くらい前の製品である。今となっては見かけることもなくなった熱転写プリンタ。手差し給紙しかできないが、そのかわりものすごくコンパクトで、断面が一辺5cmくらいの正方形、長さ25センチくらいの棒状である。当然USBなんかはあるわけもなく、調べてみたところドライバもWindows98用までしか出ていない。リボンも入手できるかどうか不明だし、出品者によればマニュアルもないということであった。そのかわり、500円で出ていた。この値段なら、何があっても後悔しないだろうと思い、ビッドを入れた。

その後調べてみると、いろんなことが分かってきて「これは行ける!」と確信を持った。

・USBを持ってない件は、パラレル-USBの変換アダプタで解決可能。
・リボンについては、リボン検知の光学センサをだます方法をweb上で公開している人がいて、熱転写用紙さえ買えばOKということが分かった。
・マニュアルは、シチズンUK(イギリス)のホームページに英語版がPDFで公開されていた。スキャナで取り込んだだけのものだったが、とにかく情報があることがわかったので安心。さっそくダウンロードしておいた。
・ドライバは、ESC/Pのエミュレーションモードがあるからそれで何とかなるはず。

その後、出品者から「リボンも見つけたので付けます、マニュアルも見つかりました」という追加の書き込みがあった。このあとで2人ほど競ってきた人がいたが、無事1500円で競り落とした。送料込み2500円で入手。(出品者が親切な方で、送料を200円おまけしてくれた。)

パラレル-USB変換アダプタは、大須でジャンク屋などを回ってみたが出ていなかったので、Amazonで1800円で入手。これは送料ただ。しめて4300円ほどで、念願のモバイル印刷環境を手に入れたことになる。ほくほく。

プリンタが届いてみると、かなり程度のいい品だった。汚れも傷もほとんどなく、あまり使われていなかったらしいことが分かる。嬉しい。

USB変換アダプタ(というかケーブル)も無事ゲットし、いよいよ接続。

棒状の形から、給紙トレイを開けてそこに紙を差し込む。写真で手前側の細長い窓は、ヘッドが端まで来た時に熱転写のリボンが飛び出す穴。つまり、これで携帯時の長さを短くしてるわけである。しかもこの補助穴、給紙トレイを開くと自動で開く。なかなかやるぞシチズン。

本体の電源は問題なく入ることを確認し、リボンをセット。そのあと、コネクタ変換ケーブル(パラレルのコネクタは巨大で、こんな小さなプリンタにはつける場所がないので、特殊なケーブルでつないでやるのである)にパソコンからのUSB変換ケーブルをセットしてみる。とりあえず、ドライバはWindows標準のミニドライバを適当に入れてみた。ワクワクしながらテスト印字。

…ところがうんともすんとも言わない。最初は、アサインされていたポートが違うことを発見し(USBプリンタは、本体に接続する順番にUSB001、002、…と勝手にポートが作られていく。これ、ケーブルを差すUSBポートを変えるたびに新しいポートが増えていくので注意が必要)、それを修正してみたがやっぱりダメ。しかし、マニュアルを参考にしてプリンタ本体だけでセルフテスト印字をするとちゃんと打つので、プリンタは壊れていない。

いろいろ試しているうち、「もしや…」とひらめいて、本体に接続されているコネクタ変換ケーブルを逆向きにして指してみる。そしたら動いた。つまり、この変換ケーブルは逆差しできてしまうのである。10年前の製品とはいえ、あまりにダサい仕様。情けないぞシチズン。

さて、動くことさえ分かればあとは安心していろいろトライできる。まずドライバから。

ESC/Pのエミュレーションがあるので、適当な機種(もちろんXPにPN60Jなんて機種は登録されていない)のWindows標準のUniドライバで動くのだが、先ほど試した限り、このドライバは180dpiまでしかサポートしていない。しかし、少なくとも本体の機能としては360dpiがサポートされているので、なんとかこの解像度で印字したい。さすがに、180dpiでWindowsアプリから出力すると悲惨な感じになる。

いろいろ試してみると、エプソンのAP-300を選んでやると360dpiが選択肢に現れるようになった。まずこれでOK。(しかしこんな時代物の、覚えている人がいるだろうかというような熱転写プリンタが、XPでもちゃんと選択肢に入ってるあたり感慨深いものがある。)

次にプリンタフォントの使用。この時代のプリンタは、プリンタ側に漢字ROMを積んでいて、漢字コードをプリンタに送ってやるだけで文字が出てくるのだ。Windows上のドライバで出力している限り、使われることのない機能だ。(レーザープリンタのドライバなどでは、プリンタフォントを使う設定ができるものも多い。念のため。)しかし、このプリンタの場合には本体のフォントを使って印字したほうが結果がきれいなのだ。しかも、熱転写のリボンが無駄にならない上印字が速い(1行を1ストロークで打つように作られている)というメリットもある。何とかこれもやってみたい。

コマンドプロンプト上で、DOSアプリを使用して何とかするしかなさそうなのだが、この場合問題になるのはポートの割り当てである。

DOSが使用するプリンタポートはPRNというデバイスなのだが、このPRNは通常LPT1に割り当てられている。レジストリを見ると、HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\ControlSet002\Control\Session Manager\DOS DevicesというところにPRNというエントリがあり、そこに「DosDevices\LPT1」と書かれているのだが、これを変更するのはちょっとリスクが大きい。何としても、新しくインストールしたプリンタのポートをLPT1に割り当てたい。

いろいろ探してみると、マイクロソフトのホームページにヒントがあった。

ここで「MS-DOS ベースの 16 ビット プログラムから印刷できない」というところを見ると、以下のようにNETコマンドを用いてLPT1にネットワークプリンタを割り付ける方法が紹介されていた。
net use lpt1: \\servername\printershare /persistent:yes

今回のモバイルプリンタをネットワーク共有する意味などあるわけないが、しかし共有しておけばこのように参照することができるようになる。つまり、LPT1にアサインすることができるのだ。

そこで、このnetコマンドを叩いた後、昔懐かしい「PRT++」のDOS/V版をダウンロードして印刷してみたところうまくいった。嬉しい。PRT++はシェアウェアなので、あとで何か他の適当なプログラムを探してみようと思う。

さらに、T98-NextというPC98のエミュレータを試してみた。このエミュレータはなかなか優れもので、98ソフトをかなりきちんと動かしてくれる。ビジネスソフト系ならまず問題なく動く。昔愛用していた「松」を起動し、これで印刷してみた。…ちゃんと思ったことができてるよ、すごい!98環境にXPからファイルをコピーする手間が一手間かかるが、松が動くなら何もDOS/V用のソフトを無理して探さなくてもいいや。うーん、それにしても、いろんなものを取っておくといつか役に立つことがあるねえ。だから余分な荷物が増えるんだけどね。

さあ、がんばって説教書かなくちゃ…

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
なんのこっちゃ!? (nozo)
2006-01-16 10:45:01
うぬぬ・・・。モバイル的にプリンターが使えるようになったということと、嬉々としてテキヤキくんがこの記事を書いていることしかわかりません。でも本当に嬉しさが伝わってきて、某学院でレクチャーしてくださったことを思い出しました。
こういうのは (テリ)
2006-01-16 12:37:47
まとめて書いておくと、意外に世界のどこかで誰かの役に立ったりするもんなんですよ。わたしもどこの誰かも存じない方にそれでずいぶん助けられてますし、ま、お互い様ということですな。
懐かしいというか何というか…… (keep9)
2011-10-04 13:35:39
エントリが書かれてから5年後のコメントってのも何ですが、はて15年前に使ったことがあるあのプリンタ何だったけ?でこちらにたどり着きました。

AppleのPowerBookDuo250を使っていた当時、モバイルプリンタとしてこの製品を使っていました。Mac用としては小さなプリンタのラインナップが少なく、有難く使っていた記憶があります。ちなみに、寿命は使い倒したためでなく、床に落ちた結果でした。くれぐれも衝撃に注意して下さい、ってもう使われてませんよね。