夢七雑録

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昭和の遺品・ソノシート

2013-08-06 19:10:07 | 随想ほか雑記

 平成25年もすでに8月。昭和はますます遠くなりつつある。昭和時代にはよく使われていたが、今は使われることもなく消え去る運命にある、そんな昭和の遺品も少なくはないだろう。ソノシートも、そうした、昭和の遺品の一つである。

 ソノシートは、薄く柔らかな塩化ビニールシートを材料にした廉価なレコード盤で、聴くにはレコード・プレーヤが必要となる。ソノシートは朝日ソノラマ社の商標になっていたため、他社はフォノシートやシートレコードなどと称していたが、総称としてはソノシートで通っている。ソノシートは、1958年(昭和33年)にフランスで発明され、その翌年には、ソノシート付きの音の出る雑誌として国内でも出版されている。当時、2曲入りのEP盤が300円ほどしたのに対し、同じ2曲入りのソノシートは100円と安かったが、音質面や耐久性には難があった。ソノシートの主流は、円盤状の17cmLP盤(331/3回転)であったが、それ以外のものもあった。当初のソノシートは、片面だけに録音されていたが、後に両面録音のものも登場した。ソノシートは安価なこともあって、雑誌の付録や記念品などにも利用された。

 上の写真は、ソノシート付きの雑誌の一例で、昭和38年に現代芸術社から出版されたものである。これには、関連記事とともに、17cmLP盤片面録音のソノシートが4枚添付され、計8曲が収容されていた。販売価格は380円であった。

 上の写真も現代芸術社から出版されたものだが、17cmLP盤の両面録音のものが3枚添付され、14曲が収容されている。販売価格は450円であった。

 ソノシートは雑誌の付録としても使われている。上の写真はコンピュータ雑誌の付録の両面録音LP盤のソノシートで、コンピュータが鳴らす音楽を紹介している。

 ソノシートの多くはLP盤であったが、EP盤(45回転)もあった。上の写真はその一例で、特典として添付されていたものである。

 ソノシートの多くは17cm盤であったが、上の写真の右側の盤のように、これより小振りのものもあった。

 ソノシートには、レコードのような円盤ばかりではなく、方形のものもあった。上の写真はその一例で、レコード・プレーヤにかかりさえすれば、形は自由であった。

 ソノシートは観光バスでも配布されていた。上の写真は、静岡県の日本平の観光バスのもので、昭和40年頃のものである。これには、観光案内と歌が収録されていた。なお、同種のものとして、当ブログのカテゴリー「古いアルバムめくり」で、半世紀前の旅の写真の中で紹介している、佐渡の観光バスのソノシートがある。

 地方自治体でもソノシートを制作していた。上の写真は、その一例である。ソノシートは安価なことから、様々な利用がされてきたが、レコードがCDに置き換わり、レコードが衰退すると、ソノシートも制作されなくなってしまった。現在では、レコード・プレーヤ自体も激減しているので、ソノシートは絶滅危惧種という事になりそうである。


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