淫念力 第二巻 淫魔(1)

淫念力 第二巻 淫魔(1)

 田端瞳はスナックのママから報酬を五万受け取った。それは、目黒真一と立花里香と共に、ママの知り合いのスナックの白井茉莉を『不思議な性感スリル体験』というベタなコピーで偶然キャッチし、電車の中で三人で茉莉に痴漢をして満足させた報酬だった。
 「こんなにもらっちゃった。全部真一が受け取って良いよ」
 「駄目だよ! それは自分だけの利益になっちゃう。皆で分けよう」
 「そしたら真一は三万、残りは私と里香さんで分けるわ」
 「そんなに? ありがとう!」
 時給千円に満たないバイトの真一にとっては嬉しかった。
 「茉莉ママが、本当に凄く良かったから、今度はホテルでお願いって」
 「そーなんだ、それは良いね!」
 真一は、熟女の白井茉莉のもっちりした尻肉を思い出し、今度はリアルに挿入し、腰を打ちつけてみたいと思った。
 「あっ、イヤらしい事を考えてるでしょ。まっ、良いけど。それでね。今回のパターンは大変すぎるから辞めたわ。貼り紙は外してもらったの。で、新たな考えがあるんだけど良いかな?」
 目黒真一は大きく頷いた。今回の報酬は瞳が居なければ得られなかったし、やはり、少しでも求めている人の為になることをするのは楽しいと思った。
 瞳は早速ホームページを作ってアップした。内容はセックスセラピーに近いが、専門医は居ないので、あくまでも私的なカウンセリングの告知だった。写真は顔にモザイクを入れた自分の物をアップした。
 男性からの問い合わせは、大概は怪しい物が多かった。瞳に興味を持っただけの連絡や、まだ付き合っていない女性がセックスをしたくなるようにして欲しいという希望だった。
 それでも、その中に一件だけまともな案件があり、それを請けることにした。
 数日後、瞳と真一は地方の河原に作られた公園に来ていた。大きな河川の普段は水のこない部分を綺麗に整えた公園で、広々した緑の芝生が広がり、ススキの穂の先に、ゆったりした水の流れが見えた。
 既に日は沈んで、人影はまばらだった。 
 瞳は肩までの黒髪を靡かせ、白く美しい顔立ちは、女優の広末優子の温和な雰囲気を醸し出していた。服装は紺のワンピースで、目立たない様に、少し地味にしていた。
 隣を歩いている真一の鼻腔に、爽やかなコロンの香りが漂った。
 「あの二人が今回のターゲットよ」
 瞳は河原の長椅子に腰掛けて、真一を隣に座らせた。右斜め前の二十メートル程先に、一組のカップルが座っていた。
 「ターゲットは二人なの?」
 「夏目裕子さんと、浩さん。夫婦なの。もう結婚して三年になるけど、奥さんが不感症で、どうしても痛くて出来ないらしいの。もちろんローションとかで無理にしたこともあるけど、駄目だったみたい。感じてくれないと悲しいわよね」
 女性は小柄でほっそりしたロングの黒髪の美人だった。どことなく憂いや寂しさを感じさせる、切ない雰囲気があった。薄いピンクのスカートに、白いブラウス姿は、三十代前半に見えた。
 男性は女性と同じくらいの背丈で少し小太りの、何処にでも居そうな感じだった。
 「それはそうだね。了解! 要は奥さんの裕子さんを感じさせたら良いんだね」
 「そう、まずはそれ。裕子さんの性感を引き出して欲しいの」
 瞳は美しい頬を真一に寄せた。真一は一瞬、瞳にむらっとしたが、前のターゲットに向くと、拳を軽く握った。
 「どう? 少し離れすぎてる?」
 「見えるから大丈夫だよ」
 瞳は真一に任せるしかなかった。真一の拳に手を重ねて身体を寄せ、静かに裕子を見ていた。
 真一は目を瞑って拳を握り、精神を統一した。この距離なら歩いても行けるはずだった。
 「オン、ソワカ……」
 ふっと真一の意識は暗い闇に包まれ、遠くの光に吸い寄せられると、裕子の目の前に立っていた。
 真一の意識は、裕子の背後に回り込んでそっと抱きしめた。旦那が隣にいるのに、その妻を犯すのは気が引けたが、旦那の為に彼女の性感を取り戻すのだと自分に言い聞かせた。
 裕子の背後から、白いブラウスに包まれた乳房の大きさを確かめるように両手を乗せた。痩せ型なのに乳房は両手に余る程大きかった。一瞬、裕子の体は固くなったが、ゆっくりと揉みしだいていると、裕子の身体から力が抜けてきた。
 夏目浩と裕子は長椅子に座りながら手を繋いで、さっき見た映画の話をしていた。共働きなので、そこそこ裕福な生活だった。今日は平日だが、裕子が休日だったので、浩が休みを取り、久しぶりに和やかな一日を過ごした。
 浩は少し離れた長椅子に、仕事を依頼した田端瞳が男性と座ったのを見ていた。一体この後どうなるのか、全く想像出来なかった。あまり瞳を見ていては裕子に怪しまれてしまうので、瞳の事は忘れようと思った。
 浩と裕子が付き合い始めた頃から、二人は頻繁にセックスをしていた。裕子の身体はとても感じ易く、浩の拙い愛部でもすぐに濡れた。セックスはとても気持ち良く、浩はこの世の中で、裕子の身体が一番素晴らしいと信じていた。
 特に結婚直前のセックスは、激しくて最高に素晴らしかった。裕子の蜜壺はまるでミミズが何千匹もいるように蠢いて、浩の肉棒に絡んできた。キスは甘く蕩けるようで、浩は朝まで寝ないでセックスに励んだ。
 ところが、結婚してから急に裕子の体調が変わり、痛がって挿入出来なくなってしまった。それでも裕子のキスやフェラチオは挿入するのと同じくらい気持ち良かったので、浩は満足していた。
 だが、いざ子供が欲しくなると、それでは済まなかった。
 ローション、媚薬、ホテルでの気分転換等を試し、何件かのクリニックを回ったが、やはり挿入する事は出来なかった。
 子供を作るだけなら人工授精という方法もあったが、踏み切れずにいる時に瞳のサイトを見つけ、ダメ元で頼ったのだった。
 野鳥の群れが、川面の上の夕空を流れて行くのをぼーっと見ていると、握っていた裕子の手がピクッと動いた。裕子を見ると、少し目を見開いてキョロキョロと辺りを見廻していた。
 浩は声を掛けようか悩んだが、優しく手を握っていると、今度は強くきゅっと握られた。
 (ここで裕子に声をかけても良いんだろうか? でももしこれがセラピーの影響なら少し離れた方が良いかもな)
 受付の時に瞳から言われていた。
 『セラピーで奥様に念を送ります。それに奥様が反応しても、そのままにしておいて下さい。私達が見ていれば安心ですから』
 浩は立ち上がった。
 「お茶買って来るから、このまま座っていてね」
 裕子は少し不安な顔をしながら頷いた。
 真一は旦那が居なくなり、少しほっとしていた。手の意識をブラウスの下に潜らせると、化繊の紺のスリップのスベスベとしたさわり心地の下に、柔らかな肌を感じた。胸の膨らみのカーブを下から撫でると、スリップとブラジャーが擦れた。
 一気にブラジャーの下に意識の手を入れた。裕子の乳房は手に吸い付いて来るような柔らかさだった。手のひらをゆっくりとすぼめると、乳房は手の中で柔らかくたわんだが、確かな弾力と重みを感じた。極小粒の梅のような突起を摘むと、裕子の身体はピクピクと震えた。
 真一には、素っ裸で座っている裕子の姿が見えていた。舌先で乳房の裾を舐めると、赤く色づいた梅の実がむっくりと起き上がって来た。
 (おや? 感度は悪いどころか良い方だぞ。不感症って聞いたけど、旦那が下手とか、嫌いだとかかな? でも仲は良さそうだったしな)
 乳首を舐め回していると、梅の実は艶やかな膨らみを強調するように、ピンっと勃起した。裕子は腰をもじつかせて、微かな喘ぎ声をあげ始めた。
 「あふん、ああん、何? どうなってるの? ああっ、お乳がジンジンしてきた」
 真一の意識は、スレンダーな身体の滑らかな肌を、そのまま下に舐め降りた。
 裕子の股間はピタリと閉じていた。
 真一は、桜色のパンプスの細い足首にそっと触れると、細いふくらはぎを触りながら上った。滑らかで健康そうな肌は、舌を這わせるとしっとりとしていた。
 裕子はムズムズするのか、落ち着き無く小刻みに動いていた。
 真一は裕子の足首を持って押え、そのまま裏腿から尻に向かった。長椅子に座っていても関係無く、尻の頂点まで舐め上がった。真一は長椅子に座っている裕子が、ガラス板にノーパンで座っている姿に見えた。
 (スリムだけど、尻はむっちりと張って、いい眺めだなぁ。今度は前からね)
 真一の意識は裕子の前に回ると、ピンクのフレアスカートの腿に両手を当て、腿の前面を撫でた。腿も身体の細い線からは想像出来ない程に、むっちりとして素晴らしい触り心地だった。
 裕子は慌てて太腿に手を当てた。さっきは尻、今度は腿と、確かに触られている感触はあるのに、押さえても何も無かった。
 (私の身体、一体どうなっているのかしら?) 
 真一の気分は高揚して、瞳や旦那の事は忘れて淫行に没頭した。
 (うんうん、なんか、想像してたより感度が良くて、楽しくなってきたな)
 顔をフレアスカートの裾まで降ろし、スリムな膝の辺りからスカートの中に顔の意識を入れ、素の腿を舐めながら上った。少し上るだけで、肌は艶々として、太腿はむっちりと膨らんでいた。
 太腿の内側は、スカートの布を通して、艶々のピンク色に染まっていた。脚を開かせたので、パンティーまでも丸見えだった。白のパンティーは薄っすらとセンターの肉襞が透けて見えた。
 (あれれ? もう濡れてるんじゃないかな?)
 すーっと顔の意識をパンティーのクロッチに寄せると、真ん中は薄っすらと染みて黒く変わっていた。鼻先を当て、溝を前後に擦ると染みは広がり、肉ビラがくっきりとパンティーのクロッチに顔を出した。
 (ああっ、すっごく甘い大人の女のイヤらしい香りがする!)
 真一は大きく息を吸い込んで、裕子の女の香りを胸に満たすと、下半身が充血するのを感じた。股間に吸い寄せられるように、パンティーの中に潜り込んだ。真珠を覆う皮や肉ビラはよく使い込まれた濃い色をしていた。鼻でクリトリスの皮を持ち上げながら、肉ビラの間に下を滑らせると、裕子の身体はビクビクと震えた。
 瞳は離れた長椅子から裕子を見ていたが、裕子は明らかに感じて身体を震わせていた。
 (えっ、なになに? 初回から順調じゃない? これなら楽勝ね! でも、旦那さんったら、離れたら駄目じゃない。変な男達が来たらどうするのよ! どうしようかなぁ)
 瞳は、抜け殻の様な真一の隣は飽きてきたので、裕子の隣に移動することにした。
 (感じちゃってる裕子さんだけじゃ、危ないしね)
 「ああっ、イヤっ、そこは駄目よ!」
 瞳の耳にも、裕子の喘ぎ声がハッキリと耳に入った。それは完全に愛撫に落ちた女の妖艶な喘ぎ声だった。裕子は下を向き、股間を抑えて震えていた。
 「あっ、駄目! 逝きそう! ああん!」
 真一は肉ビラの蜜を見ながらほくそ笑んだ。
 (さあ、奥さん、そろそろ逝っちゃおっか!)
 真一の舌はイソギンチャクの様に形を変えると、クネクネと触手で淫芽の周りをくすぐりながら、真ん中の口で真珠に吸い付いた。それは、裕子の真珠にぺたりと吸い付いて身体をうねらせた。微細な振動が甘い快感に変わって、裕子の下半身を覆った。
 「ああっ、だめ! そんなの! ああ! 良い! 逝くぅ!」
 裕子は身体を突っ張るように伸びて、そのままガクガクと震えた。久しぶりに激しい絶頂に導かれて、裕子の身体の中は激しく蠢いた。
 そして、裕子の中で長い間眠っていた『それ』はのたりと目覚め始めた。

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