【感想・ネタバレ】瓶詰の地獄のレビュー

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Posted by ブクログ 2022年12月27日

「瓶詰め地獄」
いくつかの解釈を拝見しましたが、個人的には瓶の順番は2→3→1なのではないかと思いました、地獄ですね。ただ鉛筆が短くなってから書かれたものにしては1は少々長すぎますが…。
人に薦められる作品ではありませんが、僕はとても好きです。

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Posted by ブクログ 2022年04月07日

夢野久作の短編集。『ドグラ・マグラ』よりも好きかも。相変わらず読後感が悪い(そこが良いんだが)エログロナンセンスの世界。『瓶詰めの地獄』『死後の恋』など評価の高い作品も良かったが個人的には『鉄鎚(かなづち)』が好きだった。悪人だったはずの叔父が次第に弱く軟化してくる様子。対して主人公と、伊奈子の悪魔...続きを読む性が増長するさまは面白い。人間って環境とか、時間が変われば中身も変わるんだよねーとしみじみ。
『一足お先に』は、サスペンス的な要素が面白かったけどオチが弱かったかな?
『瓶詰めの地獄』は短いながらかなり印象に残った作品で、手紙の順が時間と逆行しているのも小説としてストーリーが秀逸。
それにしても今から半世紀以上前にこんな作品が世に発表されていたなんて、日本の文学界ってかなり昔から自由な風潮があったのね。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年12月19日

夢野久作の幻魔的世界へ!

何回読んだか知れない大傑作『瓶詰の地獄』に始まって、ちょっとゾクッとする『人の顔』を挟み、『死後の恋』後半の圧倒的衝撃と描写力に恍惚と震え上がり、『支那米の袋』でのeroguronansensuに目を離せなくなり、そのまま『鉄槌』を読んでチョット感傷的になったかと思えば...続きを読む、『ドグラ・マグラ』の香りが漂う『一足お先に』と『冗談に殺す』の事件ものがあり、締めは中井英夫の解説……と、これだけで分かる圧倒的充実感! それと、私の角川の本は装丁のイラストが米倉斉加年版なので、雰囲気もバッチリなんですよねェ。たまりませんわ。

収録作の中で好きなのはヤッパリ『瓶詰の地獄』、『死後の恋』、『支那米の袋』かなァ。でも、個人的には、どこまでも続く謎を残す『瓶詰の地獄』と『死後の恋』が飛び抜けて好きです。

『瓶詰の地獄』★5
何回読んだか知れない、個人的には大傑作。あっという間に読み終わるのに、残るものが多すぎて考察が捗る作品。丸尾版コミカライズも読んだけれど、やっぱり原作の煌々とした禍々しさがクセになって戻ってきます。

『人の顔』★4
ゾクッとする短編。おぼつかない口調で恐ろしいことを話し出すチエ子が好きすぎて……。幼いながらも持ち合わせる不気味な魅力と育ての良さがチエ子の会話の節々に見られて、読んでいて虜になる作品。

『死後の恋』★5
これは文句なしの傑作だと思います。初読は前半部分の複雑さというか言い回しがしっくりこなくて進みが遅くなりますが、後半の圧倒的衝撃と描写力には恍惚と震え上がり、そこからはもうこの作品の虜です。夢野久作の複雑怪奇な話の展開とグロデスクな描写が見事にこの作品には収斂されていると思いました。最高!

『支那米の袋』★5
これぞ夢野久作文学の真骨頂! 幻想的な雰囲気の作品と言うよりは『いなか、の、じけん』を彷彿とするような粗野で下劣、ナンセンスな事件の被害者の話ですが、その生々しさと、夢野久作が生涯言っていた「人間の闇」的な部分も垣間見ることができて、個人的にはとても満足の一作です。すべての遊びに飽き飽きて「ステキな遊び」を語るワーニャさん、ものすごく蠱惑的です…

『鉄槌』★4
『なんでもない』で有名な姫草ユリコなど、夢野久作の作品に登場する魅力的な女性像をこの作品にもまた感じますね。マゾヒズムの趣があったり、本文中に「悪魔」と多用されていることからも、安直ながら、そのまま『悪魔』と題のついた谷崎潤一郎の作品を彷彿とさせます。愛太郎が伊奈子に向ける複雑な感情はまた、夢野久作作品には珍しい儚さを感じますね。

『一足お先に』★4
イヤハヤこれは夢か現か・・・・・私とは一体何者なのか・・・・・・・。病院、妹、殺人、不気味な赤ん坊の描写、忘れていた記憶・・・・・・・夢野久作の作品の中で牙城の如く聳える『ドグラ・マグラ』の血腥い臭いが漂う、病院の中で起こった奇妙な体験ですね。完璧な世界観でタイトルの『一足お先に』が秀逸なのはともかく、これは怖い! 特に最後の妹と青木の会話に主人公が全く加わらず、「・・・・・・・」と続くともう!


『冗談に殺す』★3
この作品はやはり冒頭、活劇女優が主人公に見せる残虐な遊戯の描写力と、彼女の心理をうかがわせる明晰な描写に光るものがあると思います。『空を飛ぶパラソル』などに代表される夢野久作の残虐な構成力を堪能できる一作です。

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Posted by ブクログ 2021年07月13日

「ああ。お父様。お母様。すみません。すみません。...」南海の島からの便りに戦慄が走る。何不自由のない楽園の一部始終。十年という幸福な歳月が心身共に健康な兄妹を翻弄する。明朗な陰鬱、不潔漂う清潔感。数々の作品が心の深淵に瓶詰めにされ打ち寄せた。

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Posted by ブクログ 2020年10月20日

初めて読んだ夢野久作の著書でした。

死後の恋の一周まわって気持ちいいくらいの惨憺たる残酷描写が好きです。

三大奇書にも選ばれている「ドグラ・マグラ」の作者ともあって、私が期待していた通りの文章の奇怪さ、陰惨さ、陰鬱さでした。

特に印象に残ったのは瓶詰めの地獄、死後の恋、支那米の袋。

この短編...続きを読む集はどの話も、「救いようのない」終わり方をします。それでは何の解決にもなっていない、という終わり方です。

特に瓶詰めの地獄は手紙方式ですが、順番になっている割になんだか話が前後しているような感覚でした。

夢野久作という人物は、人は救われない、「救われない」という意味で人生には終わりがないと考えている人なのかもしれない。

私は狂気に満ちたような描写やストーリーが好きです。とても肌に会う作品でした。

残酷描写が苦手な人は気をつけてください。

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Posted by ブクログ 2019年08月16日

以前読んだ『ドグラ・マグラ』が面白かったので、読んでみた。こちらは短編集。独特の不気味さ、気持ち悪さ、猟奇、エログロみたいな雰囲気があって、『ドグラ・マグラ』と似ている。こんなに気持ち悪いのに、引き込まれるものがある。重たくて、怖くて、読むのに精神力がいる。

解釈が難しかったり、色んな"...続きを読む仕込み"がある。一作品読んで、ネットでレビューを見て・・・という感じで作品の世界観を楽しんだ。

全部で7作品あるが、どれも味わいがあって、気持ち悪い。全作品のレビューを書く気力がないので、4つだけ。
「瓶詰の地獄」と「支那米の袋」が特に印象に残った。
そのうちまた読みたいな。

<瓶詰の地獄>
・無人島に漂着した兄妹の書いた、瓶に詰めた3つの手紙。作品は、この3つの手紙で構成される。夢野久作の作品では、この"書簡体形式"が特徴的だとか。
・11歳の兄と7歳の妹は、10年以上、無人島での生活を続ける。島は自然豊か、食料は豊富にあり、楽園のよう。
・読み進めるうちに、"地獄"が何かがわかってくる。ゾッとする。
・3つの手紙がどの順で書かれたかで、異なる解釈ができる。こんな仕掛けを、こんな短編に仕込めるとは・・・。

<人の顔>
・シミュラクラ現象、パレイドリア現象。
 日常でも、雲の形や壁のコンセントなんかが人の顔に見えてくることはある。それを考えれば、チエ子の言動も無邪気なものに思える。それなのに、作品から感じられる奇妙さは何だろう?
・母親がチエ子に飲ませたのは睡眠薬か?不倫相手との情事を悟られないため?

<死後の恋>
・何というか、エログロ猟奇の気持ち悪い話。死体と宝石の描写が印象的。でも、ちょっときつい。
・語り手が一方的に語る"独白体形式"。『ドグラ・マグラ』と似てる。他者が登場しないので、語り手が精神に異常をきたしているんじゃないかという気になってくる。
・なぜあんな殺され方をされたんだろう?語り手の話は本当なのか?そんなことが気になって、読み直したくなる。気持ち悪いのに。

<支那米の袋>
・ロシア人のワーニャが日本の青年軍人に一方的に話す"独白体形式"。
・ワーニャが話すのは、
  - 可愛いから殺してしまいたい
  - 恋仲になっていたアメリカ人ヤングのこと
  - 彼から教えてもらった"遊び"(それは日本にもある)
  - 支那米の袋に隠れて乗った軍艦での恐ろしい出来事
・こういった話からラストでの伏線回収がすごかった。殺したいだけでなく、死にたかった。

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読んでから気付いたが、どの作品も青空文庫で無料で読めるらしい・・・。

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Posted by ブクログ 2018年08月17日

夢野久作の傑作選。
瓶詰めの地獄は言わずもがな。
死後の恋が好きだった。
そのほかの作品もそうだが、たくましい想像力と描写力を感じる。
そしてどこか狂気的で幻想的。

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Posted by ブクログ 2017年04月30日

以前ドグラマグラを読み面白かったので瓶詰の地獄も気になり読んでみました。

短編集。短い話だけれどどれも雰囲気がよくグイグイ読ませてくれる。面白かった。

夢野久作の入門編にはドグラマグラよりこちらをお勧めします。

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Posted by ブクログ 2017年01月10日

標題の瓶詰の地獄だけに非ず、死後の恋、支那米の袋、鉄槌、一足お先に、どれもが珠玉の短編、中編小説で構成された一冊。

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Posted by ブクログ 2016年08月21日

短編集でしたが、どの話も不気味で、すごく雰囲気がよかったです。
お気に入りは「鉄槌」です。人間の怖さがよく表現されていて好きになりました。
(2014/04/11)

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Posted by ブクログ 2024年02月19日

近代文学を克服すべく、あれこれ読んでいるうちに出会った夢野久作。湿っぽくて残酷で恐ろしいのにどこかワクワクしてしまう自分がいるような。
いずれドグラ・マグラにも手を出そうかと思います。

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Posted by ブクログ 2023年10月01日

わずか10数ページの『瓶詰の地獄』がよかった。どの短編も江戸川乱歩の世界をもっと過激にした感じ。30年ほど前に読んだ『ドグラ・マグラ』もそろそろ再読したい。

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Posted by ブクログ 2022年02月23日

純文学というのは、読む度に新しい感情や自分の気持ちに気づく事ができる自分自身を映す鏡のような物だと常々思っているのだけれど
夢野久作の作品は違う
読めば読むほど深みに嵌り抜け出せなくなる
読者すら作品の一部となっていく、そんな感覚すらある

瓶詰の地獄はそんな夢野久作の作風をたった15頁に凝縮したよ...続きを読むうな作品

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Posted by ブクログ 2021年08月18日

収録されている死後の恋にある森での戦闘後の場面では、この世の物とは思えないオブジェを文章から想像楽しむ事ができますよ。

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Posted by ブクログ 2021年08月12日

〇瓶詰めの地獄

浜辺に流れ着いた3つのビール瓶。中に手紙が入っており、第1の瓶の内容、第2の瓶の内容、第3の瓶の内容とを題字に、内容が書かれている。
短編で何度でも見返し安いので、久作ワールドを解き明かしたい人にはもってこいかも。
再再再読したい。

〇人の顔

奇妙な子と言われているチエ子と母と...続きを読む父との話。
チエコが不気味な事を言う。
チエコが不気味な事を媒体にしてとんでもねぇ事を暴露する。
チエコは寂しかったんやと思う。寂しくて伝えたくて奇妙やったんやと思う。可哀想。

〇死後の恋

再読する。

〇支那米の袋

読んでいる途中で大事を見つめて、「袋」と書いてあることにゾッとした。そのままゾッとする展開になった。
人の心を懐柔しカリスマ性があり都合が悪くなると人命も厭わず捨てる様はまさにサイコパス。夢野久作はサイコパスに散々な目に合わされたのではないかと思う1作だった。居たので見てたのか。
誘拐気分を味わえる。明らかに殺されるが逃げられないあの恐怖を味わえる。味わいたくない。
時代も時代だしそこそこ有りそうな感じで今まで読んだ久作の中でいちばん怖いかも。寝れない。

〇金槌
心の悪魔の成長の話。本物の悪魔は自覚がない、この一文がポイント。
他人事が悪魔なんだと思う。
父はまともで、叔父と子が悪魔で気があった。超雑だけど大体こんな動き。子の物ともしない所か見物として叔父を見ている感じが見どころ。

〇一足お先に
ドグラ・マグラの...
ファントムペイン。実際のものと幻想と認知の脳髄の....この感じ...構造か設定か、は大体ドグラと一緒だった。
何がどうでどっちがなんなのか狂わせてくる。嘘かホントか、真かウソかといったような感じ。
これを解き明かせたら、昔のバイトの店長の謎も解き明かせる気がする。暗示とは恐ろしい物だし、潜在意識にあたえる影響は自分の意思ではどうにもならない。
現実と幻想の境界線なんて無いんだよと教えてくれるような話だった。脳が溶けるというか、体が溶けて形を保てないような感覚になった。さすが日本三大奇書のジョブと言ったところ。夢の夢返し!
紅梅焼

〇冗談に殺す
オレダヨーーーオーーー
人はやっぱり犯した罪を隠し通すのが無理だと分かる

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Posted by ブクログ 2019年11月25日

読んでる途中で妊娠が分かって、つわりが落ち着くまでは読書が全然できなかったからかなり間が空いたのやけど、安定期入ったし最後まで読みました。
前回の妊娠中も夢野久作読んだよそういえば。
夢野久作てそんなにたくさん読んでないけど、ハズレがないのすごすぎない???ほんとにどれも面白かったよ。
「冗談に殺す...続きを読む」は探偵モノ以外の江戸川乱歩感があったけど、鏡つうのはこの時代も重要なモチーフやったみたいやし、探偵モノ以外の江戸川乱歩と夢野久作てどっちも幻想怪奇系でちょっと作風似てるよな。みんな変態だよ。みんな。

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Posted by ブクログ 2015年11月22日

瓶詰と死後の恋が印象に残る。
冒頭の瓶詰は人は今まで順番が逆くらいにしか考えてなかったが皆様のレビューを見てもっと深い話ということが分かりました。

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Posted by ブクログ 2019年01月16日

夢野久作短篇集。

決してミステリー文学ではないものの、近い感覚で読み進めることができる。
夢野久作独特の湿気た不気味さで満ちており、良い意味で先が読めない。
また読後タイトルを見返すと、改めてその秀逸さに気づく。

個人的な好みは「瓶詰めの地獄」「人の顔」「支那米の袋」「鉄槌」。
「冗談に殺す」を...続きを読む読み残している。

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Posted by ブクログ 2024年02月06日

夢野久作の短編集。
表題作の『瓶詰の地獄』は聖書に祈りを捧げながら両親の助けを待ち続ける、海難事故に遭った幼い兄妹の話。彼らが海に流した三つの麦酒瓶の中に入っている手記を読む書簡体。この兄妹は、たった離れ小島という閉鎖的環境で、お互いに異性として認識してしまう性的葛藤を描いている。とても短い話だが、...続きを読む助けを求める手紙も、懺悔も遺書も全て彼らの愛する両親のもとには全く届かなかったことを思うと、非常に遣る瀬無い…。

今まで『ドグラ・マグラ』をはじめ、結構な数の夢野作品を読んできたが、『死後の恋』が一番心に刺さった。この話は、1918年7月に、ロマノフ王朝の一家が銃殺された事件で、皇女アナスタシアだけは生き延びているのではないかという噂を基に描かれている。実はロマノフ王朝末期からロシア革命期の混沌とした崩壊具合が不謹慎ながら、かなり好み。
語り部のコルニコフは革命で居場所も家族も追われてしまった。そもそも、彼女がリヤトニコフに恋しているから宝石を見せたという解釈は、彼の妄想かもしれない。コルニコフにとっては、この話を第三者に肯定してもらわなければ、リヤトニコフ(アナスタシア)からの愛もただの幻想になり、宝石に抱いた邪な感情だけが残ってしまう。話を聞いてくれた日本の軍人も結局最後は立ち去ってしまった。その悲壮感と承認欲求の愚かさが最後の「アナスタシア内親王殿下…」に現れている。今まで読んだ夢野作品全てにおいて、読後にめちゃくちゃ疲弊するんだけど、人間の愚かさや心の中に隠したい欲求や黒い感情をまざまざと見せつけられるからなんだな…。なんだかようやくわかった気がする…。

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Posted by ブクログ 2023年12月16日

一旦、表題作の感想を...
胸糞!と聞いていたので、3番目の手記で如何に恐ろしい内容が来るのかと構えていたら、呆気なく終わった.けど、それは逆に悍ましいし、全体としてみることで、不気味さがより伝わるのだと思う.

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Posted by ブクログ 2023年12月06日

結果的に、わたしにはあまり夢野久作がハマらなかったということがよくわかった。死後の恋のビジュアル感、支那米の袋の臨場感はイイ!と思ったけど、全部の話で話長えよ〜!!って思ってしまうのは、もう相性の問題だと思った。鉄槌の主人公がいちばんサバサバしてて好感が持てました。

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Posted by ブクログ 2023年02月03日

表紙の可愛さを木っ端微塵に吹き飛ばす、独特の作品ばかりが詰め込まれた短編集。
どの話もなかなか読み進められず、ずっと物語の世界に閉じ込められているような気分だった。
あの肌に纏わりつく湿っぽさと陰鬱な思考回路はやっぱり苦手だけれど、夢野ワールドを堪能できる一冊だった。

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Posted by ブクログ 2023年01月26日

瓶詰めの地獄のみ読みたくて、鉄槌の途中で断念

瓶詰めの地獄はもう素晴らしかった。
他の作品はえろグロ、と言った感じでついていけなかった

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Posted by ブクログ 2022年04月21日

 夢野久作の短編小説集。だいたい、昭和一桁年頃の作品群のようだ。西暦で1930年前後。
 相変わらず性的にどこかヘンタイっぽく妙な小説が多い。一人称体の作品は『ドグラ・マグラ』と同様の、延々とトートロジックに吐き出される独白の急流が見られる。この文体や主題の取り方・筋などはとてもケレン味が強く、やは...続きを読むり文壇の王道よりはかなりかけ離れているのだが、この怪しげな欲望の奔流は、単なる娯楽作品という枠に閉じ込めきれるものではない。カルトな芸術である。あまりにもリビドー放出が激しすぎてしばしば日本語が壊れてしまうところが凄い。
 1編読み終えてみるとちょっとすっきりしないような終わり方の作品も幾つかあった。
 

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Posted by ブクログ 2021年09月25日

夢野久作の七篇構成の短編集。


瓶詰の地獄 ☆☆☆★★
兄妹の禁断の恋と、それに対する苦悩。順序の分
からない3つの手紙。兄と妹の互いの気持ちがリアルに伝わってきて苦しかった。

人の顔 ☆☆☆★★
母の浮気を子が知って、それを父に知らせると父
は子を睨み───。この続きがハッピーエンドに
繋がる...続きを読むと考えるのは難しそうなのでつらい。

死後の恋 ☆☆☆☆★
これは素晴らしい恋愛作品。‥‥アナスタシヤ内親王殿下‥‥。この7つの作品の中では個人的に一番よかった。FGOでアナスタシアが好きな人は是非。

支那米の袋 ☆★★★★
これは微妙。

鉄鎚 ☆☆☆★★
まるで悪魔な叔父と更にその悪魔度を上回る伊奈子、しかし本当の悪魔はその2人のどちらでもなくなんと自分自身だったという伏線回収。結局最後の「伊奈子の真実」が何なのかが分からなかったが、もしも主人公の母親だとするのなら感動作品になっていただろう。

一足お先に ☆☆★★★
一言で現すと短編版ドグラ・マグラ。

冗談に殺す ☆☆★★★
「完全犯罪は成立しない」と主張していた主人公がとある女と出会い関係を深めていくのだが、段々とその女の悪魔のような性格に気づき始めついにはその女を殺してしまう。証拠を完璧に消し去り完全犯罪かに思われたが、一つの鏡がきっかけでその男は完全犯罪に失敗する。そう。「完全犯罪」は成立しなかったのである。

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Posted by ブクログ 2020年10月22日

思ってたより全然読みやすくて面白かった。 読む前は気味悪さ、グロさだったり狂気的な内容と思っていたが文体も読み易いし内容も神秘的で官能的。 ついつい引き込まれる。 評価が高いのもうなずけるし他の作品にも興味が沸く。 こういう世界観はいいなと思わされた一作。

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Posted by ブクログ 2020年06月20日

「死後の恋」は島田荘司の「ロシア幽霊軍艦事件」を思い出しながら読んだ。
表題作の「瓶詰の地獄」が切れ味としては抜群か。

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Posted by ブクログ 2018年08月11日

それぞれタイプの違う切口から狂気を描いていて読み応えのある1冊でした。
表題作の「瓶詰の地獄」は近代の楽園追放そのもので
純潔な2人が欲に気付いて崩壊していく様は、狂気的でありながら美しさを感じました。
「一足お先に」は解説にもありますがドグラ・マグラの前身的印象を受けました。
尤も、ドグラ・マグラ...続きを読む自体20年に渡り執筆したそうなので既にこの手の構想はあったとは思うのですが
このページ数で何重にも掛けられた精神操作のトリックを表現したのは素直に凄いなと思いました。
単純な事件の解決ではなく登場人物すら気付いていない潜在的心理の描写は、殺人などの恐怖とは違ってまるで心を見透かされているような恐怖を表現していて流石だなと改めて思いました。
また余談ですが、解説が中井英夫で流石は「三大奇書」とも呼ばれる傑作を執筆しているだけに、物語の噛み砕き方が面白かったです。

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Posted by ブクログ 2018年07月10日

夢野久作って読んでも結局よくわからないんだけど雰囲気とか世界観が大好き。『鉄槌』の残酷だけど可愛い台詞がお気に入り。

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Posted by ブクログ 2017年12月10日

一番印象に残ったのは「鉄槌」でした。悪魔のような人たちがゆっくり破滅してゆくようなお話に思えました。表題の「瓶詰めの地獄」は、主人公の思い詰めてゆく心情と美しい風景との対比が際立っていて、「一足お先に」はドグラ・マグラに似たようなどんでん返しの用意のしかたはさすがだなと思いました。夢野久作の文章は不...続きを読む気味ながらもとってもすきです。感想がまとまらない。

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