アニメーターの単価は安い?報酬体系も合わせて紹介

アニメーターの単価は安い?報酬体系も合わせて紹介

アニメーション制作の要となるアニメータですが、作画の単価や報酬はどれくらいなのでしょうか。今回は、アニメーターへの就職を考えている方に向けて、アニメーションの作画1枚あたりの単価や年収、主な報酬体系について解説します。

目次

アニメーターの主な仕事内容

アニメーターとは、アニメーション制作工程のうち、「作画」を担当する人のことです。広義では、アニメーション制作に関わる全ての人を「アニメーター」と呼んでいますが、ここでは基本的に狭義のアニメーター(作画担当)について解説します。

アニメーターは「原画マン」と「動画マン」に大別され、原画マンは絵コンテなどを参考に、動きのポイントとなる絵を描くのが仕事です。見本となる絵がない状態で作画を行うため、確かな画力が必要とされます。一方動画マンの仕事は、原画と原画の間の絵を描き、動きを滑らかに見せることです。自然な動きを表現するための知識や発想力、きれいな線を引く力などが求められます。

アニメーターの詳しい仕事内容や、どうすればアニメーターになれるのか知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。

関連記事:アニメーターの仕事内容から案件提案まで

アニメーターの作画単価・給与

アニメーションは30分につき3000枚前後(ものによって異なる)の絵を繋ぎ合わせて作られていますが、1枚の絵に対してどれくらいの報酬が得られるのでしょうか。ここではアニメーションの作画単価や、アニメーターの給与について解説します。

原画1カットあたりの単価

原画には、レイアウトや絵コンテから絵を描き起こす「原画」と、線をきれいに描き直す「第二原画」があり、これらの担当者は同じアニメーターであることが多いです。

原画の単価は1カットあたり2100~5000円程度、第二原画の単価は1600~3200円程度となっています。カットとは場面が切り替わるまでの部分で、大まかに言えば背景の描写が変わるまでが1カットです。たとえば同じ室内のシーンでも、キャラクターの前から撮るか横から撮るか、アップで撮るか引きで撮るかなど、撮り方によって背景の写り方が変わります。そうしたカメラワークに伴って、カットが切り替わると考えてください。

原画家は、監督や演出家らが用意した絵コンテ・レイアウトに沿って背景やキャラクターをイチから描き出し、指示に応じて修正(リテイク)を重ねます。1カットの作画枚数は、単純な動きでも5~10枚、複雑な動きが含まれていれば数十枚にも及びますが、枚数に関わらず、1カットあたりの単価は一定です。原画・第二原画を合わせて1カット4000円の報酬を得られるとしても、1カットあたりの作画枚数が50枚であれば、1枚あたりの単価は80円となります。担当するカットによって、労力にはかなりの幅があると言えるでしょう。

動画1枚あたりの単価

動画家は原画をトレースしつつ、間の絵(中割り)を描いていきます。動画の単価は1枚あたり280~400円程度で、外注の場合は1枚あたり150~280円程度です。作画の難易度やクオリティは、報酬に反映されません。たとえばキャラクターの口を動かすだけのカットも、ダイナミックなアクションシーンも、作画枚数が同じであれば、報酬額も同一です。

アニメーターの単価は安い?

アニメーターの報酬は、単価×作業数の完全出来高制であることが多いです。作業数は、1日あたり動画10~15枚程度が目安ですが、絵の難易度や本人の習熟度によって増減します。また、近年はアニメーションのクオリティ上昇により、時間あたりの作業数は減少傾向にあります。貯金や経験のない若手初心者にとって、出来高制というのは厳しいシステムでしょう。

業務委託契約の場合は制作スタジオの場所代を引かれるほか、制作に使う画材の費用、勉強のための資料代など、様々な費用がかかります。最低限の生活費を稼ぐだけでもギリギリな状況であり、アニメーターの単価は安いと言えるでしょう。元請けではなく下請け会社で働く場合は、より安給で仕事を依頼される可能性が高くなります。

アニメーターの雇用形態と給与体系

JAniCAの『アニメーション制作者実態調査報告書2019』によると、監督や演出家らを含む広義のアニメーターのうち、50.5%の人が業務委託(フリーランス)として働いています。仕事の掛け持ちを禁止しているスタジオも多く、副業ができないため、生活はなかなか安定しません。また、業務委託ではアニメーターが「個人事業主」となるため、最低賃金や労働時間の制限などが適用されず、低賃金・長時間労働を強いられる可能性が高くなります。

業務委託(フリーランス)のアニメーターの報酬は、作業数に応じた完全出来高制が多いです。未経験者がフリーランスになると、作業ペースが遅いため報酬も低くなってしまいます。はじめは固定給がある会社・スタジオを選んで働き、実力と経験を得てからフリーになるのがよいでしょう。

アニメーターの年収

JAniCAの『アニメーション制作者実態調査報告書2019』によると、アニメーターの平均年収は約440万円です。100万円以下は8.3%、100万超150万円以下は5.3%、150万超200万円以下は9.2%で、200万円以下は22.8%を占めています。なお、これらは広義のアニメーターである監督や演出家などを含めた統計です。

新人アニメーターはまず動画の仕事から入ります。慣れない業務、安い単価、出来高制という仕組みが相まって、はじめはかなり薄給になることでしょう。たとえば一日10枚の動画を描いたとして、単価が300円だとすると、日給は3000円になります。週休1日として24日間働いたとしても月給は7万2千円。業務委託にボーナスなどは出ないため、年間通して86万4千円の収入です。もちろん10枚も描けない日もありますし、単価がもっと安い場合もあります。親からの仕送りや貯金などがなければ、新人時代を生き抜くのは難しいかもしれません。

損をしない働き方を選ぶ

アニメーターを目指している方は、自分がどのように働きたいのか明確にしておきましょう。作業場所は在宅かスタジオか、フリーか社員か、出来高制か固定給か、単価は何円以上かなど、自分の条件を決めておくことで、就職先を選びやすくなります。アニメーターは睡眠不足と過労により体を壊しやすい職業ですので、福利厚生や手当が整っているかどうか、しっかりと確認しておきましょう。

フリーランスとして働きたい方は、フリーランス専門のエージェントサービスに登録するのがおすすめです。希望の条件に当てはまる案件を紹介してくれたり、働き先との間に入ってくれたりするため、仕事探しのストレスが少なくなります。

ゲーム業界はアニメ業界よりも高単価

アニメーション業界はさらなる盛り上がりを見せており、アニメーターはとても需要が高い職業ですが、その作画単価はなかなか上がりません。アニメーション業界は限られた制作費の中で多くの作品を生み出そうとするため、多くの下請けが低単価で働かされているのです。

一方、ゲーム業界は、少数かつハイクオリティな商品を作る傾向があります。売り上げも伸びているため、比較的高い報酬が還元されるでしょう。アニメーション業界の低賃金に耐えかねて、ゲーム業界に転身するアニメーターも増えているそうです。

まとめ

アニメーターは絵を動かすという夢のある仕事ですが、低単価や長時間労働により、離職者が多いのもまた事実です。自分の心と体を壊さないよう、しっかりと条件を精査しながら職場を選ぶようにしましょう。また、出来高制に対応すべく、日々作業効率を上げる練習をすることも大切です。

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