以下、ネタバレしています。
他の回答者様が仰っている通り、うみねこは
・殺人事件の起きるゲーム盤世界
・ゲーム盤世界を眺めながら推理合戦をするメタ世界
・縁寿が六軒島爆発事件の真相を探す現実世界
の3つの世界で成り立っています。
紗音・嘉音が登場するのは1つめの「ゲーム盤世界」ですが、この世界は実は、メタ世界でのベアトが、推理合戦をする上で「これこれこんな事件が起きましたよ」と戦人に分かりやすく示すために作り出した、架空の世界でしかありません。登場人物の言動は全てベアトが操っていて、誰が犯人で誰が被害者でどんな惨劇になるかもベアトの気まぐれで決まります。
そしてこの「ゲーム盤世界」は架空の世界であるために、赤字で宣言されたこと以外は未確定事項(うみねこ流に言うなら「幻想」)ということになります。例えばEP6では朱志香が霧江を殺す詳細なシーンがありますが、これも「霧江が殺された」「犯人は朱志香だ」と赤字で宣言されるまでは何一つ確かではありません。
つまりEP1で譲二が紗音に婚約指輪を渡すシーンは、赤字宣言されていないため、実際にあった出来事だという保証がありません。EP2では虐待された真里亞に嘉音が手を差し伸べるシーンがありますが、これも赤字宣言されていない以上、本当は無かったのかもしれません。
逆に言えば、赤字宣言をしない限りは、どんなトンデモ展開でも見せられるのが「ゲーム盤世界」ということになります。EP3でのベアト対ワルギリアの魔法合戦なんかがその例です。なので本来は同一人物の筈の紗音・嘉音が、それぞれ独立した存在になって同じ場所にいるという本来ありえないシーンも、赤字で「この場には紗音・嘉音の2人がいる」と宣言されない限りはアリです。誰も何もツッコまないのは、前述の通り「ゲーム盤世界」の人物の言動は全てベアトの思い通りにしか動かないからです。これは紗音・嘉音に限った話ではなく、例えば実際は絵羽しかいない部屋でも、ベアトが戦人に「その場には大勢いると錯覚させたい」と思えば、夏妃でも楼座でも親族全員でも、その場に参加しているように描写出来る、ということです。
補足:ただし「ゲーム盤世界」の中でも戦人だけは、ベアトではなく、戦人の思い通りにしか動きません。そして実際に確認してはいないのですが、「戦人は紗音と嘉音が一緒にいるシーンを一切目撃していない」という説をどこかで見たことがあります。