まず楼座の生い立ちについて説明しなければなりません。
右代宮当主・金蔵の子供たちは4人います。
長男にして当主後継ぎの蔵臼、長女・絵羽、
次男・留弗夫、大きく歳の離れた末っ子・楼座です。
楼座が生まれた頃の右代宮兄弟の仲は酷い物でした。
傍若無人な振る舞いをする蔵臼に対して 絵羽や留弗夫は敵対心を抱き、
何かにつけては喧嘩していました。
そういった家庭で生まれた楼座は、
遅く生まれたゆえの幼さにより発言権を持っていませんでした。
これにより兄弟達と直接対峙する様な機会はありませんでしたが、
蔵臼陣営と絵羽・留弗夫陣営のどちらにも同意を求められる立場に居る事になりました。
その為、どちらにも良い顔をするために 曖昧な返事 をする癖が付いてしまいます。
これらは、兄弟に対するコンプレックスを抱く要因となっています。
兄弟の前では大人しく見えるのはそのためです。
>感情が異常なほど爆発しますが
これもまた、楼座のコンプレックスが関係してきますが、
やはり真里亞の出生自体にも問題があります。
絵羽が右代宮にいるのは 秀吉を婿養子に取ったためであり、
普通結婚したならば 楼座は右代宮を出ていくはずです。
楼座と交際相手には愛情があった様で、金蔵の理論である「女は嫁ぎ、より有益な男を連れてくる」とはそぐわない関係と見られています。
このことから、真里亞は“授かり婚”のための存在と考えられます。
つまり「子供が生まれたから結婚を認めてね」と金蔵に詰め寄る気でいたのでしょう。
ですが、真里亞が生まれる前に交際相手は蒸発します。
これが楼座と真里亞の不幸の始まりでした。
楼座は名目上 シングルマザーとして働く義務が生じ、
さらに彼女の見栄や交際相手に逃げられた過去から再婚が出来ない状況が続きます。
真里亞の存在も一つの重荷だったかもしれません。
これが真里亞に悪影響を与えます。
真里亞は「ママの愛を受けたい」と常日頃から願っていますが、
楼座は仕事を理由になかなか家に帰らず、育児放棄と呼べる状況でした。
「うーうー」と言う変な口癖や黒魔術の趣味などは、
楼座が毎日家に帰り、愛情を注いで居れば“変人”の領域までは踏み込まなかったでしょう。
真里亞の個性的な言動は、今度は楼座に悪影響を及ぼします。
真里亞を普通の子供の様に育てられなかったことが新たなコンプレックスを生み出す一因となりました。兄弟達が真里亞について言及すると、彼女の口調は過激なものになります。
更に、担任から「口癖のせいで周りの子からイジメを受けている」と知った楼座は「うーうー」を止めさせようとします。
ですが、真里亞には「うーうー」を止める事が出来ません。
楼座が真里亞を叩くなどの暴力を行い始める一因となりました。
それがより一層真里亞の「うーうー」を増やす事になってしまいます・・・。
つまり、真里亞と楼座の関係は悪循環なのです。
お互いを理解し合おうと二人は努力を続けていますが、力及ばず虐待の連鎖が続いています。
>娘に対する愛情
うみねこのキーフレーズに『愛がなければ、視えない』というものがあります。
この親子の間に“愛”があるのか、それは読み手次第です。
私に言わせてみれば、この二人には愛情が存在すると信じています。
論拠は「真里亞を他人に預けない」事です。
そもそも、楼座は右代宮の御令嬢。
楼座や真里亞が問題を抱えていても、初期段階ではさほどの物ではなかったはずです。
それなのに彼女が再婚できなかった/しなかった理由・・・。
それは真里亞にあるのでしょう。
暴力を受ける真里亞は信じないでしょうが、
楼座の行動には、多少なりとも真里亞への愛情の証拠が存在します。
追記:
>とても若く見えるのですがどうでしょうか
19年前の九羽鳥庵での出来事から、
当時12歳とすると舞台の1986年時点で31歳。
楼座は従兄弟組に年齢が近いため、30代そこそこが妥当でしょう。