年末に向けて一層の盛り上がりを見せている、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。小栗旬さん演じる北条義時の姉・北条政子を小池栄子さんが演じ、その演技に注目が集まっています。
北条政子とは、いったいどんな人物だったのか? 東大教授の本郷和人さんが監修をつとめる『東大教授がおしえる やばい日本史』から、特別に一部を抜粋・編集してお届けします。

【鎌倉殿の13人で話題】北条政子ってどんな人?
【鎌倉殿の13人で話題】北条政子ってどんな人?

本郷和人(ほんごう・かずと)
東京都出身。東京大学・同大学院で石井進氏・五味文彦氏に師事し日本中世史を学ぶ。大河ドラマ『平清盛』など、ドラマ、アニメ、漫画の時代考証にも携わっている。おもな著書に『新・中世王権論』『日本史のツボ』(ともに文藝春秋)、『戦いの日本史』(KADOKAWA)、『戦国武将の明暗』(新潮社)など。監修を務めた『東大教授がおしえる やばい日本史』はシリーズ69万部のベストセラー。最新刊『東大教授がおしえる さらに! やばい日本史』も好評発売中だ。

源頼朝は、北条政子の尻にしかれまくっていた

 源頼朝は、ニート時代から鎌倉幕府の成立までを支えつづけてくれた妻の北条政子に、一生頭が上がりませんでした。

 頼朝と恋に落ちた政子は、親が決めた婚約者と無理やり結婚式を挙げさせられそうになりますが、雨のなか逃げだし、山をこえて頼朝のもとへもどりました。

「おいおい、頼朝はボンヤリ待っとっただけかい!」とつっこみたくはなりますが、政子のおそろしいほどの情熱によって、ふたりは結婚したのです。

浮気は絶対ゆるさない

 その5年後、あろうことか妊娠中の政子の目をぬすみ、頼朝は「亀の前」という女性と浮気してしまいます。

 当然、浮気を知った政子は激怒。親戚の牧宗親に頼んで、亀の前の家をぶっつぶしました。

 亀の前は何とか逃げ出し無事でしたが、頼朝は「やりすぎじゃない?」とご立腹。でも、自分の浮気が原因だし、政子はこわいしで、直接文句が言えません。

 はらいせに、実行犯の宗親を呼び出し、武士の命であるチョンマゲを切り落とします。ところが、今度はそれを知った政子の父・時政が「親戚をコケにされた」と激怒してしまい、頼朝はあわてて謝ったそうです。

「源氏」の時代から「北条氏」の時代へ

 頼朝の死後、息子たちが相次いで暗殺され、政子は鎌倉幕府の実質的な指導者となりました。

 幕府は北条氏が仕切るようになり、「源氏」の名はたった3代で終わってしまったのです。

「やばい」から学ぶと、歴史はおもしろい

『やばい日本史』では、日本史の偉人の「すごい」ところと、意外な「やばい」側面を紹介しています。

 失敗したり、まわりから変な目で見られたり。偉人だって人間ですから「やばい」ところは何かしらあります。

 歴史がニガテな人こそ、「やばい」からもう一度日本史に入門してみてください。