宝蔵院胤舜(バガボンド)とは、井上雄彦の漫画『バガボンド』の登場人物である。
概要
吉岡道場に乗り込み吉岡伝七郎と激闘を繰り広げるも又八により道場に火の手が広がり一時休止。
伝七郎から「もっと強くなった貴様が見たい」と一年の猶予をもらいその間、各地で武者修行に出ることに決める武蔵。まずは奈良の宝蔵院に狙いを定め、そこで出会うことになるのが胤舜である。
戦闘において作中武蔵に明確に土を付けた最初の人物。武蔵は「負けじゃない、勝ちの途中」と認めなかったが。
本業は坊主なので頭はつるっぱげ状態。武蔵ほどではないが体格は良い。
祇園藤次に両腕を切り落とされた僧侶からその顛末を聞けるだけ聞いておいて心配するようなそぶりは一切みせなかったり、武蔵にのされた阿厳をやはり心配することなく終着が右ストレートと聞いたときは爆笑するなど、当初は他人にあまり頓着がない描写が目立っていた。
また自分と同じ腕前の人間は世界で吉岡清十郎だけ、胤栄より自分の方が強いと言うなど尊大で独りよがりな性格だった。しかし武蔵とのニ戦後は二代目としての自覚が芽生え皆を率いることを強く決心。以前より明朗快活で世話好きな人間となった。
なお原作である吉川栄治の『宮本武蔵』では胤舜との戦いは描かれていない。
vs武蔵
武蔵と祇園藤次のバトルに割り込む形で参戦。阿厳をやったのが小汚いほうだと聞かされ、まずは武蔵とやりあうことを決める。
序盤こそ武蔵が押す展開になるもクリーンヒットは一発もないまま完璧に捌き徐々に一方的に削っていく。
あがく武蔵を一方的にボコボコにし恐怖をという名の蟲に支配させ、最期の炎を燃やした一撃すら優しくいなす。
「命を教わる」と感謝の言葉を述べ殺そうとすると武蔵は恐ろしさのあまり逃走。
この敗北と逃亡により、武蔵は、それまで自分に心酔してベッタリくっ付いてきていた城太郎から「生き恥をさらしてまで生き延びて良かったのかどうか。自分は逃げることなんか教わりたくない」と言われ一時見放される。
vs武蔵2
ただの坊さんだと思っていた宝蔵院胤栄から手当てを受け己の小ささを実感した武蔵は胤栄から「武蔵なら自分が伝えられなかった大切なことを胤舜に教えられる」と判断され山で特訓を施されていた。
若干燃え尽き症候群気味だった胤舜もこの話を聞いたとたん俄然やる気を出す。
「突けば槍、薙げば薙刀、引けば鎌」と表現される確実に命を奪う武器・宝蔵院流十字槍を手に武蔵に手紙を送り決戦の時を待つ。
試合の刻、少し寝過ごして現れた武蔵は以前とは打って変わって静かで、それでいて巨躯に見えた。
膠着が続く中、次第に武蔵に気おされ咆哮を発し不用意に突撃。不用意すぎて武蔵もうまく反応できず事なきを得るが攻撃は見切られ、コチラは逆に武蔵の姿が木々と同化したようにハッキリとしない。
「俺は自由自在だ」と呟き軽くジャンプした武蔵に突きを見舞い頬を切り裂くが武蔵のカウンターが頭に命中。仮死状態に陥る。
胤舜がその才能と「生命のやりとり」を求めるあまり皆から恐れられ独りになっていったという阿厳の回想が挟まれその後、慎之助という本名と母親が強姦のすえ殺され父親も加害者と相打ちになってこの世を去ったという封印された記憶がよみがえる。
強さを求めること以外何もせず、誰にも何も与えないまま生きてきた胤舜は孤独のままでは逝きたくないと強く願う。すると天に昇る間、降り始めてきた雨に引き戻されるように魂が体に戻り蘇生。
以後、武蔵と共に治療を受けながら回復し十字槍の封印と宝蔵院流槍術の二代目として生きることを決意。
武蔵とは命を奪い合うことのない再会を誓った。
以降
柳生の高弟四人に囲まれながらも胤舜との対戦が生きていることを実感した武蔵が心の中で感謝を述べるシーンがある。また、武蔵が70人切りを果たしたと聞いたときは今日の寺の多忙さと武蔵もタダでは済まなかったであろうことを見抜き心配している。
関連動画
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関連項目
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