LinuxおよびUNIXプラットフォームでは、テープ・デバイスのSmall Computer System Interface(SCSI)パラメータが不明の場合、インストールを開始する前に確認する必要があります。この付録では、LinuxおよびUNIXでのSCSIデバイス・パラメータを確認する手順について説明します。
この付録の内容は次のとおりです。
Linuxでテープ・デバイス情報を取得するには、cat
コマンドを使用して/proc/scsi/scsiの内容を表示します。たとえば、次のようになります。
# cat /proc/scsi/scsi
例C-1は、2つのテープ・デバイスが接続されたstorabck05というホストのサンプル出力を示しています。
例C-1 /proc/scsi/scsiの内容のサンプル出力
Attached devices: Host: scsi0 Channel: 00 Id: 02 Lun: 00 Vendor: IBM Model: ULTRIUM-TD2 Rev: 4772 Type: Sequential-Access ANSI SCSI revision: 03 Host: scsi0 Channel: 00 Id: 04 Lun: 00 Vendor: ADIC Model: Scalar 24 Rev: 237A Type: Medium Changer ANSI SCSI revision: 02
リストの1番目のSequential-Access
というタイプのテープ・デバイスは、テープ・ドライブです。リストの2番目のMedium Changer
というタイプのテープ・デバイスは、テープ・ライブラリです。
各テープ・デバイスで必要な情報は、次の行に含まれています。
Host: scsi0 Channel: 00 Id: 02 Lun: 00
この出力は、次のように解釈できます。
ホスト・バス・アダプタ番号は、scsi
n
という値の数字部分です。この出力例の場合、2つのテープ・デバイスのホスト・バス・アダプタ番号は0
です。
SCSIバス・アドレスは、Channel
の値です。この出力例の場合、SCSIバス・アドレスは0
です。
ターゲットIDは、Id
の値です。この出力例の場合、テープ・ドライブのIDは2
で、テープ・ライブラリのIDは4
です。
Lun
の値は、SCSI論理ユニット番号(SCSI LUN)です。この出力例の場合、2つのテープ・デバイスのSCSI LUNは0
です。
Oracle Secure Backup論理ユニット番号としては、慣例的に、テープ・ライブラリとテープ・ドライブのそれぞれに0
を割り当てます。
SolarisでSmall Computer System Interface(SCSI)デバイス・パラメータ情報を確認するには、主に次の2つの作業を実行する必要があります。
各テープ・デバイスのSCSIターゲットIDおよびSCSI論理ユニット番号(SCSI LUN)を識別するため、Open Boot PROMのコンソールでコマンドを使用して、接続テープ・デバイスに対するシステムのSCSIバスを調べる必要があります。この作業の詳細は、「Solaris Open Boot PROMからのメディア・デバイスのSCSIターゲットIDおよびLUNの調査」を参照してください。
注意: Open Boot PROMにアクセスするには、オペレーティング・システムを停止して再起動する必要があります。 |
各テープ・デバイスのSCSIバス名インスタンスを確認するため、Oracle Secure BackupのSolarisデバイス・ドライバをインストールし、そのドライバに認識されたデバイスを参照して、それらを最初の手順で収集したテープ・デバイス情報と関連付ける必要があります。
注意: SolarisでのOracle Secure Backupデバイス・ドライバのインストール作業は、「setupスクリプトよるLinuxまたはUNIXでのOracle Secure Backupソフトウェアのロード」の手順で、setupによりOracle Secure Backupをロードした後に実行しますが、「LinuxまたはUNIXでのinstallobを使用したOracle Secure Backupのインストール」に記載されたOracle Secure Backupのインストール作業より前に行います。 |
この作業の詳細は、「SolarisでのSCSIバス名インスタンス・パラメータ値の表示」を参照してください。
Solaris Open Boot PROMから、テープ・デバイスのSmall Computer System Interface(SCSI)ターゲットIDおよびSCSI論理ユニット番号(SCSI LUN)パラメータを表示するには、次のようにします。
メディア・サーバーにroot
としてログインします。
ホストを実行レベル0に移行します。たとえば、次のようになります。
# init 0
システムは停止し、その後Open Boot PROMのok
プロンプトがコンソールに表示されます。
ok
プロンプトで、Open Bootのauto-boot?
変数をfalse
に設定します。たとえば、次のようになります。
ok setenv auto-boot? false auto-boot? = false ok
ok
プロンプトで、Open Bootのreset-all
コマンドを実行します。たとえば、次のようになります。
ok reset-all
システムはリセットされ、その後ok
プロンプトに戻ります。
ok
プロンプトで、Open Bootのprobe-scsi-all
コマンドを実行して、このホストに接続されているすべてのテープ・デバイスのSCSIパラメータを表示します。たとえば、次のようになります。
ok probe-scsi-all
各SCSIデバイスに対応する出力情報を確認します。たとえば、dlsun1976の出力の一部には、テープ・ライブラリおよびテープ・ドライブに関する次の情報が含まれています。
/pci@1f,4000/scsi@3,1 Target 0 Unit 0 Removable Tape EXABYTE EXB-85058SQANXR1 Target 1 Unit 0 Removable Device type 8 EXABYTE EXB-10e 1.8
この出力は、次のように解釈できます。
2つのテープ・デバイスが接続されているSCSIバスのデバイス・ツリー・パスは、/pci@1f,4000/scsi@3,1です。この値をメモしてください。
注意: この値は、Oracle Secure Backupのテープ・デバイス構成では直接使用しませんが、「SolarisでのSCSIバス名インスタンス・パラメータ値の表示」のプロセスに従って各デバイスのSCSIバス名インスタンス・パラメータを確認する際に必要になります。 |
Target
の値は、ターゲットIDです。この出力例の場合、テープ・ドライブのターゲットIDは0
で、テープ・ライブラリのターゲットIDは1
です。
Unit
の値は、SCSI論理ユニット番号(SCSI LUN)です。この出力例の場合、2つのテープ・デバイスのSCSI LUNは0
です。
この例では、各テープ・デバイスにOracle Secure Backup論理ユニット番号として0
を割り当てます。
確認したパラメータと、各テープ・デバイスに割り当てたOracle Secure Backup論理ユニット番号を記録してください。
ホストを再起動してSolarisに戻るには、ok
プロンプトで次のコマンドを入力します。
ok setenv auto-boot? true ok reset-all
Oracle Secure Backupの各テープ・デバイスに使用されるSmall Computer System Interface(SCSI)バス名インスタンス・パラメータを確認するには、次のようにします。
メディア・サーバーにroot
としてログインします。
Oracle Secure Backupホームのインストール・サブディレクトリにディレクトリを変更します。たとえば、次のようになります。
# cd /usr/local/oracle/backup/install
installdriverスクリプトを実行して、Oracle Secure Backupドライバをインストールします。たとえば、次のようになります。
# installdriver NOTE: /usr/local/oracle/backup/.drv.solaris64/ob copied to /usr/kernel/drv/ob NOTE: /usr/local/oracle/backup/.drv.solaris64/ob.conf copied to /usr/kernel/drv/ob.conf NOTE: /usr/local/oracle/backup/.drv.solaris64/ob64 copied to /usr/kernel/drv/sparcv9/ob NOTE: The Oracle Secure Backup device driver has been successfully installed.
インストール後、Oracle Secure Backupドライバは、このメディア・サーバーで制御可能なテープ・デバイスと関連付けられます。
次のコマンドを実行して、Oracle Secure Backupドライバと関連付けられたテープ・デバイスを表示します。
# du -a /devices|grep ob|cut -f2 /devices/pci@1f,4000/scsi@3,1/ob@0,0:glm1 /devices/pci@1f,4000/scsi@3,1/ob@1,0:glm1
この出力に、必要なテープ・デバイス情報が含まれています。
「Open Boot PROMからのメディア・デバイスのSCSIターゲットIDおよびLUNの調査」でSCSIバスを調べたときの出力情報を使用して、手順4の出力を解釈します。たとえば、出力の次の行を検討します。
/devices/pci@1f,4000/scsi@3,1/ob@1,0:glm1
du
の出力で、各テープ・デバイスに使用されるSCSIバスを識別するには、probe-scsi-all
で出力されたデバイス・ツリー・パスと、手順4で出力された各テープ・デバイスのデバイス・ツリー・パスを照合します。
たとえば、この例の場合、2つのテープ・デバイスに使用されるバスは、probe-scsi-all
の出力である/pci@1f,4000/scsi@3,1
と、du
の出力である/devices/pci@1f,4000/scsi@3,1
が一致することで識別されます。
du
で出力されたパスのob@
は、テープ・デバイスがOracle Secure Backupドライバにより制御されていることを示します。
ob@
に続く2つの数字(この場合、1,0
)は、各テープ・デバイスのSCSIターゲットIDとSCSI論理ユニット番号(SCSI LUN)です。この例では、SCSIターゲットIDは1
で、SCSI LUNは0
です。これらの値は、「Solaris Open Boot PROMからのメディア・デバイスのSCSIターゲットIDおよびLUNの調査」で確認したdlsun1976のExabyteテープ・ライブラリに対応しています。
コロン(:
)に続く値は、このテープ・デバイスに必要なSCSIバス名インスタンス値です。この例では、この値はglm1
です。
ホストdlsun1976の場合、手順4で出力された2つの行を解釈すると、表C-2の最終的なSCSIパラメータになります。