2016年10月26日
まほうおばばとおばばばば
まほうおばばっていうまじょがいます。
このおばばさまのすごいところは、まいにちのてんきをきめているところです。
こんやはまんまるおつきさまがきれいです。
こんげつのてんきをカレンダーにかきおえたまほうおばばがうとうとしていると………
「おばばさまーっ! おばばさまーっ!」
「なんだい、うるさいねぇ。」
さわいでいたのは、いつもまほうおばばのいえにカレンダーをみにくる
おてんきしごとにんたちでした。
かみなり、ゆきのせい、くものばんにんのさんにんです。
「たいへん! たいへん! へん、へん、つきがへん!」
「やれやれ、やんんっちゃうねぇ、もぅ……。」
まほうおばばはまほうのほうきをおこしました。
「ほれ、しっかりおし。うえだよ、うえ。」
ほうきはねむくてよろよろよれよれ。
「ほら、だんだんさがってくる。ね、へんでしょ?」
「へんでしょ?」
「でしょ?」
「あきれたねぇ、ありゃまだねてるんだよ。
それでこっくりこっくりして、おちてきてるんだ。」
「もぅよるだよーっ!」
「こらーっ!」
………おきやしません。
「とにかく、これいじょうおちてこないようにおさえとかなくっちゃねぇ。」
「ほれっ!いまのうちにおこすんだよ!」
さぁ、おてんきのしごとにんたちのでばんです。
どんどこどこどこ どんどこどこどこ
かみなりがたいこをたたきだしました。
ひゅーる ひゅーる ひゅーる
ゆきのせいれいもつめたいゆきをふきつけます。
ものすごいおとに、ものすごいさむさです。
それなのにつきはちっともおきません。
「ひゃーっ!うるさいっ! ひゃーっ!さむいーっ!」
まいりそうなのは、まほうおばばたちのほうです。
「おばばさま、まほうでなんとかしてよぉっ!」
まほうのほうきがなきそうなこえでいいました。
「あたしゃ、もうだめだよ。おもくてさむくて……。」
まほうおばばははやくもよれよれです。
「ほうきや、おばばばばさまにたのみにいっとくれ。」
おばばばばさまとは、まほうおばばのまほうのせんせい、まほうおばばばばのことです。
おおいそぎですっとんできたまほうのほうきにわけをきいたまほうおばばばば。
「ひゅーっ ひゅーっ ひゅーっ!」
ちっちゃいからだにどんどんいきをすいこみはじめました。
「ひゅーっ ひゅーっ ひゅぅぅぅぅっ!」
もうおなかはまんまるです。
そして、そのいきをいっぺんにはきだしながらさけびました。
「ハーツ。」
とんでいったのはどうみてもいればでした。
「あーっ! たいへんだー!!」
まほうのほうきはあわてていればをおいかけました。
「ありゃ、しまった!」
さてそのころ、こちらはまださわいで……いえいえ、がんばっていました。
「おばばばばさまのほうきはまだかねぇ。」
するとそこへぴゅーん。
「ギャーッ いたいーっ!」
「なんだってこんなものがとんでくるんだい。よりによってこんなときに。」
「あっ! いればあった!」
まほうのほうきがもどってきました。
「おまえかい? こんなものであそんでるのは! つきをおこすまほうはどうなってるんだい!?」
「じゅもんをいうまえに、それがとんじゃったんですよぅっ!」
ほうきはいればをゆびさしていいました。
「えーっ? このいれば、おばばさばばばばばば……?」
まほうおばばはあわてました。
「そりゃ、たいへんだよ。 はやくもどさなきゃぁ、
おばばばばさまはじゅもんがいえないまんまじゃないか!」
みんなでひっぱってようやくいればがとれました。
まほうのほうきがいそいでおばばばばさまのところへもってかえろうとすると、
「あら?つきじゃなかったの? あらあらごめんなさいね。
とんでるときにほうきちゃんがさわったからまちがちゃったのね。」
「ひゃーっ! しゃっべった!」
ほうきはびっくりしていればをすっとばしてしまいました。
「ハッハッハッハーッ!」
いればがわらいながらもどってきました。
するとくものすきまから、つきがはずかしそうにかおをだしました。
やっとおきたんですね。
「さっきのハーツはじゅもんだったのか……。」
ほうきがやっときがつきました。
「ずいぶんへんなまほうだけどさすがはおばばばばさまだねぇ。」
こんやはかじられたおつきさまがきれいです。
まほうおばばとおばばばば
作 山田由紀 / 絵 垂井しまこ
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