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第 39 章

ファイルシステムのマウントとマウント解除 (手順)

この章では、ファイルシステムをマウントしたり、マウント解除する方法について説明します。

この章で説明する手順は次のとおりです。

ファイルシステムのマウントの概要

ファイルシステムを作成したら、そのファイルシステムをシステムで使用できるようにする必要があります。ファイルシステムを使用できるようにするには、マウントします。マウントしたファイルシステムは、システムのディレクトリツリー内の指定したマウントポイントに接続されます。ルート (/) ファイルシステムは、常にマウントされています。

次の表に、ファイルシステムをその用途に応じてマウントするためのガイドラインを示します。

必要なマウントの種類

推奨されるマウント方法

ローカルまたはリモートのファイルシステムをときどきマウントする

コマンド行から手動で mount コマンドを入力する。

ローカルのファイルシステムを頻繁にマウントする

/etc/vfstab ファイルを使用して、システムがマルチユーザー状態でブートされたときに、自動的にファイルシステムをマウントする。

リモートのファイルシステムを頻繁にマウントする (ホームディレクトリなど)

  • /etc/vfstab ファイルを使用して、システムがマルチユーザー状態でブートされたときに、自動的にファイルシステムをマウントする。

  • AutoFS により、ユーザーがディレクトリにアクセスしたとき、あるいはディレクトリから移動したときに、自動的にファイルシステムをマウントまたはマウント解除する。

パフォーマンスを向上させるために、CacheFS ファイルシステムを使用してリモートのファイルシステムをキャッシュに書き込むこともできる。

ファイルシステムを含むメディアは、必要に応じてメディアをドライブに挿入し、volcheck コマンドを実行することによってマウントできます。リムーバブルメディアのマウント方法については、第 17 章「リムーバブルメディアの管理 (概要)」を参照してください。

ファイルシステムのマウントとマウント解除に使用するコマンド

表 39-1 に、ファイルシステムのマウントとマウント解除に使用する /usr/sbin ディレクトリ内のコマンドを示します。

表 39-1 ファイルシステムのマウントとマウント解除に使用するコマンド

コマンド名

マニュアルページ

説明

mount

mount(1M)

ファイルシステムとリモートリソースをマウントする。

mountall

mountall(1M)

/etc/vfstab ファイルに指定されているすべてのファイルシステムをマウントする。マルチユーザー実行状態になるときに、mountall コマンドが自動的に実行される。

umount

mount(1M)

ファイルシステムとリモートリソースをマウント解除する。

umountall

mountall(1M)

/etc/vfstab ファイルに指定されているすべてのファイルシステムをマウント解除する。

mountmountall の各コマンドは、不整合が認められた読み取り/書き込み用のファイルシステムはマウントしません。mount または mountall コマンドからエラーメッセージが表示される場合は、ファイルシステムをチェックする必要があります。ファイルシステムをチェックする方法については、第 42 章「UFS ファイルシステムの整合性チェック (手順)」を参照してください。

umountumountall の各コマンドは、使用中のファイルシステムはマウント解除しません。ファイルシステムは、次の場合に使用中であるとみなされます。

  • ユーザーがファイルシステム内のファイルまたはディレクトリにアクセスしている場合

  • プログラムがそのファイルシステム上にあるファイルをオープンしている場合

  • ファイルシステムが共有されている場合

汎用マウントオプション

次の表に、mount -o オプションで指定できる汎用オプションを示します。複数のオプションを指定する場合は、コンマ (空白を入れない) で区切ります。たとえば、-o ro,nosuidのようになります。

各ファイルシステムタイプで指定可能なマウントオプションのリストについては、各マウントコマンドのマニュアルページ (mount_ufs(1M) など) を参照してください。

表 39-2 -o で指定する汎用マウントオプション

オプション

ファイルシステム

説明

bg | fg

NFS

最初のマウントに失敗すると、バックグラウンド (bg) またはフォアグラウンド (fg) で再試行する。このオプションは重要でない vfstab エントリには安全である。デフォルトは fg

hard | soft

NFS

サーバーが応答しない場合の手続きを指定する。soft オプションは、エラーが返されることを示す。hard オプションは、サーバーが応答するまで再試行要求が継続されることを示す。デフォルトは hard

intr | nointr

NFS

ハードマウントされたファイルシステムに関する応答を待って実行を停止しているプロセスを、キーボード割り込みで強制終了できるかどうかを指定する。デフォルトは intr (割り込み可能)。

largefiles | nolargefiles

UFS

2G バイトを超えるファイルを持つことができるようにする。largefiles オプションでマウントされたファイルシステムは、2G バイトを超えるファイルを格納できる (必須ではない)。nolargefiles オプションを指定した場合、UFS ファイルシステムは Solaris 2.6 (またはその互換バージョン) が動作しているシステムにはマウントできない。デフォルトは largefiles

logging | nologging

UFS

ファイルシステムのロギングを有効または無効にする。UFS ロギングとは、トランザクション (完全な UFS 処理を構成する変更) をログに保存してから、そのトランザクションを UFS ファイルシステムに適用するプロセスである。ロギングを使用すると、UFS ファイルシステムの整合性を保つことができる。つまり、fsck を省略できることを意味する。fsck を省略すると、システムがクラッシュしたとき、あるいはシステムをクリーンな状態でシャットダウンできなかったとき、システムをリブートする時間を省ける。

ログはファイルシステムの空きブロックから、1G バイトのファイルシステムごとに約 1M バイトのサイズ (合計で 64M バイトまで) が割り当てられる。デフォルトは nologging

atime | noatime

UFS

ファイルのアクセス時間更新を抑制する。ただし、最後にファイルの状態が変わった時間または最後にファイルが変更された時間に対する更新が同時に行われる場合を除く。詳細は、stat(2) のマニュアルページを参照。このオプションによって、アクセス時間が重要でないファイルシステム (Usenet ニューススプールなど) でのディスクに対する動作が減る。デフォルトでは、通常アクセス時間 (atime) が記録される。

remount

すべて

既にマウントされているファイルシステムに関連付けられているマウントオプションを変更する。通常このオプションは、ro オプション以外のオプションと共に使用できる。ただし、変更できるマウントオプションは、ファイルシステムタイプによって異なる。

retry= n

NFS

マウント処理に失敗した場合に再試行する。n は再試行回数。

ro | rw

CacheFS、NFS、 PCFS、UFS、HSFS

読み取り/書き込み (rw) または読み取り専用 (ro) を指定 する。このオプションを指定しない場合のデフォルトは rw。HSFS のデフォルトのオプションは ro

suid | nosuid

CacheFS、HSFS、 NFS、UFS

setuid 実行を許可または禁止する。デフォルトは、setuid 実行を許可する。

/etc/vfstab ファイルのフィールドの説明

/etc/vfstab ファイル内のエントリには、表 39-3 に示すように 7 つのフィールドがあります。

表 39-3 /etc/vfstab ファイルのフィールドの説明

フィールド名

説明

device to mount

このフィールドは、次のいずれかを指定する。

  • ローカル UFS ファイルシステム用のブロックデバイス名 (/dev/dsk/c0t0d0s0 など)

  • リモートファイルシステム用のリソース名 (myserver:/export/home など)。NFS の詳細については、『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』を参照。

  • スワップ空間用のスライスのブロックデバイス名 (/dev/dsk/c0t3d0s1 など)

  • 仮想ファイルシステムタイプ用のディレクトリ

device to fsck

device to mount」フィールドで指定した UFS ファイルシステムに対応する raw (キャラクタ型) デバイス名 (/dev/rdsk/c0t0d0s0 など)。このフィールドによって、fsck コマンドが使用する raw インタフェースが決まる。読み取り専用ファイルシステムやリモートファイルシステムなど、適用できるデバイスがない場合は、ダッシュ (-) を使用する。

mount point

デフォルトのマウントポイントディレクトリ ( /usr など) を指定する。

FS type

ファイルシステムのタイプを指定する。

fsck pass

fsck コマンドがファイルシステムをチェックするか決めるために使用するパス番号。このフィールドでダッシュ (-) を指定すると、ファイルシステムはチェックされない。

このフィールドに 0 が指定されている場合、UFS ファイルシステムはチェックされないが、フィールドに 0 より大きい値が指定されている場合に UFS 以外のファイルシステムはチェックされる。

このフィールドに 1 が指定されている場合、すべてのファイルシステムは vfstab ファイル内の順番どおりに 1 つずつチェックされる。このフィールドに 1 より大きな値が指定され、さらに preen (修復) オプション (-o p) が指定されている UFS ファイルシステムが複数ある場合、効率を最大限に高めるために、fsck コマンドは複数のディスク上のファイルシステムを自動的に並行してチェックする。それ以外の場合、このフィールドの値は意味を持たない。

mount at boot

システムのブート時にファイルシステムが mountall コマンドによって自動的にマウントされるかどうかを yes または no で設定する。このフィールドは AutoFS とは連動していないので注意すること。ルート (/)、 /usr/var のファイルシステムは最初は vfstab ファイルからマウントされない。これらのファイルシステムおよび /proc/dev/fd などのような仮想ファイルシステムの場合、このフィールドは常に no に設定しなければならない。

mount options

ファイルシステムのマウントに使用されるオプションを (空白を空けずに) コンマで区切ったリスト。オプションなしを示すにはダッシュ (-) を使用する。汎用マウントオプションについては、表 39-2 を参照。


注 - /etc/vfstab ファイル内の各フィールドには必ずエントリが必要です。フィールドに値を指定しない場合は、必ずダッシュ (-) を入力してください。ダッシュを入力しないと、システムが正常にブートしない可能性があります。同様に、フィールドの値に空白文字を使用しないでください。


 
 
 
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