ファイルシステムのマウントとマウント解除 (手順)
この章では、ファイルシステムをマウントしたり、マウント解除する方法について説明します。
この章で説明する手順は次のとおりです。
ファイルシステムのマウントの概要
ファイルシステムを作成したら、そのファイルシステムをシステムで使用できるようにする必要があります。ファイルシステムを使用できるようにするには、マウントします。マウントしたファイルシステムは、システムのディレクトリツリー内の指定したマウントポイントに接続されます。ルート (/) ファイルシステムは、常にマウントされています。
次の表に、ファイルシステムをその用途に応じてマウントするためのガイドラインを示します。
必要なマウントの種類 | 推奨されるマウント方法 |
---|---|
ローカルまたはリモートのファイルシステムをときどきマウントする | コマンド行から手動で mount コマンドを入力する。 |
ローカルのファイルシステムを頻繁にマウントする | /etc/vfstab ファイルを使用して、システムがマルチユーザー状態でブートされたときに、自動的にファイルシステムをマウントする。 |
リモートのファイルシステムを頻繁にマウントする (ホームディレクトリなど) |
パフォーマンスを向上させるために、CacheFS ファイルシステムを使用してリモートのファイルシステムをキャッシュに書き込むこともできる。 |
ファイルシステムを含むメディアは、必要に応じてメディアをドライブに挿入し、volcheck コマンドを実行することによってマウントできます。リムーバブルメディアのマウント方法については、第 17 章「リムーバブルメディアの管理 (概要)」を参照してください。
ファイルシステムのマウントとマウント解除に使用するコマンド
表 39-1 に、ファイルシステムのマウントとマウント解除に使用する /usr/sbin ディレクトリ内のコマンドを示します。
表 39-1 ファイルシステムのマウントとマウント解除に使用するコマンド
コマンド名 | マニュアルページ | 説明 |
---|---|---|
mount | mount(1M) | ファイルシステムとリモートリソースをマウントする。 |
mountall | mountall(1M) | /etc/vfstab ファイルに指定されているすべてのファイルシステムをマウントする。マルチユーザー実行状態になるときに、mountall コマンドが自動的に実行される。 |
umount | mount(1M) | ファイルシステムとリモートリソースをマウント解除する。 |
umountall | mountall(1M) | /etc/vfstab ファイルに指定されているすべてのファイルシステムをマウント解除する。 |
mount と mountall の各コマンドは、不整合が認められた読み取り/書き込み用のファイルシステムはマウントしません。mount または mountall コマンドからエラーメッセージが表示される場合は、ファイルシステムをチェックする必要があります。ファイルシステムをチェックする方法については、第 42 章「UFS ファイルシステムの整合性チェック (手順)」を参照してください。
umount と umountall の各コマンドは、使用中のファイルシステムはマウント解除しません。ファイルシステムは、次の場合に使用中であるとみなされます。
ユーザーがファイルシステム内のファイルまたはディレクトリにアクセスしている場合
プログラムがそのファイルシステム上にあるファイルをオープンしている場合
ファイルシステムが共有されている場合
汎用マウントオプション
次の表に、mount -o オプションで指定できる汎用オプションを示します。複数のオプションを指定する場合は、コンマ (空白を入れない) で区切ります。たとえば、-o ro,nosuidのようになります。
各ファイルシステムタイプで指定可能なマウントオプションのリストについては、各マウントコマンドのマニュアルページ (mount_ufs(1M) など) を参照してください。
表 39-2 -o で指定する汎用マウントオプション
/etc/vfstab ファイルのフィールドの説明
/etc/vfstab ファイル内のエントリには、表 39-3 に示すように 7 つのフィールドがあります。
表 39-3 /etc/vfstab ファイルのフィールドの説明
フィールド名 | 説明 |
---|---|
device to mount | このフィールドは、次のいずれかを指定する。
|
device to fsck | 「device to mount」フィールドで指定した UFS ファイルシステムに対応する raw (キャラクタ型) デバイス名 (/dev/rdsk/c0t0d0s0 など)。このフィールドによって、fsck コマンドが使用する raw インタフェースが決まる。読み取り専用ファイルシステムやリモートファイルシステムなど、適用できるデバイスがない場合は、ダッシュ (-) を使用する。 |
mount point | デフォルトのマウントポイントディレクトリ ( /usr など) を指定する。 |
FS type | ファイルシステムのタイプを指定する。 |
fsck pass | fsck コマンドがファイルシステムをチェックするか決めるために使用するパス番号。このフィールドでダッシュ (-) を指定すると、ファイルシステムはチェックされない。 このフィールドに 0 が指定されている場合、UFS ファイルシステムはチェックされないが、フィールドに 0 より大きい値が指定されている場合に UFS 以外のファイルシステムはチェックされる。 このフィールドに 1 が指定されている場合、すべてのファイルシステムは vfstab ファイル内の順番どおりに 1 つずつチェックされる。このフィールドに 1 より大きな値が指定され、さらに preen (修復) オプション (-o p) が指定されている UFS ファイルシステムが複数ある場合、効率を最大限に高めるために、fsck コマンドは複数のディスク上のファイルシステムを自動的に並行してチェックする。それ以外の場合、このフィールドの値は意味を持たない。 |
mount at boot | システムのブート時にファイルシステムが mountall コマンドによって自動的にマウントされるかどうかを yes または no で設定する。このフィールドは AutoFS とは連動していないので注意すること。ルート (/)、 /usr、 /var のファイルシステムは最初は vfstab ファイルからマウントされない。これらのファイルシステムおよび /proc や /dev/fd などのような仮想ファイルシステムの場合、このフィールドは常に no に設定しなければならない。 |
mount options | ファイルシステムのマウントに使用されるオプションを (空白を空けずに) コンマで区切ったリスト。オプションなしを示すにはダッシュ (-) を使用する。汎用マウントオプションについては、表 39-2 を参照。 |
注 - /etc/vfstab ファイル内の各フィールドには必ずエントリが必要です。フィールドに値を指定しない場合は、必ずダッシュ (-) を入力してください。ダッシュを入力しないと、システムが正常にブートしない可能性があります。同様に、フィールドの値に空白文字を使用しないでください。