ロータス・エリーゼ「ライトウェイトスポーツの楽しさ」を知り辿り着いたクルマ

  • 信州サンデーミーティングで取材させていただいたロータス・エリーゼ

    ロータス・エリーゼ

クルマの性能を示す目安のひとつとして知られるのが『パワーウェイトレシオ』という数値だ。これは車重をエンジンの出力で割ったもので、同じ車重であればパワーが大きいほど、同じパワーであれば車重が軽いほどパワーウェイトレシオの数値は小さくなる。そして、簡単に言えば数値が小さいほどスポーツ性能が高いとされる。
ハイパワーを追求するのか?それとも軽さにこだわるのか?その嗜好は人それぞれだ。

そして、世界のスポーツカーメーカーの中でも、とくに“軽さ”にこだわったライトウェイトスポーツモデルを作り続けていることで知られるのがロータス社である。ここで紹介するのは、ライトウェイトスポーツの楽しさに目覚め、ロータス・エリーゼを選んだ『しなのじ』さんだ。

晩秋の青空に映える、鮮やかなイエローのマシンの正式車名は『ロータス・エリーゼ』。
「エリーゼスポーツⅡ(1.6L)をベースに、エアコンやオーディオなどの装備を廃止して、廉価版のベースグレードとして2017年にリリースされたモデルです。快適装備をすべて取り去って軽量化を追求していることから、このモデルは通称“ネイキッド”と呼ばれています。エリーゼの魅力をより手軽に、お手頃価格で多くの人に知ってもらえるように日本の正規販売元であるLCIのリクエストで実現したモデルらしいのですが、じつは2017年の発表から2ヶ月後に突然1.6Lエンジン搭載車が生産中止となってしまいました。というわけで日本にあるのは発表会での展示と試乗車として使われた1台のみで、その個体がLCIにあることを知り、23年3月に購入しました」

気になる車重は856kg。これがどれほどかと言うと、おなじオープンスポーツである現行ロードスターの最軽量モデルが990kg、漫画やアニメなどで軽いというイメージが定着しているAE86は900kg、現行のトールワゴンタイプの軽自動車などよりもずっと軽いと知れば、その凄さがイメージしやすいのではないだろうか。

ここで簡単にロータス・エリーゼの歴史と、各世代の特徴をまとめておくことにしよう。デビューした1996年から2001年までが第1世代。日本での車名は開発コードの111とされ、ローバー製の1.8Lエンジンを搭載していた。
2001年から2011年までが第2世代となり、フェイスデザインをはじめとしてエクステリアデザインがよりシャープなものに一新。2004年からはエンジンがトヨタ製2ZZ(1.8L)に変更されたことに伴って、国内でもエリーゼの車名となっている。

そして2011年からの第3世代は、ヘッドライトがウインカーと一体化されているのが外観上の特徴。しなのじさんの後期モデルでは、テールランプもそれまでの4灯タイプから2灯タイプに変更されている。エンジンバリエーションは1.6Lの1ZRと、1.8Lの2ZRでどちらもトヨタ製のユニット。1.8Lにはロータスの設計によるスーパーチャージャーを装着したハイパワーモデルもラインアップされていた。

実はオーナーのしなのじさんは、このネイキッドの他にも、同じく第3世代エリーゼのトップスポーツモデルであるカップ250も所有しているという。
「最初に購入したのはカップ250の方だったんです。私が運転免許を取って最初に購入したのがR32系のスカイラインGT-R。その後もR34系のスカイラインGT-R、そして再びR32に乗り換えて、当時は『これが生涯乗り続けるクルマだな』と思っていたんですね。けれど、そんな気持ちが大きく変わったのが6、7年前のことでした。マツダ・ロードスターやロータス・エリーゼに乗る機会があって、それまで知らなかったライトウェイトスポーツカーの操作に対するダイレクトさに驚いたわけです」

こうしてしなのじさんのカーライフは、一気にライトウェイトスポーツカーへと舵が切られることとなった。
「最初に購入したのはエリーゼの1.8Lスーパーチャージャー付きモデルで、2年ほど乗ってアルファロメオ4Cに乗り換えました。しかしロータスのハンドリングが忘れられず、4年前に増車というかたちで購入したのがエリーゼ250カップでした。これは、たまたまBMWのバイクを買いにいったお店に並んでいたものだったんですよね」といった経緯からも、2台目のエリーゼとの出会いはまさに運命的なものだったと言えるのだろう。

そして2023年には、このエリーゼ ネイキッドをさらに増車したということになるが、同じ車種を2台所有したいと思った理由が気になるところである。
「250カップは第3世代エリーゼの中でも最上級で、もっともパワフル(1.8L 250ps)なモデルですね。対してネイキッドは軽さに特化したベースモデル(1.6L 136ps)というわけで、同じ世代の両極端のポジションにあるエリーゼがどれほど違うのかを、自分自身で実際に確認してみたかったというのが理由なんです。ネイキッドはエアコンもラジオも付いていない廉価版ですが、内装などは安普請なことはなく、結論としてはとても満足しています」

  • 信州サンデーミーティングで取材させていただいたロータス・エリーゼ

    ロータス・エリーゼ

また、お話を伺っている中で興味深かったのは、ロータス・エリーゼの購入をきっかけに始めたSNSや動画配信サービスの存在だ。次第に仲間&ネットワークができていき、クルマと歩む人生が大きく広がったということだ。
もちろん、取材させていただいた『信州サンデーミーティング』当日の様子などもアップされている。

<しなのじさんのYouTubeチャンネル>
『ゆっくり走ろう信濃路を!』チャンネル

「SNSやオリジナル動画配信は、ロータスの楽しさをより多くの人に伝えたいと思って始めたものです。ドライブやイベントへの参加、サーキット走行会などにも積極的に参加しながら、オーナーならではの視点でロータスの魅力を伝えることを目指しています。今後はおそらく、エリーゼのようなガソリンエンジン搭載のライトウェイトスポーツモデルが登場することは期待し難いと思いますので、2台のエリーゼを大切に乗り続けながら、クルマという趣味を極めていきたいですね」と、熱く語ってくれた。

取材協力:信州サンデーミーティング
(⽂:川崎英俊 / 撮影:岩島浩樹)
[GAZOO編集部]

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