ランスの法則

教訓

ランスの法則とは

ランスの法則(Lance’s law)とは、物事が上手く進んでいるならば、余計な手を加えるべきではないとした教訓のこと。

1970年代、アメリカのカーター政権は、資金が必要な分野には投資をしないくせに、なにも問題が無いところに投資してばかりでした。
そんな政府の態度に、米行政管理予算局のバート・ランス局長が「壊れてないものを直すな」(If it ain’t broke, don’t fix it.)と雑誌インタビューで皮肉ったことがきっかけで「上手くいっていることに手を加えるべきではない」という教訓が生まれたとされています。

正確に言うと、この教訓はランスの発言以前にも存在していたのですが、ランスの発言で一気に世に広まりました。

 

法則うさぎ
法則うさぎ

上手く進んでいる時に限って、いろいろ手を加えたくなるんだよね・・

イトケン
イトケン

それ、上手く進んでるから、テンション上がって行動力マシマシになってるだけじゃん!

 

 

手を加えるリスク

企業や組織はその性質上、まったく新しいものを作り出すことよりも、既存の製品をより良いものに改良することを得意としています。
既に世の中に広く認知されている人気の食料品や飲料も、私たちの知らないところで、実は頻繁に改良され続けてきました。まさに企業努力の賜物というか、より良い商品を消費者に届けたいという企業の執念すら感じます。

しかしながら、いわゆる「改悪」と呼ばれる言葉もあるように、上手くいっている商品やサービスに手を加えたことで逆に問題を引き起こす場合もあります。
もちろん、これは商品やサービスに限った話ではありません。

・成功に向かっているプロジェクトの進め方を変えてしまう。
・大会を勝ち進んでいるサッカーチームの戦術を変えてしまう。
・街の人に愛される商店街のゆるキャラを変えてしまう。

上手くいっているものに手を加えたり変えようとすることには、それなりのリスクがあるとランスの法則は忠告しているわけです。

 

 

具体的な失敗例

コカ・コーラ社「New Coke」
コカ・コーラ社は1985年、従来のレシピを変更し、新たな味わいの「New Coke」を導入しました。しかし、従来の味わいに愛着を持っていた消費者からの反発が強く、わずか数ヶ月で従来の味に戻すという痛手を被りました。

マイクロソフト社「Windows 8」
マイクロソフトはWindows 8で従来のスタートメニューを大幅に変更し、タッチスクリーン対応の新しいインターフェースを導入しました。しかし、ユーザーの混乱や適応の難しさから、受け入れられずにWindows 10で従来のスタートメニューが復活しました。

Gap社「企業ロゴ」
2010年、Gapは従来のロゴを新しいものに変更しました。しかし、新しいロゴは古臭さを感じさせるものとして受け入れられず、わずか数日後に従来のロゴに戻すという事態になりました。

これらの失敗例は、成功している状況に無理に変更を加えた結果、ブランドイメージの低下やユーザー離れを招いたものです。成功の要因を大切にしつつ、変更を検討する際には慎重な判断が重要です。

ランスの法則の重要性と変更管理の難しさ

何事にも変更はつきものです。
世の中の変化に合わせ、柔軟に物事を変更していくことはとても重要です。

ここで慎重に考えなくてはいけないことは、上手くいっている物事にはそれなりの効果的な要素やバランスが存在しているということです。

むやみに変更を加えることは、そのバランスを崩す可能性があり、本来の良さを損なう可能性があります。例えば、ビジネスのプロセスがスムーズに進行している場合、新たな変更を導入する前にその影響を慎重に検討する必要があります。

 

 

ランスの法則の実践方法

評価と検討
上手くいっているプロジェクトやプロセスを定期的に評価し、改善の余地があるかどうかを検討します。変更が本当に必要かどうかを判断することが重要です。

リスク評価
変更を加える際には、その変更がもたらすリスクを評価します。成功の要因を壊す可能性がある変更は避けるべきです。

段階的な導入
変更が必要とされる場合でも、一度に大きな変更を行うのではなく、段階的な導入を検討します。これによって、影響をコントロールしながら変更を進めることができます。

ランスの法則は、上手くいっている状況に無理な変更を加えないことの重要性を強調しています。成功している要因を保ちながら、変更を行う際には慎重な検討とリスク評価が必要です。ビジネスや日常生活において、この法則を意識することで効果的な判断ができるでしょう。

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