毎日三千里 俳句一覧
「三千里」の旅で詠まれた碧梧桐の俳句を月別にご紹介。
今日何詠んだ?自分の誕生日に何詠んだ?を見てみましょう。
※碧梧桐は三千里の旅中、雑誌『日本及び日本人』に連載の「一日一信」と、雑誌『懸蒼』に連載の「旅中吟」に俳句を掲載していました。それらは『三千里』としてまとめられました。
※場所は、碧梧桐がその日の夜にいた場所であり、必ずしも俳句が詠まれた場所ではありません
参考図書:
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河東碧梧桐著『三千里(上)』『三千里(下)』講談社学術文庫
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河東碧梧桐著『続三里(上)『続三里(中)』』『続三里(下)』講談社
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河東碧梧桐著「続旅中吟」『懸葵』懸葵発行所 明治42年11月号~
更新状況:2024.3.17 三千里及び続三千里すべての俳句を掲載しました。(未校正)
1月1日
三千里(陸奥上北郡沢田村)M40
続三千里(出雲能義郡赤江)M43
続三千里(摂津宝塚)M44
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蔵め置きて家の宝の蒲団かな
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貧しさのやもめ蒲団を著せ申す
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持ち去る事勿れと塾の蒲団かな
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端よごれせし侘しさや絹蒲団
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俳句無し
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俳句無し
1月2日
三千里(陸奥上北郡沢田村)M40
続三千里(出雲能義郡赤江)M43
続三千里(摂津宝塚)M44
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風呂立つと又た言伝や寒の入り
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鮭鱒の孵化のさかりや寒の入
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股榾の股こがり雪や焔々裏
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染めやうを抓み布など榾埃
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榾主が火遁の詭弁弄ぶ
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積榾の藪の雪蹼ある鳥が
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古碑の里にうつくし妻が宿榾や
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飼猿が智惠榾や鉈かくしたり
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建て好みして庭冬木茸見る日
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信心の削り冬木や腕塚に
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宮冬木砂持の通ふ道となり
1月3日
三千里(陸奥上北郡沢田村)M40
続三千里(出雲安来)M43
続三千里(摂津宝塚)M44
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俳句無し
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旗手山の松寒し裸山の中
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俳句無し
1月4日
三千里(陸奥上北郡沢田村)M40
続三千里(出雲能義郡赤江)M43
続三千里(摂津大阪)M44
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俳句無し
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箇条論に置娼の一つ返り咲く
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避難港にかゝる旗亭や返り花
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有徳者に後妻の狂い咲く花か
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一封は遺書一封は何返り花
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返り咲くや埋葬地悔ゆ詣る毎に
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返り咲く梨も木仕立てによることか
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俳句無し
1月5日
三千里(陸奥上北郡沢田村)M40
続三千里(出雲能義郡赤江)M43
続三千里(摂津大阪)M44
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煤水に海鼠雑巾氷りけり
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煤掃や鱗鳳閣は古本屋
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煤を掃く日に織りつまる機のあり
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餅臼に杵のあらぬや煤払
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煤掃の焚火や竹の爆く音
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首尾を裁つ添削の文は海鼠かな
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客の知る橘酒と別に海鼠だためり
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海中の木醂しに下がる海鼠かな
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俳句無し
1月6日
三千里(陸奥野辺地)M40
続三千里(出雲安来)M43
続三千里(摂津大阪)M44
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俳句無し
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俳句無し
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俳句無し
1月7日
三千里(陸奥野辺地)M40
続三千里(出雲能義郡赤江)M43
続三千里(摂津大阪)M44
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股凹に燃えべりのして根榾かな
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鷲の羽を宿の箒や榾埃
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物積んで奥ある家や榾明り
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若者をどやす榾火のあるじかな
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家ぢうを烟らす風の榾火かな
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俳句無し
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俳句無し
1月8日
三千里(陸奥野辺地)M40
続三千里(出雲能義郡赤江)M43
続三千里(摂津大阪)M44
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吹きまはす浦風に霰霙かな
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帆渡りの島山颪霰かな
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カラ/\な藻草に溜る霰かな
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晴れつゞく今日に片時の霰かな
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足さながら駕籠を落ち行く時雨かな
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しぐるゝや余談に当時秘めしこと
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蓮月を時雨小寺に据ゑしとも
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茎洗ひの刃物を誰か井柱に
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莖洗ふ家ならひ干棗ある
1月9日
三千里(陸奥野辺地)M40
続三千里(出雲能義郡赤江)M43
続三千里(摂津大阪)M44
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翁を擁して湖南の衆の餅搗きぬ
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機仕舞ふ一間広さや餅莚
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市の日の餅搗ほがら音すなり
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梅三分咲く餅搗の日取かな
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俳句無し
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俳句無し
1月10日
三千里(陸奥野辺地)M40
続三千里(伯耆堺)M43
続三千里(摂津大阪)M44
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鼻焦がす炉の火にかけて甲羅酒
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鳶烏咬み合へる落つ田の氷
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山の雪にまぶれ来て渡る氷かな
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闃として砕氷船も横はる
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あら寒き縄手になりぬ田の氷
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俳句無し
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俳句無し
1月11日
三千里(陸奥野辺地)M40
続三千里(伯耆堺)M43
続三千里(摂津大阪)M44
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千百里漂ひ来る海鼠かな
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海鼠の句覚えある君に邂逅す
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古への冕の形を海鼠かな
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海鼠突き大凡の数を読みけり
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埋もりもせずよ沙上の海鼠かな
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俳句無し
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俳句無し
1月12日
三千里(陸奥野辺地)M40
続三千里(伯耆堺)M43
続三千里(摂津大阪)M44
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何処来て里に落ちたる吹雪かな
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一幅の枯蘆も見ゆ水滸伝
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雲模様ふゞくにや山のたゝずまひ
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休む間にふゞきつのりぬはたと止む
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灯台を見し戻りなる吹雪かな
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望み絶えし吹雪に便りある日かな
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防戦に焼かれし村や芦枯るゝ
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堆きの沙の寄りけり芦枯れて
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草枯の長づつみ蜜柑山のあり
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草枯や奇しくもニスの染まり雨
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草枯れて桀狗の尻や鉈尖り
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俳句無し
1月13日
三千里(陸奥野辺地)M40
続三千里(出雲松江)M43
続三千里(摂津大阪)M44
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灯台に双棲の君や鳴く千鳥
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女名を呼ぶ岩のあり鳴く千鳥
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日頃寄せぬ港がゝりや鳴く千鳥
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千鳥鳴けばいつもの夜着を掛るなり
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灯あか/\と会すれば千鳥鳴くといふ
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俳句無し
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芝枯れし生垣の内外椿あり
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綱敷天神松生えず芝の枯れ/\に
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枯芝の奈良を見て宇治に宿る雪
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瀧見臺鋸屑埋む芝枯れて
1月14日
三千里(陸奥野辺地)M40
続三千里(出雲松江)M43
続三千里(摂津大阪)M44
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沼移りしてつどひをる鴨小鴨
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老境を争ひかねて懐炉かな
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不覚なる病に寝じと懐炉かな
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毎日に暦見る老が懐炉かな
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いつよりか温石先生といはれけり
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腹にする懐炉と貧の財布かな
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松濃きに芦枯れて鴨遊びけり
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沼に落る星を見やるや鴨の声
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水鳥や両河の注ぐ洲のあたり
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凩の山裏紅葉温泉烟に
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俳句無し
1月15日
三千里(陸奥野辺地)M40
続三千里(出雲八束郡持田村)M43
続三千里(摂津大阪)M44
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われがよに炭焚く客はありそもな
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摂生の俳諧境や蕪汁
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親のよな頭巾着るよな顔をして
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亭の名を夏季に思ふや置火燵
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鮫汁に昆布なめらかな凝りやう
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煮凝や七五三の祝ひの箸始
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湖泊りせし夜日暈を思ふ冴ゆ
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月明りに幻影の鷄の羽色冴ゆ
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君の絶つも償ふことの冴ゆるなり
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日々涸れて神慮に返る水や冴ゆ
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櫃の見る目甕のいふ口を冴ゆるなり
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幢幡に冴ゆる灯や風の裏返す
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俳句無し
1月16日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(伯耆境)M43
続三千里(播磨兵庫)M44
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俳句無し
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馬場の内無き茶屋幟冬田かな
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鳥網場の墓所山裾や水冬田
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兄の山に諺の弟の冬田かな
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鴨つきし裏田にいつの松こけて
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俳句無し
1月17日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(伯耆境)M43
続三千里(淡路洲本)M44
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君淋しと思ふ頃われも寒さかな
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炉に足を落すを何の合図かな
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炉話のそれとなく袂文や知る
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爐話にいつもの里諺活きて吐く
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俳句無し
1月18日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(出雲玉造温泉)M43
続三千里(淡路洲本)M44
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葬ひの被衣古風な寒さかな
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雪荒れのせし日を雨に梅花見る
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旅痩の髭温泉に剃りぬ雪明り
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俳句無し
1月19日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(出雲玉造温泉)M43
続三千里(淡路洲本)M44
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楯に似し岩めぐり鳴くは千鳥かや
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俳句無し
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俳句無し
1月20日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(出雲三刀屋)M43
続三千里(山城京都)M44
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八珍の九鼎の食の冬籠
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安足袋と言はるれど行田縫目かな
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指詰りする足袋一つ持ち古りて
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組足袋も義足の主の褄ずれや
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白足袋の故となく僧めきて見ゆ
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舟になれし上陸もいそと足袋晴れて
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俳句無し
1月21日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(出雲三刀屋)M43
続三千里(山城京都)M44
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俳句無し
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冬川と水塚や処一の宮
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冬川に打つ兎蓬食みしにや
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山迫る藪つゞき砂川の冬
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俳句無し
1月22日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(出雲三刀屋)M43
続三千里(山城京都)M44
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俳句無し
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俳句無し
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俳句無し
1月23日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(出雲三刀屋)M43
続三千里(山城京都)M44
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俳句無し
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俳句無し
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俳句無し
1月24日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(出雲三刀屋)M43
続三千里(山城京都)M44
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俳句無し
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軍容を鳴る瀬大河や冬の月
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峯下りしは主僧追ふ事よ冬の月
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寒月や雪束の間の罠獲物
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俳句無し
1月25日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(出雲三刀屋)M43
続三千里(海上十一宇和島)M44
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後仕手に浪の鼓や雪曇
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菊枯れて枝瘤見せつ梨棗
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砂明りせし垣さし出菊枯れて
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菊枯れて始めて据ん石を得つ
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柑子の下菊枯るゝ蘭もやたら植ゑ
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俳句無し
1月26日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(出雲三刀屋)M43
続三千里(伊予松山?)M44
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針山をかりて夫婦が避寒哉
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海明し避寒の宿の山丸し
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汝が事に操りの役や冬籠
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冬籠りあへず啓蒙の閃めきに
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俳句無し
1月27日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(出雲三刀屋)M43
続三千里(伊予松山?)M44
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縋り乗る避寒の宿の馬かりて
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防風林風致を添ふる避寒かな
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並松も南下りや返り花
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俳句無し
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俳句無し
1月28日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(出雲三刀屋)M43
続三千里(伊予松山?)M44
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俳句無し
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布団好みする我と誤てるさへ
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庫裏の烟漲るに運ぶ蒲團かな
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俳句無し
1月29日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(出雲三刀屋)M43
続三千里(伊予松山?)M44
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俳句無し
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木賊原に庭作る白山茶花や
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山茶花や木なし堤を宮に下りて
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俳句無し
1月30日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(出雲三刀屋)M43
続三千里(伊予松山?)M44
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俳句無し
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俳句無し
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俳句無し
1月31日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(出雲三刀屋)M43
続三千里(山城京都)M44
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俳句無し
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俳句無し
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遠洲好みの庭とや瘤木春淺し
1月
2月1日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(出雲三刀屋)M43
続三千里(山城京都)M44
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漁師雇ふ判もすみけり春を待つ
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温泉の匂ひ衣に染む程や春隣り
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種揃へしておこすなり春隣
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春待や宿痾に堪へて憂ふ事
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論に似し長き文来る春隣
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春待て好事家と雛問答かな
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春待や何書を見ても得る所
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瓶の酒尽きざらん春隣ればや
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汐烟に解けし雪汁染みにけん
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紙所の千鳥の歌のクドキ振り
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放牧の洲濱の千鳥岩黒に
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俳句無し
2月2日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(出雲杵築)M43
続三千里(山城京都)M44
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俳句無し
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魚肥寐かす洲寄り冬木に猫もゐて
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下萌の埒新た酪婦搾り捨つ
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下萌の明神社洞に汐鳴れり
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地に埋めし博士が壷や下萌えて
2月3日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(出雲杵築)M43
続三千里(山城京都)M44
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鱈汁を祝ふ鍬鍛冶祭りかな
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幕垂れし内や吹革の祭り棚
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吹革祭秀真が鋳型何ならん
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遠方の鍬主見えぬ鍛冶祭
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御櫛笥あるに寒梅匂ふらん
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海辺山に武者の絵や初雷の句意
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初雷や此著ある善隣の學
2月4日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(出雲杵築)M43
続三千里(山城京都)M44
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浦人や鯨の油幾日汲む
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鯨より沖漕ぐ日あり鯨舟
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今は絶えて鯨見ぬよし答へけり
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銛打て綱の命毛今や絶つ
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俳句無し
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慈姑など葭も忘れ芽淀春田
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首洗ひ井の森や春田落る水
2月5日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(出雲杵築)M43
続三千里(山城京都)M44
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俳句無し
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俳句無し
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親木ありと桑海の変を椿山
2月6日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(石見温泉津)M43
続三千里(山城京都)M44
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俳句無し
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俳句無し
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俳句無し
2月7日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(石見温泉津)M43
続三千里(山城京都)M44
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俳句無し
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俳句無し
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俳句無し
2月8日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(石見浜田)M43
続三千里(山城京都)M44
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俳句無し
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俳句無し
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四隣より掘り捨つる藪や梅見えて
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梅に下りて鉱山過ぎざりし悔のあり
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梅林跡なきを臥牛崗の寺
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江に洗足戎衣も脱がん梅の宿
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欞子など市に買ふ梅の主見る
2月9日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(石見浜田)M43
続三千里(山城京都)M44
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立春大吉と堂々と書して送りけり
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俳句無し
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暖かや売主の損に馬毛刈りぬ
2月10日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(石見益田町)M43
続三千里(山城京都)M44
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袖狭きも知らず奥人綿子かな
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雪消しの頃まで一つ綿子かな
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綿入の肩あて尚も鄙びたり
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喜ばしき時も淋しや置火燵
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俳句無し
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山霞む山にも運河紀念林
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三尺松鉢よきも見出づ昼霞
2月11日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(石見鹿足郡日原村)M43
続三千里(山城京都)M44
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棚落ちて立つ庖丁や年の暮
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封と共に裂ける手紙や年の暮
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俳句無し
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俳句無し
2月12日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(石見鹿足郡日原村)M43
続三千里(山城京都)M44
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俳句無し
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酒に挿せし梅を寿翁の座右にこそ
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墓所に下りし鳶見る日凧も遠き空
2月13日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(石見津和野町)M43
続三千里(山城京都)M44
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俳句無し
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俳句無し
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枸杞芽を摘む恋や村の教師過ぐ
2月14日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(長門萩)M43
続三千里(山城京都)M44
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雪を語り雪を品する話頭かな
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俳句無し
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俳句無し
2月15日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(長門萩)M43
続三千里(山城京都)M44
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俳句無し
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俳句無し
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城中の雨意島原や春の海
2月16日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(長門深川温泉)M43
続三千里(山城京都)M44
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故里の物を歳暮の返しかな
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学問に足らはぬ物を歳暮かな
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俳句無し
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朧夜やしさり出て黙暗誦の詩
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鶚鮓を探ねずや春の海邊行く
2月17日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(長門下の関)M43
続三千里(山城京都)M44
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論争の余焔をさます蕎麦湯かな
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蕎麦湯する背ろの音は鼠かな
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俳句無し
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古き市の名残住む濠や帰る雁
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雁去つて簀ほとりの家鴨雁鳴きす
2月18日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(長門下の関)M43
続三千里(山城京都)M44
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俳句無し
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春寒く賜杯の祝ひ舟を泛ぶ
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蝶螺山の春寒し柑子江に照りて
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肥料痩せをだまし葉もことし春霜に
2月19日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(長門下の関)M43
続三千里(山城京都)M44
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俳句無し
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迷宮の刻字とぞ春雁の聨伝ふ
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灰や撒きし田水かぶりの雁名残
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赴任ながら雁の行方の微行かな
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被り雲の峯すべりや東風かへす朝
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樓一二の名も今の世や江の一柳
2月20日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(長門下の関)M43
続三千里(山城京都)M44
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炉の灰の降るに硯をいとひけり
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俳句無し
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砂利とるは冬つぎ業に白魚簗
2月21日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(長門下の関)M43
続三千里(山城京都)M44
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俳句無し
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麩の色も想ひ出や斎の海苔の味
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俳句無し
2月22日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(長門下の関)M43
続三千里(山城京都)M44
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牛吼をする犬のをる雪囲ひ
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をろしたる雪磊塊と雪囲ひ
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雪囲ひして八師団倉庫かな
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雪囲ひ燃えなんとせし怪火かな
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散り布きし桃の上に雨の音あらん
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男山に祈ること梅に靄晴れて
2月23日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(長門下の関)M43
続三千里(摂津大阪)M44
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俳句無し
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踏みもあゑぬ雪解けて赦免ある日かな
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里平方先づ劃す井田雪解かな
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俳句無し
2月24日
三千里(海上陸奥丸)M40
続三千里(長門下の関)M43
続三千里(河内柏原)M44
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横著を乾鮭の口でいうて去る
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俳句無し
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俳句無し
2月25日
三千里(渡島函館)M40
続三千里(長門下の関)M43
続三千里(河内富田林)M44
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俳句無し
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再びせぬこの渡り凧も鳴る空や
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凧場近う勧農の翁迎へけり
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凧會のさかる見る船出又た延びぬ
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俳句無し
2月26日
三千里(海上十勝丸)M40
続三千里(長門下の関)M43
続三千里(大和奈良)M44
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俳句無し
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俳句無し
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直ぐな松の立つ神の井に梅添ひて
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大和への五十町梅は未だならん
2月27日
三千里(海上十勝丸)M40
続三千里(筑前八幡)M43
続三千里(大和奈良)M44
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俳句無し
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俳句無し
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俳句無し
2月28日
三千里(根室根室)M40
続三千里(筑前八幡)M43
続三千里(大和奈良)M44
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かねて見し不折の筆の梅があり
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灯照らせば灯に微妙音涅槃かな
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涅槃像をあらは天草民家かな
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俳句無し
2月
3月1日
三千里(根室根室)M40
続三千里(筑前小竹)M43
続三千里(紀伊学文路)M44
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俳句無し
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艶話など罪許る端に朧なる
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所菜も温泉漬の味や朧夜に
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山陰去りあへず山陽の文朧夜に
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北よりす果て南人や待つ朧
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俳句無し
3月2日
三千里(根室根室)M40
続三千里(筑前小竹)M43
続三千里(紀伊高野山)M44
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灯台の人も岩海苔搔く日かな
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岩海苔にかゝるゝ貝の蘇枋かな
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島海苔を太布のやうに畳みけり
-
海苔汲みは汐汲女にや塩烟
-
掛け初めし昆布も春なり海苔を干す
-
灸にかへて持薬に戻る春浅き
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蝦はぢく掻藻の弦音春浅き
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春浅き水郷の神か礫森
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獄中講書司獄勧めぬ春浅き
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俳句無し
3月3日
三千里(根室根室)M40
続三千里(筑前小竹)M43
続三千里(紀伊高野山)M44
-
俳句無し
-
俳句無し
-
俳句無し
3月4日
三千里(根室根室)M40
続三千里(筑前博多)M43
続三千里(紀伊高野山)M44
-
耕牛の晩帰を家鴨鳴きにけり
-
俳句無し
-
俳句無し
3月5日
三千里(根室根室)M40
続三千里(筑前博多)M43
続三千里(海上扶桑丸)M44
-
春の水古芝網にかゝりけり
-
俳句無し
-
俳句無し
3月6日
三千里(根室根室)M40
続三千里(筑前博多)M43
続三千里(紀伊田辺)M44
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囀や春菊一花珠光る
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囀や子安地蔵の高い木に
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囀や綺語にも残る山と水
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囀や閭に凭る少婦見る時に
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裏富士の囀る上に晴にけり
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磯岩に飛び岩の鵜も余寒かな
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酔うて書きしも文意透徹春寒し
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椽をありく鳩にも落花思ひ見る
3月7日
三千里(根室根室)M40
続三千里(筑前博多)M43
続三千里(紀伊田辺)M44
-
俳句無し
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雉鳴くや谷の尾慼む丘たゝみ
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雉鳴くや鍬目もかほど口大野
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雪も處々樺の枝鳴りを立つ雉か
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躑躅甘き香の靄晴れを雉鳴て
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雉鳴くや八つ晴れ機の山秩父
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俳句無し
3月8日
三千里(根室根室)M40
続三千里(筑前博多)M43
続三千里(紀伊田辺)M44
-
雪解水書架の上より流れけり
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橋柳と見るに塚木や札の立つ
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柳筆など木母寺にあるなるべし
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やがて住むと柳堤も見榮えせり
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梅柳身は飛梅の名残とも
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俳句無し
3月9日
三千里(根室根室)M40
続三千里(筑前博多)M43
続三千里(紀伊田辺)M44
-
俳句無し
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史微闡けて洞窟聞ゆ霞かな
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天の鳥船のことも出雲野霞かな
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俳句無し
3月10日
三千里(根室根室)M40
続三千里(筑前博多)M43
続三千里(紀伊湯崎温泉)M44
-
寐牛とも石とも見えて草萌る
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下萌や石置いて亭を営むと
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四蹄白の二歳たのもし草萌る
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何の矢の羽含む土や草萌る
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雛の日の寄り昆布長がを結はん物
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道中雛右富士の松むら立てる
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紙礫打たれん雛が下座にゐて
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雛立てゝ見まさるを言ひ淀まずも
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俳句無し
3月11日
三千里(根室根室)M40
続三千里(筑前博多)M43
続三千里(紀伊田辺)M44
-
熊坂の雛ゆゝしさや能衣裳
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右近桜あれど守る雛なかりけり
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うらゝかや教へも倦まで遊ぶ時
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わしが城と川舟唄もうらゝかに
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迎合の説にも敷衍うらゝにす
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隨意散歩許りて綱引もうらゝなる
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三韓を壓すものうらゝ帆印も
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俳句無し
3月12日
三千里(根室根室)M40
続三千里(筑前糸島郡芥屋)M43
続三千里(紀伊田辺)M44
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上解けの氷に藻草緑なり
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流氷のいつ戻りけん冴え返る
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暖潮の押し勝つ汐の流れかな
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名匠に待つ月日水も温む頃
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借り主の分取り犢や水温む
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孳け日割追はるゝを水温む主
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木蓮が蘇鉄の側に咲くところ
3月13日
三千里(根室根室)M40
続三千里(筑前博多)M43
続三千里(紀伊西牟婁郡近露村)M44
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この牧の馬売られけり鳴雲雀
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埒越えて飛ぶ馬もあり鳴く雲雀
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牧場にせよと野に鳴く雲雀かな
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雲雀の句野に住む人の所望かな
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麦の中菜種横野の人馬かな
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俳句無し
-
俳句無し
3月14日
三千里(根室根室)M40
続三千里(筑後大牟田)M43
続三千里(紀伊東牟婁郡峰湯)M44
-
俳句無し
-
俳句無し
-
俳句無し
3月15日
三千里(根室根室)M40
続三千里(筑後大牟田)M43
続三千里(大和十津川村字神下瀞)M44
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ふぐり重き病なりしが冴返る
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竜鱗の片影雲の冴返る
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俳句無し
-
俳句無し
3月16日
三千里(根室根室)M40
続三千里(筑後八女郡黒木)M43
続三千里(紀伊新宮)M44
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一番の渡り漁師や雪解風
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浦風や雪解なぐれの寄り昆布
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俳句無し
-
俳句無し
3月17日
三千里(根室根室)M40
続三千里(肥前佐賀)M43
続三千里(紀伊新宮)M44
-
俳句無し
-
春山や艾処の軒端なる
-
春山處々の岩あらは音もなき流れ
-
俳句無し
3月18日
三千里(根室根室)M40
続三千里(長門下関)M43
続三千里(紀伊新宮)M44
-
俳句無し
-
俳句無し
-
俳句無し
3月19日
三千里(根室根室)M40
続三千里(肥前長崎)M43
続三千里(紀伊新宮)M44
-
横額に煙浦の帰雁とぞ見ゆる
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賑やかな町に寺ある柳かな
-
俳句無し
-
俳句無し
3月20日
三千里(根室根室)M40
続三千里(肥前長崎)M43
続三千里(紀州木ノ本)M44
-
大きなる港に作る霞かな
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熊の来て牛闘ひし霞かな
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岩燕鳴く靄晴水の虹見えて
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三名城の一に人馬を飛ぶ燕
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燕下りて凪を語ると塩田人
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戦場が原の風岩燕颺る空
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俳句無し
3月21日
三千里(根室根室)M40
続三千里(肥前長崎)M43
続三千里(志摩鳥羽)M44
-
俳句無し
-
俳句無し
-
俳句無し
3月22日
三千里(根室根室)M40
続三千里(肥前長崎)M43
続三千里(志摩鳥羽)M44
-
俳句無し
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大音寺山吹に黄楊や刈るを見し
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俳句無し
3月23日
三千里(根室根室)M40
続三千里(肥前長崎)M43
続三千里(志摩鳥羽)M44
-
初午や古き伝へえ廓稲荷
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初午や室町辺も鳴る太鼓
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酒鬼の口のいらとかはくに山を焼く
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山姥や山焼くあとの草乳を
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ひもろぎの火も借る兒や山焼衆
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俳句無し
3月24日
三千里(根室根室)M40
続三千里(肥前長崎)M43
続三千里(志摩鳥羽)M44
-
淡雪や氷跡なき湖の上
-
淡雪や蚕神祭の幟立つ
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一しきり蟹とるゝ海や春の雪
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俳句無し
-
俳句無し
3月25日
三千里(根室根室)M40
続三千里(肥前長崎)M43
続三千里(伊勢古市)M44
-
俳句無し
-
俳句無し
-
俳句無し
3月26日
三千里(根室根室)M40
続三千里(肥前長崎)M43
続三千里(伊勢古市)M44
-
蕨食うて兎毛変りしたりけり
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蓑笠と干しある物は蕨かな
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汝獄卒と憐む旅や雉の声
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磧石飛び草模様行く雉子
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軍用に石取りぬ荒墟鳴く雉子
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雉鳴くや双捿の教化日記にす
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直ぐな馬場も柑子の神と囀れる
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囀や梛の熊野に桃李園
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春の風九里峽二十五里奥のあり
3月27日
三千里(根室根室)M40
続三千里(肥前長崎)M43
続三千里(伊勢古市)M44
-
貝を生けし笊沈めしが水ぬるむ
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蜻蛉虫おぞき這ひけり水温む
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井戸水に蠛見えそめ温みけり
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朝寐する異な旅人や温む水
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礎に門と見る大樹春日かな
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奉額の網を搏つ旗春日かな
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俳句無し
3月28日
三千里(根室根室)M40
続三千里(肥前長崎)M43
続三千里(伊勢松坂)M44
-
山焼けば狐のすなる飛火かな
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焼野来し川風に乗る渡しかな
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火のがれをせし野の狐狸が談議かな
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蝦夷に渡る蝦夷山も亦た焼くる夜に
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土人住む尺地もなげに焼野かな
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俳句無し
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花の歌の三十六鈴の主
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伊勢大観宣長山や鳴雲雀
3月29日
三千里(根室根室)M40
続三千里(肥前佐賀)M43
続三千里(伊勢津)M44
-
船卸しせし旗の上や凧の数
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牧場の柵に上るも凧場かな
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凧の絵の青黛鎗の権左かな
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菜の花や軍談智恵の固め藪
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菜の花を畫かばや酒銘ふさはしき
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吃り癒え易く菜の花に外出の日
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俳句無し
3月30日
三千里(根室根室)M40
続三千里(肥前唐津)M43
続三千里(大和月ノ瀬)M44
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奇瑞なる白雉の年の大赦かな
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難所なる蠑螺上りや雉の声
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雉罠にかゝりしを狐食みにけん
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雉子塚残りて野人哀れめり
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俳句無し
-
伐り残る梅と思ふに山も禿げて
3月31日
三千里(根室根室)M40
続三千里(肥前伊万里)M43
続三千里(近江日野)M44
-
俳句無し
-
俳句無し
-
俳句無し
3月
4月1日
三千里(根室根室)M40
*
続三千里(近江大津)M44
-
俳句無し
*
-
俳句無し
続三千里(肥前佐世保)M43
-
俳句無し
4月2日
三千里(根室根室)M40
*
続三千里(近江大津)M44
-
俳句無し
*
-
俳句無し
続三千里(肥前佐世保)M43
-
埋立碑の築地崩れや芦の角
-
齒も染めぬ芦の角髪藻垂れ鬢
4月3日
三千里(根室根室)M40
*
続三千里(近江大津)M44
-
俳句無し
*
-
俳句無し
続三千里(肥前佐世保)M43
-
情事話頭に兵塵想ふこの柳
4月4日
三千里(海上釧路丸)M40
*
続三千里(近江彦根)M44
-
客として珠履を躡み出づ雪解哉
-
南方にホ句の浄土の霞かな
*
-
俳句無し
続三千里(肥前長崎)M43
-
俳句無し
4月5日
三千里(海上釧路丸)M40
*
続三千里(美濃江崎)M44
-
客として珠履を躡み出づ雪解哉
-
南方にホ句の浄土の霞かな
*
-
俳句無し
続三千里(肥前長崎)M43
-
この印綬父老知らず草霞
4月6日
三千里(釧路釧路)M40
*
続三千里(美濃江崎)M44
-
俳句無し
*
-
蝶そゝくさと飛ぶ田あり森は祭にや
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花高かりし籔の道蝴蝶群れて
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渡臺紀念の紅竹や蝶も針したり
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海札所畑貝殼の飛ぶ蝶か
続三千里(肥前長崎)M43
-
鶯や峡の戸なりし飛山に
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鶯の附け親の廃たれ尚ほ愛でし
4月7日
三千里(釧路釧路)M40
*
続三千里(美濃江崎)M44
-
薮の中の家の花見ゆ春の月
-
姉沼の謂ればし知る朧月
*
-
俳句無し
続三千里(肥前長崎)M43
-
木薊の枝照りを小松野に出でゝ
4月8日
三千里(釧路釧路)M40
*
続三千里(美濃江崎)M44
-
あらはなる岩に虎杖林かな
-
虎杖やガンビ林の一部落
-
焼石に虎杖角を出しけり
-
虎杖や古屯田の墓所構
*
-
狐狸を徳とす藪主に草餅日あり
続三千里(肥前長崎)M43
-
餅蓬も雪交り摘みし首途かな
-
草餅や鎌事が坐右に日反る物
4月9日
三千里(十勝河西郡芽室村)M40
*
続三千里(美濃江崎)M44
-
俳句無し
*
-
衣冠思へば皆春風の熊野落
-
春風の鸚鵡石吉備津遊女等が
-
磧兎を撲つためし桑に摘む蓬
-
草餅や地多酒と此地青年と
-
かゝる住居も傾斜果園や梅もあり
続三千里(肥前長崎)M43
-
俳句無し
4月10日
三千里(石狩落合)M40
*
続三千里(美濃江崎)M44
-
俳句無し
*
-
瀬全き水となり伊吹落つ燕
-
蟲糞の桑春風の藪ほてり
続三千里(肥前長崎)M43
-
酒ざゝんざ金比羅雨の凧潰れ
4月11日
三千里(石狩旭川)M40
*
続三千里(美濃江崎)M44
-
炉畳みのはみいづる藁を侘にけり
-
木像の眼の射る我炉塞ぎけり
-
駅鈴をしばきく日なり炉塞ぎぬ
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三つの炉の榾炉はいつか焚ずなりぬ
*
-
厄介一茶來て燕も巢にをる日
続三千里(肥前長崎)M43
-
俳句無し
4月12日
三千里(石狩旭川)M40
*
続三千里(美濃江崎)M44
-
門いづこ家ある池や蘆の角
-
蘆芽ぐみ水満ち漁網新たなる
*
-
俳句無し
続三千里(肥前長崎)M43
-
俳句無し
4月13日
三千里(石狩旭川)M40
*
続三千里(美濃江崎)M44
-
屯田の父老の家のかすみけり
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春雨や何彫る君の不退転
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井田のベベツ小村や春の雨
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春雨や諸国荷船の苫の数
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種馬につけにやりけり春の雨
*
-
俳句無し
続三千里(肥前長崎)M43
-
俳句無し
4月14日
三千里(石狩旭川)M40
*
続三千里(美濃江崎)M44
-
俳句無し
*
-
俳句無し
続三千里(肥前長崎)M43
-
洗足は雨溜め水か鳴く蛙
4月15日
三千里(石狩旭川)M40
*
続三千里(美濃江崎)M44
-
俳句無し
*
-
入り口は日永大和を山河内
-
何を遠目海辺歩測を日永人
-
棕梠葉刈も夏めきぬ峡の日永鷄
続三千里(肥前長崎)M43
-
俳句無し
4月16日
三千里(石狩深川)M40
*
続三千里(美濃江崎)M44
-
俳句無し
*
-
戰機失せしも兄弟の情日は永し
続三千里(肥前長崎)M43
-
岬宮の芽芝青きを汐干きし
4月17日
三千里(石狩札幌)M40
*
続三千里(美濃江崎)M44
-
貸家に厩あるなり落椿
-
忠魂堂塔中にある椿かな
-
椿谷蛇の池ありて山路かな
*
-
俳句無し
続三千里(肥前宇久島神ノ浦)M43
-
魚活けて我待てばけふも/\東風
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石垣住居する家の花に楪が
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舟行百里と碑林の記にも春の水
4月18日
三千里(石狩札幌)M40
*
続三千里(美濃江崎)M44
-
ふためきて蚕掃きしが別れ霜
-
春霜や接台植うる蜜柑山
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根ッ子焼く烟絶えずよ春の霜
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掛け昆布や霜の名残の三棹程
*
-
俳句無し
続三千里(肥前佐世保)M43
-
鰭魚より口魚を獺の祭りやう
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獺魚を祭る三湖の岩いづれ
-
浪ずれにともる藻か獺の祭寒む
4月19日
三千里(石狩札幌)M40
*
続三千里(美濃江崎)M44
-
俳句無し
*
-
大凧の威張れり森の鬨聞ゆ
-
からげヨマの鹵獲など凧の陣撤す
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さぐり凧をあしらう上手帶屋凧
続三千里(肥前長崎)M43
-
俳句無し
4月20日
三千里(石狩札幌)M40
*
続三千里(美濃江崎)M44
-
いち遅き船も卸しぬ青を踏む
-
当代の文君見ばや青を踏む
*
-
藤樹書院は宮境内か水温む
-
堅田までは水温む魞も汲みつ來て
続三千里(肥前長崎)M43
-
春の夜や長汀を行く曲浦の灯
4月21日
三千里(石狩札幌)M40
*
続三千里(美濃江崎)M44
-
黄金なす病む蚕哀む掌
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蚕糞捨てる芍薬園や伝習所
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釘責めて蚕棚作りやまだきより
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四眠起三立て四立てになりにけり
*
-
五島戻れば港奥ある夕柳
-
湖の水引濠の柳湖畔より
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造船所柳や官舎花まだき
続三千里(肥前島原東有家村)M43
-
俳句無し
4月22日
三千里(石狩札幌)M40
*
続三千里(美濃江崎)M44
-
俳句無し
*
-
御手植の鍬と扈従や鳴雲雀
-
鳴く雲雀宮を三巻の縄綯へり
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伊勢大觀宣長山や鳴く雲雀
続三千里(肥前島原東有家村)M43
-
潜水夫の喞筒の音にや月朧
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月朧網捨石に飛ぶ鯔か
-
鳴く蛙囚屋移りて濠のあり
4月23日
三千里(石狩札幌)M40
*
続三千里(美濃江崎)M44
-
俳句無し
*
-
俳句無し
続三千里(肥前島原)M43
-
俳句無し
4月24日
三千里(後志小樽)M40
続三千里(甲斐御嶽昇仙橋)M42
続三千里(美濃江崎)M44
-
閘門を藻草閉ぢけん汐干かな
-
俳句無し
-
庭杉菜刈る遅し巣立ち巣がへ鳥
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鶴巢くひし争議天下のお白洲に
続三千里(肥後熊本)M43
-
鳴く雲雀あらぬ江に土を積む船が
4月25日
三千里(渡島函館)M40
続三千里(甲斐御嶽昇仙橋)M42
続三千里(美濃江崎)M44
-
俳句無し
-
岩を割く樹もある宮居躑躅かな
-
滝に景は尽きたれど躑躅奥ありて
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三里奧猿の奇跡の温泉の躑躅
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遠く見て七隠れ瀧むらつゝじ
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松緑しるき頃出水漁ありて
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芽芒に兎見つ尺を松緑
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苗圃營むに山莊と名や松綠
続三千里(肥後熊本)M43
-
火の国も海の前後や風光る
4月26日
三千里(渡島函館)M40
続三千里(信濃上諏訪)M42
続三千里(美濃江崎)M44
-
俳句無し
-
俳句無し
-
俳句無し
続三千里(肥後熊本)M43
-
俳句無し
4月27日
三千里(渡島函館)M40
続三千里(信濃上諏訪)M42
続三千里(山城京都)M44
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兵村の歌うたひけり畑打
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畑打つて藤一棚も培ひぬ
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造林の奥山吹に奇景あり
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山吹や開鑒の土敷くあたり
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山吹や寺山近き旗亭あり
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筏組む日を山吹に猿の出て
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俳句無し
続三千里(肥後熊本)M43
-
俳句無し
4月28日
三千里(渡島函館)M40
続三千里(信濃上諏訪)M42
続三千里(山城京都)M44
-
ゆるき流れ遠々と春の峰秀づ
-
道となく牧車通へり春の山
-
繭倉の高さ白さや春の水
-
長閑なる水暮れて湖中灯ともれる
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殊に一樹覆ふ森の池や柳鮠
-
家鴨遊ぶ湖落ち口や柳鮠
-
俳句無し
続三千里(肥後熊本)M43
-
いつものこと汐干雨空灰の降る
-
出島端島泡立つものを汐干かな
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一揆潰れ思ふ汐干の山多し
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汐干るや温泉女雲阿蘇男雲
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一揆潰れ思ふ汐干の山多し
-
汐干鳴る天門神の蹴ホギけり
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躑燭折りて宮下りぬ汐千人の呼ぶ
4月29日
三千里(渡島函館)M40
続三千里(信濃上諏訪)M42
続三千里(山城京都)M44
-
背に近くもたれ心や春の山
-
雨にやる遊船もあり小鮎飛ぶ
-
土龍穴納屋に明きしも長閑なり
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転営に来後れし兵の長閑顔
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俳句無し
続三千里(肥後熊本)M43
-
夏近き試錐も海辺櫓かな
-
夏近し峯晴れを後ろ塗る雲に
-
夏近き砂布くや御堂塗るほとり
4月30日
三千里(渡島湯の川温泉)M40
続三千里(信濃上諏訪)M42
続三千里(山城京都)M44
-
俳句無し
-
神怒りし給へり句境春尽きて
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御柱も落花の風に震ふかと
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繭蔵も建つ坪取りや蜆殻
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俳句無し
続三千里(肥後阿蘇郡栃の木温泉)M43
-
俳句無し
4月
5月1日
三千里(渡島湯の川温泉)M40
続三千里(信濃下諏訪)M42
続三千里(山城京都)M44
-
俳句無し
-
蚕捨てし裏川螢見る夜かな
-
諏訪人と蚕の句作れり吾れ振ふ
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湖の魔風蠶に恐ろしき一日あり
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俳句無し
続三千里(肥後熊本)M43
-
俳句無し
5月2日
三千里(渡島湯の川温泉)M40
続三千里(信濃上諏訪)M42
続三千里(山城京都)M44
-
俳句無し
-
俳句無し
-
俳句無し
続三千里(肥後八代郡日奈久温泉)M43
-
俳句無し
5月3日
三千里(渡島函館)M40
続三千里(信濃伊那郡赤穂)M42
続三千里(山城京都)M44
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九条まで町の立木や飛ぶ燕
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巣燕の悲み合ふを人知らず
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噴火口に奇しと見る岩燕かな
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尚追うて句疑質すことや春の風
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春風や剣の柄ぶり草結へる
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白樺も立つ森木瓜の咲き布いて
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またと言はず蚕棚洗ふ日煤も掃く
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夏芽待つ桑の枝刈りの後れしを
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俳句無し
続三千里(肥後人吉)M43
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俳句無し
5月4日
三千里(渡島函館)M40
続三千里(信濃飯田)M42
続三千里(美濃江崎)M44
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幕かへすやうに落花をふるひけり
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俳句無し
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俳句無し
続三千里(肥後人吉)M43
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俳句無し
5月5日
三千里(陸奥青森)M40
続三千里(信濃飯田)M42
続三千里(美濃江崎)M44
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俳句無し
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俳句無し
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清正道に暮るゝ春残る一ト条を
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埋立ての春逝けり出水災ひせん
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行く春や高島考にある渡し
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天草に春暮るゝ思ひ甘草に
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絹なりし遺衣そゞろ春盡の情
続三千里(薩摩鹿児島)M43
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俳句無し
5月6日
三千里(陸奥野辺地)M40
続三千里(信濃飯田)M42
続三千里(美濃江崎)M44
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花なしとも君病めりとも知らで来し
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韮萌ゆる畑見つゝ来れば辛夷哉
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樹上珠白樹下碧白の辛夷かな
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百姓の牡丹に藪の深きかな
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旌表門妃の師帰閭に立つ牡丹かな
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雨脚賞す坊に等閑の牡丹かな
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泳ぎ子の水葬まねを百合折りて
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水練の場所選み師範著きもあへず
続三千里(薩摩鹿児島)M43
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俳句無し
5月7日
三千里(陸奥青森)M40
続三千里(信濃妻籠)M42
続三千里(美濃江崎)M44
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俳句無し
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俳句無し
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俳句無し
続三千里(薩摩鹿児島)M43
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海を抱く山山を覆ふ雲涼し
5月8日
三千里(陸奥青森)M40
続三千里(信濃福島)M42
続三千里(美濃江崎)M44
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夜半の花鞦韆に来る天狗かな
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半仙戯客は画舫を寄せにけり
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花漬を買ふや遅日に枕して
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夕立雲立つ山や花漬の宿
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鮎小屋の真午の日洲白ロ杉菜踏む
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鮎追ふと綴る羽真黒照る見居る
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鮎掛や羅漢寺川も岩立ちて
続三千里(薩摩鹿児島)M43
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俳句無し
5月9日
三千里(陸奥青森)M40
続三千里(信濃薮原)M42
続三千里(美濃江崎)M44
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たゞならぬ鐘も鳴りしが暮遅き
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永き日の阿音教ふる啞生かな
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鎧三組飾り終へたる遅日かな
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俳句無し
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門前の走り水花桐に来て
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清水得し島とこそ奇草三度摘む
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窟案内も寺清水訪ふ例となり
続三千里(薩摩鹿児島)M43
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俳句無し
5月10日
三千里(陸奥青森)M40
続三千里(信濃松本)M42
続三千里(美濃江崎)M44
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砂川の松こまやかや蜆取
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蜆かけば八つ晴を飛ぶ燕かな
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水槽にすくひ残りの蜆かな
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水買うて分つ蜆や隣同士
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俳句無し
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昼寝主への訴へや裏田水引く
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筍の鉾折ると昼寝起しては
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昼寝覚め問端に土を買ふ事を
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跣足にて下り立てり鍬を午寝覺め
続三千里(薩摩鹿児島)M43
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俳句無し
5月11日
三千里(陸奥青森)M40
続三千里(信濃松本)M42
続三千里(美濃江崎)M44
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俳句無し
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畑桑も流行後れや桐の花
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奇行聞いて訪ふに徳者や桐の花
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俳句無し
続三千里(薩摩鹿児島)M43
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俳句無し
5月12日
三千里(陸奥青森)M40
続三千里(信濃松本)M42
続三千里(美濃江崎)M44
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修復料給はる寺や庭躑躅
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山にある垢離場の水やむら躑躅
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むら躑躅奥硫黄谷禿げて見ゆ
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関守の活けたる赤城つゝじかな
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山吹の色を大まかに染めなまし
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雨の若葉梁にや映る山家かな
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風穴守鬚剃りに下りぬ里若葉
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俳句無し
続三千里(海上平壌丸)M43
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俳句無し
5月13日
三千里(陸奥青森)M40
続三千里(信濃松本)M42
続三千里(美濃江崎)M44
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野に遊ぶ歌に行人唱和かな
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俳句無し
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俳句無し
続三千里(海上平壌丸)M43
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俳句無し
5月14日
三千里(陸奥青森)M40
続三千里(信濃松本)M42
続三千里(美濃江崎)M44
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俳句無し
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明易き物嵩川岸の人声に
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鍛錬も及ばず師亡き短夜や
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俳句無し
続三千里(沖縄那覇)M43
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俳句無し
5月15日
三千里(陸奥浅虫)M40
続三千里(信濃松本)M42
続三千里(美濃加茂郡河辺)M44
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徳本に問ふ草のある暮の春
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行春やウシをはごくむ蟻の業
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春尽の団扇に鰭の大魚かな
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新亭を営みて牡丹移しけり
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流れ藻も風濁りして行々子
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葮切や養魚の杭も高しるき
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芝平湖に住む家の百合燃えて
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俳句無し
続三千里(沖縄那覇)M43
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俳句無し
5月16日
三千里(陸奥東津軽郡蟹田)M40
続三千里(信濃長野)M42
続三千里(美濃加茂郡河辺)M44
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少壮の諸兄在るなり時鳥
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俳句無し
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俳句無し
続三千里(沖縄名護)M43
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俳句無し
5月17日
三千里(陸奥東津軽郡今別)M40
続三千里(信濃長野)M42
続三千里(美濃加茂郡河辺)M44
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測量の人も立ち行く霞かな
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風立てば霞の奥も浪白し
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風垣を結ひそふ磯田苗代かな
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木置場の坪も虎杖林かな
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構へたる並松もあり春の水
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美人系の朱線引かばや燕
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鵜の群るゝ岩と汐木の桜かな
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鶯や幾日に檜伐り出す
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海に浸る檜の匂ふ遅日かな
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煮てくれと蕨つみ来し宿りかな
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舟に請じて水利も説きつ行々子
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葮切や飼屋や近くに墓所選び
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裏に導けば栴檀の風や行々子
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葮切に画龍の松の茶店かな
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俳句無し
続三千里(沖縄那覇)M43
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俳句無し
5月18日
三千里(陸奥東津軽郡竜飛)M40
続三千里(信濃松本)M42
続三千里(尾張丹羽郡西成村)M44
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俳句無し
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俳句無し
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俳句無し
続三千里(沖縄那覇)M43
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俳句無し
5月19日
三千里(陸奥東津軽郡竜飛)M40
続三千里(信濃松本)M42
続三千里(尾張丹羽郡西成村)M44
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誰がさすとよう知つて鳴く蛙かな
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俳句無し
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碑に待てど書意張らず人の更衣
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衣更へて藪を出つ藪主に尾す
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更衣水隔つ城低うして
続三千里(海上平壌丸)M43
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俳句無し
5月20日
三千里(陸奥西津軽郡十三)M40
続三千里(信濃松本)M42
続三千里(尾張丹羽郡西成村)M44
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俳句無し
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俳句無し
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俳句無し
続三千里(海上平壌丸)M43
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俳句無し
5月21日
三千里(陸奥板柳)M40
続三千里(信濃松本)M42
続三千里(尾張名古屋)M44
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俳句無し
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会はんとぞ思ふに舟や風薫る
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森の樓薫風に立つ鷺も見て
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花茨や塚木の謂れ今しるき
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森林帯沮洳に咲く花夕立ちて
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水母照る疾き煎も見ゆれ風薫る
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花茨や善隣の樂問ふ道に
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搗味を妹の問ふ新臼の夏
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俳句無し
続三千里(薩摩鹿児島)M43
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馬斃れし跡掃く水や火蛾の飛ぶ
5月22日
三千里(陸奥板柳)M40
続三千里(信濃松本)M42
続三千里(尾張名古屋)M44
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飛び咲きの菜種も散るや林檎園
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驟雨来る別れの朝の牡丹かな
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天領の境に咲くや桐の花
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賈人我を賈となす夏野連れ立ちて
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二子山二タ清水あるも夏野かな
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下モの渡し下向順路や夏柳
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鬣と水落ちて馬背夏野かな
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俳句無し
続三千里(薩摩鹿児島)M43
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俳句無し
5月23日
三千里(陸奥板柳)M40
続三千里(信濃松本)M42
続三千里(尾張名古屋)M44
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素通りの温泉小村や桐の花
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花桐や四歳見惚る馬の艶
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寝残れば月にやなりし時鳥
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追ひ勧化茶屋衆かごとや茨の花
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俳句無し
続三千里(薩摩鹿児島)M43
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俳句無し
5月24日
三千里(陸奥弘前)M40
続三千里(信濃屋代)M42
続三千里(尾張名古屋)M44
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シカタ荒れし風も名残や時鳥
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船待て見る月代や時鳥
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木置場の番屋の月や時鳥
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犠の俎上にあるや時鳥
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俳句無し
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俳句無し
続三千里(薩摩鹿児島)M43
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俳句無し
5月25日
三千里(陸奥弘前)M40
続三千里(信濃長野)M42
続三千里(尾張名古屋)M44
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納涼にや出でし灯影たゞに澄む
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明日渡る湖の眺めや端納涼
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丘の町下り果てゝ橋納涼かな
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納涼すやありし鴨涯の手枕に
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蛍来しあとや蟬飛ぶ端納涼
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端納涼しをれど明日は別れかな
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森の茶屋にすゞめばとゞろ神や鳴る
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俳句無し
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俳句無し
続三千里(薩摩鹿児島)M43
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俳句無し
5月26日
三千里(陸奥弘前)M40
続三千里(信濃長野)M42
続三千里(尾張名古屋)M44
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魚坪を網せし旦若葉かな
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神事近き作り舞台や楠若葉
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夕鳥の貝吹く青葉若葉かな
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飛乗りの駈を打ち過ぐ若葉かな
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躑躅祭せし神の池や花茨
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茨の香やなど墾かずと訪ふ心
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俳句無し
続三千里(薩摩鹿児島)M43
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俳句無し
5月27日
三千里(陸奥弘前)M40
続三千里(信濃長野)M42
続三千里(尾張名古屋)M44
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俳句無し
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人何処に酔を買ひ来し夏野かな
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俳句無し
続三千里(薩摩鹿児島)M43
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絹蚊帳のこと記して旅費を疑はる
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外輪山に立つ峰雲や阿蘇あらぬ
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乗馬隊漁區見分や雲の峰
5月28日
三千里(陸奥弘前)M40
続三千里(信濃戸隠)M42
続三千里(美濃岐阜)M44
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清水ある坊の一つや中尊寺
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庵結ぶ開眼仏や庭清水
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雲高く一片かげる清水かな
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剣岩残りて清水無かりけり
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町寺の清水町家の汲む日かな
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余花望み来て広前の杉仰ぐ
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俳句無し
続三千里(薩摩鹿児島)M43
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俳句無し
5月29日
三千里(陸奥弘前)M40
続三千里(信濃柏原)M42
続三千里(尾張知多郡亀崎)M44
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卯の花のさかりか雨の紫陽花か
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松偃蹇凭りつ眠りつ避暑の宿
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舟を約す釣を約すや避暑の友
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飯綱より雲飛ぶ橡の若葉かな
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俳句無し
続三千里(薩摩鹿児島)M43
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俳句無し
5月30日
三千里(陸奥弘前)M40
続三千里(信濃下高井郡科野村)M42
続三千里(三河渥美郡福江)M44
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雲の峰低き瞰るなり夕心
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官命に伐る檜山あり雲の峰
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湖は一握の水夏三山の天
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蟹とれば蝦も手に飛ぶ涼しさよ
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酒痲疹夏草の乳に拭はゞや
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俳句無し
続三千里(薩摩鹿児島)M43
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俳句無し
5月31日
三千里(陸奥大鰐温泉)M40
続三千里(信濃下高井郡渋温泉)M42
続三千里(三河岡崎)M44
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あるべしと期せし牡丹の寐覚かな
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俳句無し
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俳句無し
続三千里(薩摩鹿児島)M43
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俳句無し
5月
6月1日
三千里(陸奥大鰐温泉)M40
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俳句無し
続三千里(信濃下高井郡田中温泉)M42
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日の暈も木の下闇の滝見るや
続三千里(三河岡崎)M44
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俳句無し
続三千里(?)M43
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俳句無し
6月2日
三千里(陸奥弘前)M40
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馬を追ふ妹にあひけり花茨
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花茨や十和田下りの一の駅
続三千里(信濃下高井郡科野村)M42
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俳句無し
続三千里(三河豊橋)M44
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俳句無し
続三千里(?)M43
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俳句無し
6月3日
三千里(陸奥中津軽郡岳温泉)M40
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俳句無し
続三千里(越後高田)M42
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俳句無し
続三千里(遠江浜松)M44
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俳句無し
続三千里(?)M43
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俳句無し
6月4日
三千里(陸奥弘前)M40
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俳句無し
続三千里(越後高田)M42
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花茨や博労雨と牧場に
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表沼の葦景色花茨も見ゆ
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花茨や里眤む頃灰降りて
続三千里(遠江浜松)M44
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漁小屋に竹生えつ居鳴く葭切か
続三千里(?)M43
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俳句無し
6月5日
三千里(陸奥弘前)M40
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俳句無し
続三千里(越後高田)M42
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砲も過ぎしと教ふ夏野の車道哉
続三千里(遠江浜松)M44
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俳句無し
続三千里(?)M43
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俳句無し
6月6日
三千里(陸奥弘前)M40
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俳句無し
続三千里(越後高田)M42
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下山して蚊帳吊る夜も田植寒ム
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湯治人に立交る田植瞽女も見ゆ
続三千里(遠江浜松)M44
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玉虫の降る木奇し山辺花茨に
続三千里(?)M43
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俳句無し
6月7日
三千里(陸奥板留温泉)M40
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又たたゞの一人になりぬさみだれん
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我ながら茶勝の縞や更衣
続三千里(越後高田)M42
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闘ひし牛とりこめぬ栗の花
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何にたける鶏や川簀に栗の花
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泥淩ふ染糟に虫と栗の花
続三千里(遠江浜松)M44
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温泉めぐりの一巡す藺刈る里宮に
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藺刈れば澤蟹の出てけふも雨
続三千里(?)M43
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俳句無し
6月8日
三千里(陸奥十和田)M40
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金掘りし跡も湖辺にさみだるゝ
続三千里(越後高田)M42
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俳句無し
続三千里(遠江浜松)M44
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道に垂るゝ竹掃ふ婆娑と螢来て
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垣薔薇色なきを藺田の螢飛ぶ
続三千里(?)M43
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俳句無し
6月9日
三千里(陸奥上北郡休屋)M40
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水神と山鬼と夜を明易うせり
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帆綱浸る舟の膽ゆれや風薫る
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浮岩の不思議もあるや閑古鳥
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猿綛も花かと岩の苔の花
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閑古鳥の藤の話もとり/゛\に
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髻の山風俗や閑古鳥
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柳ある里一廓や閑古鳥
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逆川に子の落ちけんを閑古鳥
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噴火後の温泉に住む家や閑古鳥
続三千里(越後中頸城郡赤倉温泉)M42
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俳句無し
続三千里(遠江浜松)M44
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麦に芥子の咲く里百合の家居かな
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櫻毛虫落ちて熱地の百合惜しぞ
続三千里(?)M43
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俳句無し
6月10日
三千里(陸中小坂)M40
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俳句無し
続三千里(越後中頸城郡大塚村)M42
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俳句無し
続三千里(駿河静岡)M44
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俳句無し
続三千里(日向西諸県郡小林)M43
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俳句無し
6月11日
三千里(陸中鹿角郡大湯村)M40
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俳句無し
続三千里(越後中頸城郡国賀)M42
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富守れば父祖の蔵書も風薫る
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雪籠りの温泉話我に風薫る
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山寺へ上す籠鶏や風薫る
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薫風や二タ温泉越し行く山湯治
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我が農園見る日に一人風薫る
続三千里(駿河御殿場)M44
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俳句無し
続三千里(日向宮崎)M43
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俳句無し
6月12日
三千里(陸中鹿角郡大湯村)M40
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牛の病知れず死にけり五月雨
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鞴休む日も籠居や五月雨
続三千里(越後柏崎)M42
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馳駆の年処の風の日傘かな
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畳み持てば君に柄長な日傘かな
続三千里(甲斐川口湖畔舟津)M44
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俳句無し
続三千里(日向宮崎)M43
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俳句無し
6月13日
三千里(羽後北秋田郡扇田)M40
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俳句無し
続三千里(越後柏崎)M42
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酒気絶たぬ君との一日夏の月
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肱かけて蚊帳に寄る魔の丑満つる
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浦邊来れば裏峯尖りや夏の月
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蚊帳の灯の自づと明し夢照らす
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如何にして蚊帳錯落の夜の雨
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蚊帳思案窮境の我を救はゞや
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舟蚊帳に寝る夜や和讃高まさる
続三千里(甲斐西八代郡精進村)M44
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俳句無し
続三千里(日向宮崎)M43
-
俳句無し
6月14日
三千里(羽後北秋田郡扇田)M40
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坊に会す約を履み来ぬ夏木立
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裸湯の川漏湲夏木立かな
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軍港に定まれる湾や夏木立
-
時明りする木の肌や夏木立
続三千里(越後柏崎)M42
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俳句無し
続三千里(甲斐南巨摩郡身延)M44
-
俳句無し
続三千里(日向宮崎)M43
-
俳句無し
6月15日
三千里(羽後大館)M40
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奥猿に旅羽抜鳥別れけり
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こけ尻の馬も早苗を運ぶやら
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温泉浸りに田植戻りの小若者
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変がへをする早乙女が憎いやら
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米白の長者になろよ田植歌
続三千里(越後北条)M42
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逆川橋年々落ちて夏木立
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厨丁の折る花のあり夏木立
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蠶所の柳田神の夏木かな
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稚児岩の謂れも夏木浸す水
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朱を掘りし塚祟りこそ麦の秋(新潟)
続三千里(駿河沼津)M44
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俳句無し
続三千里(日向宮崎)M43
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俳句無し
6月16日
三千里(羽後大館)M40
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沓ぬぎに家鴨も来るや避暑の宿
続三千里(越後新潟)M42
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海濁る津に上る旅や麦の秋
続三千里(駿河沼津)M44
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俳句無し
続三千里(日向宮崎)M43
-
俳句無し
6月17日
三千里(羽後大館)M40
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薬やれば泣く婆殿や避暑の宿
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演説をして瓜貰ふ避暑の宿
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避暑に来て君書を読まず行李の書
続三千里(越後新発田)M42
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筐など展べてさみだれ簾かな
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旅程かくも曲げしめし汝にさみだれん
続三千里(駿河沼津)M44
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俳句無し
続三千里(日向宮崎)M43
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俳句無し
6月18日
三千里(羽後能代)M40
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砂を踏む道しばし来しが行々子
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凪ぐまでを吹く夕風や行々子
続三千里(越後新潟)M42
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俳句無し
続三千里(駿河沼津)M44
-
俳句無し
続三千里(日向宮崎)M43
-
俳句無し
6月19日
三千里(羽後能代)M40
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真白くて出目の金魚が一つかな
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縁ばかりまはる金魚は尾切れかな
続三千里(越後出雲崎)M42
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俳句無し
続三千里(駿河沼津)M44
-
俳句無し
続三千里(日向宮崎)M43
-
俳句無し
6月20日
三千里(羽後能代)M40
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俳句無し
続三千里(越後椎谷)M42
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俳句無し
続三千里(駿河沼津)M44
-
俳句無し
続三千里(日向宮崎)M43
-
俳句無し
6月21日
三千里(羽後能代)M40
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俳句無し
続三千里(越後椎谷)M42
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蒪切る虫の鋏の光る時
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隈濁りして雨晴るゝ蒪かな
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又た水を搏つ大鳥や蒪舟
続三千里(駿河沼津)M44
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俳句無し
続三千里(日向宮崎)M43
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俳句無し
6月22日
三千里(羽後能代)M40
-
俳句無し
続三千里(越後椎谷)M42
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蚋の毒温泉にも消ぬげに口一つ
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端納涼清涼寺茶店蚋のをる
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糧道の車塵の蚋に螫されけり
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蕗畳む山の雨蚋の鳴く音にや
続三千里(駿河沼津)M44
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俳句無し
続三千里(日向宮崎)M43
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俳句無し
6月23日
三千里(羽後能代)M40
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待つ船を物見に出るや風薫る
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我行くと誰知らぬ淵の夜振かな
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県北の県南の会も風薫れ
続三千里(越後椎谷)M42
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棋に寄ると君を囲むと蚊遣して
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亡き友の戀を蚊遣れる芥子思ふ
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棋にしのぶ會に蚊遣れり瓢も据う
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虫除けにや臭木蚊遣りす花ともに
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雪寃に及ぶ夜話蚊遣果にけり
続三千里(駿河沼津)M44
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俳句無し
続三千里(日向宮崎)M43
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草茂る吉野は昔土蜘蛛の
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書庫あさりし目に醜草と茂る庭
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橋名殘葉慈姑あるを草茂る
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蛇狩りし骸燒く日とも茂る草
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雨を晴らす家の草いや茂る見る
6月24日
三千里(羽後能代)M40
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俳句無し
続三千里(越後柏崎)M42
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俳句無し
続三千里(駿河沼津)M44
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島渡り明日はと望む山夏野
続三千里(日向宮崎)M43
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門限に時のあり晩涼の橋
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馬行くごと何音す橋納涼人
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布衣三人社頭に富を言ふ涼し
6月25日
三千里(羽後能代)M40
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俳句無し
続三千里(越後古千谷)M42
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俳句無し
続三千里(駿河沼津)M44
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俳句無し
続三千里(海上宮崎丸)M43
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俳句無し
6月26日
三千里(羽後能代)M40
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島巡りして戻りなり沖膾
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沖鱠流るゝと舟中の人知らず
続三千里(越後古千谷)M42
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観音まで上れば雨や納涼舟
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岬の灯紛れずもすゞみ行方かな
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とゞろ太鼓舟布令聞ゆ橋納涼
続三千里(伊豆修善寺)M44
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俳句無し
続三千里(豊後別府)M43
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俳句無し
6月27日
三千里(羽後能代)M40
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俳句無し
続三千里(越後柏崎)M42
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牛を診る暑さに堪へて惜む乳
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鶏も生まず暑さしさりすためし無き
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幕なりし布解く家の暑さかな
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蒸し暑の洲通ひ思今日延びて
続三千里(伊豆田方郡湯が島温泉)M44
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俳句無し
続三千里(豊後別府)M43
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俳句無し
6月28日
三千里(羽後能代)M40
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俳句無し
続三千里(越後直江津)M42
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藤棚も芦そよげばや梅雨明り
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潦に落つる蜻蛉も梅雨入りかな
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梅雨に貼る護符の新室蛾の入りて
続三千里(伊豆田方郡湯が島温泉)M44
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俳句無し
続三千里(豊後別府)M43
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俳句無し
6月29日
三千里(羽後能代)M40
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大沼に小沼も近き青田かな
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酒旗見えて花さく蓮田青田かな
続三千里(越後高田)M42
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水鏡と聞く涼しさや自画自賛
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俤川それもゆかりや恋粽
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何贈るとわづらふに粽乞はれけり
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粽添へて馬生み年の牧主へ
続三千里(伊豆田方郡湯が島温泉)M44
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俳句無し
続三千里(豊後別府)M43
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俳句無し
6月30日
三千里(羽後能代)M40
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さみだるゝ旅硯の側や新俳句
続三千里(越後直江津)M42
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撫子も港景色に彩らん
続三千里(伊豆伊東温泉)M44
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俳句無し
続三千里(豊後別府)M43
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砂温泉時過ぎて灯を打つ蛾も夜毎
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旗亭の灯樹映りのするに蛾を拂ふ
6月
7月1日
三千里(羽後能代)M40
続三千里(越後糸魚川)M42
続三千里(伊豆伊東温泉)M44
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俳句無し
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俳句無し
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俳句無し
続三千里(豊後別府)M43
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俳句無し
7月2日
三千里(羽後能代)M40
続三千里(越後糸魚川)M42
続三千里(伊豆伊東温泉)M44
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俳句無し
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蝙蝠や水車の精米上げに出て
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俳句無し
続三千里(豊後別府)M43
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俳句無し
7月3日
三千里(羽後能代)M40
続三千里(信濃北安曇野北城)M42
続三千里(相模箱根湯本)M44
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水練の御覧夕立つゆゝしさよ
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俳句無し
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俳句無し
続三千里(豊後別府)M43
-
俳句無し
7月4日
三千里(羽後能代)M40
続三千里(信濃松本)M42
続三千里(相模箱根湯本)M44
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精錬所もうしろに見えて麦の秋
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海近き砂地つゞきや麦の秋
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卯の花の村麦秋の野原かな
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俳句無し
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俳句無し
続三千里(豊後別府)M43
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俳句無し
7月5日
三千里(羽後能代)M40
続三千里(信濃松本)M42
続三千里(相模箱根湯本)M44
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俳句無し
-
俳句無し
-
俳句無し
続三千里(豊後別府)M43
-
俳句無し
7月6日
三千里(羽後能代)M40
続三千里(信濃松本)M42
*
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夕立や堀を劃せし城普請
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葭の中に宮居の道や松落葉
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池のほとり露仏あるなり松落葉
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蝦夷船に備へし跡や松落葉
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実桜も地に印す松落葉かな
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海辺行けば這ひ草咲いて松落葉
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松落葉磯浜娼家故跡あり
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編笠や追手大津の乗合に
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手相見るも編笠茶屋の主にや
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編笠の橋乞食謠拍子かな
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続三千里(豊後別府)M43
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博士邸に塚ぶり穴や若楓
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若楓庭に飲む温泉の眞砂噴く
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間取り圖に庭木覺えや若楓
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葬旗かゝくれば鳴く雨鳥や若楓
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藪住居の藁塚尚も若楓
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若楓隣芭蕉葉羽打つ風
7月7日
三千里(羽後山本郡荷上場村)M40
続三千里(信濃松本)M42
*
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ホヽ鳥は氷室の杉の梢かな
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温泉の里に氷室の馬を継ぎにけり
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氷室の戸白雲深く閉しけり
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鮎川の松も風致に麻の中
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牛産んで躑躅も名残鮎の味
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続三千里(豊後別府)M43
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下急流を擁す君あり若楓
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帯屋凧の勝祭など若楓
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書の弟子に畫才この見や若楓
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若楓櫻木虱移りけり
7月8日
三千里(羽後能代)M40
続三千里(信濃松本)M42
*
-
俳句無し
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雞叫びも蓬高さや蛇の衣
*
続三千里(豊後別府)M43
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若楓大木戸に茶店ある芝居
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遺愛盆栽に四阿屋建てや若楓
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龜としるき伸ン首を草に若楓
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篝屑に蟻の寄り場や若楓
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落疊むまさり水若楓吹く
7月9日
三千里(羽後山本郡荷上場村)M40
続三千里(信濃松本)M42
*
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戸も押さで主がまねの昼寐かな
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入らずの森跡はあらねど蓴かな
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俳句無し
*
続三千里(豊後別府)M43
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奥温泉あらん山勢や青田見ゆるさへ
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若楓駟馬の株の食みこぼし
7月10日
三千里(羽後山本郡鵜川村)M40
続三千里(信濃松本)M42
*
-
俳句無し
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子を叱るさまでもと思ふ瓜の宿
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蕎麦國のことし作りて瓜の味
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思ひの外渡しの景や瓜の里
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一訴訟聴き了へぬ瓜休みせん
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続三千里(豊後別府)M43
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俳句無し
7月11日
三千里(羽後山本郡鵜川村)M40
続三千里(信濃松本)M42
*
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道中のうゐろう買うや夏衣
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樹の籠る裏戸出て畑の百合を見る
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赤坂の遊女赤百合早百合かな
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烏鷺に似し客二人あり夏衣
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兄の物譲る弟や夏衣
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庵に在りて風飄々の夏衣
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俳句無し
*
続三千里(豊後別府)M43
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俳句無し
7月12日
三千里(羽後山本郡鵜川村)M40
続三千里(信濃南安曇郡白骨温泉)M42
*
-
俳句無し
-
俳句無し
*
続三千里(海上新電信丸)M43
-
俳句無し
7月13日
三千里(羽後山本郡鵜川村)M40
続三千里(信濃南安曇郡白骨温泉)M42
*
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葭村に落る流れや飛ぶ蛍
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蛍籠樒売る家に吊しけり
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紫陽花の花に居て明き蛍かな
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俳句無し
*
続三千里(豊前中津)M43
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俳句無し
7月14日
三千里(羽後山本郡鵜川村)M40
続三千里(飛騨吉城郡平湯)M42
*
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蚊柱やわが鋤鍬の一構へ
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明日葺かん藁積む宵や蚊の出る
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瓜の核捨てし匂ひや蚊の夕
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旅労れ蠅静まれば蚊の声す
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蚊柱や虫焼きし園の夕明り
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朝風に蚤蚊の跡をさましけり
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俳句無し
*
続三千里(豊前耶馬山中山移)M43
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俳句無し
7月15日
三千里(羽後南秋田郡五城目)M40
続三千里(飛騨高山)M42
*
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大樹の下児女鶏犬に風薫る
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詩趣に鮓画趣に湖ある庵かな
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俳句無し
-
俳句無し
続三千里(豊前中津)M43
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俳句無し
7月16日
三千里(羽後南秋田郡五城目)M40
続三千里(飛騨高山)M42
*
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洛北の第や滝殿泉殿
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滝殿や窟の神も鎮りぬ
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雲板を掛けし滝殿楣間かな
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大原なる山べの滝や殿作り
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俳句無し
*
続三千里(豊前門司)M43
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失隻脚談画話より転ず蚊遣かな
7月17日
三千里(羽後南秋田郡五城目)M40
続三千里(飛騨高山)M42
*
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湖の広さ山の低さや雲の峰
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田を開き薫風の亭を営みぬ
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立寄るやホ句のゆかりの杜若
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この家に若竹と君のあるありて
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分水起工水量る頃や夏柳
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葉柳に書肆あり客も飲む辻井
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続三千里(長門長府)M43
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俳句無し
7月18日
三千里(羽後南秋田郡金川)M40
続三千里(飛騨古川町)M42
*
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客恬淡主飄逸や簟
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俳句無し
*
続三千里(周防山口湯田温泉)M43
-
俳句無し
7月19日
三千里(羽後南秋田郡船越)M40
続三千里(飛騨古川町)M42
*
-
俳句無し
-
俳句無し
*
続三千里(安芸宮島)M43
-
俳句無し
7月20日
三千里(羽後土崎)M40
続三千里(越中富山)M42
*
-
百合涼し右にゆれても左にも
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俳句無し
*
続三千里(安芸宮島)M43
-
俳句無し
7月21日
三千里(羽後秋田)M40
続三千里(越中高岡)M42
*
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子規のことを語る悲しさ涼しさよ
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水を買ふ頃や日毎の午寝覚む
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宿は橋を見下ろす京や午寝起
*
続三千里(伊予松山)M43
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俳句無し
7月22日
三千里(羽後秋田)M40
続三千里(越中高岡)M42
*
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萍の渋色旱る日頃かな
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税打ちの明日を見廻る浮藻哉
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水深浅浮藻も見えず鴛鴦の居る
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柳浸る水に浮草見え初めぬ
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虫つゞる文のさうなく束ねあり
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虫干の寺に掃苔の供養かな
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木調べの匠が手記や蚊の夕
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廊通ひ蚊を團扇打つ櫓頭かな
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蚊雷に堪ふ寸退の出水かな
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続三千里(伊予松山)M43
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俳句無し
7月23日
三千里(羽後秋田)M40
続三千里(越中高岡)M42
*
-
膝と膝に月がさしたる涼しさよ
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俳句無し
*
続三千里(伊予松山)M43
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俳句無し
7月24日
三千里(羽後秋田)M40
続三千里(越中高岡)M42
*
-
俳句無し
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草茂るばかり湖中の孤つ島
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草茂る温泉のほとり麻いきれして
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鳶の栖みし木枯れを草の茂るなり
*
続三千里(伊予松山)M43
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俳句無し
7月25日
三千里(羽後仙北郡刈和野)M40
続三千里(越中高岡)M42
*
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俳句無し
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虚空にも靄の中咲く蓮降れり
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東門外幕営の陣や蓮の風
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蓮を見て馬場行けば又た翡翠が
*
続三千里(伊予松山)M43
-
俳句無し
7月26日
三千里(羽後仙北郡刈和野)M40
続三千里(越中八尾町)M42
*
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俳句無し
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温泉の鮓をまねぶに広葉笹ありて
-
温泉の鮓をまねぶに広葉笹のあり
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千々の條朱を引く寿司鮓の石のあり
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(越中高岡在和田村↓)
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御山道の夕汐垢離や心太
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時づもりする旅や蠅も居つく椽
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繭ざれを兎角もあげず心太
*
続三千里(伊予松山)M43
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凌霄に生簀あり五本松遠し
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舁き休む病者あり凌宵こぼるゝに
7月27日
三千里(羽後仙北郡刈和野)M40
続三千里(越中高岡在和田村)M42
*
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道人著南瓜問答といふやらん
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大穴を鴉の食ひし南瓜かな
-
師の病よき頃南瓜煮たりけり
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一行皆草苞置きぬ心太
*
続三千里(伊予松山)M43
-
俳句無し
7月28日
三千里(羽後仙北郡刈和野)M40
続三千里(越中高岡)M42
*
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矩をこえぬ身の起臥や竹婦人
-
古りたれど女夫姿や萩芒
-
ホ句の兄菊の妹の座右に在り
-
俳句無し
*
続三千里(伊予松山)M43
-
俳句無し
7月29日
三千里(羽後河辺郡戸米村女米木)M40
続三千里(越中中新川郡芦峅 )M42
*
-
一舟を領して百合に詩を思ふ
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二人いうて一句全たし百合の花
-
俳句無し
*
続三千里(伊予松山)M43
-
見ぬ篝想ひをり鵜匠語るらく
-
鵜飼三年見ず此地俳風の變
7月30日
三千里(羽後河辺郡戸米村女米木)M40
続三千里(越中立山々中室堂)M42
*
-
川上る舟人も雨の祈りかな
-
雨鬼風鬼祈りの鐘に問答かな
-
栂男神百合女神相遊ぶ時
*
続三千里(伊予松山)M43
-
俳句無し
7月31日
三千里(羽後河辺郡戸米村女米木)M40
続三千里(越中立山温泉)M42
*
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夏菊の出来あしき年や萩伸びて
-
尾のやうに秋にも垂るゝ花白き
-
蝕みし葉菊摘みとる秋隣
-
夏菊に墨汁捨てし旅覗かな
-
七十二峰半ば涼雲棚引ける
*
続三千里(伊予松山)M43
-
俳句無し
7月
8月
8月1日
*
続三千里(越中富山)M42
*
-
温泉に下る百合逆咲きの峠かな
三千里(羽後仙北郡刈和野)M40
続三千里(伊予松山)M43
-
文月の旅すと参る御祓かな
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居る三日三千年や桃の味
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瓜割くや主が癖の自賛論
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折節の句味も旱の別れかな
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神鳴るや子規亡き後を談ずれば
-
山神と河伯と君と我の秋
-
馬洗ふをのこ去にけり御祓川
-
雷の陣稲妻の矢や御祓川
-
俳句無し
8月2日
*
続三千里(越中富山)M42
*
-
俳句無し
三千里(羽後由利郡本荘)M40
続三千里(伊予松山)M43
-
百合の山路越え来て合歓の花の里
-
合歓咲くや河水を汲む桔槹(加賀沢)
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俳句無し
8月3日
*
続三千里(越中高岡)M42
*
-
俳句無し
三千里(羽後由利郡本荘)M40
続三千里(伊予温泉郡荏原村)M43
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売り値待つ繭の主や秋近き
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紫陽花や旅中の恋を誰知らぬ
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巫女頼む家の紫陽花垣間見し
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俳句無し
8月4日
*
続三千里(越中井波)M42
*
-
俳句無し
三千里(羽後象潟)M40
続三千里(伊予温泉郡荏原村)M43
-
持山の果なし薮や雲の峰
-
百合の香やありふれたれど哀れなり
-
俳句無し
8月5日
*
続三千里(越中伏木)M42
*
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御筆の御年の程も涼しけれ
-
汗を干す馬や二の茶屋雲下りて
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宝物手寫汗に撓まぬ若人や
三千里(羽後本荘)M40
続三千里(伊予温泉郡荏原村)M43
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吾ならで書く人なしと扇かな
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俳句無し
8月6日
三千里(下総千葉)M39
続三千里(越中氷見)M42
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海楼の涼しさつひの別れかな
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俳句無し
三千里(羽後本荘)M40
続三千里(伊予温泉郡荏原村)M43
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河骨も絵図にかきけり干満寺
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河骨の咲くや年々蓮のなき
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俳句無し
8月7日
三千里(下総千葉)M39
続三千里(越中氷見)M42
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瓜食うて我も上るや観音寺
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芥子散るや瓜もむ時の夕風に
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行水や童ポカと戻りけり
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行水や髭の主の畑戻り
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瓜積んで朝舟著きぬ流れ山
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楯囲ひして灯あるなり蛾の影も
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鳴る羽を簀戸打って灯に遠き虫
三千里(羽後由利郡老方)M40
続三千里(伊予温泉郡荏原村)M43
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唐門の寺をでて氷店のあり
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削氷や鉾に乗る子にかしづきて
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俳句無し
8月8日
三千里(下総木更津)M39
続三千里(越中氷見)M42
-
俳句無し
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虹のごと山夜明りす旱年
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目赤なる甲へる鰭や旱魚
三千里(羽後雄勝郡西馬音内)M40
続三千里(伊予温泉郡荏原村)M43
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葉裏白き庭木吹く風蚊の出る
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蚊柱や鐘楼の方に草深し
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蚊柱や桃盗まれん桃畑
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俳句無し
8月9日
三千里(安房勝山)M39
続三千里(越中氷見)M42
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蜩やかゝれる船も坐り居る
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初秋や入鹿も見えて鷗飛ぶ
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石段の蝕む跡やちゝろ虫
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仏像に首あるぞなき秋の風
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夏痩や二骨折れて破れ障子
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講中詣て夏痩の法師見参らす
三千里(羽後雄勝郡西馬音内)M40
続三千里(伊予温泉郡荏原村)M43
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蜩や人住まはせし荒蕪の地
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音なくて魚の渦見ゆ三日の月
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繭主の糸とるを見る花木槿
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寺あれば池ある里や花木槿
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佐渡の句の三日月の絵にかゝれけり
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糧を載せてひそかなる舟や三日の月
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貝掘りの戻る濡身や三日の月
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蜩や牧畜の業もやゝ十年
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草刈れば木槿花さく草場かな
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糸移す総框立てし木槿哉
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俳句無し
8月10日
三千里(安房館山)M39
続三千里(越中氷見)M42
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俳句無し
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金櫃行く守兵戦話や露寒に
三千里(羽後雄勝郡西馬音内)M40
続三千里(伊予松山)M43
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小藩分立由利一郡の案山子かな
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女々鬼田の教化に浴す案山子かな
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下手はホ句の天狗上手は案山子かな
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案山子より訴状届きし田主かな
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由緒ある大樹も守りて案山子かな
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俳句無し
8月11日
三千里(安房相の浜)M39
続三千里(越中氷見)M42
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俳句無し
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布勢の湖跡あれば雁も落つらんか
三千里(羽後雄勝郡西馬音内)M40
続三千里(伊予松山)M43
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俳句無し
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俳句無し
8月12日
三千里(安房千倉)M39
続三千里(越中氷見)M42
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砂糖の木をかむ子昔も居りつらん
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藁覆ふ藻塚匂ふや露の中
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首途祝ふともなく扇書くあはれ
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北そよと吹けば有磯の荒るゝ秋
三千里(羽後雄勝郡西馬音内)M40
続三千里(伊予松山)M43
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鬼灯を摘みとりて蕎麦白き方に出づ
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鬼灯や女学問はやりけり
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鬼灯をむけば舎利なり二つ三つ
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俳句無し
8月13日
三千里(安房天津)M39
続三千里(能登和倉温泉)M42
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俳句無し
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俳句無し
三千里(羽後湯沢)M40
続三千里(伊予松山)M43
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眠り流しゝての稼ぎや朝寒き
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稲の虫に博士の見舞ふ在所かな
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俳句無し
8月14日
三千里(安房小湊)M39
続三千里(能登小木港)M42
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俳句無し
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俳句無し
三千里(羽後能代)M40
続三千里(伊予高浜)M43
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待つ人に裾野にあへり夕蜻蛉
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染幟紋干す上に蜻蛉かな
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俳句無し
8月15日
三千里(上総勝浦)M39
続三千里(能登狼煙)M42
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俳句無し
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俳句無し
三千里(羽後能代)M40
続三千里(伊予高浜)M43
-
俳句無し
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俳句無し
8月16日
三千里(上総勝浦)M39
続三千里(能登南志見)M42
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蜩や浦人知らぬ崖崩れ
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俳句無し
三千里(羽後秋田)M40
続三千里(伊予高浜)M43
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十分に酔へる時稲妻の雨
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俳句無し
8月17日
三千里(上総一の宮)M39
続三千里(能登和倉)M42
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稲妻に旅情催うす句案かな
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俳句無し
三千里(羽後西馬音内)M40
続三千里(伊予高浜)M43
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雨に出しが行手の晴れて稲の花
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俳句無し
8月18日
三千里(上総成東)M39
続三千里(能登和倉温泉)M42
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俳句無し
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俳句無し
三千里(羽後西馬音内)M40
続三千里(伊予高浜)M43
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殖林もしそめし里や稲の花
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薬やめしも蚊帳の別れの二三日
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会津平萩も散る道稲の花
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蚊帳の果妻亡き君に思ひ走す
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竹奴捨てゝ蚊帳に別れし孤独かな
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蚊帳に別れて朝顔の垣に隣りけり
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俳句無し
8月19日
三千里(上総成東)M39
続三千里(加賀金沢)M42
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松深く萩の径の尽きずある
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山を裏に槐の花のやどりかな
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燕去んで芦葦雁影に静かなる
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曝書済みし便りに燕去ぬとあり
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織り埃髪も錆びぬる去ぬ燕
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藁や打つ臼尻立てぬ去ぬ燕
三千里(羽後西馬音内)M40
続三千里(伊予高浜)M43
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民の訴訟届かぬを去ぬ燕かな
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織機も冬の用意や去ぬ燕
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燕の目に出穂早き芒かな
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俳句無し
8月20日
三千里(下総犬吠)M39
続三千里(加賀金沢)M42
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静かさや灯台の灯と天の川
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俳句無し
三千里(羽後西馬音内)M40
続三千里(伊予高浜)M43
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異れる山の様見る霧晴れて
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神業の晴れずの霧や山の湖
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師を追うて霧晴るゝ大河渡らばや
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足下にヒヨコ来鳴くや霧の中
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俳句無し
8月21日
三千里(下総犬吠)M39
続三千里(加賀金沢)M42
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俳句無し
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一夏送りし志士尚在るや飛ぶ蜻蛉
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舟遊ぶ飛騨古川や夕蜻蛉
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日和山の夕蜻蛉海は鏡かな
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紅毛の帆船著きけり飛ぶ蜻蛉
三千里(羽後西馬音内)M40
続三千里(伊予高浜)M43
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俳句無し
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俳句無し
8月22日
三千里(下総犬吠)M39
続三千里(加賀金沢)M42
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俳句無し
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鼠入りし蚊帳モヽシャグリ果てに鳧
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串魚にまつはりし蚊帳も別れかな
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櫂の遠音雁かとも蚊帳果てし夜や
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ウナヂ打ては冴ゆる眼病や蚊帳の果
三千里(羽後西馬音内)M40
続三千里(伊予高浜)M43
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俳句無し
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俳句無し
8月23日
三千里(下総犬吠)M39
続三千里(加賀金沢)M42
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俳句無し
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書にヒツク眼放れを秋空の澄む
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便船す蝦夷路の島や秋の空
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著到の勢記す筆や秋の空
三千里(羽後西馬音内)M40
続三千里(伊予高浜)M43
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俳句無し
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俳句無し
8月24日
三千里(下総犬吠)M39
続三千里(加賀金沢)M42
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俳句無し
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芋論の口角を画僧描がきけり
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素読後の手習や芋の煮ゆる頃
三千里(羽後横手)M40
続三千里(伊予高浜)M43
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ことし掻けば枯るゝ漆や初嵐
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大橋に何の人出や朝寒き
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続三千里(加賀金沢)M42
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芋論の口角を画僧描がきけり
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素読後の手習や芋の煮ゆる頃
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俳句無し
8月25日
三千里(下総犬吠)M39
続三千里(加賀金沢)M42
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俳句無し
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海門を出れば稲妻左右よりす
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稲妻や芝滑らかに牧場雨
三千里(羽後由利郡矢島)M40
続三千里(伊予高浜)M43
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俳句無し
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俳句無し
8月26日
三千里(下総犬吠)M39
続三千里(加賀金沢)M42
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石を積む風除けに七夕竹見ゆる
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七夕の旅に病むとぞ便りせる
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雨に泊れば雨は晴れたる蜻蛉かな
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人騒ぐ海辺に遠き蜻蛉かな
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帰休兵たどり行く野の蜻蛉かな
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虚空より戻りて黍の蜻蛉かな
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千編を一律に飛ぶ蜻蛉かな
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逆浪の江に夕空の蜻蛉かな
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一日一信に書き残したる木槿かな
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清澄を越え来し里や花木槿
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鳥居ある漁村の砂に木槿かな
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松大樹ある学校や木槿垣
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貝殻の道と聞き来て木槿かな
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捨飼ひに牛肥ゆる里の木槿哉
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七浦の祭の木槿咲きにけり
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俳句無し
三千里(羽後鳥海山中祓川)M40
続三千里(伊予高浜)M43
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俳句無し
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俳句無し
8月27日
三千里(下総犬吠)M39
続三千里(加賀金沢)M42
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俳句無し
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夜を寒み伽すれば乞ふに読む書あり
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焼跡も夜寒の橋の出商ひ
三千里(羽後由利郡矢島)M40
続三千里(伊予高浜)M43
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雲霧や風は神よばひしてや鳴る
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続三千里(加賀金沢)M42
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夜を寒み伽すれば乞ふに読む書あり
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焼跡も夜寒の橋の出商ひ
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俳句無し
8月28日
三千里(下総犬吠)M39
続三千里(加賀金石)M42
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俳句無し
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鼻曲る鱒も見て鮎さびにけり
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渋鮎や石払ひしに出水して
三千里(羽後由利郡矢島)M40
続三千里(伊予高浜)M43
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不足不離の処に庵の芭蕉かな
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百舌鳥売りの城下に出るや頭巾着て
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宿乞ひし寺や芭蕉に目覚めけり
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尊容の側に彫りたる芭蕉かな
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葉白く変る草あり百舌鳥の贄
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片目開いて人噛む百舌鳥の囮かな
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続三千里(加賀金石)M42
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鼻曲る鱒も見て鮎さびにけり
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渋鮎や石払ひしに出水して
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俳句無し
8月29日
三千里(下総銚子)M39
続三千里(加賀金沢)M42
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霧晴れて日のさす程や汐烟
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霧立つや大沼近き宮柱
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海楼の松薄霧に残る月
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三千里(羽後由利郡矢島)M40
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狐の尾見えし美女行く花野かな
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領境牧場も置かず花野かな
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俳句無し
続三千里(加賀金沢)M42
続三千里(伊予高浜)M43
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俳句無し
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俳句無し
8月30日
三千里(下総八日市場)M39
続三千里(加賀尾添)M42
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要害台真上の月になりにけり
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夜ながら盥すゝぎや虫の声
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石段の高きのぼりぬ虫の声
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虫の句を案ずる旅の恙かな
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栂男神百合女神相遊ぶ時
三千里(羽後西馬音内)M40
続三千里(伊予高浜)M43
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逢魔時芒の眼光りけり
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俳句無し
8月31日
三千里(常陸鹿島)M39
続三千里(加賀白山頂上室堂)M42
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俳句無し
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灰や降りし雪掻きぬ小草秋萌えて
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雲霧山を奪へば山鬼火を呪ふ
三千里(羽後横手)M40
続三千里()M43
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月草や狐の嫁が夫に媚ぶ
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露草や人知れず小屋の焼けてあり
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まだ据ゑぬ庭石のあり月草に
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俳句無し
9月1日
三千里(常陸大舟津)M39
続三千里(加賀白山一の瀬温泉)M42
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俳句無し
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黄耆削る老に茯苓問はゞやな
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山咎めせし膝皿や露しとゞ
三千里(羽後平鹿郡増田)M40
続三千里(伊予高浜)M43
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魔がさすといふ野日高しちゝろ虫
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祀絶えしを露の営みしたりけり
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大衆も居残りし施主や虫の声
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木の葉そよぐ月代も見ゆ虫の声
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虫鳴くや庵の樹と見ゆ寺の杉
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水声に虫の音の高まさりけり
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虫籠書いて萩の枝折戸添へばやな
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露に来て絵天井見る小寺かな
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俳句無し
9月2日
三千里(常陸土浦)M39
続三千里(加賀能美郡吉野村)M42
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俳句無し
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俳句無し
三千里(羽後平鹿郡増田)M40
続三千里(伊予松山)M43
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俳句無し
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俳句無し
9月3日
三千里(常陸土浦)M39
続三千里(加賀金沢)M42
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鳳仙花小さき娘が植ゑにけり
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出水引いて芋も肥えけり裏廻り
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僶俛歳余双樹の秋の庵主かな
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凋落す双樹の下に蘭のあり
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町に出ても白楊高し盆の月
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筑波見て上らんと思ふ秋の情
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送り火や大きな家の人少な
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料理屋に隣れば赤き穂蓼かな
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川一つ黍三畦寺を隔てけり
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銅仏と木像と膳の子芋かな
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俳句無し
三千里(羽後雄勝郡三梨)M40
続三千里(伊予松山)M43
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渋の杵置くともなしに戸口かな
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猿に似るモンペ穿きけり渋を搗く
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渋粕や古りて用なき桑の下
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薄四方に高し渋とる家の空
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俳句無し
9月4日
三千里(常陸土浦)M39
続三千里(加賀金沢)M42
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俳句無し
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月に会す芋につまりし咽明いて
三千里(羽後横手)M40
続三千里(伊予松山)M43
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駒糶りの物のきほひや渡り鳥
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二本宛祭幟や渡り鳥
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山入口朴の葉風や渡り鳥
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小鳥来て嘴黒見せぬ藁庇
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俳句無し
9月5日
三千里(常陸筑波)M39
続三千里(加賀金沢)M42
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祇園社の前に別るゝ花木槿
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思ひの外客ある山の夜寒かな
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王はあれど熟蕃の族や芭蕉村
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銀杏あるも池にゆかりや芭蕉寺
三千里(羽後横手)M40
続三千里(伊予温泉郡播磨塚)M43
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啄木鳥や山下り勝の庵の主
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啄木鳥や行者の道の岩伝ひ
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落し文見し谷行くや寺つゝき
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俳句無し
9月6日
三千里(常陸水戸)M39
続三千里(加賀山代温泉)M42
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俳句無し
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花鳥捨てし墨画の気品冷やかなり
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戦絵ともなき芦沼や冷やかに
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冷やかや今の身故に御目ざと
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銭の話卑しからざる冷やかさ
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子なき人の冷かに他を呪咀すらん
三千里(羽後横手)M40
続三千里(伊予温泉郡播磨塚)M43
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三つありて一つ用なき添水かな
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寺の床人の踏むよに添水かな
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温泉の里の捨湯も落て添水かな
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俳句無し
9月7日
三千里(常陸水戸)M39
続三千里(加賀山代温泉)M42
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俳句無し
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俳句無し
三千里(羽後横手)M40
続三千里(伊予温泉郡播磨塚)M43
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家々に芋の高さや綿処
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親芋の君に子芋の多きかな
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山中に句境開けて芋高し
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俳句無し
9月8日
三千里(常陸水戸)M39
続三千里(加賀山代温泉)M42
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沓の跡芙蓉の下に印すらん
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おくつきに薄こそあれ杉の闇
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秋風秋思松も唐様の名残かな
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鳥居ある方に上れば薄かな
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志士祭る今月今日の芒かな
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遊女屋のありて舟つく花薄
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半日の閑野の芒見て帰る
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俳句無し
三千里(羽後横手)M40
続三千里(伊予松山)M43
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僧の招き我を致せし菊見かな
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三葉の名ある県の一長者
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俳句無し
9月9日
三千里(常陸水戸)M39
続三千里(加賀山代温泉)M42
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狐鳴く夜寒の頃や御寐覚
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山荘の山にはいれば芒かな
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跡守りて老い行く人や秋の風
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月見るも斯君斯老の二人かな
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里つゞき松と芒に家居かな
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囚屋調べ禁足に及ぶ夜長の灯
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宿業に悟れども亦た夜長人
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恋さめし機ともなきを夜長人
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悲しみを泣きに出づ絃声も夜長かな
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讀書弛べて修徳に張る夜長かな
三千里(羽後横手)M40
続三千里(伊予松山)M43
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俳句無し
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俳句無し
9月10日
三千里(常陸平潟)M39
続三千里(加賀山代温泉)M42
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九面は芒の里やむら/\と
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里隣る県の果の芒かな
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関跡に近き里なり花芒
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松の外女郎花咲く山にして
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鵙鳴くや汐さす頃を夕栄す
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疾く刈りて掛けし一田や鵙の声
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俳句無し
三千里(羽後横手)M40
続三千里(伊予松山)M43
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俳句無し
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俳句無し
9月11日
三千里(磐城閼伽井岳)M39
続三千里(加賀山代温泉)M42
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精進に酒をまゐりし夜寒かな
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点滴と夜寒の釜の鳴る音と
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出て見るや竜灯壇の夜半の霧
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俳句無し
三千里(羽後横手)M40
続三千里(伊予松山)M43
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馬市に祭控へて残暑かな
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馬医者の残暑を飲んで歩きけり
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俳句無し
9月12日
三千里(上野大間々)M39
続三千里(加賀山代温泉)M42
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俳句無し
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臼割れしけうとさも霧晴るゝ頃
三千里(羽後横手)M40
続三千里(伊予岡喜多郡長浜)M43
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灯ともすや野分止む頃戻る猫
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送別の爆竹鳴るや秋晴れて
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俳句無し
9月13日
三千里(下野足尾)M39
続三千里(加賀山代温泉)M42
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俳句無し
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果樹の主に鉱山よりの霧臭ふ朝
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大銀杏霧罩めぬ舟橋やなき
三千里(羽後横手)M40
続三千里(伊予東宇和郡卯ノ町)M43
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会下の友想へば銀杏黄落す
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寺のある川隈銀杏黄ばみ見ゆ
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銀杏大樹黄落す天下たゞ二代
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梓弓比企が谷の銀杏黄なるかな
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俳句無し
9月14日
三千里(下野足尾)M39
続三千里(加賀山代温泉)M42
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家居ある昔の原や高灯籠
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夜仕舞の店に残れる灯籠かな
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隣家のよき灯籠はよき仏
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灯籠のなき家のまた小淋しき
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灯籠や我知る惜しき二少年
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温泉の町の絃歌の中に灯籠かな
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岬より灯籠流す浦曲かな
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俳句無し
三千里(羽後大曲)M40
続三千里(伊予東宇和郡卯ノ町)M43
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再遊の宿も同じき砧かな
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豪家なるジョンバの砧また聞かん
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宮城野の大根に萩の貝塚や
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萩もしるき野鳩野鷄や山耕地
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萩の丘を裏下りへ君が家の森
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瀧の麓山萩を移し植ゑずして
9月15日
三千里(下野足尾)M39
続三千里(加賀山代温泉)M42
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山に多き笹は植ゑずて芒かな
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晴を鳴く鷽や足尾の秋時雨
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我を恋人といふ人淋し秋の風
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月見ても泣くまい/\が親心
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碁を挑む三五人寄る夜長かな
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御判扇かほど朱摺れも秋じめり
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忘れ置きて松山草壓す扇あり
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四書に求めて解脱説くなり秋扇
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硯得しに君待て扇置く心
三千里(羽後大曲)M40
続三千里(伊予東宇和郡卯ノ町)M43
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大饗のきのふ忘れて柚味噌かな
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柚味噌命じて名所案内にまかりけり
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取りも入れず五倍子干す宿の柚味噌哉
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鮭網を思ふ最上の夜寒白
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裸火に大衆名殘や刈田踏む
9月16日
三千里(下野足尾)M39
続三千里(加賀山代温泉)M42
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俳句無し
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雪国の破風作り百舌鳥贄刺して
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百舌鳥鳴くや兵舟用ふこの渡り
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百舌鳥晴れて温泉すゝぎの鳥居掛布哉
三千里(羽後大曲)M40
続三千里(伊予宇和島)M43
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天下知る蔵書見に来ぬ秋の晴れ
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行くべかりし舟遊思ふ秋の晴
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俳句無し
9月17日
三千里(下野足尾)M39
続三千里(加賀山代温泉)M42
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秋の雨笹青き上ノ平かな
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山潰えし又の噂さや秋の雨
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百姓の繭煮る頃や秋の雨
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秋雨や俵編む日の藁一駄
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妻のいふ男不精や秋の雨
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屋上制限かごと言ひあへり飛ぶ蜻蛉
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蛉蜻や壁膏薬の抓み塗り
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飛騨人の天領顔や飛ぶ蜻蛉
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酒器法旅連れのしつ飛ぶ蜻蛉
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蜻蛉や家の薬も辻ビラに
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蠟不作木枯れもありて蜻蛉かな
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魔日雲の冥明り飛ぶ蜻蛉かな
三千里(羽後横手)M40
続三千里(伊予宇和島)M43
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寂然とをれど艶なる夜寒かな
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隔て住む心言ひやりぬ秋の雲
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見えぬ高根そなたと思ふ秋の雲
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小幅に大景の奇や秋の山
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藤二棚末枯れて木の実散るしきり
9月18日
三千里(下野足尾)M39
続三千里(加賀山代温泉)M42
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繭を積む後ろより残る蚊の出る
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芦の風ざわついて残る蚊の出る
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庭木刈りて蚊もをらぬきのふけふの月
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俳句無し
三千里(羽後横手)M40
続三千里(伊予宇和島)M43
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落入りて坩堝と煮ゆる柚味噌かな
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壇を築いて芒に松の在り所
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扇置けば芝生柳葉黄を點ず
9月19日
三千里(下野足尾)M39
続三千里(加賀山代温泉)M42
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味噌汁に糸瓜仏も莞爾たり
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糸瓜仏に無樹山中に見えけり
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鶏頭に鼠出づ垣つぶれして
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雨彼岸過ぎし物日の鶏頭かな
三千里(羽後横手)M40
続三千里(伊予南宇和郡城辺)M43
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偈に似たる詩を与へけりひやゝかに
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秋風や去勢せし馬といふを見る
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俳句無し
9月20日
三千里(下野足尾)M39
続三千里(加賀山代温泉)M42
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俳句無し
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田鼠の鳴く音も螽静まれば
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金魚居るに柿の下水螽落つ
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螽とる老を見ぬ日のつもりけり
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田一枚濱松垂れて飛ぶ螽
三千里(羽前最上郡肘折)M40
続三千里(土佐中村町)M43
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死後の知己を生前に秋晴るゝなり
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柑子試植熟り年の柿に鍬立てゝ
9月21日
三千里(下野足尾)M39
続三千里(加賀山代温泉)M42
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俳句無し
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俳句無し
三千里(羽前最上郡肘折)M40
続三千里(土佐高知)M43
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俳句無し
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俳句無し
9月22日
三千里(下野足尾)M39
続三千里(加賀山代温泉)M42
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俳句無し
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木犀や隠栖に国事聞ゆ時
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木犀や古九谷仕立て茶器に入
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木犀や北寮に落第の君
三千里(羽前最上郡肘折)M40
続三千里(土佐高知)M43
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俳句無し
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秋霖雨鉱滓何を彩りて
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熟蕃の山伐る程や秋の雨
9月23日
三千里(下野湯本)M39
続三千里(加賀山代温泉)M42
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俳句無し
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画に求む蚊帳吊草を手向かな
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秋山の下石切りし凸字山
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酒村さす緑林の徒や秋の山
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人探る沼網も見つ秋の山
三千里(羽前肘折温泉)M40
続三千里(土佐高知)M43
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俳句無し
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栗贈るに馴れしも真綿送る年
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苔ほぐれ鳥掻き岩あり栗拾ひ
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沼ほとり栗拾ひ場の芝濃なる
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率き晴るゝ闘牛や栗を干す里に
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栗贈るとことし又た三度選ばしむ
9月24日
三千里(下野細尾村馬返し)M39
続三千里(加賀山中温泉)M42
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俳句無し
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俳句無し
三千里(羽前肘折温泉)M40
続三千里(土佐高知)M43
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裸湯の人猿が見る秋晴れて
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盆栽を捨てしと魏竹鷄頭に
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鶏頭や初瀬はまた芋を作る里
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驛頭に藪を出つ長屋鶏頭燃ゆ
9月25日
三千里(下野日光清滝)M39
続三千里(加賀山中温泉)M42
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未だ山を離れず菊を作る里
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機工み緒に就きぬ新酒僧よりも
三千里(羽前肘折温泉)M40
続三千里(土佐高知)M43
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俳句無し
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鯊釣や揺るゝ傘帆の波や汲む
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竿癖の鰭ならぬ沙魚にいとひなく
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今切れの浪も見ゆ沙魚の釣れあえず
9月26日
三千里(下野日光)M39
続三千里(加賀山中温泉)M42
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火も置かず独居の人と夜長かな
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俳句無し
三千里(羽前肘折温泉)M40
続三千里(土佐高知)M43
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俳句無し
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俳句無し
9月27日
三千里(下野日光)M39
続三千里(加賀山中温泉)M42
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俳句無し
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滝を下に間伐りせし谷紅葉かな
三千里(羽前肘折温泉)M40
続三千里(土佐高知)M43
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俳句無し
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俳句無し
9月28日
三千里(下野日光)M39
続三千里(加賀山代温泉)M42
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草花に大石据わる茶店かな
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草花にぬるでの葉末紅葉かな
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草花や湖の水つく通ひ路
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むら芒草花のある始めかな
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草花や十三塚に里のあり
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猿茶屋に草花持てる童ども
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草花も枯れ/\に君を待ちしてふ
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俳句無し
三千里(羽前肘折温泉)M40
続三千里(阿波三好郡川口)M43
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牧原の隅通ひ路や栗拾ひ
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春をいふ滝の桜や栗拾ひ
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俳句無し
9月29日
三千里(下野氏家)M39
続三千里(加賀大聖寺)M42
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俳句無し
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俳句無し
三千里(羽前肘折温泉)M40
続三千里(阿波徳島)M43
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さゝやかな鉱山あるや栗拾ひ
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俳句無し
9月30日
三千里(下野氏家)M39
続三千里(尾張名古屋)M42
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十日路の海渡り来ぬ梨の味
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一宿して雨晴るゝ山ひや/\と
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黄なる花冷やかに竹緑なり
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雨漏りの樽打つ音も夜寒かな
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山を出る日のくれ/゛\に野分かな
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少年の木の実のホ句に振ひけり
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遠のきし雲夕栄す秋の山
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蝕める機もあり古き砧かな
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俳句無し
三千里(羽前肘折温泉)M40
続三千里(阿波徳島)M43
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俳句無し
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舟流れし綺語の長流蕎麦の里
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葡萄産す島となく蕎麥の山平ら
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刈田隈々蕎麥咲くや土佐は兼山祠
9月
10月
10月1日
三千里(下野氏家)M39
続三千里(伊勢宇治山田)M42
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旅心定まるや秋の鮎の頃
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腹げそと背もなき鮎の九月尽
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よき歌も言ひ古されぬ秋の鮎
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水の月川原祓ひのありし夜や
三千里(羽前上の山)M40
続三千里(阿波徳島)M43
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俳句無し
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俳句無し
10月2日
三千里(下野氏家)M39
続三千里(伊勢宇治山田)M42
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川を越えて海辺の月に寒がりぬ
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引きとめし君に無月を恨みなん
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飲み水を運ぶ月夜の漁村かな
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奥の細道の月の句何と問はれけり
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俳句無し
三千里(羽前山形)M40
続三千里(阿波徳島)M43
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ことし亦た山を出て稲を見たれども
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勧進の九月尽気比の海晴れて
10月3日
三千里(下野大田原)M39
続三千里(美濃岐阜)M42
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本降りになるや首途の蕎麦白き
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凹の字に孫の字に芋を思はしむ
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坂を下りて左右に藪あり栗落つる
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秋の鮎駅は遊女の名に似たり
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卒然と秋雨の句を言ひ残す
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蕎麦白きかたに次ぎ行く馬見ゆる
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祭ある幟の雨の芒かな
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俳句無し
三千里(羽前山形)M40
続三千里(阿波徳島)M43
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海を隔てゝ見し形に来ぬ花芒
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日記にすたまさかの叙景冷かに
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市まどひせしを城見ゆ渡る雁
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三日雨冷や/\と牀上げもして
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冷やかや祀を嗣ぐにかゝる策のあり
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門裸な家となり雁下りる沼
10月4日
三千里(下野雲巌寺)M39
続三千里(美濃岐阜在江崎)M42
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俳句無し
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俳句無し
三千里(羽前山形)M40
続三千里(阿波撫養)M43
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俳句無し
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俳句無し
10月5日
三千里(磐城白河)M39
続三千里(美濃岐阜)M42
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家処々に百舌鳥木移りし高鳴きす
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桜紅葉なるべし峰に社見ゆ
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俳句無し
三千里(羽前山形)M40
続三千里(讃岐高松)M43
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君等我等机定めつ蚊帳の果
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処宗吾祀る旗ありそゞろ寒
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蛇籠あらはな道うそ寒を飛ぶ螢
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君を訪ふ隻脚主うそ寒うしぬ
10月6日
三千里(岩代郡山)M39
続三千里(越前福井)M42
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秋の風馬の大市果てにけり
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牽く見れば馬買はまくす花芒
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俳句無し
三千里(羽前山形)M40
続三千里(讃岐高松)M43
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句の妻を里芋の子に娶らまし
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三つ栗の其落栗の一つかや
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之を植て甘唐辛新酒店
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勢田の句と乞はるれど如是に膳所新酒
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坂迎ひの麓物見や簗場まで
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峰渡りの足溜り一寺紅葉ある
10月7日
三千里(岩代郡山)M39
続三千里(越前福井)M42
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渡り鳥安積颪にしば/\す
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鰯引く外浦に出るや芒山
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鰯雲魚見の櫓立ちにけり
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柿の村城遠巻の薮も見ゆ
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送るべき干鮎を柿に思ひ出つ
三千里(羽前山形)M40
続三千里(讃岐高松)M43
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俳句無し
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活けし見れば真白小菊を投挿しに
10月8日
三千里(岩代郡山)M39
続三千里(越前福井)M42
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憂さ晴れてそぞろに行けば野菊哉
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馬を見に行く野の芒野菊かな
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芒道に馬放れをり野菊さく
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夫恋ふと詠みし花なる野菊かな
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山房の夕露や楡の沙明り
三千里(羽前大石田)M40
続三千里(讃岐高松)M43
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俳句無し
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天神の梅落葉芙蓉新たなる
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石を叙する詩あり芙蓉を配し見ん
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又た芙蓉に対す時師言迷ひあり
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玉碎を芙蓉に思ひ三省す
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眺望を阻む森芙蓉見越しなる
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城石垣一片移す庭芙蓉
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高芙蓉の背ろ籔清水見に行かん
10月9日
三千里(岩代三春)M39
続三千里(越前福井)M42
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柿主を脅やかしたる土賊かな
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柿の題三十余人渋を吐く
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時あつて柿の主の謡かな
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柿主の夢畑主の寝言かな
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八五原や櫛木干す雁のすれ/\に
三千里(羽前大石田)M40
続三千里(讃岐高松)M43
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又た会へる話頭冬近し最上川
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一巻の開眼を思ふ夜寒かな
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村に陣を構ふ仮兵や稲筵
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稲村に番雁人を寄せぬ
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俳句無し
10月10日
三千里(岩代郡山)M39
続三千里(越前福井)M42
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矢叫びの音を鳴る風の芒かな
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預け馬戻す便りや冬を待つ
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冷やかに十境三井の名所かな
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秋冷の句作同人旺盛なり
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ひや/\と肖像かけし四壁かな
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我等待つ者焚火消す夜寒かな
三千里(羽前大石田)M40
続三千里(讃岐琴平)M43
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尾花沢は沢潟沢の後の名か
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俳諧の功徳も一分寺の秋
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俳句無し
10月11日
三千里(岩代郡山)M39
続三千里(越前芦原温泉)M42
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三春駒松川葉秋闌に
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俳句無し
三千里(羽前最上郡清水町)M40
続三千里(讃岐高松)M43
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俳句無し
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俳句無し
10月12日
三千里(岩代二本松)M39
続三千里(越前芦原温泉)M42
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露の菊蝕み残る葉の惜しぞ
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露の草石埋りしこのあたり
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脚高き木々の立てるや露の原
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一二本露の菌や陣場山
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穂芦立てば馬湯かと養魚場を見し
三千里(羽前酒田)M40
続三千里(讃岐志度)M43
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霧晴るゝ向ふ峰劃す大河かな
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鍬形の流れに星座紅葉かな
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三日泊りせしを上るや秋の空
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宿帳に大字落々と記す秋
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檜山と峙して満山紅葉かな
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遽か雨も冬の近さや西風も
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うそ寒み車売らるゝ途中哉
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春来んと言ひしをうたゝ夜寒かな
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俗緑を真魚に恥ず残る蚊の宿に
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残る蚊の無住三旬柚も黄ばむ
10月13日
三千里(岩代福島)M39
続三千里(越前福井)M42
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宝物の鬼気も蝕む秋の風
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細布に草の紅葉も摺りにけん
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雲形を彩る塔や花芒
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牧場主言訥にして新酒かな
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炉の側に信夫女と新酒かな
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俳句無し
三千里(羽前酒田)M40
続三千里(讃岐屋島山上)M43
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鳥海を肩ぬぎきし雲や渡り鳥
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境木の築地になりぬ末枯れて
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諸爪のよに掻き捨てし漆かな
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放牧の斃るゝもあらん末枯れて
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三年木杉ともに蕨末枯るゝ
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切り下ろす石こゝらまで露の宿
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國分寺古圖の田にありし楠の露踏みし
10月14日
三千里(岩代郡山)M39
続三千里(越前吉田郡森田村)M42
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俳句無し
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落鮎や誠めど筆の荒ぶ頃
三千里(羽前酒田)M40
続三千里(讃岐高松)M43
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旅人聞く塚のあるやら鹿の声
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鹿穽も雪早き年の刈田かな
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病む側に曼珠沙華折りて遊ぶ子よ
10月15日
三千里(岩代杉田村)M39
続三千里(越前福井)M42
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柿紅葉の中に錦木紅葉かな
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山紅葉県の牧場通りけり
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朝稲妻奇しき見る雁来紅の下
三千里(羽前酒田)M40
続三千里(讃岐高松)M43
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初猟や威しの銃と知る山辺
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麦萌えて猟期の芒刈らずあり
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猟況を里より三度報知かな
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茸も狩りて猟期を待ちし温泉かな
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俳句無し
10月16日
三千里(岩代須賀川)M39
続三千里(越前敦賀)M42
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栗綴る妹見ればあかき行灯哉
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此庭や芝こまやかに栗干しぬ
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虫食ひの尽きずあるなり二升栗
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等躬が三巻と栗二升かな
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俳句無し
三千里(羽前酒田)M40
続三千里(讃岐高松)M43
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俳句無し
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俳句無し
10月17日
三千里(岩代郡山)M39
続三千里(越前敦賀)M42
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芙蓉咲いて下図成りけり亜欧堂
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海に泛ぶかと拝殿に雁仰ぐ
三千里(羽前酒田)M40
続三千里(讃岐高松)M43
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仮橋の都四条や後の月
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帰陣待つ江の舟師や後の月
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我に晴れよ鳥海月の名残なる
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俳句無し
10月18日
三千里(岩代郡山)M39
続三千里(若狭小浜)M42
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新蕎麦に句に酒に論に責らるゝ
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俳魔して夜寒の病魔払はせん
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句徳無辺大に芋を食らふべし
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蘭と菊あるじの事をさゝやかん
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山に木を植うると子規忌とを忘れ得ぬ
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五十鈴湖畔の明月といふ遊びかな
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妹か郎か女夫の塚か萩芒
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丘隔つ町二筋の蜻蛉かな
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水筋の横瀬に落つやむら芒
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樽さげて聟が行きやるを鳴る鳴子
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芋煮えて天地静に鳴子かな
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馬遠く鳥高き野の鳴子かな
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何鳥の嘴叩くらん引板の音
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俳句無し
三千里(羽前酒田)M40
続三千里(讃岐丸亀)M43
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川口の塞がる冬も隣りけり
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戻り荷の真帆の底雲冬近き
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冬近き船頭の神や蝦夷
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俳句無し
10月19日
三千里(岩代郡山)M39
続三千里(若狭小浜)M42
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子持茸といふが此里にあるやらん
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種蒔の桜と君をたとへけり
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俳句無し
三千里(羽前酒田)M40
続三千里(讃岐丸亀)M43
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昔ならば不玉が宿や後の月
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隠栖は成りしかど短命や後の月
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出でゝ伏水船まだあるや後の月
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熊坂と釣狐十三夜かな
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こたび下ればまた上らぬや後の月
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主振り茶も設けゝり後の月
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水料もすませ戻りぬ十三夜
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俳句無し
10月20日
三千里(岩代東山)M39
続三千里(丹後新舞鶴)M42
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山かけて鳥渡る湖の眺めかな
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磐梯を霧こめて暮色大なり
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湖を見て夜越えになりし夜寒かな
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霧下りし干物に思ふ湖津浪
三千里(羽前酒田)M40
続三千里(讃岐丸亀)M43
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この道の三つ渡る川や蘆の花
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穂芦出て寒風山を背ろにす
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俳句無し
10月21日
三千里(岩代東山)M39
続三千里(丹後舞鶴)M42
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山中に淹留し朝を寒うしぬ
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藁積めば朝寒き里の冬に似る
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朝寒に狂ひ晴れする日和かな
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遺言ぞと聞くにも堪へて夜寒声
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名所巡りの腰折れて戻る夜寒かな
三千里(羽前酒田)M40
続三千里(讃岐丸亀)M43
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木もなくてしぐるゝをかし外廓
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後の月を雅号にもぢる奇縁かな
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句を作る夜長に妻等縫ひにけん
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厚綿の鄙振りにせしと言ひおこす
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俳句無し
10月22日
三千里(岩代東山)M39
続三千里(丹後舞鶴)M42
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水たるゝ梨兄弟に分ちけり
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梨園に日々客を見る車かな
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乳牛を牧する里や梨の味
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薬白根掘り得しにお山霰落つ
三千里(羽前酒田)M40
続三千里(讃岐丸亀)M43
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新蕎麦や殖林の山中の酒
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新蕎麦や南部素郷と出羽五明
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新蕎麦や碁笥なき盤も横はる
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蕎麦うつや月彷彿と靄の中
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俳句無し
10月23日
三千里(岩代耶麻郡山都村)M39
続三千里(丹後舞鶴)M42
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稲筵雪ある山と大川と
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桑黄ばむ山沿ひに麦の萌え出る
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コスモスの冬近し人の猿袴
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阿賀川も紅葉も下に見ゆるなり
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稲架立てしに雪早し猪威し銃
三千里(羽前酒田)M40
続三千里(讃岐丸亀)M43
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山寨の道到り難し里の百舌鳥
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この酒屋辛き量りを百舌鳥の鳴く
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俳句無し
10月24日
三千里(岩代熱塩温泉)M39
続三千里(丹後舞鶴)M42
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俳句無し
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岬めぐりして知るや鳥の渡り筋
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柿主も機場案内の唄所望
三千里(羽前酒田)M40
続三千里(讃岐丸亀)M43
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俳句無し
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俳句無し
10月25日
三千里(岩代喜多方)M39
続三千里(丹後舞鶴)M42
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銀杏一樹黄ばめる下や温泉の町
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花園に囲ひし山の芒かな
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開山の功徳の温泉にしぐれけり
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俳句無し
三千里(羽前鶴岡)M40
続三千里(讃岐白峰寺)M43
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俳句無し
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俳句無し
10月26日
三千里(羽前米沢)M39
続三千里(丹後舞鶴)M42
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ぎいと鳴る三つの添水の遅速かな
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雲こめし中や雨降る秋の山
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川魚子を摺るといふ秋の題を得つ
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湖も山も冬の景色に紅葉かな
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会津より秋かけて出羽の時雨かな
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夜は長し快飲し快食し快眠す
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行秋や思ふ得度に汝が未練
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交易の終航に木の実盛られたり
三千里(羽前鶴岡)M40
続三千里(讃岐小豆島下村)M43
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俳句無し
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俳句無し
10月27日
三千里(羽前上の山)M39
続三千里(丹後舞鶴)M42
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山桑の木高さや菊も作り捨つ
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最上で上の山の粋な夜寒かな
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菊を一廓にして厩あり散る柳
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港修築餘る池あり散る柳
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咲き絶えて薔薇寄せあるに散る柳
三千里(羽前鶴岡)M40
続三千里(讃岐高松)M43
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俳句無し
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俳句無し
10月28日
三千里(羽前山形)M39
続三千里(丹後舞鶴)M42
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芹の中の水に溜れる落葉かな
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旧作の落葉を思ふ山路かな
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落葉して湖水の漁に疎きかな
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俳句無し
三千里(羽前鶴岡)M40
続三千里(讃岐高松)M43
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臥牛山の麓の高野枯れにけり
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冬木立捨て寄せしよな末社かな
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朴落葉俳諧の一舎残らまし
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冬構の中に鳥居の裸かな
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落葉して鐘楼残れる社かな
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谷深し松に紅葉を畳みけり
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俳句無し
10月29日
三千里(羽前山形)M39
続三千里(丹後綾部)M42
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淋し寒し出羽の清水後の月
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旅に裁つ衣に妻女と夜長かな
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十年前のこと問はる病うそ寒き
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露降らす鳥居筋鹿を点出す
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屯解く焚火もあだに霧下りて
三千里(羽前鶴岡)M40
続三千里(讃岐琴平)M43
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頭巾にや鉢巻をせし被り物
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仏事の麁末かれこれといふ
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飛ぶ蜻蛉けふ入舟の数ありて
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あてやかに敷きて客なき蒲団かな
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俳句無し
10月30日
三千里(羽前山形)M39
続三千里(丹後河守)M42
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俳句無し
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俳句無し
三千里(羽前西田川)M40
続三千里(讃岐観音寺)M43
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奥の灘は紅葉散りしく門辺かな
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仏龕の霜置くなべに休みけり
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三階に請ぜられたるこの寒さ
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外湯上下下に入らなん
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俳句無し
10月31日
三千里(羽前山形)M39
続三千里(丹後宮津)M42
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俳句無し
-
俳句無し
三千里(羽前西田川郡温海温泉)M40
続三千里(讃岐多度津)M43
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温泉は米汁に似て真白なり
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炉のほとり酒か飯かと問ひに来て
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芒添へて豆の木掛けぬ風構
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俳句無し
11月1日
三千里(羽前高湯)M39
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阿古屋茸といふやらんたぐひ立つものを
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飲みつぎて倒れず戻る十三夜
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語るべき物の中にも柿の味
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菌干す下に南山と菊を見る
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新綿に新木綿よき産衣かな
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鞭達の心にホ句の槌を打て
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建て増しの槌かしましう冬隣る
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鬼灯もお国なまりも我はすく
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最上女は蔓梅の枝をかざしかな
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そゝかしく雁首落す別れかな
続三千里(丹後宮津)M42
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桜山の雪成相の雨を欲す
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霧晴るゝ松毎に又た波毎に
三千里(越後岩船郡葡萄)M40
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旅籠屋ながら稲荷ひ込む
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越後路に戻りて佐渡もなつかしや
続三千里(伊予今治)M43
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俳句無し
11月2日
三千里(陸前峨々温泉)M39
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俳句無し
続三千里(丹後間人)M42
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櫛の歯の松に棹雁折れ落ちん
三千里(越後新発田)M40
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俳句無し
続三千里(伊予今治)M43
-
俳句無し
11月3日
三千里(陸前峨々温泉)M39
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俳句無し
続三千里(丹後間人)M42
-
俳句無し
三千里(越後新潟)M40
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関跡に地蔵据ゑけり菊の秋
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並松のハタと伐られぬ秋の水
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里に掛けし板木の下や秋の水
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宿に居て旅情慰まず菊の花
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作り捨てし菊哀れめり呉れし主
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桑を梨を奨め作るや菊の村
続三千里(伊予今治)M43
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俳句無し
11月4日
三千里(陸前仙台)M39
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山を出でゝ稲を見つ詩宗の詩をも得つ
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寺大破炭割る音も聞えけり
続三千里(丹後間人)M42
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柳散るや馬と異なる馬の痩
三千里(越後新潟)M40
-
俳句無し
続三千里(伊予今治)M43
-
俳句無し
11月5日
三千里(陸前仙台)M39
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裏山のけむれる此方紅葉かな
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葉芋高き宿にとまるや晴三日
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温泉を出でゝ炭火に面輝かす
続三千里(但馬城崎)M42
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俳句無し
三千里(越後新潟)M40
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磯づたひ行かぬ山路の落葉かな
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立岩の裏も神ある落葉かな
続三千里(伊予波止浜)M43
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船も絶えて鳩の飛ぶ空浮寢島
11月6日
三千里(陸前仙台)M39
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末枯れて額一面の社頭かな
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果知らずの記のあとを来ぬ秋の風
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とき朝の花火の音や霜日和
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思はずもヒヨコ生れぬ冬薔薇
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火を埋めて心長く温泉に暖まる
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短日やさそはれ出しかげ詣り
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あらぬ家に薬干されぬ冬の蠅
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牡蠣船に在りて文来る誰よりぞ
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糸を繰る音と庇のしぐれかな
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しぐるゝや香に立つ温泉の洗ひ物
続三千里(但馬城崎温泉)M42
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牧牛の群れ来れば水鳥も輪に
三千里(越後新潟)M40
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浜砂を波の蹴上げや冬田原
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工場も建つや水田の冬の駅
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名所詠むにふさはしからぬ冬田哉
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鶏も出ず藁捨て干しの冬田哉
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鳥の跡と見えて大きな冬田かな
続三千里(伊予波止浜)M43
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俳句無し
11月7日
三千里(岩代中村)M39
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日の出見て山下りし里の小春哉
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牧場に近き池なり浮寝鳥
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枯るゝ菊みぞるゝ松になりにけり
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底曇りの雲の動きや冬の海
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革羽織着る顔になる己れかな
続三千里(但馬城崎温泉)M42
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俳句無し
三千里(越後新潟)M40
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媒落ちて炉上梁鳴る夜風かな
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鞦を炉の火さかるに炙りけり
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大根吊りて炉辺事無き山家かな
続三千里(伊予波止浜)M43
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俳句無し
11月8日
三千里(岩代小高)M39
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ありといふ小屋にも出でず冬木立
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手をかざせば睡魔の襲ふ火桶かな
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真上より滝見る冬木平らかな
続三千里(但馬城崎温泉)M42
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橋畔旗亭岩も掃く日の落葉かな
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葮立てば落葉も寄りてあさる蟹
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陣の跡地を走る風の落葉かな
三千里(越後新潟)M40
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雁鳴くや海見ゆる窓を閉しゐて
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旅中に聞きし訃をかゞなうる
続三千里(伊予波止浜)M43
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俳句無し
11月9日
三千里(陸前仙台)M39
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我を見て泣く人よ寒し我も泣く
続三千里(但馬城崎温泉)M42
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山茶花や先づ舂ける陶土見る
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山茶花や授戒会名残斎に来て
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山茶花や岩窟も椿森の中
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隠し妻を見し咎やあらん山茶花に
三千里(佐渡河原田)M40
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俳句無し
続三千里(伊予波止浜)M43
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湯花それ/゛\大学に冬を籠る年
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髪も染むと奥冬籠煤を掃く
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あるは烟籠眠冬の二字を案じ癖
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股榾の三日の火款待衰へず
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繡工の足も縫ふ夢冬籠
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魚放流了ればまこと冬籠
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三顧の智蟄冬を詩に起すなど
11月10日
三千里(陸前仙台)M39
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内浦になだらな島や浮寐鳥
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朝凪に浮洲も見えて浮寝鳥
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水鳥や湖の渡りの三里程
続三千里(但馬城崎温泉)M42
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元伊勢の里石高な時雨かな
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君は何を辻に見て来ししぐるゝ夜
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濃艶の地に狂風の時雨かな
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妻難を文す寒さや君にのみ
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施行の湯洲白き松も北時雨
三千里(佐渡相川)M40
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春と秋はいつも来でこの蒲団哉
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千里距る別れに敷き布団かな
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布団二つ敷けば大佐渡小佐渡かな
続三千里(伊予波止浜)M43
-
俳句無し
11月11日
三千里(陸前仙台)M39
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要害の城や小春の旧山河
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小者つれて島長ぶりの小春かな
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山の辺の小春の鳥居くゞりけり
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畚の中雀来て居る小春かな
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端山越え畑木もみづる小春かな
続三千里(但馬城崎温泉)M42
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俳句無し
三千里(佐渡相川)M40
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俳句無し
続三千里(伊予波止浜)M43
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俳句無し
11月12日
三千里(陸前仙台)M39
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絵の下に蹲る緑漪浦山房の冬
続三千里(但馬城崎温泉)M42
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俳句無し
三千里(佐渡小田村)M40
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俳句無し
続三千里(伊予越智郡大三島)M43
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俳句無し
11月13日
三千里(陸前仙台)M39
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詩話画論しぐるゝいとまなかりけり
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百日目横はる赤き毛布かな
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左右にある殉死の塚の落葉かな
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雪虫の飛ぶ廟前の木立かな
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芝広な庭や雪虫飛び初むる
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雪虫やけふ見ゆる遠山の雪
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雪虫や川原の広き町外れ
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高き飛ぶ雪虫袖に落ちにけり
続三千里(但馬城崎)M42
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霜凪に山払ふ瀬戸を望み行く
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土情知らずも童謡聞ゆ道の霜
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狐つきし人吐きし物か庭の霜
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霜に伏せし旗をや揚ぐる江の風に
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鼠上るを見る軒の松霜さびて
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鳰立つや霜に掻く藻の棹光り
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騾聲々寝不足の霜日和なる
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霜を掻く落葉に鴉掘られけり
三千里(佐渡鷲崎村)M40
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俳句無し
続三千里(安芸竹原)M43
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俳句無し
11月14日
三千里(陸前塩釜)M39
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畑広し蔵立つあたり散る紅葉
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霊泉を見されども心冴ゆるかな
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多羅葉の大樹けやき神の留守
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提灯に照らす紅葉の深きかな
続三千里(但馬城崎温泉)M42
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句作には酔ひ過ぎぬ話頭鳴く千鳥
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千鳥鳴いて二度渡る橋を忌む夜哉
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晦朔を問ふ文千鳥鳴くにつけ
三千里(佐渡夷)M40
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浦千鳥夷通ひは三艘出る
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離れ家離れ岩あり飛ぶ千鳥
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千鳥来るや岬ともなき牛牧場
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舟納屋に網も掛くるや千鳥来る
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舟で立つときめての夜話や浦千鳥
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隣り合へど舟通ふ浦や鳴く千鳥
続三千里(安芸竹原)M43
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俳句無し
11月15日
三千里(陸前松島)M39
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俳句無し
続三千里(但馬城崎)M42
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俳句無し
三千里(佐渡河原田)M40
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山茶花に真野山紅葉散りにけり
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山茶花や供御とゝのへし民哀れ
続三千里(安芸竹原)M43
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海までの水路に偽砲浮寐鳥
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讃岐は山の襞績のなき国浮寐鳥
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泊るならひ打止めの札所浮寢鳥
11月16日
三千里(陸前石の巻)M39
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俳句無し
続三千里(但馬豊岡)M42
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俳句無し
三千里(佐渡河原田)M40
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俳句無し
続三千里(安芸竹原)M43
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俳句無し
11月17日
三千里(陸前鮎川)M39
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君に遇ふ牡鹿の山の眠る下
続三千里(但馬城崎)M42
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俳句無し
三千里(佐渡河原田)M40
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山茶花や学校になき風囲ひ
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山茶花や謫居の跡の寺一宇
続三千里(備後尾の道)M43
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俳句無し
11月18日
三千里(陸前金華山)M39
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俳句無し
続三千里(但馬城崎)M42
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行李柳炭櫃の手にも白き宿
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炭𥧄を開く日兎ニ罠に
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炭市の日を待て絹も売らまくす
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彩星居と選りしもよべや霰降る
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途中三湖を見る遑ありて降る霰
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子を学に托す炭売り至言かな
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炭處薬師の落葉黄に照りて
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炭値など争ふを茶屋にわき見しつ
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城を仇と望む浪々の霰かな
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極月の霰や京に有事の日
三千里(佐渡新穂村)M40
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俳句無し
続三千里(備後尾の道)M43
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旅全からぬ師を次ぐ弟子や眠る山
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田中岩も雉罠栞り冬山家
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痉紅の碑あるあり四山眠れるに
11月19日
三千里(陸前萩の浜)M39
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俳句無し
続三千里(但馬城崎)M42
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俳句無し
三千里(佐渡河原田)M40
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俳句無し
続三千里(備後尾の道)M43
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奇瓢手入れして勾玉や吐く思ひ
11月20日
三千里(陸前石の巻)M39
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子が号を囲炉裏の側に案じけり
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囲炉裏ある間に銀屏を立てまほし
続三千里(但馬城崎)M42
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俳句無し
三千里(佐渡小木)M40
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俳句無し
続三千里(備中玉島)M43
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俳句無し
11月21日
三千里(陸前石の巻)M39
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大木戸に似し門ありて冬木かな
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畳干す冬木の下や駅日和
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河豚の文天雪降ると物しけり
続三千里(但馬城崎)M42
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模様彫罠木にも見ゆ冬山家
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絶えて紀行なき蕪村思ふ眠る山
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一度降りし雪忘れ菜や冬山家
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天橋の図に加悦大江山眠る
三千里(佐渡小木)M40
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日和見の漁長が家や帰り花
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洞穴の入江になるや初氷
続三千里( 備中玉島沙美)M43
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教徒外足袋屋主を賛す我
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此日巡遊興のなかりし足袋払ふ
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筆ともに足袋の用行李紐解きし
11月22日
三千里(陸前石の巻)M39
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沼尻の川の流れや柴漬くる
続三千里(但馬城崎)M42
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流れあさる舟皆下りつ浮寝鳥
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木置場の二人木挽や浮寝鳥
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夕酔ひの魚拾ふ朝や浮寝鳥
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水鳥や葦の太根の矢落ちて
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蕃楽を帰順に聞く日浮寝鳥
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道は勾玉の湖離れずよ浮寝鳥
三千里(佐渡小木)M40
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句はなくて妓を品す菊の花の前
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佐渡一めぐりせし名残なり
続三千里(備中沙美)M43
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榜し牽く乳屋が牛に日短き
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不時綱代の鰈の汐味日短き
11月23日
三千里(陸前登米)M39
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炉に寄りて早や石索を開き鳧
続三千里(但馬城崎)M42
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俳句無し
三千里(越後西蒲原郡地蔵堂)M40
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俳句無し
続三千里(備中沙美)M43
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汐ざえる名残とも霜さびの雲
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根蔕の宿弊霜にもげにけり
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舟伏せしに国栖の古事霜降りて
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道の霜拾へるを近江聖人へ
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温泉に草稿を齎らせり霜凪の朝
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楯の霜弭掻く朝期すること
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霜にはふり落す葉も庭掃除なる
11月24日
三千里(陸前登米)M39
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都曇てふ楽器見せけり冬籠
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霜日和稲掛けし運河堤かな
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霜凪ぎに濃き紅葉見ゆ向ひ島
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復た川に沿ふやどりなり朝の霜
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転結を置かぬ詩多し冬籠
続三千里(但馬城崎)M42
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産を破るに至らず柳枯れて覚む
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蔭に女性あり延び/\のこと枯柳
三千里(越後西蒲原郡地蔵堂)M40
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親人と碁を打たぬ間の火燵かな
続三千里(備中沙美)M43
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枯芦の群ラ鳥二本烟突を
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日和山を遊園に返り咲く木あり
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枯芦の隔つ町橋のとゞろかな
11月25日
三千里(陸前登米)M39
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桑老木倒れしもあり三十三才
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山越しに窟のあるや三十三才
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三十三才チョロと落葉を返し飛ぶ
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三十三才住持が貧の竈まで
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宮の大樹伐ると噂さの小春かな
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船頭の社案内や散紅葉
続三千里(但馬城崎)M42
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避寒人粉陣打破に鈍れども
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我を待て譲られし遺書と避寒せし
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真蘇穂貝を思ふ似し浦に避寒して
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備忘録に種馬の強度や避寒人
三千里(越後新潟)M40
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俳句無し
続三千里(備中沙美)M43
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予讃見聞広島牡蠣の背低桝
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娶る話牡蠣舟にあげつらひしに因す
11月26日
三千里(陸前登米)M39
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さか鳥も国替の時になくなりぬ
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芦を鳴る風にさかどり待れ鳧
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さかどりの一陣を張る処かな
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いく立てのさかどりに鳥のつぎ来るや
続三千里(但馬城崎)M42
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匕首の幸未だしと文す極月や
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藍掻て狩の噂さも師走人
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禅語藉るも亦た偷安の師走人
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住みつきし師走の米に虫つきて
三千里(越後新潟)M40
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俳句無し
続三千里(備中沙美)M43
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水涸の税打や遊行立寄れる
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手束ねて見る禿山や水涸れぬ
11月27日
三千里(陸前登米)M39
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出羽人も知らぬ山見ゆ今朝の冬
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冬来るや尚乗り締むる馬五頭
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隠居田の訴訟隠居死ぬ今朝の冬
続三千里(山城京都)M42
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俳句無し
三千里(越後北蒲原郡水原)M40
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小春日の里にお助け普請かな
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佐渡でいふ国中平小春かな
続三千里(備中沙美)M43
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返り咲くや闘牛王の動く年
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果樹園に野良木あり返り咲くに質す
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冬菜作る農園に焙爐捨てし見る
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珠を抱く灣の樣返り咲く宮居
11月28日
三千里(陸前登米)M39
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産の祝ひ又の祝ひやかぶら汁
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我がかぶら贈る天下の二人哉
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ぶり/\に似し長かぶら面白や
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鞍づけの蕪が落ちそな馬が行く
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蕪作る大百姓や聖村
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大鍋に煮くづれ甘きかぶらかな
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蕪一つ法味ゆたかに見ゆる哉
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牛飼ひと歌にある宿やかぶら汁
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留錫のお物好みや蕪汁
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二三日の京と蕪を忘れ得ぬ
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俳陣のうしろに据わる蕪かな
続三千里(摂津大阪)M42
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俳句無し
三千里(越後長岡)M40
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凡貧の境を脱せぬ火燵かな
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風呂欲しう思ひつゝ宿の火燵かな
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あらぬ富を火燵に寄れば思ふなり
続三千里(備中沙美)M43
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独居の意張る獅子吼なす己れ寒む
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軒寒むの間口広道は廃れたり
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禁制に問ふ寒し蘭書此家に
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八つ沼のこの道を願意寒き行く
11月29日
三千里(陸前登米)M39
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犀角のよな匂ひして紙子かな
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下ざまの紙子好みを問はれけり
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箔のやうに白き跡見ゆ紙子かな
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素紙子に画を物しけり千鳥など
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一つ赤き詩箋を裏に紙子かな
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翻然と遊里に捨てし紙子かな
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素紙子や商人ながら狂言師
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酒代に紙子の袖の黄金かな
続三千里(但馬城崎)M42
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俳句無し
三千里(越後長岡)M40
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鶚の巣見えて河豚釣る岩間かな
続三千里(備中沙美)M43
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墓石得しに書斎の煤日後れたり
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開門匇々の放れ馬なり煤旦
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熊坂の諜者が煤日夕紛れ
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煤掃いて湖涸るゝ年の泥汲まん
11月30日
三千里(陸前登米)M39
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上の山泊りにせうぞ月寒さ
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春に焼けし家居建ちけり冬の月
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すまじてふ峠越えしぬ冬の月
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このやうに行人絶えて冬の月
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柝過ぎて後犬行くや冬の月
続三千里(但馬城崎)M42
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盆梅に蓬頭の暖炉籠りして
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暖炉の歌病む師に乞へば興乗ると
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生れ子も移民初年の暖炉かな
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渡り酒か暖爐の君に緑なる
三千里(越後長岡)M40
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臘八の霰あとなき日影かな
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臘八の門に汝の到りけり
続三千里(備前岡山)M43
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俳句無し
11月
12月1日
三千里(陸前登米)M39
続三千里(但馬城崎)M42
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蚕桑もつたなき里や菊枯るゝ
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菊枯れて又た見る能の菊慈童
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自ら廃寺になりぬ菊枯るゝ
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風垣をして菊見えず枯るゝ頃
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虫が食ふ菊なりし枯れてしまひけり
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酒盗む人も老いぬる枯るゝ菊
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地すべりの時の潴水や冬木立
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冬木谷岩組も猪の渡り筋
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学校の冬木に雉の棲める朝
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かくて住みし応挙ぞと知る寺冬木
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牧柵も谷八つ尾尻冬木立
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坊守の脂削る瘤冬木かな
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瀧の岩も赭き遠目や冬木立
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櫨冬木立宿り木しるし梅の村
三千里(越後長岡)M40
続三千里(備中沙美)M43
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角鳴て闘ふ牛やけさの霜
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艮に火事あるべしといふ夜かな
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大火事の天保頃の話かな
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積藁の枯木の霜に雀かな
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俳句無し
12月2日
三千里(陸前登米)M39
続三千里(但馬城崎)M42
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納豆の甘きはあれど米わろき
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納豆打つ寝覚々々を又寝かな
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炉住居になくてかなはぬ納豆かな
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この家に木仏立たすや納豆汁
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十余州越えて冬なり納豆汁
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咲かぬ年枯るゝと思ふ冬牡丹
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積藁の三つある庭や冬牡丹
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地に柑子垂れて牡丹も冬を咲く
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冬牡丹さくや白砂の明月寺
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冬牡丹くねれる錫に花咲きぬ
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正統を立たせ給へり冬牡丹
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凩の栃平お山遥拝所
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凩や治水に狼煙打つぞとも
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凩の奥丹後餘戶稲城かな
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凩や白樺の魔火さそふ森
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凩や火して盤石割きし朝
三千里(越後長岡)M40
続三千里(備中沙美)M43
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白磁さへ渡りと見えて水仙花
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酒三行に筆硯も出づ
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寒搗の米や俵を運びけり
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葱汁の主にも執拗の徳
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葱畑の藁塚や黐の柴寄せて
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修忌の蕪參らする葱も一束ね
12月3日
三千里(?)M39
続三千里(但馬城崎)M42
-
冬空や舟行の果に日暮るゝ
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冬空や津軽根見えて南部領
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冬空の下に黄渋の濃き田かな
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菜干す朝又の煤日も霰せん
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木香まじなふ飯櫃に柚子と干菜哉
-
菊刈れば干菜に蜂の立つ日かな
-
干菜汁に柿の核見る冬至かな
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干菜粥尺牘の紙惜む主
三千里(越後長岡)M40
続三千里(備中沙美)M43
-
佐渡振りを賑ふ臼や寒の内
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大額冴ゆ次第に浪の音なかり
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弊政のことを偽銀や冴ゆる灯
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諷諫の言思ふ框の畫絹冴ゆ
12月4日
三千里(陸中一の関)M39
続三千里(但馬城崎)M42
-
苔青き踏むあたりにも霜柱
-
火燵の間去ることもなく用足りぬ
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歯皓き君を火燵に強うるなり
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菊枯れて土竜うごもつ畑になりぬ
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宿論もこの墓所にある枯野かな
-
地に下りし鳶に引るゝ枯野かな
-
恩愛を枯野に捨てんわを責めて
-
小戦に死所を得ず哀れ野は枯れて
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行李柳田に返し掘る枯野かな
-
野は枯れて飛松に餘戸鹽田かな
三千里(越後長岡)M40
続三千里(備中沙美)M43
-
俳句無し
-
俳句無し
12月5日
三千里(陸中一の関)M39
続三千里(但馬城崎)M42
-
俳句無し
-
凩や牧訪ふを機場見てやみし
三千里(越後長岡)M40
続三千里(備中沙美)M43
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能の残る寒き国なり佐渡が島
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果樹の国に父祖の田を守る寒さかな
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狐吊りて駅亭寒し山十勝
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牛を吼えて犬狂ひけん寒さかな
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治水翁の国見す芒枯れしにも
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刈る頃の枯芒長風の丘
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芒枯れし池に出づ工場さかる音を
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芒枯れし穂につく須磨の松ふぐり
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芒枯れし凸岬の荒れ凹灣より
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酒試醸積み捨てし物や枯芒
12月6日
三千里(陸中水沢)M39
続三千里(但馬城崎)M42
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秀衡と芭蕉君にも寒さかな
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なしと言へど袖中のホ句又た寒し
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俳句無し
三千里(越後長岡)M40
続三千里(備中沙美)M43
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海府便り絶えしよにいふ眠る山
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百姓を輿に雇ひぬ眠る山
-
霙れをるに室移る保養院の松
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俵装検印の日の霙れしが雪となり
-
霙るゝに宮鳩の鶏を羽ばたけり
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各地一泊の旅や丹鶴霙るゝ日
12月7日
三千里(陸中遠野)M39
続三千里(但馬城崎)M42
-
人首と書いて何と読む寒さかな
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湯島菜に苣の根赤や冬薔薇
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冬薔薇月山鍛冶の下りてをり
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婢にも糊のまことや冬薔薇
-
墓参帰省して籠り居や冬薔薇
三千里(越後新潟)M40
続三千里(備中沙美)M43
-
山姥の雪籠りせし灯なるべし
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紅染めし雪の兎を想はしむ
-
網代ほとり洲の宮に烏猛き見る
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網代筋反れて鉾立つ岩も目に
-
一帯の松や網代の城跡か
-
いつも鈍な森の上山や網代守
-
網代持てば鴨も時折拾ひ來ぬ
12月8日
三千里(陸中遠野)M39
続三千里(但馬城崎)M42
-
埋れ木を掘る里人の小春かな
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火燵にてあるじがまねの書見かな
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火の映る北上氷りそめにけり
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山の池の緑に薄き氷かな
-
狼に恐れて馬もやらぬなり
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冬日落つまこと梢の鴉島
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濃き雲の脚荒ラ峰冬日突と落つ
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嘴鍬を土に鴉の冬日かな
-
雲を叱る神あらん冬日夕磨ぎに
-
漉砂を洗ひ磨ぐ冬日影満つ
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罠工み畑を助けや冬日影
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窓照りし冬日や雨を轟かす
三千里(越後長岡)M40
続三千里(備前岡山)M43
-
ふたはすれど通ふ千鳥の音のあらん
-
俳句無し
12月9日
三千里(陸中遠野)M39
続三千里(但馬城崎)M42
-
俳句無し
-
落葉掃けば秋見ぬ地虫甲へり
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鞍馬判威も衰へて落葉かな
-
論陣の官学の総落葉かな
-
蜜涸れにや蜂戦へる落葉かな
-
門札を削り住む家や椋落葉
三千里(越後長岡)M40
続三千里(備前岡山)M43
-
俳句無し
-
俳句無し
12月10日
三千里(陸中遠野)M39
続三千里(但馬城崎)M42
-
北風や磧の中の別れ道
-
雪沓も穿きなれぬ地酒酌みかはす
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爪籠の事雪車股しやれの話かな
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北風に比良のそゝれば魞のなき
-
柚の匂ひ北颪す朝の温泉のほとり
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北風や北魏の書険悪の体とあり
三千里(越後長岡)M40
続三千里(備前岡山)M43
-
君泊めて師走の謡聞くに惜し
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橋開きありて師走の花火かな
-
茶の匂ふ枕も出来て師走かな
-
築き替へし臼二つまで師走かな
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極月の風雪熊羆叫びけり
-
俳句無し
12月11日
三千里(陸中釜石)M39
続三千里(但馬城崎)M42
-
俳句無し
-
懸想文買ふ家のそは老刀自か
三千里(越後長岡)M40
続三千里(備前岡山)M43
-
子心に不孝重ねまじと寒さかな
-
俳句無し
12月12日
三千里(陸中釜石)M39
続三千里(但馬城崎)M42
-
俳句無し
-
俳句無し
三千里(越後長岡)M40
続三千里(備前小串)M43
-
俳句無し
-
俳句無し
12月13日
三千里(陸中宮古)M39
続三千里(但馬城崎)M42
-
俳句無し
-
俳句無し
三千里(武蔵東京)M40
続三千里(讃岐多度津)M43
-
俳句無し
-
俳句無し
12月14日
三千里(陸中宮古)M39
続三千里(但馬香住村)M42
-
寺絶えてたゞに尖れり冬の山
-
要害の江左に対す冬の山
-
凶歳の途に当れり冬の山
-
俳句無し
*
続三千里(伊予松山)M43
*
-
俳句無し
12月15日
三千里(陸中盛岡)M39
続三千里(但馬浜阪)M42
-
俳句無し
-
俳句無し
*
続三千里(安芸広島)M43
*
-
俳句無し
12月16日
三千里(陸中盛岡)M39
続三千里(因幡浦富)M42
-
我れが見る火燵籠りの腮かな
-
火燵して閉伊の郡に老いにけり
-
乗りて来し馬を火燵に見つゝをる
-
俳句無し
*
続三千里(安芸広島)M43
*
-
俳句無し
12月17日
三千里(陸中盛岡)M39
続三千里(因幡鳥取)M42
-
山の表裏廻る道や枯茨
-
夕鳥の腹掻く茨枯れにけり
-
枯茨や散る藁屑と実赤きと
-
舟橋を吊る針金や枯茨
-
炭積めばなど狂ふ馬となりにけん
*
続三千里(備後福山)M43
*
-
俳句無し
12月18日
三千里(陸中盛岡)M39
続三千里(因幡鳥取)M42
-
句を望む君と師走のいとまあれ
-
俳句無し
*
続三千里(備中笠岡)M43
*
-
俳句無し
12月19日
三千里(陸中盛岡)M39
続三千里(因幡鳥取)M42
-
帰り来ぬ人北風に立つ日かな
-
北風に魚塩の便りなかりけり
-
君等夫婦言ひし雪焼けもせずとこそ
-
墜道の飯場石焚く雪籠り
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続三千里(播磨兵庫)M43
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俳句無し
12月20日
三千里(陸中盛岡)M39
続三千里(因幡鳥取)M42
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遠野勢夜半に著きぬる雪明り
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門の雪いつ繋ぎけん馬のをる
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雪あらぬ片谷に温泉の小村かな
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窓に吹く吹雪の中の講義かな
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以南の水以北の峰や雪の原
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枕辺に積む雪奇しく目覚めけり
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柳ある方に橋見ゆ廓の雪
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俳句無し
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続三千里(播磨兵庫)M43
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埋火や庖刀我と期せし宿
12月21日
三千里(陸中盛岡)M39
続三千里(因幡鳥取)M42
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集を見て我句楽しむ冬籠
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山を見て心に足りぬ冬籠
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俳句無し
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続三千里(播磨西の宮)M43
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故人亡きを訪ふ水仙に圓卓も
12月22日
三千里(陸中盛岡)M39
続三千里(伯耆東郷温泉)M42
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捨水の落るところは氷柱かな
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雪沓のまゝモートルの下に踞す
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水道の氷熊手掻く旦かな
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一廓の灯や渓の雪発電所
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盗まれし牛の訴訟や冬籠
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庵則を自 ら問はず冬籠
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蕪赤き里隣る砂利を上ぐる村
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絵の具こぼれも室暖かや蕪汁
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続三千里(播磨兵庫)M43
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水仙の間を選ぶ奴婢も三四あり
12月23日
三千里(陸中盛岡)M39
続三千里(伯耆米子)M42
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水鳥や裾野つゞきに丸き沼
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雪除をする日水鳥晴れて見ゆ
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ともらぬ夜なき茶屋の灯や浮寐鳥
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水鳥や昼の渡しの人満船
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城を出て逸峰見ゆれ浮寝鳥
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俳句無し
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続三千里(播磨兵庫)M43
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俳句無し
12月24日
三千里(陸中盛岡)M39
続三千里(出雲能義郡赤江)M42
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茶店とも酒保とも雪の一軒家
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首綱で犢引き来る深雪かな
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米と塩けふ待つ雪車の送り状
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雪除の高さや牛舎三棟建つ
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雪チラ/\岩手颪にならで止む
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軍屯す人籟湖の氷割れして
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孵化魚卵届く日氷伐りそめて
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鴨も拾ふ湖氷る年や膳所の人
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鰊走りして間なき海の氷る日や
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橇行の渡る氷を瀬踏みかな
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続三千里(播磨兵庫)M43
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卵酒吐哺の境涯妻いふ夜
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有馬去りし口なれの卵酒もせず
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玉子酒を筆硯と雑話無き夜なる
12月25日
三千里(陸中盛岡)M39
続三千里(出雲能義郡赤江)M42
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風邪ひかぬまじなひの句を返しかな
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雪すべるよなにこよかな妹ならん
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雪鏡の如し杜陵少年行
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ひねくるや橋南橋北の雪木履
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椀中の酒火の如し榾いきれ
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念者ぶりの句をさゝやきて炉辺かな
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柚子置いて火燵の上の一日かな
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ずり落ちん硯置く汝が火燵泣き
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目しゐ人火燵によれば思ふ歌
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相距りて相寄る火燵神ぞ知る
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墨の香も火燵の長が臥艶にこそ
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火燵好きな火燵縛りの句想かな
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続三千里(播磨兵庫)M43
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俳句無し
12月26日
三千里(陸中一の戸)M39
続三千里(出雲能義郡赤江)M42
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俳句無し
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諸鳴きの中に羽叩く番鴨か
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此地詩に一声玄鶴とあり鴨か知ら
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望む松凍てつく星や鴨の鳴く
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鴨を引く物あるを機の夜音かな
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白魚船ならぬ篝や鴨鳴く夜
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温泉響きの湖心や鴨の聲明かり
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船焼きし守りを枯芦と鳧鴨図す
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湖南夜話湖東に次ぐや鴨の聲
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峯颪の吹き寄せ鴨は囮かな
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麓雪なき山明り鴨鳴いて
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鴨二三聲あと絶えて山は臥牛かな
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灯華落つる風ゆれや鴨の静まれる
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雁落ちしに鴨鳴くやしきり月の雲
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続三千里(播磨兵庫)M43
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俳句無し
12月27日
三千里(陸奥三の戸)M39
続三千里(出雲能義郡赤江)M42
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俳句無し
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紆余曲折蒲団思案を君もごそと
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猫柳の色映えてフワと蒲団かな
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客蒲団三通り持たん富をこそ
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薮の音と月明り蒲団展ぶる時
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蒲団干す屋根に懐ろの書落ちて
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厚衾だまり主が心酌む
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一に酒二に蒲団関の松も見て
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我を追うて来し君よ蒲団並み敷かん
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蒲団飾りして連るゝ馬や雁も空
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厚衾だまり主の心汲む
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積み崩れせし蒲團鼠渡る機
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続三千里(播磨兵庫)M43
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俳句無し
12月28日
三千里(陸奥八の戸在鮫港)M39
続三千里(出雲能義郡赤江)M42
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晴雪に海見ゆる我が行く先きに
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野ひらけ行く晴雪に風立てり
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雪晴れぬ鶏犬我を怪むる
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雪明りしてこの隈や四季桜
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芦枯れの新ラ建ちや水堰俵など
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雲樹寺の芦の枯れけめ四脚門に
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枯芦に鳥のむしり毛売る家かな
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狩の君に酬ひなん芦枯れにけり
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枯芦にひょんな雉子打つ水馴棹
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遂に築かず城池の規模や芦枯るゝ
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芦風の己れと折れて枯れ盡きぬ
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芦枯るゝ裏似つかずよ紺屋町
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舟沈むるも柴漬のたぐひ芦枯るゝ
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続三千里(摂津大阪)M43
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俳句無し
12月29日
三千里(陸奥八の戸在鮫港)M39
続三千里(出雲能義郡赤江)M42
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この道に寄る外はなき枯野かな
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野は枯れて目にしるき山や噴火烟
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日頃通ふ駄馬米を積む小春哉
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さはれ河陽の大典の一や小春凪
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耻ることを昼こそ酔れ小春凪
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帰途によかりし酒肆過ぐる小春かな
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昼星の木山が峡や小六月
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事の首尾現はれて安し小春凪
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皮財布手ずれ小春の博労が
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墨師髯を牛膠に煮る小春かな
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九仞の遺志一簣を継ぐも小春かな
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馬賣れて牛に別れや牧小春
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続三千里(摂津宝塚)M43
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俳句無し
12月30日
三千里(陸奥五の戸)M39
続三千里(出雲能義郡赤江)M42
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俳句無し
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煤じまひ舁きそれし米の滝こぼれ
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是非の使ひ馬乗る汝を煤半ば
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煤名残戸袋に簪掻くことや
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煤夕鏡使ひのざれ蕪や
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煤に堪て住めど常座に睨み煤
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煤隣の牛売りぞこね妻が又
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煤じまひ沼の夕栄蔵の戸に
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続三千里(摂津宝塚)M43
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俳句無し
12月31日
三千里(陸奥上北郡沢田村)M39
続三千里(出雲能義郡赤江)M42
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冬川や那須の高根のそがひ見ゆ
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堤守置きし昔や冬の川
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冬川や湯田の蟹石出ずなりぬ
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大きなる嘴鳥をるや冬川原
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すたれる運河も見えつ冬の川
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橡胡桃冬川筋の立木かな
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さびれ行く駅の下落つ冬の川
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俳句無し
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続三千里(摂津宝塚)M43
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和田山は今はなし煤黒冬木見る