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山の風景

毎日三千里 俳句一覧

​「三千里」の旅で詠まれた碧梧桐の俳句を月別にご紹介。

​今日何詠んだ?自分の誕生日に何詠んだ?を見てみましょう。

​※碧梧桐は三千里の旅中、雑誌『日本及び日本人』に連載の「一日一信」と、雑誌『懸蒼』に連載の「旅中吟」に俳句を掲載していました。れらは『三千里』としてまとめられました。

​※場所は、碧梧桐がその日の夜にいた場所であり、必ずしも俳句が詠まれた場所ではありません

参考図書:

  • 河東碧梧桐著『三千里(上)』『三千里(下)』講談社学術文庫

  • 河東碧梧桐著『続三里(上)『続三里(中)』』『続三里(下)』講談社

  • 河東碧梧桐著「続旅中吟」『懸葵』懸葵発行所  明治42年11月号~ 

​更新状況:2024.3.17 三千里及び続三千里すべての俳句を掲載しました。(未校正)

1月1日

​​三千里(陸奥上北郡沢田村)M40

​​続三千里(出雲能義郡赤江)M43

​​続三千里(摂津宝塚)M44

  • 蔵め置きて家の宝の蒲団かな

  • ​貧しさのやもめ蒲団を著せ申す

  • 持ち去る事勿れと塾の蒲団かな

  • ​端よごれせし侘しさや絹蒲団

  • 俳句無し

  • 俳句無し

1月2日

​​三千里(陸奥上北郡沢田村)M40

​​続三千里(出雲能義郡赤江)M43

​​続三千里(摂津宝塚)M44

  • 風呂立つと又た言伝や寒の入り

  • 鮭鱒の孵化のさかりや寒の入

  • 股榾の股こがり雪や焔々裏

  • 染めやうを抓み布など榾埃

  • 榾主が火遁の詭弁弄ぶ

  • 積榾の藪の雪蹼ある鳥が

  • 古碑の里にうつくし妻が宿榾や

  • 飼猿が智惠榾や鉈かくしたり

  • 建て好みして庭冬木茸見る日

  • 信心の削り冬木や腕塚に

  • 宮冬木砂持の通ふ道となり

1月3日

​​三千里(陸奥上北郡沢田村)M40

​​続三千里(出雲安来)M43

​​続三千里(摂津宝塚)M44

  • 俳句無し

  • 旗手山の松寒し裸山の中

  • 俳句無し

1月4日

​​三千里(陸奥上北郡沢田村)M40

​​続三千里(出雲能義郡赤江)M43

​​続三千里(摂津大阪)M44

  • 俳句無し

  • 箇条論に置娼の一つ返り咲く

  • 避難港にかゝる旗亭や返り花

  • 有徳者に後妻の狂い咲く花か

  • 一封は遺書一封は何返り花

  • 返り咲くや埋葬地悔ゆ詣る毎に

  • 返り咲く梨も木仕立てによることか

  • 俳句無し

1月5日

​​三千里(陸奥上北郡沢田村)M40

​​続三千里(出雲能義郡赤江)M43

​​続三千里(摂津大阪)M44

  • 煤水に海鼠雑巾氷りけり

  • 煤掃や鱗鳳閣は古本屋

  • 煤を掃く日に織りつまる機のあり

  • 餅臼に杵のあらぬや煤払

  • 煤掃の焚火や竹の爆く音

  • 首尾を裁つ添削の文は海鼠かな

  • 客の知る橘酒と別に海鼠だためり

  • 海中の木醂しに下がる海鼠かな

  • 俳句無し

1月6日

​​三千里(陸奥野辺地)M40

​​続三千里(出雲安来)M43

​​続三千里(摂津大阪)M44

  • 俳句無し

  • 俳句無し

  • 俳句無し

1月7日

​​三千里(陸奥野辺地)M40

​​続三千里(出雲能義郡赤江)M43

​​続三千里(摂津大阪)M44

  • 股凹に燃えべりのして根榾かな

  • 鷲の羽を宿の箒や榾埃

  • 物積んで奥ある家や榾明り

  • 若者をどやす榾火のあるじかな

  • 家ぢうを烟らす風の榾火かな

  • 俳句無し

  • 俳句無し

1月8日

​​三千里(陸奥野辺地)M40

​​続三千里(出雲能義郡赤江)M43

​​続三千里(摂津大阪)M44

  • 吹きまはす浦風に霰霙かな

  • 帆渡りの島山颪霰かな

  • カラ/\な藻草に溜る霰かな

  • 晴れつゞく今日に片時の霰かな

  • 足さながら駕籠を落ち行く時雨かな

  • しぐるゝや余談に当時秘めしこと

  • 蓮月を時雨小寺に据ゑしとも

  • 茎洗ひの刃物を誰か井柱に

  • 莖洗ふ家ならひ干棗ある

1月9日

​​三千里(陸奥野辺地)M40

​​続三千里(出雲能義郡赤江)M43

​​続三千里(摂津大阪)M44

  • 翁を擁して湖南の衆の餅搗きぬ

  • 機仕舞ふ一間広さや餅莚

  • 市の日の餅搗ほがら音すなり

  • 梅三分咲く餅搗の日取かな

  • 俳句無し

  • 俳句無し

1月10日

​​三千里(陸奥野辺地)M40

​​続三千里(伯耆堺)M43

​​続三千里(摂津大阪)M44

  • 鼻焦がす炉の火にかけて甲羅酒

  • 鳶烏咬み合へる落つ田の氷

  • 山の雪にまぶれ来て渡る氷かな

  • 闃として砕氷船も横はる

  • あら寒き縄手になりぬ田の氷

  • 俳句無し

  • 俳句無し

1月11日

​​三千里(陸奥野辺地)M40

​​続三千里(伯耆堺)M43

​​続三千里(摂津大阪)M44

  • 千百里漂ひ来る海鼠かな

  • 海鼠の句覚えある君に邂逅す

  • 古への冕の形を海鼠かな

  • 海鼠突き大凡の数を読みけり

  • 埋もりもせずよ沙上の海鼠かな

  • 俳句無し

  • 俳句無し

1月12日

​​三千里(陸奥野辺地)M40

​​続三千里(伯耆堺)M43

​​続三千里(摂津大阪)M44

  • 何処来て里に落ちたる吹雪かな

  • 一幅の枯蘆も見ゆ水滸伝

  • 雲模様ふゞくにや山のたゝずまひ

  • 休む間にふゞきつのりぬはたと止む

  • 灯台を見し戻りなる吹雪かな

  • 望み絶えし吹雪に便りある日かな

  • 防戦に焼かれし村や芦枯るゝ

  • 堆きの沙の寄りけり芦枯れて

  • 草枯の長づつみ蜜柑山のあり

  • 草枯や奇しくもニスの染まり雨

  • 草枯れて桀狗の尻や鉈尖り

  • 俳句無し

1月13日

​​三千里(陸奥野辺地)M40

​​続三千里(出雲松江)M43

​​続三千里(摂津大阪)M44

  • 灯台に双棲の君や鳴く千鳥

  • 女名を呼ぶ岩のあり鳴く千鳥

  • 日頃寄せぬ港がゝりや鳴く千鳥

  • 千鳥鳴けばいつもの夜着を掛るなり

  • 灯あか/\と会すれば千鳥鳴くといふ

  • 俳句無し

  • 芝枯れし生垣の内外椿あり

  • 綱敷天神松生えず芝の枯れ/\に

  • 枯芝の奈良を見て宇治に宿る雪

  • 瀧見臺鋸屑埋む芝枯れて

1月14日

​​三千里(陸奥野辺地)M40

​​続三千里(出雲松江)M43

​​続三千里(摂津大阪)M44

  • 沼移りしてつどひをる鴨小鴨

  • 老境を争ひかねて懐炉かな

  • 不覚なる病に寝じと懐炉かな

  • 毎日に暦見る老が懐炉かな

  • いつよりか温石先生といはれけり

  • 腹にする懐炉と貧の財布かな

  • 松濃きに芦枯れて鴨遊びけり

  • 沼に落る星を見やるや鴨の声

  • 水鳥や両河の注ぐ洲のあたり

  • 凩の山裏紅葉温泉烟に

  • 俳句無し

1月15日

​​三千里(陸奥野辺地)M40

​​続三千里(出雲八束郡持田村)M43

​​続三千里(摂津大阪)M44

  • われがよに炭焚く客はありそもな

  • 摂生の俳諧境や蕪汁

  • 親のよな頭巾着るよな顔をして

  • 亭の名を夏季に思ふや置火燵

  • 鮫汁に昆布なめらかな凝りやう

  • 煮凝や七五三の祝ひの箸始

  • 湖泊りせし夜日暈を思ふ冴ゆ

  • 月明りに幻影の鷄の羽色冴ゆ

  • 君の絶つも償ふことの冴ゆるなり

  • 日々涸れて神慮に返る水や冴ゆ

  • 櫃の見る目甕のいふ口を冴ゆるなり

  • 幢幡に冴ゆる灯や風の裏返す

  • 俳句無し

1月16日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(伯耆境)M43

​​続三千里(播磨兵庫)M44

  • 俳句無し

  • 馬場の内無き茶屋幟冬田かな

  • 鳥網場の墓所山裾や水冬田

  • 兄の山に諺の弟の冬田かな

  • 鴨つきし裏田にいつの松こけて

  • 俳句無し

1月17日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(伯耆境)M43

​​続三千里(淡路洲本)M44

  • 君淋しと思ふ頃われも寒さかな

  • 炉に足を落すを何の合図かな

  • 炉話のそれとなく袂文や知る

  • 爐話にいつもの里諺活きて吐く

  • 俳句無し

1月18日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(出雲玉造温泉)M43

​​続三千里(淡路洲本)M44

  • 葬ひの被衣古風な寒さかな

  • 雪荒れのせし日を雨に梅花見る

  • 旅痩の髭温泉に剃りぬ雪明り

  • 俳句無し

1月19日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(出雲玉造温泉)M43

​​続三千里(淡路洲本)M44

  • 楯に似し岩めぐり鳴くは千鳥かや

  • 俳句無し

  • 俳句無し

1月20日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(出雲三刀屋)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 八珍の九鼎の食の冬籠

  • 安足袋と言はるれど行田縫目かな

  • 指詰りする足袋一つ持ち古りて

  • 組足袋も義足の主の褄ずれや

  • 白足袋の故となく僧めきて見ゆ

  • 舟になれし上陸もいそと足袋晴れて

  • 俳句無し

1月21日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(出雲三刀屋)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 俳句無し

  • 冬川と水塚や処一の宮

  • 冬川に打つ兎蓬食みしにや

  • 山迫る藪つゞき砂川の冬

  • 俳句無し

1月22日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(出雲三刀屋)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 俳句無し

  • 俳句無し

  • 俳句無し

1月23日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(出雲三刀屋)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 俳句無し

  • 俳句無し

  • 俳句無し

1月24日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(出雲三刀屋)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 俳句無し

  • 軍容を鳴る瀬大河や冬の月

  • 峯下りしは主僧追ふ事よ冬の月

  • 寒月や雪束の間の罠獲物

  • 俳句無し

1月25日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(出雲三刀屋)M43

​​続三千里(海上十一宇和島)M44

  • 後仕手に浪の鼓や雪曇

  • 菊枯れて枝瘤見せつ梨棗

  • 砂明りせし垣さし出菊枯れて

  • 菊枯れて始めて据ん石を得つ

  • 柑子の下菊枯るゝ蘭もやたら植ゑ

  • 俳句無し

1月26日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(出雲三刀屋)M43

​​続三千里(伊予松山?)M44

  • 針山をかりて夫婦が避寒哉

  • 海明し避寒の宿の山丸し

  • 汝が事に操りの役や冬籠

  • 冬籠りあへず啓蒙の閃めきに

  • 俳句無し

1月27日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(出雲三刀屋)M43

​​続三千里(伊予松山?)M44

  • 縋り乗る避寒の宿の馬かりて

  • 防風林風致を添ふる避寒かな

  • 並松も南下りや返り花

  • 俳句無し

  • 俳句無し

1月28日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(出雲三刀屋)M43

​​続三千里(伊予松山?)M44

  • 俳句無し

  • 布団好みする我と誤てるさへ

  • 庫裏の烟漲るに運ぶ蒲團かな

  • 俳句無し

1月29日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(出雲三刀屋)M43

​​続三千里(伊予松山?)M44

  • 俳句無し

  • 木賊原に庭作る白山茶花や

  • 山茶花や木なし堤を宮に下りて

  • 俳句無し

1月30日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(出雲三刀屋)M43

​​続三千里(伊予松山?)M44

  • 俳句無し

  • 俳句無し

  • 俳句無し

1月31日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(出雲三刀屋)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 俳句無し

  • 俳句無し

  • 遠洲好みの庭とや瘤木春淺し

1月

2月1日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(出雲三刀屋)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 漁師雇ふ判もすみけり春を待つ

  • 温泉の匂ひ衣に染む程や春隣り

  • 種揃へしておこすなり春隣

  • 春待や宿痾に堪へて憂ふ事

  • 論に似し長き文来る春隣

  • 春待て好事家と雛問答かな

  • 春待や何書を見ても得る所

  • 瓶の酒尽きざらん春隣ればや

  • 汐烟に解けし雪汁染みにけん

  • 紙所の千鳥の歌のクドキ振り

  • 放牧の洲濱の千鳥岩黒に

  • 俳句無し

2月2日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(出雲杵築)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 俳句無し

  • 魚肥寐かす洲寄り冬木に猫もゐて

  • 下萌の埒新た酪婦搾り捨つ

  • 下萌の明神社洞に汐鳴れり

  • 地に埋めし博士が壷や下萌えて

2月3日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(出雲杵築)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 鱈汁を祝ふ鍬鍛冶祭りかな

  • 幕垂れし内や吹革の祭り棚

  • 吹革祭秀真が鋳型何ならん

  • 遠方の鍬主見えぬ鍛冶祭

  • 御櫛笥あるに寒梅匂ふらん

  • 海辺山に武者の絵や初雷の句意

  • 初雷や此著ある善隣の學

2月4日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(出雲杵築)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 浦人や鯨の油幾日汲む

  • 鯨より沖漕ぐ日あり鯨舟

  • 今は絶えて鯨見ぬよし答へけり

  • 銛打て綱の命毛今や絶つ

  • 俳句無し

  • 慈姑など葭も忘れ芽淀春田

  • 首洗ひ井の森や春田落る水

2月5日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(出雲杵築)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 俳句無し

  • 俳句無し

  • 親木ありと桑海の変を椿山

2月6日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(石見温泉津)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 俳句無し

  • 俳句無し

  • 俳句無し

2月7日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(石見温泉津)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 俳句無し

  • 俳句無し

  • 俳句無し

2月8日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(石見浜田)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 俳句無し

  • 俳句無し

  • 四隣より掘り捨つる藪や梅見えて

  • 梅に下りて鉱山過ぎざりし悔のあり

  • 梅林跡なきを臥牛崗の寺

  • 江に洗足戎衣も脱がん梅の宿

  • 欞子など市に買ふ梅の主見る

2月9日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(石見浜田)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 立春大吉と堂々と書して送りけり

  • 俳句無し

  • 暖かや売主の損に馬毛刈りぬ

2月10日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(石見益田町)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 袖狭きも知らず奥人綿子かな

  • 雪消しの頃まで一つ綿子かな

  • 綿入の肩あて尚も鄙びたり

  • 喜ばしき時も淋しや置火燵

  • 俳句無し

  • 山霞む山にも運河紀念林

  • 三尺松鉢よきも見出づ昼霞

2月11日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(石見鹿足郡日原村)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 棚落ちて立つ庖丁や年の暮

  • 封と共に裂ける手紙や年の暮

  • 俳句無し

  • 俳句無し

2月12日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(石見鹿足郡日原村)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 俳句無し

  • 酒に挿せし梅を寿翁の座右にこそ

  • 墓所に下りし鳶見る日凧も遠き空

2月13日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(石見津和野町)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 俳句無し

  • 俳句無し

  • 枸杞芽を摘む恋や村の教師過ぐ

2月14日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(長門萩)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 雪を語り雪を品する話頭かな

  • 俳句無し

  • 俳句無し

2月15日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(長門萩)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 俳句無し

  • 俳句無し

  • 城中の雨意島原や春の海

2月16日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(長門深川温泉)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 故里の物を歳暮の返しかな

  • 学問に足らはぬ物を歳暮かな

  • 俳句無し

  • 朧夜やしさり出て黙暗誦の詩

  • 鶚鮓を探ねずや春の海邊行く

2月17日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(長門下の関)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 論争の余焔をさます蕎麦湯かな

  • 蕎麦湯する背ろの音は鼠かな

  • 俳句無し

  • 古き市の名残住む濠や帰る雁

  • 雁去つて簀ほとりの家鴨雁鳴きす

2月18日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(長門下の関)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 俳句無し

  • 春寒く賜杯の祝ひ舟を泛ぶ

  • 蝶螺山の春寒し柑子江に照りて

  • 肥料痩せをだまし葉もことし春霜に

2月19日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(長門下の関)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 俳句無し

  • 迷宮の刻字とぞ春雁の聨伝ふ

  • 灰や撒きし田水かぶりの雁名残

  • 赴任ながら雁の行方の微行かな

  • 被り雲の峯すべりや東風かへす朝

  • 樓一二の名も今の世や江の一柳

2月20日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(長門下の関)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 炉の灰の降るに硯をいとひけり

  • 俳句無し

  • 砂利とるは冬つぎ業に白魚簗

2月21日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(長門下の関)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 俳句無し

  • 麩の色も想ひ出や斎の海苔の味

  • 俳句無し

2月22日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(長門下の関)M43

​​続三千里(山城京都)M44

  • 牛吼をする犬のをる雪囲ひ

  • をろしたる雪磊塊と雪囲ひ

  • 雪囲ひして八師団倉庫かな

  • 雪囲ひ燃えなんとせし怪火かな

  • 散り布きし桃の上に雨の音あらん

  • 男山に祈ること梅に靄晴れて

2月23日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(長門下の関)M43

​​続三千里(摂津大阪)M44

  • 俳句無し

  • 踏みもあゑぬ雪解けて赦免ある日かな

  • 里平方先づ劃す井田雪解かな

  • 俳句無し

2月24日

​​三千里(海上陸奥丸)M40

​​続三千里(長門下の関)M43

​​続三千里(河内柏原)M44

  • 横著を乾鮭の口でいうて去る

  • 俳句無し

  • 俳句無し

2月25日

​​三千里(渡島函館)M40

​​続三千里(長門下の関)M43

​​続三千里(河内富田林)M44

  • 俳句無し

  • 再びせぬこの渡り凧も鳴る空や

  • 凧場近う勧農の翁迎へけり

  • 凧會のさかる見る船出又た延びぬ

  • 俳句無し

2月26日

​​三千里(海上十勝丸)M40

​​続三千里(長門下の関)M43

​​続三千里(大和奈良)M44

  • 俳句無し

  • 俳句無し

  • 直ぐな松の立つ神の井に梅添ひて

  • 大和への五十町梅は未だならん

2月27日

​​三千里(海上十勝丸)M40

​​続三千里(筑前八幡)M43

​​続三千里(大和奈良)M44

  • 俳句無し

  • 俳句無し

  • 俳句無し

2月28日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(筑前八幡)M43

​​続三千里(大和奈良)M44

  • かねて見し不折の筆の梅があり

  • 灯照らせば灯に微妙音涅槃かな

  • 涅槃像をあらは天草民家かな

  • 俳句無し

2月

3月1日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(筑前小竹)M43

​​続三千里(紀伊学文路)M44

  • ​俳句無し

  • 艶話など罪許る端に朧なる

  • 所菜も温泉漬の味や朧夜に

  • 山陰去りあへず山陽の文朧夜に

  • 北よりす果て南人や待つ朧

  • ​俳句無し

3月2日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(筑前小竹)M43

​​続三千里(紀伊高野山)M44

  • 灯台の人も岩海苔搔く日かな

  • 岩海苔にかゝるゝ貝の蘇枋かな

  • 島海苔を太布のやうに畳みけり

  • 海苔汲みは汐汲女にや塩烟

  • 掛け初めし昆布も春なり海苔を干す

  • 灸にかへて持薬に戻る春浅き

  • 蝦はぢく掻藻の弦音春浅き

  • 春浅き水郷の神か礫森

  • 獄中講書司獄勧めぬ春浅き

  • ​俳句無し

3月3日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(筑前小竹)M43

​​続三千里(紀伊高野山)M44

  • 俳句無し

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

3月4日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(筑前博多)M43

​​続三千里(紀伊高野山)M44

  • 耕牛の晩帰を家鴨鳴きにけり

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

3月5日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(筑前博多)M43

​​続三千里(海上扶桑丸)M44

  • 春の水古芝網にかゝりけり

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

3月6日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(筑前博多)M43

​​続三千里(紀伊田辺)M44

  • 囀や春菊一花珠光る

  • 囀や子安地蔵の高い木に

  • 囀や綺語にも残る山と水

  • 囀や閭に凭る少婦見る時に

  • 裏富士の囀る上に晴にけり

  • 磯岩に飛び岩の鵜も余寒かな

  • 酔うて書きしも文意透徹春寒し

  • 椽をありく鳩にも落花思ひ見る

3月7日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(筑前博多)M43

​​続三千里(紀伊田辺)M44

  • 俳句無し

  • 雉鳴くや谷の尾慼む丘たゝみ

  • 雉鳴くや鍬目もかほど口大野

  • 雪も處々樺の枝鳴りを立つ雉か

  • 躑躅甘き香の靄晴れを雉鳴て

  • 雉鳴くや八つ晴れ機の山秩父

  • ​俳句無し

3月8日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(筑前博多)M43

​​続三千里(紀伊田辺)M44

  • 雪解水書架の上より流れけり

  • 橋柳と見るに塚木や札の立つ

  • 柳筆など木母寺にあるなるべし

  • やがて住むと柳堤も見榮えせり

  • 梅柳身は飛梅の名残とも

  • ​俳句無し

3月9日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(筑前博多)M43

​​続三千里(紀伊田辺)M44

  • 俳句無し

  • 史微闡けて洞窟聞ゆ霞かな

  • 天の鳥船のことも出雲野霞かな

  • ​俳句無し

3月10日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(筑前博多)M43

​​続三千里(紀伊湯崎温泉)M44

  • 寐牛とも石とも見えて草萌る

  • 下萌や石置いて亭を営むと

  • 四蹄白の二歳たのもし草萌る

  • 何の矢の羽含む土や草萌る

  • 雛の日の寄り昆布長がを結はん物

  • 道中雛右富士の松むら立てる

  • 紙礫打たれん雛が下座にゐて

  • 雛立てゝ見まさるを言ひ淀まずも

  • ​俳句無し

3月11日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(筑前博多)M43

​​続三千里(紀伊田辺)M44

  • 熊坂の雛ゆゝしさや能衣裳

  • 右近桜あれど守る雛なかりけり

  • うらゝかや教へも倦まで遊ぶ時

  • わしが城と川舟唄もうらゝかに

  • 迎合の説にも敷衍うらゝにす

  • 隨意散歩許りて綱引もうらゝなる

  • 三韓を壓すものうらゝ帆印も

  • ​俳句無し

3月12日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(筑前糸島郡芥屋)M43

​​続三千里(紀伊田辺)M44

  • 上解けの氷に藻草緑なり

  • 流氷のいつ戻りけん冴え返る

  • 暖潮の押し勝つ汐の流れかな

  • 名匠に待つ月日水も温む頃

  • 借り主の分取り犢や水温む

  • 孳け日割追はるゝを水温む主

  • 木蓮が蘇鉄の側に咲くところ

3月13日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(筑前博多)M43

​​続三千里(紀伊西牟婁郡近露村)M44

  • この牧の馬売られけり鳴雲雀

  • 埒越えて飛ぶ馬もあり鳴く雲雀

  • 牧場にせよと野に鳴く雲雀かな

  • 雲雀の句野に住む人の所望かな

  • 麦の中菜種横野の人馬かな

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

3月14日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(筑後大牟田)M43

​​続三千里(紀伊東牟婁郡峰湯)M44

  • 俳句無し

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

3月15日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(筑後大牟田)M43

​​続三千里(大和十津川村字神下瀞)M44

  • ふぐり重き病なりしが冴返る

  • 竜鱗の片影雲の冴返る

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

3月16日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(筑後八女郡黒木)M43

​​続三千里(紀伊新宮)M44

  • 一番の渡り漁師や雪解風

  • 浦風や雪解なぐれの寄り昆布

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

3月17日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(肥前佐賀)M43

​​続三千里(紀伊新宮)M44

  • 俳句無し

  • 春山や艾処の軒端なる

  • 春山處々の岩あらは音もなき流れ

  • ​俳句無し

3月18日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(長門下関)M43

​​続三千里(紀伊新宮)M44

  • 俳句無し

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

3月19日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(肥前長崎)M43

​​続三千里(紀伊新宮)M44

  • 横額に煙浦の帰雁とぞ見ゆる

  • 賑やかな町に寺ある柳かな

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

3月20日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(肥前長崎)M43

​​続三千里(紀州木ノ本)M44

  • 大きなる港に作る霞かな

  • 熊の来て牛闘ひし霞かな

  • 岩燕鳴く靄晴水の虹見えて

  • 三名城の一に人馬を飛ぶ燕

  • 燕下りて凪を語ると塩田人

  • 戦場が原の風岩燕颺る空

  • ​俳句無し

3月21日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(肥前長崎)M43

​​続三千里(志摩鳥羽)M44

  • 俳句無し

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

3月22日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(肥前長崎)M43

​​続三千里(志摩鳥羽)M44

  • 俳句無し

  • 大音寺山吹に黄楊や刈るを見し

  • ​俳句無し

3月23日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(肥前長崎)M43

​​続三千里(志摩鳥羽)M44

  • 初午や古き伝へえ廓稲荷

  • 初午や室町辺も鳴る太鼓

  • 酒鬼の口のいらとかはくに山を焼く

  • 山姥や山焼くあとの草乳を

  • ひもろぎの火も借る兒や山焼衆

  • ​俳句無し

3月24日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(肥前長崎)M43

​​続三千里(志摩鳥羽)M44

  • 淡雪や氷跡なき湖の上

  • 淡雪や蚕神祭の幟立つ

  • 一しきり蟹とるゝ海や春の雪

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

3月25日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(肥前長崎)M43

​​続三千里(伊勢古市)M44

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

3月26日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(肥前長崎)M43

​​続三千里(伊勢古市)M44

  • 蕨食うて兎毛変りしたりけり

  • 蓑笠と干しある物は蕨かな

  • 汝獄卒と憐む旅や雉の声

  • 磧石飛び草模様行く雉子

  • 軍用に石取りぬ荒墟鳴く雉子

  • 雉鳴くや双捿の教化日記にす

  • 直ぐな馬場も柑子の神と囀れる

  • 囀や梛の熊野に桃李園

  • 春の風九里峽二十五里奥のあり

3月27日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(肥前長崎)M43

​​続三千里(伊勢古市)M44

  • 貝を生けし笊沈めしが水ぬるむ

  • 蜻蛉虫おぞき這ひけり水温む

  • 井戸水に蠛見えそめ温みけり

  • 朝寐する異な旅人や温む水

  • 礎に門と見る大樹春日かな

  • 奉額の網を搏つ旗春日かな

  • ​俳句無し

3月28日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(肥前長崎)M43

​​続三千里(伊勢松坂)M44

  • 山焼けば狐のすなる飛火かな

  • 焼野来し川風に乗る渡しかな

  • 火のがれをせし野の狐狸が談議かな

  • 蝦夷に渡る蝦夷山も亦た焼くる夜に

  • 土人住む尺地もなげに焼野かな

  • ​俳句無し

  • 花の歌の三十六鈴の主

  • 伊勢大観宣長山や鳴雲雀

3月29日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(肥前佐賀)M43

​​続三千里(伊勢津)M44

  • 船卸しせし旗の上や凧の数

  • 牧場の柵に上るも凧場かな

  • 凧の絵の青黛鎗の権左かな

  • 菜の花や軍談智恵の固め藪

  • 菜の花を畫かばや酒銘ふさはしき

  • 吃り癒え易く菜の花に外出の日

  • ​俳句無し

3月30日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(肥前唐津)M43

​​続三千里(大和月ノ瀬)M44

  • 奇瑞なる白雉の年の大赦かな

  • 難所なる蠑螺上りや雉の声

  • 雉罠にかゝりしを狐食みにけん

  • 雉子塚残りて野人哀れめり

  • ​俳句無し

  • 伐り残る梅と思ふに山も禿げて

3月31日

​​三千里(根室根室)M40

​​続三千里(肥前伊万里)M43

​​続三千里(近江日野)M44

  • 俳句無し

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

3月

4月1日

​​三千里(根室根室)M40

*

​​続三千里(近江大津)M44

  • ​俳句無し

*

  • ​俳句無し

​​続三千里(肥前佐世保)M43

  • ​俳句無し

4月2日

​​三千里(根室根室)M40

*

​​続三千里(近江大津)M44

  • ​俳句無し

*

  • ​俳句無し

​​続三千里(肥前佐世保)M43

  • 埋立碑の築地崩れや芦の角

  • 齒も染めぬ芦の角髪藻垂れ鬢

4月3日

​​三千里(根室根室)M40

*

​​続三千里(近江大津)M44

  • ​俳句無し

*

  • ​俳句無し

​​続三千里(肥前佐世保)M43

  • 情事話頭に兵塵想ふこの柳

4月4日

​​三千里(海上釧路丸)M40

*

​​続三千里(近江彦根)M44

  • 客として珠履を躡み出づ雪解哉

  • 南方にホ句の浄土の霞かな

*

  • ​俳句無し

​​続三千里(肥前長崎)M43

  • ​俳句無し

4月5日

​​三千里(海上釧路丸)M40

*

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 客として珠履を躡み出づ雪解哉

  • 南方にホ句の浄土の霞かな

*

  • ​俳句無し

​​続三千里(肥前長崎)M43

  • この印綬父老知らず草霞

4月6日

​​三千里(釧路釧路)M40

*

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • ​俳句無し

*

  • 蝶そゝくさと飛ぶ田あり森は祭にや

  • 花高かりし籔の道蝴蝶群れて

  • 渡臺紀念の紅竹や蝶も針したり

  • 海札所畑貝殼の飛ぶ蝶か

​​続三千里(肥前長崎)M43

  • 鶯や峡の戸なりし飛山に

  • 鶯の附け親の廃たれ尚ほ愛でし

4月7日

​​三千里(釧路釧路)M40

*

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 薮の中の家の花見ゆ春の月

  • 姉沼の謂ればし知る朧月

*

  • ​俳句無し

​​続三千里(肥前長崎)M43

  • 木薊の枝照りを小松野に出でゝ

4月8日

​​三千里(釧路釧路)M40

*

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • あらはなる岩に虎杖林かな

  • 虎杖やガンビ林の一部落

  • 焼石に虎杖角を出しけり

  • 虎杖や古屯田の墓所構

*

  • 狐狸を徳とす藪主に草餅日あり

​​続三千里(肥前長崎)M43

  • 餅蓬も雪交り摘みし首途かな

  • 草餅や鎌事が坐右に日反る物

4月9日

​​三千里(十勝河西郡芽室村)M40

*

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 俳句無し

*

  • 衣冠思へば皆春風の熊野落

  • 春風の鸚鵡石吉備津遊女等が

  • 磧兎を撲つためし桑に摘む蓬

  • 草餅や地多酒と此地青年と

  • かゝる住居も傾斜果園や梅もあり

​​続三千里(肥前長崎)M43

  • ​俳句無し

4月10日

​​三千里(石狩落合)M40

*

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 俳句無し

*

  • 瀬全き水となり伊吹落つ燕

  • 蟲糞の桑春風の藪ほてり

​​続三千里(肥前長崎)M43

  • 酒ざゝんざ金比羅雨の凧潰れ

4月11日

​​三千里(石狩旭川)M40

*

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 炉畳みのはみいづる藁を侘にけり

  • 木像の眼の射る我炉塞ぎけり

  • 駅鈴をしばきく日なり炉塞ぎぬ

  • 三つの炉の榾炉はいつか焚ずなりぬ

*

  • 厄介一茶來て燕も巢にをる日

​​続三千里(肥前長崎)M43

  • ​俳句無し

4月12日

​​三千里(石狩旭川)M40

*

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 門いづこ家ある池や蘆の角

  • 蘆芽ぐみ水満ち漁網新たなる

*

  • ​俳句無し

​​続三千里(肥前長崎)M43

  • ​俳句無し

4月13日

​​三千里(石狩旭川)M40

*

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 屯田の父老の家のかすみけり

  • 春雨や何彫る君の不退転

  • 井田のベベツ小村や春の雨

  • 春雨や諸国荷船の苫の数

  • 種馬につけにやりけり春の雨

*

  • ​俳句無し

​​続三千里(肥前長崎)M43

  • ​俳句無し

4月14日

​​三千里(石狩旭川)M40

*

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 俳句無し

*

  • ​俳句無し

​​続三千里(肥前長崎)M43

  • 洗足は雨溜め水か鳴く蛙

4月15日

​​三千里(石狩旭川)M40

*

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 俳句無し

*

  • 入り口は日永大和を山河内

  • 何を遠目海辺歩測を日永人

  • 棕梠葉刈も夏めきぬ峡の日永鷄

​​続三千里(肥前長崎)M43

  • ​俳句無し

4月16日

​​三千里(石狩深川)M40

*

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 俳句無し

*

  • 戰機失せしも兄弟の情日は永し

​​続三千里(肥前長崎)M43

  • 岬宮の芽芝青きを汐干きし

4月17日

​​三千里(石狩札幌)M40

*

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 貸家に厩あるなり落椿

  • 忠魂堂塔中にある椿かな

  • 椿谷蛇の池ありて山路かな

*

  • ​俳句無し

​​続三千里(肥前宇久島神ノ浦)M43

  • 魚活けて我待てばけふも/\東風

  • 石垣住居する家の花に楪が

  • 舟行百里と碑林の記にも春の水

4月18日

​​三千里(石狩札幌)M40

*

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • ふためきて蚕掃きしが別れ霜

  • 春霜や接台植うる蜜柑山

  • 根ッ子焼く烟絶えずよ春の霜

  • 掛け昆布や霜の名残の三棹程

*

  • ​俳句無し

​​続三千里(肥前佐世保)M43

  • 鰭魚より口魚を獺の祭りやう

  • 獺魚を祭る三湖の岩いづれ

  • 浪ずれにともる藻か獺の祭寒む

4月19日

​​三千里(石狩札幌)M40

*

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 俳句無し

*

  • 大凧の威張れり森の鬨聞ゆ

  • からげヨマの鹵獲など凧の陣撤す

  • さぐり凧をあしらう上手帶屋凧

​​続三千里(肥前長崎)M43

  • ​俳句無し

4月20日

​​三千里(石狩札幌)M40

*

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • いち遅き船も卸しぬ青を踏む

  • 当代の文君見ばや青を踏む

*

  • 藤樹書院は宮境内か水温む

  • 堅田までは水温む魞も汲みつ來て

​​続三千里(肥前長崎)M43

  • 春の夜や長汀を行く曲浦の灯

4月21日

​​三千里(石狩札幌)M40

*

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 黄金なす病む蚕哀む掌

  • 蚕糞捨てる芍薬園や伝習所

  • 釘責めて蚕棚作りやまだきより

  • 四眠起三立て四立てになりにけり

*

  • 五島戻れば港奥ある夕柳

  • 湖の水引濠の柳湖畔より

  • 造船所柳や官舎花まだき

​​続三千里(肥前島原東有家村)M43

  • ​俳句無し

4月22日

​​三千里(石狩札幌)M40

*

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 俳句無し

*

  • 御手植の鍬と扈従や鳴雲雀

  • 鳴く雲雀宮を三巻の縄綯へり

  • 伊勢大觀宣長山や鳴く雲雀

​​続三千里(肥前島原東有家村)M43

  • 潜水夫の喞筒の音にや月朧

  • 月朧網捨石に飛ぶ鯔か

  • 鳴く蛙囚屋移りて濠のあり

4月23日

​​三千里(石狩札幌)M40

*

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 俳句無し

*

  • ​俳句無し

​​続三千里(肥前島原)M43

  • ​俳句無し

4月24日

​​三千里(後志小樽)M40

​​続三千里(甲斐御嶽昇仙橋)M42

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 閘門を藻草閉ぢけん汐干かな

  • 俳句無し

  • 庭杉菜刈る遅し巣立ち巣がへ鳥

  • 鶴巢くひし争議天下のお白洲に

​​続三千里(肥後熊本)M43

  • 鳴く雲雀あらぬ江に土を積む船が

4月25日

​​三千里(渡島函館)M40

​​続三千里(甲斐御嶽昇仙橋)M42

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 俳句無し

  • 岩を割く樹もある宮居躑躅かな

  • 滝に景は尽きたれど躑躅奥ありて

  • 三里奧猿の奇跡の温泉の躑躅

  • 遠く見て七隠れ瀧むらつゝじ

  • 松緑しるき頃出水漁ありて

  • 芽芒に兎見つ尺を松緑

  • 苗圃營むに山莊と名や松綠

​​続三千里(肥後熊本)M43

  • 火の国も海の前後や風光る

4月26日

​​三千里(渡島函館)M40

​​続三千里(信濃上諏訪)M42

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 俳句無し

  • 俳句無し

  • ​俳句無し

​​続三千里(肥後熊本)M43

  • ​俳句無し

4月27日

​​三千里(渡島函館)M40

​​続三千里(信濃上諏訪)M42

​​続三千里(山城京都)M44

  • 兵村の歌うたひけり畑打

  • 畑打つて藤一棚も培ひぬ

  • 造林の奥山吹に奇景あり

  • 山吹や開鑒の土敷くあたり

  • 山吹や寺山近き旗亭あり

  • 筏組む日を山吹に猿の出て

  • ​俳句無し

​​続三千里(肥後熊本)M43

  • ​俳句無し

4月28日

​​三千里(渡島函館)M40

​​続三千里(信濃上諏訪)M42

​​続三千里(山城京都)M44

  • ゆるき流れ遠々と春の峰秀づ

  • 道となく牧車通へり春の山

  • 繭倉の高さ白さや春の水

  • 長閑なる水暮れて湖中灯ともれる

  • 殊に一樹覆ふ森の池や柳鮠

  • 家鴨遊ぶ湖落ち口や柳鮠

  • ​俳句無し

​​続三千里(肥後熊本)M43

  • いつものこと汐干雨空灰の降る

  • 出島端島泡立つものを汐干かな

  • 一揆潰れ思ふ汐干の山多し

  • 汐干るや温泉女雲阿蘇男雲

  • 一揆潰れ思ふ汐干の山多し

  • 汐干鳴る天門神の蹴ホギけり

  • 躑燭折りて宮下りぬ汐千人の呼ぶ

4月29日

​​三千里(渡島函館)M40

​​続三千里(信濃上諏訪)M42

​​続三千里(山城京都)M44

  • 背に近くもたれ心や春の山

  • 雨にやる遊船もあり小鮎飛ぶ

  • 土龍穴納屋に明きしも長閑なり

  • 転営に来後れし兵の長閑顔

  • ​俳句無し

​​続三千里(肥後熊本)M43

  • 夏近き試錐も海辺櫓かな

  • 夏近し峯晴れを後ろ塗る雲に

  • 夏近き砂布くや御堂塗るほとり

4月30日

​​三千里(渡島湯の川温泉)M40

​​続三千里(信濃上諏訪)M42

​​続三千里(山城京都)M44

  • 俳句無し

  • 神怒りし給へり句境春尽きて

  • 御柱も落花の風に震ふかと

  • 繭蔵も建つ坪取りや蜆殻

  • ​俳句無し

​​続三千里(肥後阿蘇郡栃の木温泉)M43

  • ​俳句無し

4月

5月1日

​​三千里(渡島湯の川温泉)M40

​​続三千里(信濃下諏訪)M42

​​続三千里(山城京都)M44

  • ​俳句無し

  • 蚕捨てし裏川螢見る夜かな

  • 諏訪人と蚕の句作れり吾れ振ふ

  • 湖の魔風蠶に恐ろしき一日あり

  • ​俳句無し

​​続三千里(肥後熊本)M43

  • ​俳句無し

5月2日

​​三千里(渡島湯の川温泉)M40

​​続三千里(信濃上諏訪)M42

​​続三千里(山城京都)M44

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

​​続三千里(肥後八代郡日奈久温泉)M43

  • ​俳句無し

5月3日

​​三千里(渡島函館)M40

​​続三千里(信濃伊那郡赤穂)M42

​​続三千里(山城京都)M44

  • 九条まで町の立木や飛ぶ燕

  • 巣燕の悲み合ふを人知らず

  • 噴火口に奇しと見る岩燕かな

  • 尚追うて句疑質すことや春の風

  • 春風や剣の柄ぶり草結へる

  • 白樺も立つ森木瓜の咲き布いて

  • またと言はず蚕棚洗ふ日煤も掃く

  • 夏芽待つ桑の枝刈りの後れしを

  • ​俳句無し

​​続三千里(肥後人吉)M43

  • ​俳句無し

5月4日

​​三千里(渡島函館)M40

​​続三千里(信濃飯田)M42

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 幕かへすやうに落花をふるひけり

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

​​続三千里(肥後人吉)M43

  • ​俳句無し

5月5日

​​三千里(陸奥青森)M40

​​続三千里(信濃飯田)M42

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 俳句無し

  • ​俳句無し

  • 清正道に暮るゝ春残る一ト条を

  • 埋立ての春逝けり出水災ひせん

  • 行く春や高島考にある渡し

  • 天草に春暮るゝ思ひ甘草に

  • 絹なりし遺衣そゞろ春盡の情

​​続三千里(薩摩鹿児島)M43

  • ​俳句無し

5月6日

​​三千里(陸奥野辺地)M40

​​続三千里(信濃飯田)M42

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 花なしとも君病めりとも知らで来し

  • 韮萌ゆる畑見つゝ来れば辛夷哉

  • 樹上珠白樹下碧白の辛夷かな

  • 百姓の牡丹に藪の深きかな

  • 旌表門妃の師帰閭に立つ牡丹かな

  • 雨脚賞す坊に等閑の牡丹かな

  • 泳ぎ子の水葬まねを百合折りて

  • 水練の場所選み師範著きもあへず

​​続三千里(薩摩鹿児島)M43

  • ​俳句無し

5月7日

​​三千里(陸奥青森)M40

​​続三千里(信濃妻籠)M42

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 俳句無し

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

​​続三千里(薩摩鹿児島)M43

  • 海を抱く山山を覆ふ雲涼し

5月8日

​​三千里(陸奥青森)M40

​​続三千里(信濃福島)M42

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 夜半の花鞦韆に来る天狗かな

  • 半仙戯客は画舫を寄せにけり

  • 花漬を買ふや遅日に枕して

  • 夕立雲立つ山や花漬の宿

  • 鮎小屋の真午の日洲白ロ杉菜踏む

  • 鮎追ふと綴る羽真黒照る見居る

  • 鮎掛や羅漢寺川も岩立ちて

​​続三千里(薩摩鹿児島)M43

  • ​俳句無し

5月9日

​​三千里(陸奥青森)M40

​​続三千里(信濃薮原)M42

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • たゞならぬ鐘も鳴りしが暮遅き

  • 永き日の阿音教ふる啞生かな

  • 鎧三組飾り終へたる遅日かな

  • ​俳句無し

  • 門前の走り水花桐に来て

  • 清水得し島とこそ奇草三度摘む

  • 窟案内も寺清水訪ふ例となり

​​続三千里(薩摩鹿児島)M43

  • ​俳句無し

5月10日

​​三千里(陸奥青森)M40

​​続三千里(信濃松本)M42

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 砂川の松こまやかや蜆取

  • 蜆かけば八つ晴を飛ぶ燕かな

  • 水槽にすくひ残りの蜆かな

  • 水買うて分つ蜆や隣同士

  • ​俳句無し

  • 昼寝主への訴へや裏田水引く

  • 筍の鉾折ると昼寝起しては

  • 昼寝覚め問端に土を買ふ事を

  • 跣足にて下り立てり鍬を午寝覺め

​​続三千里(薩摩鹿児島)M43

  • ​俳句無し

5月11日

​​三千里(陸奥青森)M40

​​続三千里(信濃松本)M42

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 俳句無し

  • 畑桑も流行後れや桐の花

  • 奇行聞いて訪ふに徳者や桐の花

  • ​俳句無し

​​続三千里(薩摩鹿児島)M43

  • ​俳句無し

5月12日

​​三千里(陸奥青森)M40

​​続三千里(信濃松本)M42

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 修復料給はる寺や庭躑躅

  • 山にある垢離場の水やむら躑躅

  • むら躑躅奥硫黄谷禿げて見ゆ

  • 関守の活けたる赤城つゝじかな

  • 山吹の色を大まかに染めなまし

  • 雨の若葉梁にや映る山家かな

  • 風穴守鬚剃りに下りぬ里若葉

  • ​俳句無し

​​続三千里(海上平壌丸)M43

  • ​俳句無し

5月13日

​​三千里(陸奥青森)M40

​​続三千里(信濃松本)M42

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 野に遊ぶ歌に行人唱和かな

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

​​続三千里(海上平壌丸)M43

  • ​俳句無し

5月14日

​​三千里(陸奥青森)M40

​​続三千里(信濃松本)M42

​​続三千里(美濃江崎)M44

  • 俳句無し

  • 明易き物嵩川岸の人声に

  • 鍛錬も及ばず師亡き短夜や

  • ​俳句無し

​​続三千里(沖縄那覇)M43

  • ​俳句無し

5月15日

​​三千里(陸奥浅虫)M40

​​続三千里(信濃松本)M42

​​続三千里(美濃加茂郡河辺)M44

  • 徳本に問ふ草のある暮の春

  • 行春やウシをはごくむ蟻の業

  • 春尽の団扇に鰭の大魚かな

  • 新亭を営みて牡丹移しけり

  • 流れ藻も風濁りして行々子

  • 葮切や養魚の杭も高しるき

  • 芝平湖に住む家の百合燃えて

  • ​俳句無し

​​続三千里(沖縄那覇)M43

  • ​俳句無し

5月16日

​​三千里(陸奥東津軽郡蟹田)M40

​​続三千里(信濃長野)M42

​​続三千里(美濃加茂郡河辺)M44

  • 少壮の諸兄在るなり時鳥

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

​​続三千里(沖縄名護)M43

  • ​俳句無し

5月17日

​​三千里(陸奥東津軽郡今別)M40

​​続三千里(信濃長野)M42

​​続三千里(美濃加茂郡河辺)M44

  • 測量の人も立ち行く霞かな

  • 風立てば霞の奥も浪白し

  • 風垣を結ひそふ磯田苗代かな

  • 木置場の坪も虎杖林かな

  • 構へたる並松もあり春の水

  • 美人系の朱線引かばや燕

  • 鵜の群るゝ岩と汐木の桜かな

  • 鶯や幾日に檜伐り出す

  • 海に浸る檜の匂ふ遅日かな

  • 煮てくれと蕨つみ来し宿りかな

  • 舟に請じて水利も説きつ行々子

  • 葮切や飼屋や近くに墓所選び

  • 裏に導けば栴檀の風や行々子

  • 葮切に画龍の松の茶店かな

  • ​俳句無し

​​続三千里(沖縄那覇)M43

  • ​俳句無し

5月18日

​​三千里(陸奥東津軽郡竜飛)M40

​​続三千里(信濃松本)M42

​​続三千里(尾張丹羽郡西成村)M44

  • 俳句無し

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

​​続三千里(沖縄那覇)M43

  • ​俳句無し

5月19日

​​三千里(陸奥東津軽郡竜飛)M40

​​続三千里(信濃松本)M42

​​続三千里(尾張丹羽郡西成村)M44

  • 誰がさすとよう知つて鳴く蛙かな

  • ​俳句無し

  • 碑に待てど書意張らず人の更衣

  • 衣更へて藪を出つ藪主に尾す

  • 更衣水隔つ城低うして

​​続三千里(海上平壌丸)M43

  • ​俳句無し

5月20日

​​三千里(陸奥西津軽郡十三)M40

​​続三千里(信濃松本)M42

​​続三千里(尾張丹羽郡西成村)M44

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

​​続三千里(海上平壌丸)M43

  • ​俳句無し

5月21日

​​三千里(陸奥板柳)M40

​​続三千里(信濃松本)M42

​​続三千里(尾張名古屋)M44

  • ​俳句無し

  • 会はんとぞ思ふに舟や風薫る

  • 森の樓薫風に立つ鷺も見て

  • 花茨や塚木の謂れ今しるき

  • 森林帯沮洳に咲く花夕立ちて

  • 水母照る疾き煎も見ゆれ風薫る

  • 花茨や善隣の樂問ふ道に

  • 搗味を妹の問ふ新臼の夏

  • ​俳句無し

​​続三千里(薩摩鹿児島)M43

  • 馬斃れし跡掃く水や火蛾の飛ぶ

5月22日

​​三千里(陸奥板柳)M40

​​続三千里(信濃松本)M42

​​続三千里(尾張名古屋)M44

  • 飛び咲きの菜種も散るや林檎園

  • 驟雨来る別れの朝の牡丹かな

  • 天領の境に咲くや桐の花

  • 賈人我を賈となす夏野連れ立ちて

  • 二子山二タ清水あるも夏野かな

  • 下モの渡し下向順路や夏柳

  • 鬣と水落ちて馬背夏野かな

  • ​俳句無し

​​続三千里(薩摩鹿児島)M43

  • ​俳句無し

5月23日

​​三千里(陸奥板柳)M40

​​続三千里(信濃松本)M42

​​続三千里(尾張名古屋)M44

  • 素通りの温泉小村や桐の花

  • 花桐や四歳見惚る馬の艶

  • 寝残れば月にやなりし時鳥

  • 追ひ勧化茶屋衆かごとや茨の花

  • ​俳句無し

​​続三千里(薩摩鹿児島)M43

  • ​俳句無し

5月24日

​​三千里(陸奥弘前)M40

​​続三千里(信濃屋代)M42

​​続三千里(尾張名古屋)M44

  • シカタ荒れし風も名残や時鳥

  • 船待て見る月代や時鳥

  • 木置場の番屋の月や時鳥

  • 犠の俎上にあるや時鳥

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

​​続三千里(薩摩鹿児島)M43

  • ​俳句無し

5月25日

​​三千里(陸奥弘前)M40

​​続三千里(信濃長野)M42

​​続三千里(尾張名古屋)M44

  • 納涼にや出でし灯影たゞに澄む

  • 明日渡る湖の眺めや端納涼

  • 丘の町下り果てゝ橋納涼かな

  • 納涼すやありし鴨涯の手枕に

  • 蛍来しあとや蟬飛ぶ端納涼

  • 端納涼しをれど明日は別れかな

  • 森の茶屋にすゞめばとゞろ神や鳴る

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

​​続三千里(薩摩鹿児島)M43

  • ​俳句無し

5月26日

​​三千里(陸奥弘前)M40

​​続三千里(信濃長野)M42

​​続三千里(尾張名古屋)M44

  • 魚坪を網せし旦若葉かな

  • 神事近き作り舞台や楠若葉

  • 夕鳥の貝吹く青葉若葉かな

  • 飛乗りの駈を打ち過ぐ若葉かな

  • 躑躅祭せし神の池や花茨

  • 茨の香やなど墾かずと訪ふ心

  • ​俳句無し

​​続三千里(薩摩鹿児島)M43

  • ​俳句無し

5月27日

​​三千里(陸奥弘前)M40

​​続三千里(信濃長野)M42

​​続三千里(尾張名古屋)M44

  • 俳句無し

  • 人何処に酔を買ひ来し夏野かな

  • ​俳句無し

​​続三千里(薩摩鹿児島)M43

  • 絹蚊帳のこと記して旅費を疑はる

  • 外輪山に立つ峰雲や阿蘇あらぬ

  • 乗馬隊漁區見分や雲の峰

5月28日

​​三千里(陸奥弘前)M40

​​続三千里(信濃戸隠)M42

​​続三千里(美濃岐阜)M44

  • 清水ある坊の一つや中尊寺

  • 庵結ぶ開眼仏や庭清水

  • 雲高く一片かげる清水かな

  • 剣岩残りて清水無かりけり

  • 町寺の清水町家の汲む日かな

  • 余花望み来て広前の杉仰ぐ

  • ​俳句無し

​​続三千里(薩摩鹿児島)M43

  • ​俳句無し

5月29日

​​三千里(陸奥弘前)M40

​​続三千里(信濃柏原)M42

​​続三千里(尾張知多郡亀崎)M44

  • 卯の花のさかりか雨の紫陽花か

  • 松偃蹇凭りつ眠りつ避暑の宿

  • 舟を約す釣を約すや避暑の友

  • 飯綱より雲飛ぶ橡の若葉かな

  • ​俳句無し

​​続三千里(薩摩鹿児島)M43

  • ​俳句無し

5月30日

​​三千里(陸奥弘前)M40

​​続三千里(信濃下高井郡科野村)M42

​​続三千里(三河渥美郡福江)M44

  • 雲の峰低き瞰るなり夕心

  • 官命に伐る檜山あり雲の峰

  • 湖は一握の水夏三山の天

  • 蟹とれば蝦も手に飛ぶ涼しさよ

  • 酒痲疹夏草の乳に拭はゞや

  • ​俳句無し

​​続三千里(薩摩鹿児島)M43

  • ​俳句無し

5月31日

​​三千里(陸奥大鰐温泉)M40

​​続三千里(信濃下高井郡渋温泉)M42

​​続三千里(三河岡崎)M44

  • あるべしと期せし牡丹の寐覚かな

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

​​続三千里(薩摩鹿児島)M43

  • ​俳句無し

5月

6月1日

​​三千里(陸奥大鰐温泉)M40

  • ​俳句無し

​​続三千里(信濃下高井郡田中温泉)M42

  • 日の暈も木の下闇の滝見るや

​​続三千里(三河岡崎)M44

  • ​俳句無し

​​続三千里(?)M43

  • ​俳句無し

6月2日

​​三千里(陸奥弘前)M40

  • 馬を追ふ妹にあひけり花茨

  • 花茨や十和田下りの一の駅

​​続三千里(信濃下高井郡科野村)M42

  • ​俳句無し

​​続三千里(三河豊橋)M44

  • ​俳句無し

​​続三千里(?)M43

  • ​俳句無し

6月3日

​​三千里(陸奥中津軽郡岳温泉)M40

  • 俳句無し

​​続三千里(越後高田)M42

  • ​俳句無し

​​続三千里(遠江浜松)M44

  • ​俳句無し

​​続三千里(?)M43

  • ​俳句無し

6月4日

​​三千里(陸奥弘前)M40

  • 俳句無し

​​続三千里(越後高田)M42

  • 花茨や博労雨と牧場に

  • 表沼の葦景色花茨も見ゆ

  • 花茨や里眤む頃灰降りて

​​続三千里(遠江浜松)M44

  • 漁小屋に竹生えつ居鳴く葭切か

​​続三千里(?)M43

  • ​俳句無し

6月5日

​​三千里(陸奥弘前)M40

  • 俳句無し

​​続三千里(越後高田)M42

  • 砲も過ぎしと教ふ夏野の車道哉

​​続三千里(遠江浜松)M44

  • ​俳句無し

​​続三千里(?)M43

  • ​俳句無し

6月6日

​​三千里(陸奥弘前)M40

  • 俳句無し

​​続三千里(越後高田)M42

  • 下山して蚊帳吊る夜も田植寒ム

  • 湯治人に立交る田植瞽女も見ゆ

​​続三千里(遠江浜松)M44

  • 玉虫の降る木奇し山辺花茨に

​​続三千里(?)M43

  • ​俳句無し

6月7日

​​三千里(陸奥板留温泉)M40

  • 又たたゞの一人になりぬさみだれん

  • 我ながら茶勝の縞や更衣

​​続三千里(越後高田)M42

  • 闘ひし牛とりこめぬ栗の花

  • 何にたける鶏や川簀に栗の花

  • 泥淩ふ染糟に虫と栗の花

​​続三千里(遠江浜松)M44

  • 温泉めぐりの一巡す藺刈る里宮に

  • 藺刈れば澤蟹の出てけふも雨

​​続三千里(?)M43

  • ​俳句無し

6月8日

​​三千里(陸奥十和田)M40

  • 金掘りし跡も湖辺にさみだるゝ

​​続三千里(越後高田)M42

  • ​俳句無し

​​続三千里(遠江浜松)M44

  • 道に垂るゝ竹掃ふ婆娑と螢来て

  • 垣薔薇色なきを藺田の螢飛ぶ

​​続三千里(?)M43

  • ​俳句無し

6月9日

​​三千里(陸奥上北郡休屋)M40

  • 水神と山鬼と夜を明易うせり

  • 帆綱浸る舟の膽ゆれや風薫る

  • 浮岩の不思議もあるや閑古鳥

  • 猿綛も花かと岩の苔の花

  • 閑古鳥の藤の話もとり/゛\に

  • 髻の山風俗や閑古鳥

  • 柳ある里一廓や閑古鳥

  • 逆川に子の落ちけんを閑古鳥

  • 噴火後の温泉に住む家や閑古鳥

​​続三千里(越後中頸城郡赤倉温泉)M42

  • ​俳句無し

​​続三千里(遠江浜松)M44

  • 麦に芥子の咲く里百合の家居かな

  • 櫻毛虫落ちて熱地の百合惜しぞ

​​続三千里(?)M43

  • ​俳句無し

6月10日

​​三千里(陸中小坂)M40

  • 俳句無し

​​続三千里(越後中頸城郡大塚村)M42

  • ​俳句無し

​​続三千里(駿河静岡)M44

  • ​俳句無し

​​続三千里(日向西諸県郡小林)M43

  • ​俳句無し

6月11日

​​三千里(陸中鹿角郡大湯村)M40

  • 俳句無し

​​続三千里(越後中頸城郡国賀)M42

  • 富守れば父祖の蔵書も風薫る

  • 雪籠りの温泉話我に風薫る

  • 山寺へ上す籠鶏や風薫る

  • 薫風や二タ温泉越し行く山湯治

  • 我が農園見る日に一人風薫る

​​続三千里(駿河御殿場)M44

  • ​俳句無し

​​続三千里(日向宮崎)M43

  • ​俳句無し

6月12日

​​三千里(陸中鹿角郡大湯村)M40

  • 牛の病知れず死にけり五月雨

  • 鞴休む日も籠居や五月雨

​​続三千里(越後柏崎)M42

  • 馳駆の年処の風の日傘かな

  • 畳み持てば君に柄長な日傘かな

​​続三千里(甲斐川口湖畔舟津)M44

  • ​俳句無し

​​続三千里(日向宮崎)M43

  • ​俳句無し

6月13日

​​三千里(羽後北秋田郡扇田)M40

  • 俳句無し

​​続三千里(越後柏崎)M42

  • 酒気絶たぬ君との一日夏の月

  • 肱かけて蚊帳に寄る魔の丑満つる

  • 浦邊来れば裏峯尖りや夏の月

  • 蚊帳の灯の自づと明し夢照らす

  • 如何にして蚊帳錯落の夜の雨

  • 蚊帳思案窮境の我を救はゞや

  • 舟蚊帳に寝る夜や和讃高まさる

​​続三千里(甲斐西八代郡精進村)M44

  • ​俳句無し

​​続三千里(日向宮崎)M43

  • ​俳句無し

6月14日

​​三千里(羽後北秋田郡扇田)M40

  • 坊に会す約を履み来ぬ夏木立

  • 裸湯の川漏湲夏木立かな

  • 軍港に定まれる湾や夏木立

  • 時明りする木の肌や夏木立

​​続三千里(越後柏崎)M42

  • ​俳句無し

​​続三千里(甲斐南巨摩郡身延)M44

  • ​俳句無し

​​続三千里(日向宮崎)M43

  • ​俳句無し

6月15日

​​三千里(羽後大館)M40

  • 奥猿に旅羽抜鳥別れけり

  • こけ尻の馬も早苗を運ぶやら

  • 温泉浸りに田植戻りの小若者

  • 変がへをする早乙女が憎いやら

  • 米白の長者になろよ田植歌

​​続三千里(越後北条)M42

  • 逆川橋年々落ちて夏木立

  • 厨丁の折る花のあり夏木立

  • 蠶所の柳田神の夏木かな

  • 稚児岩の謂れも夏木浸す水

  • 朱を掘りし塚祟りこそ麦の秋(新潟)

​​続三千里(駿河沼津)M44

  • ​俳句無し

​​続三千里(日向宮崎)M43

  • ​俳句無し

6月16日

​​三千里(羽後大館)M40

  • 沓ぬぎに家鴨も来るや避暑の宿

​​続三千里(越後新潟)M42

  • 海濁る津に上る旅や麦の秋

​​続三千里(駿河沼津)M44

  • ​俳句無し

​​続三千里(日向宮崎)M43

  • ​俳句無し

6月17日

​​三千里(羽後大館)M40

  • 薬やれば泣く婆殿や避暑の宿

  • 演説をして瓜貰ふ避暑の宿

  • 避暑に来て君書を読まず行李の書

​​続三千里(越後新発田)M42

  • 筐など展べてさみだれ簾かな

  • 旅程かくも曲げしめし汝にさみだれん

​​続三千里(駿河沼津)M44

  • ​俳句無し

​​続三千里(日向宮崎)M43

  • ​俳句無し

6月18日

​​三千里(羽後能代)M40

  • 砂を踏む道しばし来しが行々子

  • 凪ぐまでを吹く夕風や行々子

​​続三千里(越後新潟)M42

  • ​俳句無し

​​続三千里(駿河沼津)M44

  • ​俳句無し

​​続三千里(日向宮崎)M43

  • ​俳句無し

6月19日

​​三千里(羽後能代)M40

  • 真白くて出目の金魚が一つかな

  • 縁ばかりまはる金魚は尾切れかな

​​続三千里(越後出雲崎)M42

  • ​俳句無し

​​続三千里(駿河沼津)M44

  • ​俳句無し

​​続三千里(日向宮崎)M43

  • ​俳句無し

6月20日

​​三千里(羽後能代)M40

  • 俳句無し

​​続三千里(越後椎谷)M42

  • ​俳句無し

​​続三千里(駿河沼津)M44

  • ​俳句無し

​​続三千里(日向宮崎)M43

  • ​俳句無し

6月21日

​​三千里(羽後能代)M40

  • 俳句無し

​​続三千里(越後椎谷)M42

  • 蒪切る虫の鋏の光る時

  • 隈濁りして雨晴るゝ蒪かな

  • 又た水を搏つ大鳥や蒪舟

​​続三千里(駿河沼津)M44

  • ​俳句無し

​​続三千里(日向宮崎)M43

  • ​俳句無し

6月22日

​​三千里(羽後能代)M40

  • 俳句無し

​​続三千里(越後椎谷)M42

  • 蚋の毒温泉にも消ぬげに口一つ

  • 端納涼清涼寺茶店蚋のをる

  • 糧道の車塵の蚋に螫されけり

  • 蕗畳む山の雨蚋の鳴く音にや

​​続三千里(駿河沼津)M44

  • ​俳句無し

​​続三千里(日向宮崎)M43

  • ​俳句無し

6月23日

​​三千里(羽後能代)M40

  • 待つ船を物見に出るや風薫る

  • 我行くと誰知らぬ淵の夜振かな

  • 県北の県南の会も風薫れ

​​続三千里(越後椎谷)M42

  • 棋に寄ると君を囲むと蚊遣して

  • 亡き友の戀を蚊遣れる芥子思ふ

  • 棋にしのぶ會に蚊遣れり瓢も据う

  • 虫除けにや臭木蚊遣りす花ともに

  • 雪寃に及ぶ夜話蚊遣果にけり

​​続三千里(駿河沼津)M44

  • ​俳句無し

​​続三千里(日向宮崎)M43

  • 草茂る吉野は昔土蜘蛛の

  • 書庫あさりし目に醜草と茂る庭

  • 橋名殘葉慈姑あるを草茂る

  • 蛇狩りし骸燒く日とも茂る草

  • 雨を晴らす家の草いや茂る見る

6月24日

​​三千里(羽後能代)M40

  • 俳句無し

​​続三千里(越後柏崎)M42

  • ​俳句無し

​​続三千里(駿河沼津)M44

  • 島渡り明日はと望む山夏野

​​続三千里(日向宮崎)M43

  • 門限に時のあり晩涼の橋

  • 馬行くごと何音す橋納涼人

  • 布衣三人社頭に富を言ふ涼し

6月25日

​​三千里(羽後能代)M40

  • 俳句無し

​​続三千里(越後古千谷)M42

  • ​俳句無し

​​続三千里(駿河沼津)M44

  • ​俳句無し

​​続三千里(海上宮崎丸)M43

  • ​俳句無し

6月26日

​​三千里(羽後能代)M40

  • 島巡りして戻りなり沖膾

  • 沖鱠流るゝと舟中の人知らず

​​続三千里(越後古千谷)M42

  • 観音まで上れば雨や納涼舟

  • 岬の灯紛れずもすゞみ行方かな

  • とゞろ太鼓舟布令聞ゆ橋納涼

​​続三千里(伊豆修善寺)M44

  • ​俳句無し

​​続三千里(豊後別府)M43

  • ​俳句無し

6月27日

​​三千里(羽後能代)M40

  • 俳句無し

​​続三千里(越後柏崎)M42

  • 牛を診る暑さに堪へて惜む乳

  • 鶏も生まず暑さしさりすためし無き

  • 幕なりし布解く家の暑さかな

  • 蒸し暑の洲通ひ思今日延びて

​​続三千里(伊豆田方郡湯が島温泉)M44

  • ​俳句無し

​​続三千里(豊後別府)M43

  • ​俳句無し

6月28日

​​三千里(羽後能代)M40

  • 俳句無し

​​続三千里(越後直江津)M42

  • 藤棚も芦そよげばや梅雨明り

  • 潦に落つる蜻蛉も梅雨入りかな

  • 梅雨に貼る護符の新室蛾の入りて

​​続三千里(伊豆田方郡湯が島温泉)M44

  • ​俳句無し

​​続三千里(豊後別府)M43

  • ​俳句無し

6月29日

​​三千里(羽後能代)M40

  • 大沼に小沼も近き青田かな

  • 酒旗見えて花さく蓮田青田かな

​​続三千里(越後高田)M42

  • 水鏡と聞く涼しさや自画自賛

  • 俤川それもゆかりや恋粽

  • 何贈るとわづらふに粽乞はれけり

  • 粽添へて馬生み年の牧主へ

​​続三千里(伊豆田方郡湯が島温泉)M44

  • ​俳句無し

​​続三千里(豊後別府)M43

  • ​俳句無し

6月30日

​​三千里(羽後能代)M40

  • さみだるゝ旅硯の側や新俳句

​​続三千里(越後直江津)M42

  • 撫子も港景色に彩らん

​​続三千里(伊豆伊東温泉)M44

  • ​俳句無し

​​続三千里(豊後別府)M43

  • 砂温泉時過ぎて灯を打つ蛾も夜毎

  • 旗亭の灯樹映りのするに蛾を拂ふ

6月

7月1日

​​三千里(羽後能代)M40

​​続三千里(越後糸魚川)M42

​​続三千里(伊豆伊東温泉)M44

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

​​続三千里(豊後別府)M43

  • ​俳句無し

7月2日

​​三千里(羽後能代)M40

​​続三千里(越後糸魚川)M42

​​続三千里(伊豆伊東温泉)M44

  • ​俳句無し

  • 蝙蝠や水車の精米上げに出て

  • ​俳句無し

​​続三千里(豊後別府)M43

  • ​俳句無し

7月3日

​​三千里(羽後能代)M40

​​続三千里(信濃北安曇野北城)M42

​​続三千里(相模箱根湯本)M44

  • 水練の御覧夕立つゆゝしさよ

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

​​続三千里(豊後別府)M43

  • ​俳句無し

7月4日

​​三千里(羽後能代)M40

​​続三千里(信濃松本)M42

​​続三千里(相模箱根湯本)M44

  • 精錬所もうしろに見えて麦の秋

  • 海近き砂地つゞきや麦の秋

  • 卯の花の村麦秋の野原かな

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

​​続三千里(豊後別府)M43

  • ​俳句無し

7月5日

​​三千里(羽後能代)M40

​​続三千里(信濃松本)M42

​​続三千里(相模箱根湯本)M44

  • 俳句無し

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

​​続三千里(豊後別府)M43

  • ​俳句無し

7月6日

​​三千里(羽後能代)M40

​​続三千里(信濃松本)M42

*

  • 夕立や堀を劃せし城普請

  • ​葭の中に宮居の道や松落葉

  • 池のほとり露仏あるなり松落葉

  • 蝦夷船に備へし跡や松落葉

  • 実桜も地に印す松落葉かな

  • 海辺行けば這ひ草咲いて松落葉

  • 松落葉磯浜娼家故跡あり

  • 編笠や追手大津の乗合に

  • 手相見るも編笠茶屋の主にや

  • 編笠の橋乞食謠拍子かな

*

​​続三千里(豊後別府)M43

  • 博士邸に塚ぶり穴や若楓

  • 若楓庭に飲む温泉の眞砂噴く

  • 間取り圖に庭木覺えや若楓

  • 葬旗かゝくれば鳴く雨鳥や若楓

  • 藪住居の藁塚尚も若楓

  • 若楓隣芭蕉葉羽打つ風

7月7日

​​三千里(羽後山本郡荷上場村)M40

​​続三千里(信濃松本)M42

*

  • ホヽ鳥は氷室の杉の梢かな

  • 温泉の里に氷室の馬を継ぎにけり

  • 氷室の戸白雲深く閉しけり

  • 鮎川の松も風致に麻の中

  • 牛産んで躑躅も名残鮎の味

*

​​続三千里(豊後別府)M43

  • 下急流を擁す君あり若楓

  • 帯屋凧の勝祭など若楓

  • 書の弟子に畫才この見や若楓

  • 若楓櫻木虱移りけり

7月8日

​​三千里(羽後能代)M40

​​続三千里(信濃松本)M42

*

  • 俳句無し

  • 雞叫びも蓬高さや蛇の衣

*

​​続三千里(豊後別府)M43

  • 若楓大木戸に茶店ある芝居

  • 遺愛盆栽に四阿屋建てや若楓

  • 龜としるき伸ン首を草に若楓

  • 篝屑に蟻の寄り場や若楓

  • 落疊むまさり水若楓吹く

7月9日

​​三千里(羽後山本郡荷上場村)M40

​​続三千里(信濃松本)M42

*

  • 戸も押さで主がまねの昼寐かな

  • 入らずの森跡はあらねど蓴かな

  • ​俳句無し

*

​​続三千里(豊後別府)M43

  • 奥温泉あらん山勢や青田見ゆるさへ

  • 若楓駟馬の株の食みこぼし

7月10日

​​三千里(羽後山本郡鵜川村)M40

​​続三千里(信濃松本)M42

*

  • 俳句無し

  • 子を叱るさまでもと思ふ瓜の宿

  • 蕎麦國のことし作りて瓜の味

  • 思ひの外渡しの景や瓜の里

  • 一訴訟聴き了へぬ瓜休みせん

*

​​続三千里(豊後別府)M43

  • ​俳句無し

7月11日

​​三千里(羽後山本郡鵜川村)M40

​​続三千里(信濃松本)M42

*

  • 道中のうゐろう買うや夏衣

  • 樹の籠る裏戸出て畑の百合を見る

  • 赤坂の遊女赤百合早百合かな

  • 烏鷺に似し客二人あり夏衣

  • 兄の物譲る弟や夏衣

  • 庵に在りて風飄々の夏衣

  • ​俳句無し

*

​​続三千里(豊後別府)M43

  • ​俳句無し

7月12日

​​三千里(羽後山本郡鵜川村)M40

​​続三千里(信濃南安曇郡白骨温泉)M42

*

  • 俳句無し

  • ​俳句無し

*

​​続三千里(海上新電信丸)M43

  • ​俳句無し

7月13日

​​三千里(羽後山本郡鵜川村)M40

​​続三千里(信濃南安曇郡白骨温泉)M42

*

  • 葭村に落る流れや飛ぶ蛍

  • 蛍籠樒売る家に吊しけり

  • 紫陽花の花に居て明き蛍かな

  • ​俳句無し

*

​​続三千里(豊前中津)M43

  • ​俳句無し

7月14日

​​三千里(羽後山本郡鵜川村)M40

​​続三千里(飛騨吉城郡平湯)M42

*

  • 蚊柱やわが鋤鍬の一構へ

  • 明日葺かん藁積む宵や蚊の出る

  • 瓜の核捨てし匂ひや蚊の夕

  • 旅労れ蠅静まれば蚊の声す

  • 蚊柱や虫焼きし園の夕明り

  • 朝風に蚤蚊の跡をさましけり

  • ​俳句無し

*

​​続三千里(豊前耶馬山中山移)M43

  • ​俳句無し

7月15日

​​三千里(羽後南秋田郡五城目)M40

​​続三千里(飛騨高山)M42

*

  • 大樹の下児女鶏犬に風薫る

  • 詩趣に鮓画趣に湖ある庵かな

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

​​続三千里(豊前中津)M43

  • ​俳句無し

7月16日

​​三千里(羽後南秋田郡五城目)M40

​​続三千里(飛騨高山)M42

*

  • 洛北の第や滝殿泉殿

  • 滝殿や窟の神も鎮りぬ

  • 雲板を掛けし滝殿楣間かな

  • 大原なる山べの滝や殿作り

  • ​俳句無し

*

​​続三千里(豊前門司)M43

  • 失隻脚談画話より転ず蚊遣かな

7月17日

​​三千里(羽後南秋田郡五城目)M40

​​続三千里(飛騨高山)M42

*

  • 湖の広さ山の低さや雲の峰

  • 田を開き薫風の亭を営みぬ

  • 立寄るやホ句のゆかりの杜若

  • この家に若竹と君のあるありて

  • 分水起工水量る頃や夏柳

  • 葉柳に書肆あり客も飲む辻井

*

​​続三千里(長門長府)M43

  • ​俳句無し

7月18日

​​三千里(羽後南秋田郡金川)M40

​​続三千里(飛騨古川町)M42

*

  • 客恬淡主飄逸や簟

  • ​俳句無し

*

​​続三千里(周防山口湯田温泉)M43

  • ​俳句無し

7月19日

​​三千里(羽後南秋田郡船越)M40

​​続三千里(飛騨古川町)M42

*

  • 俳句無し

  • ​俳句無し

*

​​続三千里(安芸宮島)M43

  • ​俳句無し

7月20日

​​三千里(羽後土崎)M40

​​続三千里(越中富山)M42

*

  • 百合涼し右にゆれても左にも

  • ​俳句無し

*

​​続三千里(安芸宮島)M43

  • ​俳句無し

7月21日

​​三千里(羽後秋田)M40

​​続三千里(越中高岡)M42

*

  • 子規のことを語る悲しさ涼しさよ

  • 水を買ふ頃や日毎の午寝覚む

  • 宿は橋を見下ろす京や午寝起

*

​​続三千里(伊予松山)M43

  • ​俳句無し

7月22日

​​三千里(羽後秋田)M40

​​続三千里(越中高岡)M42

*

  • 萍の渋色旱る日頃かな

  • 税打ちの明日を見廻る浮藻哉

  • 水深浅浮藻も見えず鴛鴦の居る

  • 柳浸る水に浮草見え初めぬ

  • 虫つゞる文のさうなく束ねあり

  • 虫干の寺に掃苔の供養かな

  • 木調べの匠が手記や蚊の夕

  • 廊通ひ蚊を團扇打つ櫓頭かな

  • 蚊雷に堪ふ寸退の出水かな

*

​​続三千里(伊予松山)M43

  • ​俳句無し

7月23日

​​三千里(羽後秋田)M40

​​続三千里(越中高岡)M42

*

  • 膝と膝に月がさしたる涼しさよ

  • ​俳句無し

*

​​続三千里(伊予松山)M43

  • ​俳句無し

7月24日

​​三千里(羽後秋田)M40

​​続三千里(越中高岡)M42

*

  • 俳句無し

  • 草茂るばかり湖中の孤つ島

  • 草茂る温泉のほとり麻いきれして

  • 鳶の栖みし木枯れを草の茂るなり

*

​​続三千里(伊予松山)M43

  • ​俳句無し

7月25日

​​三千里(羽後仙北郡刈和野)M40

​​続三千里(越中高岡)M42

*

  • 俳句無し

  • 虚空にも靄の中咲く蓮降れり

  • 東門外幕営の陣や蓮の風

  • 蓮を見て馬場行けば又た翡翠が

*

​​続三千里(伊予松山)M43

  • ​俳句無し

7月26日

​​三千里(羽後仙北郡刈和野)M40

​​続三千里(越中八尾町)M42

*

  • 俳句無し

  • 温泉の鮓をまねぶに広葉笹ありて

  • 温泉の鮓をまねぶに広葉笹のあり

  • 千々の條朱を引く寿司鮓の石のあり

  • ​(越中高岡在和田村↓)

  • 御山道の夕汐垢離や心太

  • 時づもりする旅や蠅も居つく椽

  • 繭ざれを兎角もあげず心太

*

​​続三千里(伊予松山)M43

  • 凌霄に生簀あり五本松遠し

  • 舁き休む病者あり凌宵こぼるゝに

7月27日

​​三千里(羽後仙北郡刈和野)M40

​​続三千里(越中高岡在和田村)M42

*

  • 道人著南瓜問答といふやらん

  • 大穴を鴉の食ひし南瓜かな

  • 師の病よき頃南瓜煮たりけり

  • 一行皆草苞置きぬ心太

*

​​続三千里(伊予松山)M43

  • ​俳句無し

7月28日

​​三千里(羽後仙北郡刈和野)M40

​​続三千里(越中高岡)M42

*

  • 矩をこえぬ身の起臥や竹婦人

  • 古りたれど女夫姿や萩芒

  • ホ句の兄菊の妹の座右に在り

  • ​俳句無し

*

​​続三千里(伊予松山)M43

  • ​俳句無し

7月29日

​​三千里(羽後河辺郡戸米村女米木)M40

​​続三千里(越中中新川郡芦峅 )M42

*

  • 一舟を領して百合に詩を思ふ

  • 二人いうて一句全たし百合の花

  • ​俳句無し

*

​​続三千里(伊予松山)M43

  • 見ぬ篝想ひをり鵜匠語るらく

  • 鵜飼三年見ず此地俳風の變

7月30日

​​三千里(羽後河辺郡戸米村女米木)M40

​​続三千里(越中立山々中室堂)M42

*

  • 川上る舟人も雨の祈りかな

  • 雨鬼風鬼祈りの鐘に問答かな

  • 栂男神百合女神相遊ぶ時

*

​​続三千里(伊予松山)M43

  • ​俳句無し

7月31日

​​三千里(羽後河辺郡戸米村女米木)M40

​​続三千里(越中立山温泉)M42

*

  • 夏菊の出来あしき年や萩伸びて

  • 尾のやうに秋にも垂るゝ花白き

  • 蝕みし葉菊摘みとる秋隣

  • 夏菊に墨汁捨てし旅覗かな

  • 七十二峰半ば涼雲棚引ける

*

​​続三千里(伊予松山)M43

  • ​俳句無し

7月

8月

8月1日

*

​​続三千里(越中富山)M42

*

  • 温泉に下る百合逆咲きの峠かな

​​三千里(羽後仙北郡刈和野)M40

​​続三千里(伊予松山)M43

  • 文月の旅すと参る御祓かな

  • 居る三日三千年や桃の味

  • 瓜割くや主が癖の自賛論

  • 折節の句味も旱の別れかな

  • 神鳴るや子規亡き後を談ずれば

  • 山神と河伯と君と我の秋

  • 馬洗ふをのこ去にけり御祓川

  • 雷の陣稲妻の矢や御祓川

  • ​俳句無し

8月2日

*

​​続三千里(越中富山)M42

*

  • 俳句無し

​三千里(羽後由利郡本荘)M40

​​続三千里(伊予松山)M43

  • 百合の山路越え来て合歓の花の里

  • 合歓咲くや河水を汲む桔槹(加賀沢)

  • ​俳句無し

8月3日

*

​​続三千里(越中高岡)M42

*

  • ​俳句無し

三千里(羽後由利郡本荘)M40

続三千里(伊予温泉郡荏原村)M43

  • 売り値待つ繭の主や秋近き

  • 紫陽花や旅中の恋を誰知らぬ

  • 巫女頼む家の紫陽花垣間見し

  • ​俳句無し

8月4日

*

​​続三千里(越中井波)M42

*​

  • ​俳句無し

​​三千里(羽後象潟)M40

​​続三千里(伊予温泉郡荏原村)M43

  • 持山の果なし薮や雲の峰

  • 百合の香やありふれたれど哀れなり

  • ​俳句無し

8月5日

*

​​続三千里(越中伏木)M42

*

  • 御筆の御年の程も涼しけれ

  • 汗を干す馬や二の茶屋雲下りて

  • 宝物手寫汗に撓まぬ若人や

三千里(羽後本荘)M40

続三千里(伊予温泉郡荏原村)M43

  • 吾ならで書く人なしと扇かな

  • ​俳句無し

8月6日

三千里(下総千葉)M39

​続三千里(越中氷見)M42

  • 海楼の涼しさつひの別れかな

  • 俳句無し

三千里(羽後本荘)M40

​続三千里(伊予温泉郡荏原村)M43

  • 河骨も絵図にかきけり干満寺

  • 河骨の咲くや年々蓮のなき

  • ​俳句無し

8月7日

三千里(下総千葉)M39

​​続三千里(越中氷見)M42

  • 瓜食うて我も上るや観音寺

  • 芥子散るや瓜もむ時の夕風に

  • 行水や童ポカと戻りけり

  • 行水や髭の主の畑戻り

  • 瓜積んで朝舟著きぬ流れ山

  • 楯囲ひして灯あるなり蛾の影も

  • 鳴る羽を簀戸打って灯に遠き虫

三千里(羽後由利郡老方)M40

​​続三千里(伊予温泉郡荏原村)M43

  • 唐門の寺をでて氷店のあり

  • 削氷や鉾に乗る子にかしづきて

  • ​俳句無し

8月8日

三千里(下総木更津)M39

続三千里(越中氷見)M42

  • 俳句無し

  • 虹のごと山夜明りす旱年

  • 目赤なる甲へる鰭や旱魚

三千里(羽後雄勝郡西馬音内)M40

​続三千里(伊予温泉郡荏原村)M43

  • 葉裏白き庭木吹く風蚊の出る

  • 蚊柱や鐘楼の方に草深し

  • 蚊柱や桃盗まれん桃畑

  • ​俳句無し

8月9日

​​三千里(安房勝山)M39

​​続三千里(越中氷見)M42

  • 蜩やかゝれる船も坐り居る

  • 初秋や入鹿も見えて鷗飛ぶ

  • 石段の蝕む跡やちゝろ虫

  • 仏像に首あるぞなき秋の風

  • 夏痩や二骨折れて破れ障子

  • 講中詣て夏痩の法師見参らす

​​三千里(羽後雄勝郡西馬音内)M40

続三千里(伊予温泉郡荏原村)M43

  • 蜩や人住まはせし荒蕪の地

  • 音なくて魚の渦見ゆ三日の月

  • 繭主の糸とるを見る花木槿

  • 寺あれば池ある里や花木槿

  • 佐渡の句の三日月の絵にかゝれけり

  • 糧を載せてひそかなる舟や三日の月

  • 貝掘りの戻る濡身や三日の月

  • 蜩や牧畜の業もやゝ十年

  • 草刈れば木槿花さく草場かな

  • 糸移す総框立てし木槿哉

  • ​俳句無し

8月10日

​​三千里(安房館山)M39

​​続三千里(越中氷見)M42

  • 俳句無し

  • 金櫃行く守兵戦話や露寒に

​​三千里(羽後雄勝郡西馬音内)M40

​​続三千里(伊予松山)M43

  • 小藩分立由利一郡の案山子かな

  • 女々鬼田の教化に浴す案山子かな

  • 下手はホ句の天狗上手は案山子かな

  • 案山子より訴状届きし田主かな

  • 由緒ある大樹も守りて案山子かな

  • ​俳句無し

8月11日

​​三千里(安房相の浜)M39

​続三千里(越中氷見)M42

  • ​俳句無し

  • 布勢の湖跡あれば雁も落つらんか

​​三千里(羽後雄勝郡西馬音内)M40

続三千里(伊予松山)M43

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

8月12日

​三千里(安房千倉)M39

​​続三千里(越中氷見)M42

  • 砂糖の木をかむ子昔も居りつらん

  • 藁覆ふ藻塚匂ふや露の中

  • 首途祝ふともなく扇書くあはれ

  • 北そよと吹けば有磯の荒るゝ秋

​​三千里(羽後雄勝郡西馬音内)M40

​​続三千里(伊予松山)M43

  • 鬼灯を摘みとりて蕎麦白き方に出づ

  • 鬼灯や女学問はやりけり

  • 鬼灯をむけば舎利なり二つ三つ

  • ​俳句無し

8月13日

​​三千里(安房天津)M39

​​続三千里(能登和倉温泉)M42

  • 俳句無し

  • ​俳句無し

​​三千里(羽後湯沢)M40

​​続三千里(伊予松山)M43

  • 眠り流しゝての稼ぎや朝寒き

  • 稲の虫に博士の見舞ふ在所かな

  • ​俳句無し

8月14日

​​三千里(安房小湊)M39

続三千里(能登小木港)M42

  • 俳句無し

  • ​俳句無し

​​三千里(羽後能代)M40

​​続三千里(伊予高浜)M43

  • 待つ人に裾野にあへり夕蜻蛉

  • 染幟紋干す上に蜻蛉かな

  • ​俳句無し

8月15日

​​三千里(上総勝浦)M39

​​続三千里(能登狼煙)M42

  • 俳句無し

  • ​俳句無し

​​三千里(羽後能代)M40

​​続三千里(伊予高浜)M43

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

8月16日

​​三千里(上総勝浦)M39

​​続三千里(能登南志見)M42

  • 蜩や浦人知らぬ崖崩れ

  • ​俳句無し

​​三千里(羽後秋田)M40

​​続三千里(伊予高浜)M43

  • 十分に酔へる時稲妻の雨

  • ​俳句無し

8月17日

​​三千里(上総一の宮)M39

​​続三千里(能登和倉)M42

  • 稲妻に旅情催うす句案かな

  • 俳句無し

​​三千里(羽後西馬音内)M40

​​続三千里(伊予高浜)M43

  • 雨に出しが行手の晴れて稲の花

  • ​俳句無し

8月18日

​​三千里(上総成東)M39

​​続三千里(能登和倉温泉)M42

  • 俳句無し

  • ​俳句無し

​​三千里(羽後西馬音内)M40

​​続三千里(伊予高浜)M43

  • 殖林もしそめし里や稲の花

  • 薬やめしも蚊帳の別れの二三日

  • 会津平萩も散る道稲の花

  • 蚊帳の果妻亡き君に思ひ走す

  • 竹奴捨てゝ蚊帳に別れし孤独かな

  • 蚊帳に別れて朝顔の垣に隣りけり

  • ​俳句無し

8月19日

​​三千里(上総成東)M39

​​続三千里(加賀金沢)M42

  • 松深く萩の径の尽きずある

  • 山を裏に槐の花のやどりかな

  • 燕去んで芦葦雁影に静かなる

  • 曝書済みし便りに燕去ぬとあり

  • 織り埃髪も錆びぬる去ぬ燕

  • 藁や打つ臼尻立てぬ去ぬ燕

​​三千里(羽後西馬音内)M40

​​続三千里(伊予高浜)M43

  • 民の訴訟届かぬを去ぬ燕かな

  • 織機も冬の用意や去ぬ燕

  • 燕の目に出穂早き芒かな

  • ​俳句無し

8月20日

​​三千里(下総犬吠)M39

​​続三千里(加賀金沢)M42

  • 静かさや灯台の灯と天の川

  • ​俳句無し

​​三千里(羽後西馬音内)M40

​​続三千里(伊予高浜)M43

  • 異れる山の様見る霧晴れて

  • 神業の晴れずの霧や山の湖

  • 師を追うて霧晴るゝ大河渡らばや

  • 足下にヒヨコ来鳴くや霧の中

  • ​俳句無し

8月21日

​​三千里(下総犬吠)M39

​​続三千里(加賀金沢)M42

  • 俳句無し

  • 一夏送りし志士尚在るや飛ぶ蜻蛉

  • 舟遊ぶ飛騨古川や夕蜻蛉

  • 日和山の夕蜻蛉海は鏡かな

  • 紅毛の帆船著きけり飛ぶ蜻蛉

​​三千里(羽後西馬音内)M40

​​続三千里(伊予高浜)M43

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

8月22日

​​三千里(下総犬吠)M39

​​続三千里(加賀金沢)M42

  • 俳句無し

  • 鼠入りし蚊帳モヽシャグリ果てに鳧

  • 串魚にまつはりし蚊帳も別れかな

  • 櫂の遠音雁かとも蚊帳果てし夜や

  • ウナヂ打ては冴ゆる眼病や蚊帳の果

​​三千里(羽後西馬音内)M40

​​続三千里(伊予高浜)M43

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

8月23日

​​三千里(下総犬吠)M39

​​続三千里(加賀金沢)M42

  • 俳句無し

  • 書にヒツク眼放れを秋空の澄む

  • 便船す蝦夷路の島や秋の空

  • 著到の勢記す筆や秋の空

​​三千里(羽後西馬音内)M40

​​続三千里(伊予高浜)M43

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

8月24日

​​三千里(下総犬吠)M39

​​続三千里(加賀金沢)M42

  • 俳句無し

  • 芋論の口角を画僧描がきけり

  • 素読後の手習や芋の煮ゆる頃

三千里(羽後横手)M40

​​続三千里(伊予高浜)M43

  • ことし掻けば枯るゝ漆や初嵐

  • 大橋に何の人出や朝寒き

  • ​​続三千里(加賀金沢)M42

  • 芋論の口角を画僧描がきけり

  • 素読後の手習や芋の煮ゆる頃

  • ​俳句無し

8月25日

​​三千里(下総犬吠)M39

​​続三千里(加賀金沢)M42

  • 俳句無し

  • 海門を出れば稲妻左右よりす

  • 稲妻や芝滑らかに牧場雨

​​三千里(羽後由利郡矢島)M40

​​続三千里(伊予高浜)M43

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

8月26日

​​三千里(下総犬吠)M39

​​続三千里(加賀金沢)M42

  • 石を積む風除けに七夕竹見ゆる

  • 七夕の旅に病むとぞ便りせる

  • 雨に泊れば雨は晴れたる蜻蛉かな

  • 人騒ぐ海辺に遠き蜻蛉かな

  • 帰休兵たどり行く野の蜻蛉かな

  • 虚空より戻りて黍の蜻蛉かな

  • 千編を一律に飛ぶ蜻蛉かな

  • 逆浪の江に夕空の蜻蛉かな

  • 一日一信に書き残したる木槿かな

  • 清澄を越え来し里や花木槿

  • 鳥居ある漁村の砂に木槿かな

  • 松大樹ある学校や木槿垣

  • 貝殻の道と聞き来て木槿かな

  • 捨飼ひに牛肥ゆる里の木槿哉

  • 七浦の祭の木槿咲きにけり

  • 俳句無し

​​三千里(羽後鳥海山中祓川)M40

​​続三千里(伊予高浜)M43

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

8月27日

​​三千里(下総犬吠)M39

​​続三千里(加賀金沢)M42

  • 俳句無し

  • 夜を寒み伽すれば乞ふに読む書あり

  • 焼跡も夜寒の橋の出商ひ

​​三千里(羽後由利郡矢島)M40

​​続三千里(伊予高浜)M43

  • 雲霧や風は神よばひしてや鳴る

  • ​​続三千里(加賀金沢)M42

  • 夜を寒み伽すれば乞ふに読む書あり

  • 焼跡も夜寒の橋の出商ひ

  • ​俳句無し

8月28日

​​三千里(下総犬吠)M39

​​続三千里(加賀金石)M42

  • 俳句無し

  • 鼻曲る鱒も見て鮎さびにけり

  • 渋鮎や石払ひしに出水して

​​三千里(羽後由利郡矢島)M40

​​続三千里(伊予高浜)M43

  • 不足不離の処に庵の芭蕉かな

  • 百舌鳥売りの城下に出るや頭巾着て

  • 宿乞ひし寺や芭蕉に目覚めけり

  • 尊容の側に彫りたる芭蕉かな

  • 葉白く変る草あり百舌鳥の贄

  • 片目開いて人噛む百舌鳥の囮かな

  • ​​続三千里(加賀金石)M42

  • 鼻曲る鱒も見て鮎さびにけり

  • 渋鮎や石払ひしに出水して

  • ​俳句無し

8月29日

​​三千里(下総銚子)M39

​​続三千里(加賀金沢)M42

  • 霧晴れて日のさす程や汐烟

  • 霧立つや大沼近き宮柱

  • 海楼の松薄霧に残る月

  • ​​三千里(羽後由利郡矢島)M40

  • 狐の尾見えし美女行く花野かな

  • 領境牧場も置かず花野かな

  • ​俳句無し

​​続三千里(加賀金沢)M42

​​続三千里(伊予高浜)M43

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

8月30日

​​三千里(下総八日市場)M39

​​続三千里(加賀尾添)M42

  • 要害台真上の月になりにけり

  • 夜ながら盥すゝぎや虫の声

  • 石段の高きのぼりぬ虫の声

  • 虫の句を案ずる旅の恙かな

  • 栂男神百合女神相遊ぶ時

三千里(羽後西馬音内)M40

​​続三千里(伊予高浜)M43

  • 逢魔時芒の眼光りけり

  • ​俳句無し

8月31日

​​三千里(常陸鹿島)M39

​​続三千里(加賀白山頂上室堂)M42

  • 俳句無し

  • 灰や降りし雪掻きぬ小草秋萌えて

  • 雲霧山を奪へば山鬼火を呪ふ

​​三千里(羽後横手)M40

​​続三千里()M43

  • 月草や狐の嫁が夫に媚ぶ

  • 露草や人知れず小屋の焼けてあり

  • まだ据ゑぬ庭石のあり月草に

  • 俳句無し

9月1日

​​三千里(常陸大舟津)M39

​​続三千里(加賀白山一の瀬温泉)M42

  • ​俳句無し

  • 黄耆削る老に茯苓問はゞやな

  • 山咎めせし膝皿や露しとゞ

​​三千里(羽後平鹿郡増田)M40

​​続三千里(伊予高浜)M43

  • 魔がさすといふ野日高しちゝろ虫

  • 祀絶えしを露の営みしたりけり

  • 大衆も居残りし施主や虫の声

  • 木の葉そよぐ月代も見ゆ虫の声

  • 虫鳴くや庵の樹と見ゆ寺の杉

  • 水声に虫の音の高まさりけり

  • 虫籠書いて萩の枝折戸添へばやな

  • 露に来て絵天井見る小寺かな

  • ​俳句無し

9月2日

​​三千里(常陸土浦)M39

​​続三千里(加賀能美郡吉野村)M42

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

​​三千里(羽後平鹿郡増田)M40

​​続三千里(伊予松山)M43

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

9月3日

​​三千里(常陸土浦)M39

​​続三千里(加賀金沢)M42

  • 鳳仙花小さき娘が植ゑにけり

  • 出水引いて芋も肥えけり裏廻り

  • 僶俛歳余双樹の秋の庵主かな

  • 凋落す双樹の下に蘭のあり

  • 町に出ても白楊高し盆の月

  • 筑波見て上らんと思ふ秋の情

  • 送り火や大きな家の人少な

  • 料理屋に隣れば赤き穂蓼かな

  • 川一つ黍三畦寺を隔てけり

  • 銅仏と木像と膳の子芋かな

  • ​俳句無し

​​三千里(羽後雄勝郡三梨)M40

​​続三千里(伊予松山)M43

  • 渋の杵置くともなしに戸口かな

  • 猿に似るモンペ穿きけり渋を搗く

  • 渋粕や古りて用なき桑の下

  • 薄四方に高し渋とる家の空

  • ​俳句無し

9月4日

​​三千里(常陸土浦)M39

​​続三千里(加賀金沢)M42

  • 俳句無し

  • 月に会す芋につまりし咽明いて

​​三千里(羽後横手)M40

​​続三千里(伊予松山)M43

  • 駒糶りの物のきほひや渡り鳥

  • 二本宛祭幟や渡り鳥

  • 山入口朴の葉風や渡り鳥

  • 小鳥来て嘴黒見せぬ藁庇

  • ​俳句無し

9月5日

​​三千里(常陸筑波)M39

​​続三千里(加賀金沢)M42

  • 祇園社の前に別るゝ花木槿

  • 思ひの外客ある山の夜寒かな

  • 王はあれど熟蕃の族や芭蕉村

  • 銀杏あるも池にゆかりや芭蕉寺

​​三千里(羽後横手)M40

​​続三千里(伊予温泉郡播磨塚)M43

  • 啄木鳥や山下り勝の庵の主

  • 啄木鳥や行者の道の岩伝ひ

  • 落し文見し谷行くや寺つゝき

  • ​俳句無し

9月6日

​​三千里(常陸水戸)M39

​​続三千里(加賀山代温泉)M42

  • ​俳句無し

  • 花鳥捨てし墨画の気品冷やかなり

  • 戦絵ともなき芦沼や冷やかに

  • 冷やかや今の身故に御目ざと

  • 銭の話卑しからざる冷やかさ

  • 子なき人の冷かに他を呪咀すらん

​​三千里(羽後横手)M40

​​続三千里(伊予温泉郡播磨塚)M43

  • 三つありて一つ用なき添水かな

  • 寺の床人の踏むよに添水かな

  • 温泉の里の捨湯も落て添水かな

  • ​俳句無し

9月7日

​​三千里(常陸水戸)M39

​​続三千里(加賀山代温泉)M42

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

​​三千里(羽後横手)M40

​​続三千里(伊予温泉郡播磨塚)M43

  • 家々に芋の高さや綿処

  • 親芋の君に子芋の多きかな

  • 山中に句境開けて芋高し

  • ​俳句無し

9月8日

​​三千里(常陸水戸)M39

​​続三千里(加賀山代温泉)M42

  • 沓の跡芙蓉の下に印すらん

  • おくつきに薄こそあれ杉の闇

  • 秋風秋思松も唐様の名残かな

  • 鳥居ある方に上れば薄かな

  • 志士祭る今月今日の芒かな

  • 遊女屋のありて舟つく花薄

  • 半日の閑野の芒見て帰る

  • ​俳句無し

​​三千里(羽後横手)M40

​​続三千里(伊予松山)M43

  • 僧の招き我を致せし菊見かな

  • 三葉の名ある県の一長者

  • ​俳句無し

9月9日

​​三千里(常陸水戸)M39

​​続三千里(加賀山代温泉)M42

  • 狐鳴く夜寒の頃や御寐覚

  • 山荘の山にはいれば芒かな

  • 跡守りて老い行く人や秋の風

  • 月見るも斯君斯老の二人かな

  • 里つゞき松と芒に家居かな

  • 囚屋調べ禁足に及ぶ夜長の灯

  • 宿業に悟れども亦た夜長人

  • 恋さめし機ともなきを夜長人

  • 悲しみを泣きに出づ絃声も夜長かな

  • 讀書弛べて修徳に張る夜長かな

​​三千里(羽後横手)M40

​​続三千里(伊予松山)M43

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

9月10日

​​三千里(常陸平潟)M39

​​続三千里(加賀山代温泉)M42

  • 九面は芒の里やむら/\と

  • 里隣る県の果の芒かな

  • 関跡に近き里なり花芒

  • 松の外女郎花咲く山にして

  • 鵙鳴くや汐さす頃を夕栄す

  • 疾く刈りて掛けし一田や鵙の声

  • ​俳句無し

​​三千里(羽後横手)M40

​​続三千里(伊予松山)M43

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

9月11日

​​三千里(磐城閼伽井岳)M39

​​続三千里(加賀山代温泉)M42

  • 精進に酒をまゐりし夜寒かな

  • 点滴と夜寒の釜の鳴る音と

  • 出て見るや竜灯壇の夜半の霧

  • ​俳句無し

​​三千里(羽後横手)M40

​​続三千里(伊予松山)M43

  • 馬市に祭控へて残暑かな

  • 馬医者の残暑を飲んで歩きけり

  • ​俳句無し

9月12日

​​三千里(上野大間々)M39

​​続三千里(加賀山代温泉)M42

  • 俳句無し

  • 臼割れしけうとさも霧晴るゝ頃

​​三千里(羽後横手)M40

​​続三千里(伊予岡喜多郡長浜)M43

  • 灯ともすや野分止む頃戻る猫

  • 送別の爆竹鳴るや秋晴れて

  • ​俳句無し

9月13日

​​三千里(下野足尾)M39

​​続三千里(加賀山代温泉)M42

  • 俳句無し

  • 果樹の主に鉱山よりの霧臭ふ朝

  • 大銀杏霧罩めぬ舟橋やなき

​​三千里(羽後横手)M40

​​続三千里(伊予東宇和郡卯ノ町)M43

  • 会下の友想へば銀杏黄落す

  • 寺のある川隈銀杏黄ばみ見ゆ

  • 銀杏大樹黄落す天下たゞ二代

  • 梓弓比企が谷の銀杏黄なるかな

  • ​俳句無し

9月14日

​​三千里(下野足尾)M39

​​続三千里(加賀山代温泉)M42

  • 家居ある昔の原や高灯籠

  • 夜仕舞の店に残れる灯籠かな

  • 隣家のよき灯籠はよき仏

  • 灯籠のなき家のまた小淋しき

  • 灯籠や我知る惜しき二少年

  • 温泉の町の絃歌の中に灯籠かな

  • 岬より灯籠流す浦曲かな

  • ​俳句無し

​​三千里(羽後大曲)M40

​​続三千里(伊予東宇和郡卯ノ町)M43

  • 再遊の宿も同じき砧かな

  • 豪家なるジョンバの砧また聞かん

  • 宮城野の大根に萩の貝塚や

  • 萩もしるき野鳩野鷄や山耕地

  • 萩の丘を裏下りへ君が家の森

  • 瀧の麓山萩を移し植ゑずして

9月15日

​​三千里(下野足尾)M39

​​続三千里(加賀山代温泉)M42

  • 山に多き笹は植ゑずて芒かな

  • 晴を鳴く鷽や足尾の秋時雨

  • 我を恋人といふ人淋し秋の風

  • 月見ても泣くまい/\が親心

  • 碁を挑む三五人寄る夜長かな

  • 御判扇かほど朱摺れも秋じめり

  • 忘れ置きて松山草壓す扇あり

  • 四書に求めて解脱説くなり秋扇

  • 硯得しに君待て扇置く心

​​三千里(羽後大曲)M40

​​続三千里(伊予東宇和郡卯ノ町)M43

  • 大饗のきのふ忘れて柚味噌かな

  • 柚味噌命じて名所案内にまかりけり

  • 取りも入れず五倍子干す宿の柚味噌哉

  • 鮭網を思ふ最上の夜寒白

  • 裸火に大衆名殘や刈田踏む

9月16日

​​三千里(下野足尾)M39

​​続三千里(加賀山代温泉)M42

  • 俳句無し

  • 雪国の破風作り百舌鳥贄刺して

  • 百舌鳥鳴くや兵舟用ふこの渡り

  • 百舌鳥晴れて温泉すゝぎの鳥居掛布哉

​​三千里(羽後大曲)M40

​​続三千里(伊予宇和島)M43

  • 天下知る蔵書見に来ぬ秋の晴れ

  • 行くべかりし舟遊思ふ秋の晴

  • ​俳句無し

9月17日

​​三千里(下野足尾)M39

​​続三千里(加賀山代温泉)M42

  • 秋の雨笹青き上ノ平かな

  • 山潰えし又の噂さや秋の雨

  • 百姓の繭煮る頃や秋の雨

  • 秋雨や俵編む日の藁一駄

  • 妻のいふ男不精や秋の雨

  • 屋上制限かごと言ひあへり飛ぶ蜻蛉

  • 蛉蜻や壁膏薬の抓み塗り

  • 飛騨人の天領顔や飛ぶ蜻蛉

  • 酒器法旅連れのしつ飛ぶ蜻蛉

  • 蜻蛉や家の薬も辻ビラに

  • 蠟不作木枯れもありて蜻蛉かな

  • 魔日雲の冥明り飛ぶ蜻蛉かな

​​三千里(羽後横手)M40

​​続三千里(伊予宇和島)M43

  • 寂然とをれど艶なる夜寒かな

  • 隔て住む心言ひやりぬ秋の雲

  • 見えぬ高根そなたと思ふ秋の雲

  • 小幅に大景の奇や秋の山

  • 藤二棚末枯れて木の実散るしきり

9月18日

​​三千里(下野足尾)M39

​​続三千里(加賀山代温泉)M42

  • 繭を積む後ろより残る蚊の出る

  • 芦の風ざわついて残る蚊の出る

  • 庭木刈りて蚊もをらぬきのふけふの月

  • ​俳句無し

​​三千里(羽後横手)M40

​​続三千里(伊予宇和島)M43

  • 落入りて坩堝と煮ゆる柚味噌かな

  • 壇を築いて芒に松の在り所

  • 扇置けば芝生柳葉黄を點ず

9月19日

​​三千里(下野足尾)M39

​​続三千里(加賀山代温泉)M42

  • 味噌汁に糸瓜仏も莞爾たり

  • 糸瓜仏に無樹山中に見えけり

  • 鶏頭に鼠出づ垣つぶれして

  • 雨彼岸過ぎし物日の鶏頭かな

​​三千里(羽後横手)M40

​​続三千里(伊予南宇和郡城辺)M43

  • 偈に似たる詩を与へけりひやゝかに

  • 秋風や去勢せし馬といふを見る

  • ​俳句無し

9月20日

​​三千里(下野足尾)M39

​​続三千里(加賀山代温泉)M42

  • 俳句無し

  • 田鼠の鳴く音も螽静まれば

  • 金魚居るに柿の下水螽落つ

  • 螽とる老を見ぬ日のつもりけり

  • 田一枚濱松垂れて飛ぶ螽

​​三千里(羽前最上郡肘折)M40

​​続三千里(土佐中村町)M43

  • 死後の知己を生前に秋晴るゝなり

  • 柑子試植熟り年の柿に鍬立てゝ

9月21日

​​三千里(下野足尾)M39

​​続三千里(加賀山代温泉)M42

  • 俳句無し

  • ​俳句無し

​​三千里(羽前最上郡肘折)M40

​​続三千里(土佐高知)M43

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

9月22日

​​三千里(下野足尾)M39

​​続三千里(加賀山代温泉)M42

  • 俳句無し

  • 木犀や隠栖に国事聞ゆ時

  • 木犀や古九谷仕立て茶器に入

  • 木犀や北寮に落第の君

​​三千里(羽前最上郡肘折)M40

​​続三千里(土佐高知)M43

  • ​俳句無し

  • 秋霖雨鉱滓何を彩りて

  • 熟蕃の山伐る程や秋の雨

9月23日

​​三千里(下野湯本)M39

​​続三千里(加賀山代温泉)M42

  • 俳句無し

  • 画に求む蚊帳吊草を手向かな

  • 秋山の下石切りし凸字山

  • 酒村さす緑林の徒や秋の山

  • 人探る沼網も見つ秋の山

​​三千里(羽前肘折温泉)M40

​​続三千里(土佐高知)M43

  • ​俳句無し

  • 栗贈るに馴れしも真綿送る年

  • 苔ほぐれ鳥掻き岩あり栗拾ひ

  • 沼ほとり栗拾ひ場の芝濃なる

  • 率き晴るゝ闘牛や栗を干す里に

  • 栗贈るとことし又た三度選ばしむ

9月24日

​​三千里(下野細尾村馬返し)M39

​​続三千里(加賀山中温泉)M42

  • 俳句無し

  • ​俳句無し

​​三千里(羽前肘折温泉)M40

​​続三千里(土佐高知)M43

  • 裸湯の人猿が見る秋晴れて

  • 盆栽を捨てしと魏竹鷄頭に

  • 鶏頭や初瀬はまた芋を作る里

  • 驛頭に藪を出つ長屋鶏頭燃ゆ

9月25日

​​三千里(下野日光清滝)M39

​​続三千里(加賀山中温泉)M42

  • 未だ山を離れず菊を作る里

  • 機工み緒に就きぬ新酒僧よりも

​​三千里(羽前肘折温泉)M40

​​続三千里(土佐高知)M43

  • ​俳句無し

  • 鯊釣や揺るゝ傘帆の波や汲む

  • 竿癖の鰭ならぬ沙魚にいとひなく

  • 今切れの浪も見ゆ沙魚の釣れあえず

9月26日

​​三千里(下野日光)M39

​​続三千里(加賀山中温泉)M42

  • 火も置かず独居の人と夜長かな

  • ​俳句無し

​​三千里(羽前肘折温泉)M40

​​続三千里(土佐高知)M43

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

9月27日

​​三千里(下野日光)M39

​​続三千里(加賀山中温泉)M42

  • 俳句無し

  • 滝を下に間伐りせし谷紅葉かな

​​三千里(羽前肘折温泉)M40

​​続三千里(土佐高知)M43

  • ​俳句無し

  • ​俳句無し

9月28日

​​三千里(下野日光)M39

​​続三千里(加賀山代温泉)M42

  • 草花に大石据わる茶店かな

  • 草花にぬるでの葉末紅葉かな

  • 草花や湖の水つく通ひ路

  • むら芒草花のある始めかな

  • 草花や十三塚に里のあり

  • 猿茶屋に草花持てる童ども

  • 草花も枯れ/\に君を待ちしてふ

  • ​俳句無し

​​三千里(羽前肘折温泉)M40

​​続三千里(阿波三好郡川口)M43

  • 牧原の隅通ひ路や栗拾ひ

  • 春をいふ滝の桜や栗拾ひ

  • ​俳句無し

9月29日

​​三千里(下野氏家)M39

​​続三千里(加賀大聖寺)M42

  • 俳句無し

  • ​俳句無し

​​三千里(羽前肘折温泉)M40

​​続三千里(阿波徳島)M43

  • さゝやかな鉱山あるや栗拾ひ

  • ​俳句無し

9月30日

​​三千里(下野氏家)M39

​​続三千里(尾張名古屋)M42

  • 十日路の海渡り来ぬ梨の味

  • 一宿して雨晴るゝ山ひや/\と

  • 黄なる花冷やかに竹緑なり

  • 雨漏りの樽打つ音も夜寒かな

  • 山を出る日のくれ/゛\に野分かな

  • 少年の木の実のホ句に振ひけり

  • 遠のきし雲夕栄す秋の山

  • 蝕める機もあり古き砧かな

  • ​俳句無し

​​三千里(羽前肘折温泉)M40

​​続三千里(阿波徳島)M43

  • ​俳句無し

  • 舟流れし綺語の長流蕎麦の里

  • 葡萄産す島となく蕎麥の山平ら

  • 刈田隈々蕎麥咲くや土佐は兼山祠

9月

10月

10月1日

​​三千里(下野氏家)M39

​​続三千里(伊勢宇治山田)M42

  • 旅心定まるや秋の鮎の頃

  • 腹げそと背もなき鮎の九月尽

  • よき歌も言ひ古されぬ秋の鮎

  • 水の月川原祓ひのありし夜や

​​三千里(羽前上の山)M40

​​続三千里(阿波徳島)M43

  • 俳句無し

  • 俳句無し

10月2日

​​三千里(下野氏家)M39

​​続三千里(伊勢宇治山田)M42

  • 川を越えて海辺の月に寒がりぬ

  • 引きとめし君に無月を恨みなん

  • 飲み水を運ぶ月夜の漁村かな

  • 奥の細道の月の句何と問はれけり

  • 俳句無し

​​三千里(羽前山形)M40

​​続三千里(阿波徳島)M43

  • ことし亦た山を出て稲を見たれども

  • 勧進の九月尽気比の海晴れて

10月3日

​​三千里(下野大田原)M39

​​続三千里(美濃岐阜)M42

  • 本降りになるや首途の蕎麦白き

  • 凹の字に孫の字に芋を思はしむ

  • 坂を下りて左右に藪あり栗落つる

  • 秋の鮎駅は遊女の名に似たり

  • 卒然と秋雨の句を言ひ残す

  • 蕎麦白きかたに次ぎ行く馬見ゆる

  • 祭ある幟の雨の芒かな

  • 俳句無し

​​三千里(羽前山形)M40

​​続三千里(阿波徳島)M43

  • 海を隔てゝ見し形に来ぬ花芒

  • 日記にすたまさかの叙景冷かに

  • 市まどひせしを城見ゆ渡る雁

  • 三日雨冷や/\と牀上げもして

  • 冷やかや祀を嗣ぐにかゝる策のあり

  • 門裸な家となり雁下りる沼

10月4日

​​三千里(下野雲巌寺)M39

​​続三千里(美濃岐阜在江崎)M42

  • 俳句無し

  • 俳句無し

​​三千里(羽前山形)M40

​​続三千里(阿波撫養)M43

  • 俳句無し

  • 俳句無し

10月5日

​​三千里(磐城白河)M39

​​続三千里(美濃岐阜)M42

  • 家処々に百舌鳥木移りし高鳴きす

  • 桜紅葉なるべし峰に社見ゆ

  • 俳句無し

​​三千里(羽前山形)M40

​​続三千里(讃岐高松)M43

  • 君等我等机定めつ蚊帳の果

  • 処宗吾祀る旗ありそゞろ寒

  • 蛇籠あらはな道うそ寒を飛ぶ螢

  • 君を訪ふ隻脚主うそ寒うしぬ

10月6日

​​三千里(岩代郡山)M39

​​続三千里(越前福井)M42

  • 秋の風馬の大市果てにけり

  • 牽く見れば馬買はまくす花芒

  • 俳句無し

​​三千里(羽前山形)M40

​​続三千里(讃岐高松)M43

  • 句の妻を里芋の子に娶らまし

  • 三つ栗の其落栗の一つかや

  • 之を植て甘唐辛新酒店

  • 勢田の句と乞はるれど如是に膳所新酒

  • 坂迎ひの麓物見や簗場まで

  • 峰渡りの足溜り一寺紅葉ある

10月7日

​​三千里(岩代郡山)M39

​​続三千里(越前福井)M42

  • 渡り鳥安積颪にしば/\す

  • 鰯引く外浦に出るや芒山

  • 鰯雲魚見の櫓立ちにけり

  • 柿の村城遠巻の薮も見ゆ

  • 送るべき干鮎を柿に思ひ出つ

​​三千里(羽前山形)M40

​​続三千里(讃岐高松)M43

  • 俳句無し

  • 活けし見れば真白小菊を投挿しに

10月8日

​​三千里(岩代郡山)M39

​​続三千里(越前福井)M42

  • 憂さ晴れてそぞろに行けば野菊哉

  • 馬を見に行く野の芒野菊かな

  • 芒道に馬放れをり野菊さく

  • 夫恋ふと詠みし花なる野菊かな

  • 山房の夕露や楡の沙明り

​​三千里(羽前大石田)M40

​​続三千里(讃岐高松)M43

  • 俳句無し

  • 天神の梅落葉芙蓉新たなる

  • 石を叙する詩あり芙蓉を配し見ん

  • 又た芙蓉に対す時師言迷ひあり

  • 玉碎を芙蓉に思ひ三省す

  • 眺望を阻む森芙蓉見越しなる

  • 城石垣一片移す庭芙蓉

  • 高芙蓉の背ろ籔清水見に行かん

10月9日

​​三千里(岩代三春)M39

​​続三千里(越前福井)M42

  • 柿主を脅やかしたる土賊かな

  • 柿の題三十余人渋を吐く

  • 時あつて柿の主の謡かな

  • 柿主の夢畑主の寝言かな

  • 八五原や櫛木干す雁のすれ/\に

​​三千里(羽前大石田)M40

​​続三千里(讃岐高松)M43

  • 又た会へる話頭冬近し最上川

  • 一巻の開眼を思ふ夜寒かな

  • 村に陣を構ふ仮兵や稲筵

  • 稲村に番雁人を寄せぬ

  • 俳句無し

10月10日

​​三千里(岩代郡山)M39

​​続三千里(越前福井)M42

  • 矢叫びの音を鳴る風の芒かな

  • 預け馬戻す便りや冬を待つ

  • 冷やかに十境三井の名所かな

  • 秋冷の句作同人旺盛なり

  • ひや/\と肖像かけし四壁かな

  • 我等待つ者焚火消す夜寒かな

​​三千里(羽前大石田)M40

​​続三千里(讃岐琴平)M43

  • 尾花沢は沢潟沢の後の名か

  • 俳諧の功徳も一分寺の秋

  • 俳句無し

10月11日

​​三千里(岩代郡山)M39

​​続三千里(越前芦原温泉)M42

  • 三春駒松川葉秋闌に

  • 俳句無し

​​三千里(羽前最上郡清水町)M40

​​続三千里(讃岐高松)M43

  • 俳句無し

  • 俳句無し

10月12日

​​三千里(岩代二本松)M39

​​続三千里(越前芦原温泉)M42

  • 露の菊蝕み残る葉の惜しぞ

  • 露の草石埋りしこのあたり

  • 脚高き木々の立てるや露の原

  • 一二本露の菌や陣場山

  • 穂芦立てば馬湯かと養魚場を見し

​​三千里(羽前酒田)M40

​​続三千里(讃岐志度)M43

  • 霧晴るゝ向ふ峰劃す大河かな

  • 鍬形の流れに星座紅葉かな

  • 三日泊りせしを上るや秋の空

  • 宿帳に大字落々と記す秋

  • 檜山と峙して満山紅葉かな

  • 遽か雨も冬の近さや西風も

  • うそ寒み車売らるゝ途中哉

  • 春来んと言ひしをうたゝ夜寒かな

  • 俗緑を真魚に恥ず残る蚊の宿に

  • 残る蚊の無住三旬柚も黄ばむ

10月13日

​​三千里(岩代福島)M39

​​続三千里(越前福井)M42

  • 宝物の鬼気も蝕む秋の風

  • 細布に草の紅葉も摺りにけん

  • 雲形を彩る塔や花芒

  • 牧場主言訥にして新酒かな

  • 炉の側に信夫女と新酒かな

  • 俳句無し

​​三千里(羽前酒田)M40

​​続三千里(讃岐屋島山上)M43

  • 鳥海を肩ぬぎきし雲や渡り鳥

  • 境木の築地になりぬ末枯れて

  • 諸爪のよに掻き捨てし漆かな

  • 放牧の斃るゝもあらん末枯れて

  • 三年木杉ともに蕨末枯るゝ

  • 切り下ろす石こゝらまで露の宿

  • 國分寺古圖の田にありし楠の露踏みし

10月14日

​​三千里(岩代郡山)M39

​​続三千里(越前吉田郡森田村)M42

  • 俳句無し

  • 落鮎や誠めど筆の荒ぶ頃

​​三千里(羽前酒田)M40

​​続三千里(讃岐高松)M43

  • 旅人聞く塚のあるやら鹿の声

  • 鹿穽も雪早き年の刈田かな

  • 病む側に曼珠沙華折りて遊ぶ子よ

10月15日

​​三千里(岩代杉田村)M39

​​続三千里(越前福井)M42

  • 柿紅葉の中に錦木紅葉かな

  • 山紅葉県の牧場通りけり

  • 朝稲妻奇しき見る雁来紅の下

​​三千里(羽前酒田)M40

​​続三千里(讃岐高松)M43

  • 初猟や威しの銃と知る山辺

  • 麦萌えて猟期の芒刈らずあり

  • 猟況を里より三度報知かな

  • 茸も狩りて猟期を待ちし温泉かな

  • 俳句無し

10月16日

​​三千里(岩代須賀川)M39

​​続三千里(越前敦賀)M42

  • 栗綴る妹見ればあかき行灯哉

  • 此庭や芝こまやかに栗干しぬ

  • 虫食ひの尽きずあるなり二升栗

  • 等躬が三巻と栗二升かな

  • 俳句無し

​​三千里(羽前酒田)M40

​​続三千里(讃岐高松)M43

  • 俳句無し

  • 俳句無し

10月17日

​​三千里(岩代郡山)M39

​​続三千里(越前敦賀)M42

  • 芙蓉咲いて下図成りけり亜欧堂

  • 海に泛ぶかと拝殿に雁仰ぐ

​​三千里(羽前酒田)M40

​​続三千里(讃岐高松)M43

  • 仮橋の都四条や後の月

  • 帰陣待つ江の舟師や後の月

  • 我に晴れよ鳥海月の名残なる

  • 俳句無し

10月18日

​​三千里(岩代郡山)M39

​​続三千里(若狭小浜)M42

  • 新蕎麦に句に酒に論に責らるゝ

  • 俳魔して夜寒の病魔払はせん

  • 句徳無辺大に芋を食らふべし

  • 蘭と菊あるじの事をさゝやかん

  • 山に木を植うると子規忌とを忘れ得ぬ

  • 五十鈴湖畔の明月といふ遊びかな

  • 妹か郎か女夫の塚か萩芒

  • 丘隔つ町二筋の蜻蛉かな

  • 水筋の横瀬に落つやむら芒

  • 樽さげて聟が行きやるを鳴る鳴子

  • 芋煮えて天地静に鳴子かな

  • 馬遠く鳥高き野の鳴子かな

  • 何鳥の嘴叩くらん引板の音

  • 俳句無し

​​三千里(羽前酒田)M40

​​続三千里(讃岐丸亀)M43

  • 川口の塞がる冬も隣りけり

  • 戻り荷の真帆の底雲冬近き

  • 冬近き船頭の神や蝦夷

  • 俳句無し

10月19日

​​三千里(岩代郡山)M39

​​続三千里(若狭小浜)M42

  • 子持茸といふが此里にあるやらん 

  • 種蒔の桜と君をたとへけり

  • 俳句無し

​​三千里(羽前酒田)M40

​​続三千里(讃岐丸亀)M43

  • 昔ならば不玉が宿や後の月

  • 隠栖は成りしかど短命や後の月

  • 出でゝ伏水船まだあるや後の月

  • 熊坂と釣狐十三夜かな

  • こたび下ればまた上らぬや後の月

  • 主振り茶も設けゝり後の月

  • 水料もすませ戻りぬ十三夜

  • 俳句無し

10月20日

​​三千里(岩代東山)M39

​​続三千里(丹後新舞鶴)M42

  • 山かけて鳥渡る湖の眺めかな

  • 磐梯を霧こめて暮色大なり

  • 湖を見て夜越えになりし夜寒かな

  • 霧下りし干物に思ふ湖津浪

​​三千里(羽前酒田)M40

​​続三千里(讃岐丸亀)M43

  • この道の三つ渡る川や蘆の花

  • 穂芦出て寒風山を背ろにす

  • 俳句無し

10月21日

​​三千里(岩代東山)M39

​​続三千里(丹後舞鶴)M42

  • 山中に淹留し朝を寒うしぬ

  • 藁積めば朝寒き里の冬に似る

  • 朝寒に狂ひ晴れする日和かな

  • 遺言ぞと聞くにも堪へて夜寒声

  • 名所巡りの腰折れて戻る夜寒かな

​​三千里(羽前酒田)M40

​​続三千里(讃岐丸亀)M43

  • 木もなくてしぐるゝをかし外廓

  • 後の月を雅号にもぢる奇縁かな

  • 句を作る夜長に妻等縫ひにけん

  • 厚綿の鄙振りにせしと言ひおこす

  • 俳句無し

10月22日

​​三千里(岩代東山)M39

​​続三千里(丹後舞鶴)M42

  • 水たるゝ梨兄弟に分ちけり

  • 梨園に日々客を見る車かな

  • 乳牛を牧する里や梨の味

  • 薬白根掘り得しにお山霰落つ

​​三千里(羽前酒田)M40

​​続三千里(讃岐丸亀)M43

  • 新蕎麦や殖林の山中の酒

  • 新蕎麦や南部素郷と出羽五明

  • 新蕎麦や碁笥なき盤も横はる

  • 蕎麦うつや月彷彿と靄の中

  • 俳句無し

10月23日

​​三千里(岩代耶麻郡山都村)M39

​​続三千里(丹後舞鶴)M42

  • 稲筵雪ある山と大川と

  • 桑黄ばむ山沿ひに麦の萌え出る

  • コスモスの冬近し人の猿袴

  • 阿賀川も紅葉も下に見ゆるなり

  • 稲架立てしに雪早し猪威し銃

​​三千里(羽前酒田)M40

​​続三千里(讃岐丸亀)M43

  • 山寨の道到り難し里の百舌鳥

  • この酒屋辛き量りを百舌鳥の鳴く

  • 俳句無し

10月24日

​​三千里(岩代熱塩温泉)M39

​​続三千里(丹後舞鶴)M42

  • 俳句無し

  • 岬めぐりして知るや鳥の渡り筋

  • 柿主も機場案内の唄所望

​​三千里(羽前酒田)M40

​​続三千里(讃岐丸亀)M43

  • 俳句無し

  • 俳句無し

10月25日

​​三千里(岩代喜多方)M39

​​続三千里(丹後舞鶴)M42

  • 銀杏一樹黄ばめる下や温泉の町

  • 花園に囲ひし山の芒かな

  • 開山の功徳の温泉にしぐれけり

  • 俳句無し

​​三千里(羽前鶴岡)M40

​​続三千里(讃岐白峰寺)M43

  • 俳句無し

  • 俳句無し

10月26日

​​三千里(羽前米沢)M39

​​続三千里(丹後舞鶴)M42

  • ぎいと鳴る三つの添水の遅速かな

  • 雲こめし中や雨降る秋の山

  • 川魚子を摺るといふ秋の題を得つ

  • 湖も山も冬の景色に紅葉かな

  • 会津より秋かけて出羽の時雨かな

  • 夜は長し快飲し快食し快眠す

  • 行秋や思ふ得度に汝が未練

  • 交易の終航に木の実盛られたり

​​三千里(羽前鶴岡)M40

​​続三千里(讃岐小豆島下村)M43

  • 俳句無し

  • 俳句無し

10月27日

​​三千里(羽前上の山)M39

​​続三千里(丹後舞鶴)M42

  • 山桑の木高さや菊も作り捨つ

  • 最上で上の山の粋な夜寒かな

  • 菊を一廓にして厩あり散る柳

  • 港修築餘る池あり散る柳

  • 咲き絶えて薔薇寄せあるに散る柳

​​三千里(羽前鶴岡)M40

​​続三千里(讃岐高松)M43

  • 俳句無し

  • 俳句無し

10月28日

​​三千里(羽前山形)M39

​​続三千里(丹後舞鶴)M42

  • 芹の中の水に溜れる落葉かな

  • 旧作の落葉を思ふ山路かな

  • 落葉して湖水の漁に疎きかな

  • 俳句無し

​​三千里(羽前鶴岡)M40

​​続三千里(讃岐高松)M43

  • 臥牛山の麓の高野枯れにけり

  • 冬木立捨て寄せしよな末社かな

  • 朴落葉俳諧の一舎残らまし

  • 冬構の中に鳥居の裸かな

  • 落葉して鐘楼残れる社かな

  • 谷深し松に紅葉を畳みけり

  • 俳句無し

10月29日

​​三千里(羽前山形)M39

​​続三千里(丹後綾部)M42

  • 淋し寒し出羽の清水後の月

  • 旅に裁つ衣に妻女と夜長かな

  • 十年前のこと問はる病うそ寒き

  • 露降らす鳥居筋鹿を点出す

  • 屯解く焚火もあだに霧下りて

​​三千里(羽前鶴岡)M40

​​続三千里(讃岐琴平)M43

  • 頭巾にや鉢巻をせし被り物

  • 仏事の麁末かれこれといふ

  • 飛ぶ蜻蛉けふ入舟の数ありて

  • あてやかに敷きて客なき蒲団かな

  • 俳句無し

10月30日

​​三千里(羽前山形)M39

​​続三千里(丹後河守)M42

  • 俳句無し

  • 俳句無し

​​三千里(羽前西田川)M40

​​続三千里(讃岐観音寺)M43

  • 奥の灘は紅葉散りしく門辺かな

  • 仏龕の霜置くなべに休みけり

  • 三階に請ぜられたるこの寒さ

  • 外湯上下下に入らなん

  • 俳句無し

10月31日

​​三千里(羽前山形)M39

​​続三千里(丹後宮津)M42

  • 俳句無し

  • 俳句無し

​​三千里(羽前西田川郡温海温泉)M40

​​続三千里(讃岐多度津)M43

  • 温泉は米汁に似て真白なり

  • 炉のほとり酒か飯かと問ひに来て

  • 芒添へて豆の木掛けぬ風構

  • 俳句無し

11月1日

​​三千里(羽前高湯)M39

  • 阿古屋茸といふやらんたぐひ立つものを

  • 飲みつぎて倒れず戻る十三夜

  • 語るべき物の中にも柿の味

  • 菌干す下に南山と菊を見る

  • 新綿に新木綿よき産衣かな

  • 鞭達の心にホ句の槌を打て

  • 建て増しの槌かしましう冬隣る

  • 鬼灯もお国なまりも我はすく

  • 最上女は蔓梅の枝をかざしかな

  • そゝかしく雁首落す別れかな

​​続三千里(丹後宮津)M42

  • 桜山の雪成相の雨を欲す

  • 霧晴るゝ松毎に又た波毎に

​​三千里(越後岩船郡葡萄)M40

  • 旅籠屋ながら稲荷ひ込む

  • 越後路に戻りて佐渡もなつかしや

​​続三千里(伊予今治)M43

  • 俳句無し

11月2日

​​三千里(陸前峨々温泉)M39

  • 俳句無し

​​続三千里(丹後間人)M42

  • 櫛の歯の松に棹雁折れ落ちん

​​三千里(越後新発田)M40

  • 俳句無し

​​続三千里(伊予今治)M43

  • 俳句無し

11月3日

​​三千里(陸前峨々温泉)M39

  • 俳句無し

​​続三千里(丹後間人)M42

  • 俳句無し

​​三千里(越後新潟)M40

  • 関跡に地蔵据ゑけり菊の秋

  • 並松のハタと伐られぬ秋の水

  • 里に掛けし板木の下や秋の水

  • 宿に居て旅情慰まず菊の花

  • 作り捨てし菊哀れめり呉れし主

  • 桑を梨を奨め作るや菊の村

​​続三千里(伊予今治)M43

  • 俳句無し

11月4日

​​三千里(陸前仙台)M39

  • 山を出でゝ稲を見つ詩宗の詩をも得つ

  • 寺大破炭割る音も聞えけり

​​続三千里(丹後間人)M42

  • 柳散るや馬と異なる馬の痩

​​三千里(越後新潟)M40

  • 俳句無し

​​続三千里(伊予今治)M43

  • 俳句無し

11月5日

​​三千里(陸前仙台)M39

  • 裏山のけむれる此方紅葉かな

  • 葉芋高き宿にとまるや晴三日

  • 温泉を出でゝ炭火に面輝かす

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • 俳句無し

​​三千里(越後新潟)M40

  • 磯づたひ行かぬ山路の落葉かな

  • 立岩の裏も神ある落葉かな

​​続三千里(伊予波止浜)M43

  • 船も絶えて鳩の飛ぶ空浮寢島

11月6日

​​三千里(陸前仙台)M39

  • 末枯れて額一面の社頭かな

  • 果知らずの記のあとを来ぬ秋の風

  • とき朝の花火の音や霜日和

  • 思はずもヒヨコ生れぬ冬薔薇

  • 火を埋めて心長く温泉に暖まる

  • 短日やさそはれ出しかげ詣り

  • あらぬ家に薬干されぬ冬の蠅

  • 牡蠣船に在りて文来る誰よりぞ

  • 糸を繰る音と庇のしぐれかな

  • しぐるゝや香に立つ温泉の洗ひ物

​​続三千里(但馬城崎温泉)M42

  • 牧牛の群れ来れば水鳥も輪に

​​三千里(越後新潟)M40

  • 浜砂を波の蹴上げや冬田原

  • 工場も建つや水田の冬の駅

  • 名所詠むにふさはしからぬ冬田哉

  • 鶏も出ず藁捨て干しの冬田哉

  • 鳥の跡と見えて大きな冬田かな

​​続三千里(伊予波止浜)M43

  • 俳句無し

11月7日

​​三千里(岩代中村)M39

  • 日の出見て山下りし里の小春哉

  • 牧場に近き池なり浮寝鳥

  • 枯るゝ菊みぞるゝ松になりにけり

  • 底曇りの雲の動きや冬の海

  • 革羽織着る顔になる己れかな

​​続三千里(但馬城崎温泉)M42

  • 俳句無し

​​三千里(越後新潟)M40

  • 媒落ちて炉上梁鳴る夜風かな

  • 鞦を炉の火さかるに炙りけり

  • 大根吊りて炉辺事無き山家かな

​​続三千里(伊予波止浜)M43

  • 俳句無し

11月8日

​​三千里(岩代小高)M39

  • ありといふ小屋にも出でず冬木立

  • 手をかざせば睡魔の襲ふ火桶かな

  • 真上より滝見る冬木平らかな

​​続三千里(但馬城崎温泉)M42

  • 橋畔旗亭岩も掃く日の落葉かな

  • 葮立てば落葉も寄りてあさる蟹

  • 陣の跡地を走る風の落葉かな

​​三千里(越後新潟)M40

  • 雁鳴くや海見ゆる窓を閉しゐて

  • 旅中に聞きし訃をかゞなうる

​​続三千里(伊予波止浜)M43

  • 俳句無し

11月9日

​​三千里(陸前仙台)M39

  • 我を見て泣く人よ寒し我も泣く

​​続三千里(但馬城崎温泉)M42

  • 山茶花や先づ舂ける陶土見る

  • 山茶花や授戒会名残斎に来て

  • 山茶花や岩窟も椿森の中

  • 隠し妻を見し咎やあらん山茶花に

​​三千里(佐渡河原田)M40

  • 俳句無し

​​続三千里(伊予波止浜)M43

  • 湯花それ/゛\大学に冬を籠る年

  • 髪も染むと奥冬籠煤を掃く

  • あるは烟籠眠冬の二字を案じ癖

  • 股榾の三日の火款待衰へず

  • 繡工の足も縫ふ夢冬籠

  • 魚放流了ればまこと冬籠

  • 三顧の智蟄冬を詩に起すなど

11月10日

​​三千里(陸前仙台)M39

  • 内浦になだらな島や浮寐鳥

  • 朝凪に浮洲も見えて浮寝鳥

  • 水鳥や湖の渡りの三里程

​​続三千里(但馬城崎温泉)M42

  • 元伊勢の里石高な時雨かな

  • 君は何を辻に見て来ししぐるゝ夜

  • 濃艶の地に狂風の時雨かな

  • 妻難を文す寒さや君にのみ

  • 施行の湯洲白き松も北時雨

​​三千里(佐渡相川)M40

  • 春と秋はいつも来でこの蒲団哉

  • 千里距る別れに敷き布団かな

  • 布団二つ敷けば大佐渡小佐渡かな

​​続三千里(伊予波止浜)M43

  • 俳句無し

11月11日

​​三千里(陸前仙台)M39

  • 要害の城や小春の旧山河

  • 小者つれて島長ぶりの小春かな

  • 山の辺の小春の鳥居くゞりけり

  • 畚の中雀来て居る小春かな

  • 端山越え畑木もみづる小春かな

​​続三千里(但馬城崎温泉)M42

  • 俳句無し

​​三千里(佐渡相川)M40

  • 俳句無し

​​続三千里(伊予波止浜)M43

  • 俳句無し

11月12日

​​三千里(陸前仙台)M39

  • 絵の下に蹲る緑漪浦山房の冬

​​続三千里(但馬城崎温泉)M42

  • 俳句無し

​​三千里(佐渡小田村)M40

  • 俳句無し

​​続三千里(伊予越智郡大三島)M43

  • 俳句無し

11月13日

​​三千里(陸前仙台)M39

  • 詩話画論しぐるゝいとまなかりけり

  • 百日目横はる赤き毛布かな

  • 左右にある殉死の塚の落葉かな

  • 雪虫の飛ぶ廟前の木立かな

  • 芝広な庭や雪虫飛び初むる

  • 雪虫やけふ見ゆる遠山の雪

  • 雪虫や川原の広き町外れ

  • 高き飛ぶ雪虫袖に落ちにけり

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • 霜凪に山払ふ瀬戸を望み行く

  • 土情知らずも童謡聞ゆ道の霜

  • 狐つきし人吐きし物か庭の霜

  • 霜に伏せし旗をや揚ぐる江の風に

  • 鼠上るを見る軒の松霜さびて

  • 鳰立つや霜に掻く藻の棹光り

  • 騾聲々寝不足の霜日和なる

  • 霜を掻く落葉に鴉掘られけり

​​三千里(佐渡鷲崎村)M40

  • 俳句無し

​​続三千里(安芸竹原)M43

  • 俳句無し

11月14日

​​三千里(陸前塩釜)M39

  • 畑広し蔵立つあたり散る紅葉

  • 霊泉を見されども心冴ゆるかな

  • 多羅葉の大樹けやき神の留守

  • 提灯に照らす紅葉の深きかな

​​続三千里(但馬城崎温泉)M42

  • 句作には酔ひ過ぎぬ話頭鳴く千鳥

  • 千鳥鳴いて二度渡る橋を忌む夜哉

  • 晦朔を問ふ文千鳥鳴くにつけ

​​三千里(佐渡夷)M40

  • 浦千鳥夷通ひは三艘出る

  • 離れ家離れ岩あり飛ぶ千鳥

  • 千鳥来るや岬ともなき牛牧場

  • 舟納屋に網も掛くるや千鳥来る

  • 舟で立つときめての夜話や浦千鳥

  • 隣り合へど舟通ふ浦や鳴く千鳥

​​続三千里(安芸竹原)M43

  • 俳句無し

11月15日

​​三千里(陸前松島)M39

  • 俳句無し

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • 俳句無し

​​三千里(佐渡河原田)M40

  • 山茶花に真野山紅葉散りにけり

  • 山茶花や供御とゝのへし民哀れ

​​続三千里(安芸竹原)M43

  • 海までの水路に偽砲浮寐鳥

  • 讃岐は山の襞績のなき国浮寐鳥

  • 泊るならひ打止めの札所浮寢鳥

11月16日

​​三千里(陸前石の巻)M39

  • 俳句無し

​​続三千里(但馬豊岡)M42

  • 俳句無し

​​三千里(佐渡河原田)M40

  • 俳句無し

​​続三千里(安芸竹原)M43

  • 俳句無し

11月17日

​​三千里(陸前鮎川)M39

  • 君に遇ふ牡鹿の山の眠る下

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • 俳句無し

​​三千里(佐渡河原田)M40

  • 山茶花や学校になき風囲ひ

  • 山茶花や謫居の跡の寺一宇

​​続三千里(備後尾の道)M43

  • 俳句無し

11月18日

​​三千里(陸前金華山)M39

  • 俳句無し

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • 行李柳炭櫃の手にも白き宿

  • 炭𥧄を開く日兎ニ罠に

  • 炭市の日を待て絹も売らまくす

  • 彩星居と選りしもよべや霰降る

  • 途中三湖を見る遑ありて降る霰

  • 子を学に托す炭売り至言かな

  • 炭處薬師の落葉黄に照りて

  • 炭値など争ふを茶屋にわき見しつ

  • 城を仇と望む浪々の霰かな

  • 極月の霰や京に有事の日

​​三千里(佐渡新穂村)M40

  • 俳句無し

​​続三千里(備後尾の道)M43

  • 旅全からぬ師を次ぐ弟子や眠る山

  • 田中岩も雉罠栞り冬山家

  • 痉紅の碑あるあり四山眠れるに

11月19日

​​三千里(陸前萩の浜)M39

  • 俳句無し

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • 俳句無し

​​三千里(佐渡河原田)M40

  • 俳句無し

​​続三千里(備後尾の道)M43

  • 奇瓢手入れして勾玉や吐く思ひ

11月20日

​​三千里(陸前石の巻)M39

  • 子が号を囲炉裏の側に案じけり

  • 囲炉裏ある間に銀屏を立てまほし

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • 俳句無し

​​三千里(佐渡小木)M40

  • 俳句無し

​​続三千里(備中玉島)M43

  • 俳句無し

11月21日

​​三千里(陸前石の巻)M39

  • 大木戸に似し門ありて冬木かな

  • 畳干す冬木の下や駅日和

  • 河豚の文天雪降ると物しけり

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • 模様彫罠木にも見ゆ冬山家

  • 絶えて紀行なき蕪村思ふ眠る山

  • 一度降りし雪忘れ菜や冬山家

  • 天橋の図に加悦大江山眠る

​​三千里(佐渡小木)M40

  • 日和見の漁長が家や帰り花

  • 洞穴の入江になるや初氷

​​続三千里( 備中玉島沙美)M43

  • 教徒外足袋屋主を賛す我

  • 此日巡遊興のなかりし足袋払ふ

  • 筆ともに足袋の用行李紐解きし

11月22日

​​三千里(陸前石の巻)M39

  • 沼尻の川の流れや柴漬くる

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • 流れあさる舟皆下りつ浮寝鳥

  • 木置場の二人木挽や浮寝鳥

  • 夕酔ひの魚拾ふ朝や浮寝鳥

  • 水鳥や葦の太根の矢落ちて

  • 蕃楽を帰順に聞く日浮寝鳥

  • 道は勾玉の湖離れずよ浮寝鳥

​​三千里(佐渡小木)M40

  • 句はなくて妓を品す菊の花の前

  • 佐渡一めぐりせし名残なり

​​続三千里(備中沙美)M43

  • 榜し牽く乳屋が牛に日短き

  • 不時綱代の鰈の汐味日短き

11月23日

​​三千里(陸前登米)M39

  • 炉に寄りて早や石索を開き鳧

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • 俳句無し

​​三千里(越後西蒲原郡地蔵堂)M40

  • 俳句無し

​​続三千里(備中沙美)M43

  • 汐ざえる名残とも霜さびの雲

  • 根蔕の宿弊霜にもげにけり

  • 舟伏せしに国栖の古事霜降りて

  • 道の霜拾へるを近江聖人へ

  • 温泉に草稿を齎らせり霜凪の朝

  • 楯の霜弭掻く朝期すること

  • 霜にはふり落す葉も庭掃除なる

11月24日

​​三千里(陸前登米)M39

  • 都曇てふ楽器見せけり冬籠

  • 霜日和稲掛けし運河堤かな

  • 霜凪ぎに濃き紅葉見ゆ向ひ島

  • 復た川に沿ふやどりなり朝の霜

  • 転結を置かぬ詩多し冬籠

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • 産を破るに至らず柳枯れて覚む

  • 蔭に女性あり延び/\のこと枯柳

​​三千里(越後西蒲原郡地蔵堂)M40

  • 親人と碁を打たぬ間の火燵かな

​​続三千里(備中沙美)M43

  • 枯芦の群ラ鳥二本烟突を

  • 日和山を遊園に返り咲く木あり

  • 枯芦の隔つ町橋のとゞろかな

11月25日

​​三千里(陸前登米)M39

  • 桑老木倒れしもあり三十三才

  • 山越しに窟のあるや三十三才

  • 三十三才チョロと落葉を返し飛ぶ

  • 三十三才住持が貧の竈まで

  • 宮の大樹伐ると噂さの小春かな

  • 船頭の社案内や散紅葉

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • 避寒人粉陣打破に鈍れども

  • 我を待て譲られし遺書と避寒せし

  • 真蘇穂貝を思ふ似し浦に避寒して

  • 備忘録に種馬の強度や避寒人

​​三千里(越後新潟)M40

  • 俳句無し

​​続三千里(備中沙美)M43

  • 予讃見聞広島牡蠣の背低桝

  • 娶る話牡蠣舟にあげつらひしに因す

11月26日

​​三千里(陸前登米)M39

  • さか鳥も国替の時になくなりぬ

  • 芦を鳴る風にさかどり待れ鳧

  • さかどりの一陣を張る処かな

  • いく立てのさかどりに鳥のつぎ来るや

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • 匕首の幸未だしと文す極月や

  • 藍掻て狩の噂さも師走人

  • 禅語藉るも亦た偷安の師走人

  • 住みつきし師走の米に虫つきて

​​三千里(越後新潟)M40

  • 俳句無し

​​続三千里(備中沙美)M43

  • 水涸の税打や遊行立寄れる

  • 手束ねて見る禿山や水涸れぬ

11月27日

​​三千里(陸前登米)M39

  • 出羽人も知らぬ山見ゆ今朝の冬

  • 冬来るや尚乗り締むる馬五頭

  • 隠居田の訴訟隠居死ぬ今朝の冬

​​続三千里(山城京都)M42

  • 俳句無し

​​三千里(越後北蒲原郡水原)M40

  • 小春日の里にお助け普請かな

  • 佐渡でいふ国中平小春かな

​​続三千里(備中沙美)M43

  • 返り咲くや闘牛王の動く年

  • 果樹園に野良木あり返り咲くに質す

  • 冬菜作る農園に焙爐捨てし見る

  • 珠を抱く灣の樣返り咲く宮居

11月28日

​​三千里(陸前登米)M39

  • 産の祝ひ又の祝ひやかぶら汁

  • 我がかぶら贈る天下の二人哉

  • ぶり/\に似し長かぶら面白や

  • 鞍づけの蕪が落ちそな馬が行く

  • 蕪作る大百姓や聖村

  • 大鍋に煮くづれ甘きかぶらかな

  • 蕪一つ法味ゆたかに見ゆる哉

  • 牛飼ひと歌にある宿やかぶら汁

  • 留錫のお物好みや蕪汁

  • 二三日の京と蕪を忘れ得ぬ

  • 俳陣のうしろに据わる蕪かな

​​続三千里(摂津大阪)M42

  • 俳句無し

​​三千里(越後長岡)M40

  • 凡貧の境を脱せぬ火燵かな

  • 風呂欲しう思ひつゝ宿の火燵かな

  • あらぬ富を火燵に寄れば思ふなり

​​続三千里(備中沙美)M43

  • 独居の意張る獅子吼なす己れ寒む

  • 軒寒むの間口広道は廃れたり

  • 禁制に問ふ寒し蘭書此家に

  • 八つ沼のこの道を願意寒き行く

11月29日

​​三千里(陸前登米)M39

  • 犀角のよな匂ひして紙子かな

  • 下ざまの紙子好みを問はれけり

  • 箔のやうに白き跡見ゆ紙子かな

  • 素紙子に画を物しけり千鳥など

  • 一つ赤き詩箋を裏に紙子かな

  • 翻然と遊里に捨てし紙子かな

  • 素紙子や商人ながら狂言師

  • 酒代に紙子の袖の黄金かな

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • 俳句無し

​​三千里(越後長岡)M40

  • 鶚の巣見えて河豚釣る岩間かな

​​続三千里(備中沙美)M43

  • 墓石得しに書斎の煤日後れたり

  • 開門匇々の放れ馬なり煤旦

  • 熊坂の諜者が煤日夕紛れ

  • 煤掃いて湖涸るゝ年の泥汲まん

11月30日

​​三千里(陸前登米)M39

  • 上の山泊りにせうぞ月寒さ

  • 春に焼けし家居建ちけり冬の月

  • すまじてふ峠越えしぬ冬の月

  • このやうに行人絶えて冬の月

  • 柝過ぎて後犬行くや冬の月

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • 盆梅に蓬頭の暖炉籠りして

  • 暖炉の歌病む師に乞へば興乗ると

  • 生れ子も移民初年の暖炉かな

  • 渡り酒か暖爐の君に緑なる

​​三千里(越後長岡)M40

  • 臘八の霰あとなき日影かな

  • 臘八の門に汝の到りけり

​​続三千里(備前岡山)M43

  • 俳句無し

11月

12月1日

​​三千里(陸前登米)M39

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • 蚕桑もつたなき里や菊枯るゝ

  • 菊枯れて又た見る能の菊慈童

  • 自ら廃寺になりぬ菊枯るゝ

  • 風垣をして菊見えず枯るゝ頃

  • 虫が食ふ菊なりし枯れてしまひけり

  • 酒盗む人も老いぬる枯るゝ菊

  • 地すべりの時の潴水や冬木立

  • 冬木谷岩組も猪の渡り筋

  • 学校の冬木に雉の棲める朝

  • かくて住みし応挙ぞと知る寺冬木

  • 牧柵も谷八つ尾尻冬木立

  • 坊守の脂削る瘤冬木かな

  • 瀧の岩も赭き遠目や冬木立

  • 櫨冬木立宿り木しるし梅の村

​​三千里(越後長岡)M40

​​続三千里(備中沙美)M43

  • 角鳴て闘ふ牛やけさの霜

  • 艮に火事あるべしといふ夜かな

  • 大火事の天保頃の話かな

  • 積藁の枯木の霜に雀かな

  • ​俳句無し

12月2日

​​三千里(陸前登米)M39

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • 納豆の甘きはあれど米わろき

  • 納豆打つ寝覚々々を又寝かな

  • 炉住居になくてかなはぬ納豆かな

  • この家に木仏立たすや納豆汁

  • 十余州越えて冬なり納豆汁

  • 咲かぬ年枯るゝと思ふ冬牡丹

  • 積藁の三つある庭や冬牡丹

  • 地に柑子垂れて牡丹も冬を咲く

  • 冬牡丹さくや白砂の明月寺

  • 冬牡丹くねれる錫に花咲きぬ

  • 正統を立たせ給へり冬牡丹

  • 凩の栃平お山遥拝所

  • 凩や治水に狼煙打つぞとも

  • 凩の奥丹後餘戶稲城かな

  • 凩や白樺の魔火さそふ森

  • 凩や火して盤石割きし朝

​​三千里(越後長岡)M40

​​続三千里(備中沙美)M43

  • 白磁さへ渡りと見えて水仙花

  • 酒三行に筆硯も出づ

  • 寒搗の米や俵を運びけり

  • 葱汁の主にも執拗の徳

  • 葱畑の藁塚や黐の柴寄せて

  • 修忌の蕪參らする葱も一束ね

12月3日

​​三千里(?)M39

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • 冬空や舟行の果に日暮るゝ

  • 冬空や津軽根見えて南部領

  • 冬空の下に黄渋の濃き田かな

  • 菜干す朝又の煤日も霰せん

  • 木香まじなふ飯櫃に柚子と干菜哉

  • 菊刈れば干菜に蜂の立つ日かな

  • 干菜汁に柿の核見る冬至かな

  • 干菜粥尺牘の紙惜む主

​​三千里(越後長岡)M40

​​続三千里(備中沙美)M43

  • 佐渡振りを賑ふ臼や寒の内

  • 大額冴ゆ次第に浪の音なかり

  • 弊政のことを偽銀や冴ゆる灯

  • 諷諫の言思ふ框の畫絹冴ゆ

12月4日

​​三千里(陸中一の関)M39

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • 苔青き踏むあたりにも霜柱

  • 火燵の間去ることもなく用足りぬ

  • 歯皓き君を火燵に強うるなり

  • 菊枯れて土竜うごもつ畑になりぬ

  • 宿論もこの墓所にある枯野かな

  • 地に下りし鳶に引るゝ枯野かな

  • 恩愛を枯野に捨てんわを責めて

  • 小戦に死所を得ず哀れ野は枯れて

  • 行李柳田に返し掘る枯野かな

  • 野は枯れて飛松に餘戸鹽田かな

​​三千里(越後長岡)M40

​​続三千里(備中沙美)M43

  • 俳句無し

  • ​俳句無し

12月5日

​​三千里(陸中一の関)M39

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • ​俳句無し

  • 凩や牧訪ふを機場見てやみし

​​三千里(越後長岡)M40

​​続三千里(備中沙美)M43

  • 能の残る寒き国なり佐渡が島

  • 果樹の国に父祖の田を守る寒さかな

  • 狐吊りて駅亭寒し山十勝

  • 牛を吼えて犬狂ひけん寒さかな

  • 治水翁の国見す芒枯れしにも

  • 刈る頃の枯芒長風の丘

  • 芒枯れし池に出づ工場さかる音を

  • 芒枯れし穂につく須磨の松ふぐり

  • 芒枯れし凸岬の荒れ凹灣より

  • 酒試醸積み捨てし物や枯芒

12月6日

​​三千里(陸中水沢)M39

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • 秀衡と芭蕉君にも寒さかな

  • なしと言へど袖中のホ句又た寒し

  • ​俳句無し

​​三千里(越後長岡)M40

​​続三千里(備中沙美)M43

  • 海府便り絶えしよにいふ眠る山

  • 百姓を輿に雇ひぬ眠る山

  • 霙れをるに室移る保養院の松

  • 俵装検印の日の霙れしが雪となり

  • 霙るゝに宮鳩の鶏を羽ばたけり

  • 各地一泊の旅や丹鶴霙るゝ日

12月7日

​​三千里(陸中遠野)M39

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • 人首と書いて何と読む寒さかな

  • 湯島菜に苣の根赤や冬薔薇

  • 冬薔薇月山鍛冶の下りてをり

  • 婢にも糊のまことや冬薔薇

  • 墓参帰省して籠り居や冬薔薇

​​三千里(越後新潟)M40

​​続三千里(備中沙美)M43

  • 山姥の雪籠りせし灯なるべし

  • 紅染めし雪の兎を想はしむ

  • 網代ほとり洲の宮に烏猛き見る

  • 網代筋反れて鉾立つ岩も目に

  • 一帯の松や網代の城跡か

  • いつも鈍な森の上山や網代守

  • 網代持てば鴨も時折拾ひ來ぬ

12月8日

​​三千里(陸中遠野)M39

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • 埋れ木を掘る里人の小春かな

  • 火燵にてあるじがまねの書見かな

  • 火の映る北上氷りそめにけり

  • 山の池の緑に薄き氷かな

  • 狼に恐れて馬もやらぬなり

  • 冬日落つまこと梢の鴉島

  • 濃き雲の脚荒ラ峰冬日突と落つ

  • 嘴鍬を土に鴉の冬日かな

  • 雲を叱る神あらん冬日夕磨ぎに

  • 漉砂を洗ひ磨ぐ冬日影満つ

  • 罠工み畑を助けや冬日影

  • 窓照りし冬日や雨を轟かす

​​三千里(越後長岡)M40

​​続三千里(備前岡山)M43

  • ふたはすれど通ふ千鳥の音のあらん

  • ​俳句無し

12月9日

​​三千里(陸中遠野)M39

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • 俳句無し

  • 落葉掃けば秋見ぬ地虫甲へり

  • 鞍馬判威も衰へて落葉かな

  • 論陣の官学の総落葉かな

  • 蜜涸れにや蜂戦へる落葉かな

  • 門札を削り住む家や椋落葉

​​三千里(越後長岡)M40

​​続三千里(備前岡山)M43

  • 俳句無し

  • ​俳句無し

12月10日

​​三千里(陸中遠野)M39

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • 北風や磧の中の別れ道

  • 雪沓も穿きなれぬ地酒酌みかはす

  • 爪籠の事雪車股しやれの話かな

  • 北風に比良のそゝれば魞のなき

  • 柚の匂ひ北颪す朝の温泉のほとり

  • 北風や北魏の書険悪の体とあり

​​三千里(越後長岡)M40

​​続三千里(備前岡山)M43

  • 君泊めて師走の謡聞くに惜し

  • 橋開きありて師走の花火かな

  • 茶の匂ふ枕も出来て師走かな

  • 築き替へし臼二つまで師走かな

  • 極月の風雪熊羆叫びけり

  • ​俳句無し

12月11日

​​三千里(陸中釜石)M39

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • 俳句無し

  • 懸想文買ふ家のそは老刀自か

​​三千里(越後長岡)M40

​​続三千里(備前岡山)M43

  • 子心に不孝重ねまじと寒さかな

  • ​俳句無し

12月12日

​​三千里(陸中釜石)M39

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • 俳句無し

  • ​俳句無し

​​三千里(越後長岡)M40

​​続三千里(備前小串)M43

  • 俳句無し

  • ​俳句無し

12月13日

​​三千里(陸中宮古)M39

​​続三千里(但馬城崎)M42

  • 俳句無し

  • ​俳句無し

​​三千里(武蔵東京)M40

​​続三千里(讃岐多度津)M43

  • 俳句無し

  • ​俳句無し

12月14日

​​三千里(陸中宮古)M39

​​続三千里(但馬香住村)M42

  • 寺絶えてたゞに尖れり冬の山

  • 要害の江左に対す冬の山

  • 凶歳の途に当れり冬の山

  • ​俳句無し

*

​​続三千里(伊予松山)M43

*

  • ​俳句無し

12月15日

​​三千里(陸中盛岡)M39

​​続三千里(但馬浜阪)M42

  • 俳句無し

  • ​俳句無し

*

​​続三千里(安芸広島)M43

*

  • ​俳句無し

12月16日

​​三千里(陸中盛岡)M39

​​続三千里(因幡浦富)M42

  • 我れが見る火燵籠りの腮かな

  • 火燵して閉伊の郡に老いにけり

  • 乗りて来し馬を火燵に見つゝをる

  • ​俳句無し

*

​​続三千里(安芸広島)M43

*

  • ​俳句無し

12月17日

​​三千里(陸中盛岡)M39

​​続三千里(因幡鳥取)M42

  • 山の表裏廻る道や枯茨

  • 夕鳥の腹掻く茨枯れにけり

  • 枯茨や散る藁屑と実赤きと

  • 舟橋を吊る針金や枯茨

  • 炭積めばなど狂ふ馬となりにけん

*

​​続三千里(備後福山)M43

*

  • ​俳句無し

12月18日

​​三千里(陸中盛岡)M39

​​続三千里(因幡鳥取)M42

  • 句を望む君と師走のいとまあれ

  • ​俳句無し

*

​​続三千里(備中笠岡)M43

*

  • ​俳句無し

12月19日

​​三千里(陸中盛岡)M39

​​続三千里(因幡鳥取)M42

  • 帰り来ぬ人北風に立つ日かな

  • 北風に魚塩の便りなかりけり

  • 君等夫婦言ひし雪焼けもせずとこそ

  • 墜道の飯場石焚く雪籠り

*

​​続三千里(播磨兵庫)M43

*

  • ​俳句無し

12月20日

​​三千里(陸中盛岡)M39

​​続三千里(因幡鳥取)M42

  • 遠野勢夜半に著きぬる雪明り

  • 門の雪いつ繋ぎけん馬のをる

  • 雪あらぬ片谷に温泉の小村かな

  • 窓に吹く吹雪の中の講義かな

  • 以南の水以北の峰や雪の原

  • 枕辺に積む雪奇しく目覚めけり

  • 柳ある方に橋見ゆ廓の雪

  • ​俳句無し

*

​​続三千里(播磨兵庫)M43

*

  • 埋火や庖刀我と期せし宿

12月21日

​​三千里(陸中盛岡)M39

​​続三千里(因幡鳥取)M42

  • 集を見て我句楽しむ冬籠

  • 山を見て心に足りぬ冬籠

  • ​俳句無し

*

​​続三千里(播磨西の宮)M43

*

  • 故人亡きを訪ふ水仙に圓卓も

12月22日

​​三千里(陸中盛岡)M39

​​続三千里(伯耆東郷温泉)M42

  • 捨水の落るところは氷柱かな

  • 雪沓のまゝモートルの下に踞す

  • 水道の氷熊手掻く旦かな

  • 一廓の灯や渓の雪発電所

  • 盗まれし牛の訴訟や冬籠

  • 庵則を自 ら問はず冬籠

  • 蕪赤き里隣る砂利を上ぐる村

  • 絵の具こぼれも室暖かや蕪汁

*

​​続三千里(播磨兵庫)M43

*

  • 水仙の間を選ぶ奴婢も三四あり

12月23日

​​三千里(陸中盛岡)M39

​​続三千里(伯耆米子)M42

  • 水鳥や裾野つゞきに丸き沼

  • 雪除をする日水鳥晴れて見ゆ

  • ともらぬ夜なき茶屋の灯や浮寐鳥

  • 水鳥や昼の渡しの人満船

  • 城を出て逸峰見ゆれ浮寝鳥

  • ​俳句無し

*

​​続三千里(播磨兵庫)M43

*

  • ​俳句無し

12月24日

​​三千里(陸中盛岡)M39

​​続三千里(出雲能義郡赤江)M42

  • 茶店とも酒保とも雪の一軒家

  • 首綱で犢引き来る深雪かな

  • 米と塩けふ待つ雪車の送り状

  • 雪除の高さや牛舎三棟建つ

  • 雪チラ/\岩手颪にならで止む

  • 軍屯す人籟湖の氷割れして

  • 孵化魚卵届く日氷伐りそめて

  • 鴨も拾ふ湖氷る年や膳所の人

  • 鰊走りして間なき海の氷る日や

  • 橇行の渡る氷を瀬踏みかな

*

​​続三千里(播磨兵庫)M43

*

  • 卵酒吐哺の境涯妻いふ夜

  • 有馬去りし口なれの卵酒もせず

  • 玉子酒を筆硯と雑話無き夜なる

12月25日

​​三千里(陸中盛岡)M39

​​続三千里(出雲能義郡赤江)M42

  • 風邪ひかぬまじなひの句を返しかな

  • 雪すべるよなにこよかな妹ならん

  • 雪鏡の如し杜陵少年行

  • ひねくるや橋南橋北の雪木履

  • 椀中の酒火の如し榾いきれ

  • 念者ぶりの句をさゝやきて炉辺かな

  • 柚子置いて火燵の上の一日かな

  • ずり落ちん硯置く汝が火燵泣き

  • 目しゐ人火燵によれば思ふ歌

  • 相距りて相寄る火燵神ぞ知る

  • 墨の香も火燵の長が臥艶にこそ

  • 火燵好きな火燵縛りの句想かな

*

​​続三千里(播磨兵庫)M43

*

  • ​俳句無し

12月26日

​​三千里(陸中一の戸)M39

​​続三千里(出雲能義郡赤江)M42

  • 俳句無し

  • 諸鳴きの中に羽叩く番鴨か

  • 此地詩に一声玄鶴とあり鴨か知ら

  • 望む松凍てつく星や鴨の鳴く

  • 鴨を引く物あるを機の夜音かな

  • 白魚船ならぬ篝や鴨鳴く夜

  • 温泉響きの湖心や鴨の聲明かり

  • 船焼きし守りを枯芦と鳧鴨図す

  • 湖南夜話湖東に次ぐや鴨の聲

  • 峯颪の吹き寄せ鴨は囮かな

  • 麓雪なき山明り鴨鳴いて

  • 鴨二三聲あと絶えて山は臥牛かな

  • 灯華落つる風ゆれや鴨の静まれる

  • 雁落ちしに鴨鳴くやしきり月の雲

*

​​続三千里(播磨兵庫)M43

*

  • ​俳句無し

12月27日

​​三千里(陸奥三の戸)M39

​​続三千里(出雲能義郡赤江)M42

  • 俳句無し

  • 紆余曲折蒲団思案を君もごそと

  • 猫柳の色映えてフワと蒲団かな

  • 客蒲団三通り持たん富をこそ

  • 薮の音と月明り蒲団展ぶる時

  • 蒲団干す屋根に懐ろの書落ちて

  • 厚衾だまり主が心酌む

  • 一に酒二に蒲団関の松も見て

  • 我を追うて来し君よ蒲団並み敷かん

  • 蒲団飾りして連るゝ馬や雁も空

  • 厚衾だまり主の心汲む

  • 積み崩れせし蒲團鼠渡る機

*

​​続三千里(播磨兵庫)M43

*

  • ​俳句無し

12月28日

​​三千里(陸奥八の戸在鮫港)M39

​​続三千里(出雲能義郡赤江)M42

  • 晴雪に海見ゆる我が行く先きに

  • 野ひらけ行く晴雪に風立てり

  • 雪晴れぬ鶏犬我を怪むる

  • 雪明りしてこの隈や四季桜

  • 芦枯れの新ラ建ちや水堰俵など

  • 雲樹寺の芦の枯れけめ四脚門に

  • 枯芦に鳥のむしり毛売る家かな

  • 狩の君に酬ひなん芦枯れにけり

  • 枯芦にひょんな雉子打つ水馴棹

  • 遂に築かず城池の規模や芦枯るゝ

  • 芦風の己れと折れて枯れ盡きぬ

  • 芦枯るゝ裏似つかずよ紺屋町

  • 舟沈むるも柴漬のたぐひ芦枯るゝ

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​​続三千里(摂津大阪)M43

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  • ​俳句無し

12月29日

​​三千里(陸奥八の戸在鮫港)M39

​​続三千里(出雲能義郡赤江)M42

  • この道に寄る外はなき枯野かな

  • 野は枯れて目にしるき山や噴火烟

  • 日頃通ふ駄馬米を積む小春哉

  • さはれ河陽の大典の一や小春凪

  • 耻ることを昼こそ酔れ小春凪

  • 帰途によかりし酒肆過ぐる小春かな

  • 昼星の木山が峡や小六月

  • 事の首尾現はれて安し小春凪

  • 皮財布手ずれ小春の博労が

  • 墨師髯を牛膠に煮る小春かな

  • 九仞の遺志一簣を継ぐも小春かな

  • 馬賣れて牛に別れや牧小春

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​​続三千里(摂津宝塚)M43

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  • ​俳句無し

12月30日

​​三千里(陸奥五の戸)M39

​​続三千里(出雲能義郡赤江)M42

  • 俳句無し

  • 煤じまひ舁きそれし米の滝こぼれ

  • 是非の使ひ馬乗る汝を煤半ば

  • 煤名残戸袋に簪掻くことや

  • 煤夕鏡使ひのざれ蕪や

  • 煤に堪て住めど常座に睨み煤

  • 煤隣の牛売りぞこね妻が又

  • 煤じまひ沼の夕栄蔵の戸に

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​​続三千里(摂津宝塚)M43

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  • ​俳句無し

12月31日

​​三千里(陸奥上北郡沢田村)M39

​​続三千里(出雲能義郡赤江)M42

  • 冬川や那須の高根のそがひ見ゆ

  • 堤守置きし昔や冬の川

  • 冬川や湯田の蟹石出ずなりぬ

  • 大きなる嘴鳥をるや冬川原

  • すたれる運河も見えつ冬の川

  • 橡胡桃冬川筋の立木かな

  • さびれ行く駅の下落つ冬の川

  • ​俳句無し

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​​続三千里(摂津宝塚)M43

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  • 和田山は今はなし煤黒冬木見る

12月

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