4年目迎えたプロアイスホッケー「横浜グリッツ」、新横浜からサプライズを | 横浜日吉新聞

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4シーズン目の「横浜グリッツ(GRITS)」が前季以上の“サプライズ”を巻き起こします。

今月(2023年)9月16日(土)に開幕するプロアイスホッケー「アジアリーグ」で、新横浜に本拠地を置く横浜グリッツは、30日(土)の本拠地開幕戦を前に地元で“強化試合”を組むなど、例年にない形で新シーズンを迎えます。

グリッツにとって4シーズン目となるアジアリーグの戦いが始まる(2023年3月、新横浜)

今季(2023-24年)のアジアリーグは、前季まで活動した「ひがし北海道クレインズ」が不参加となり、日本4・韓国1の計5チームで来年3月までに全80試合(各チーム32試合)が行われることになりました。

他の4チームより開幕戦が1週間遅くなる横浜グリッツは、来週9月16日(土)・17日(日)の2日間にわたり本拠地の「KOSE新横浜スケートセンター」で、前ひがし北海道クレインズの所属選手らで新たに結成された「北海道ワイルズ」との交流戦を実施。

今季のKOSE新横浜スケートセンターでは9月16日(土)・17日(日)の「交流戦」からスタートする(横浜グリッツの公式サイトより)

翌週の9月23日(土)に敵地の青森県八戸市で東北フリーブレイズとの開幕戦を迎え、本拠地・新横浜での開幕シリーズは9月30日(土)・10月1日(日)にH.C.栃木日光アイスバックスとの2連戦になります。(全試合の日程を本ページ下部に掲載)

新シーズンに向けて6人の選手が新たに加わるなど前季以上の戦力を整え、「前例のないサプライズを巻き起こす」というチームスローガンを掲げる横浜グリッツ。

4シーズン目の展望とチームの現状を運営会社であるGRITSスポーツイノベーターズ株式会社(中区新山下2)の臼井亮人社長に聞きました。

横浜グリッツ(GRITS)とは:慶應義塾大学のスケート部アイスホッケー部門のOBらが中心となり、プロ参入を目指して2019年5月に立ち上げ、2020年10月からプロリーグの「アジアリーグ」参戦。本拠地を港北区新横浜の「KOSE新横浜スケートセンター」に置く。選手はほぼ全員が会社員などとして仕事を持ちながらプロ選手として活動する「デュアルキャリア」を志向しているのが特徴。3季目となる2022-23年シーズンは11勝29敗で6チーム中5位だった。運営会社の臼井社長やチームの浅沼芳征監督らは慶應大学のOB

今季は「勝負の年」になる

GRITSスポーツイノベーターズの臼井亮人社長

―― 2023-24年シーズンは移籍と新加入で次の6選手がチームに加わりました。各選手の特徴などを教えてください

<臼井亮人社長>

レッドイーグルス北海道から移ったFW(フォワード)の大澤勇斗選手(29歳)は日本代表経験も豊富なトップクラスの選手で、すでにチームにとけ込み、全体を良くしていこうという思いが前面に出ていて頼もしく感じます。

レッドイーグルス北海道時代の大澤選手(2021年11月、新横浜)

東北フリーブレイズのゴールキーパー・古川駿選手(27歳)は働き盛りの世代で、日本代表経験を持つ実力です。両選手とも仕事との両立を前提とした「デュアルキャリア」に魅力を感じ、グリッツに移ってきてくれました。

東北フリーブレイズ時代の古川選手(2021年12月、新横浜)

ティム・ヘンリックソン選手(25歳)は、交換留学生として神奈川大学で学ぶために来日し、スウェーデンでのアイスホッケー経験を生かして、学生生活と並行する形でグリッツでプレーしてくれることになりました。身長195センチの大型DF(ディフェンス)です。

DF・菅田路莞(かんだろい)選手(23歳)は、2020年のグリッツ創設時に現役大学生アジアリーガーとして1シーズンプレーし、その後は米国ECHL(イーストコースト・ホッケー・リーグ、米国の3部相当)などで経験を積み、再び戻ってきました。

グリッツ創設の初年度にプレーしていた菅田選手、後方には王子イーグルス(現レッドイーグルス北海道)時代の大澤選手も(2021年3月、苫小牧)

早稲田大学のDF・務台慎太郎中央大学のFW・権平優斗の両選手は以前からグリッツに興味を持ち、練習に参加してくれることがありました。両選手とも大学では主将を経験しています。今はまだ大学生ですが、来春からはデュアルキャリアとして企業で働きながらプレーする予定です。

務台選手は昨年明治大学から入った三浦大輝選手(DF、#21)のように、権平選手はPP(パワープレー)時などを中心に活躍できる選手になれると思います。

―― 実績ある選手が加わった一方、前シーズンで次の9選手が引退や退団となっています。昨年加入し、DFの中心として活躍したティム(ティモシー)・シュープ選手の退団は痛いですね

<臼井社長>

2020年にグリッツが発足し手探りで運営していた頃からチームの土台をつくってくれた選手ばかりです。ただ、我々はプロチームなので結果を残さなければならず、サバイバルです。勝つためにどうすべきかを考えた結果、このような形となりました。

引退した菊池、氏橋の両選手以外はアイスホッケーを続けていますし、川村、矢野、松渕の3選手は東北フリーブレイズに移りましたので、すぐにアジアリーグで対戦することになります。

シュープ選手とは条件面でまとまらず退団となりました。確かに、戦力的には痛いです。

―― 今季のスタッフ体制やキャプテンはどうなりますか

浅沼芳征監督ジェフ・フラナガンHC(ヘッドコーチ)、渋谷一樹AC(アシスタントコーチ)は前季に続いて現場で指揮をとり、われわれ経営・運営側のスタッフもほぼ変わりません。

後方左から浅沼監督、フラナガンHC、渋谷AC、前列左端は岩本選手、右隣はラウター選手(2023年3月、新横浜)

キャプテンは前年に続き岩本和真選手(FW、#13)がつとめます。満場一致での選出でした。副キャプテンには蓑島圭悟選手(DF、#65)、アレックス・ラウター選手(FW、#9)、鈴木ロイ選手(FW、#61)が就き、うち2人が試合中に「A」マークを付けます。

―― 前シーズン(2022-23年)は序盤と終盤に連勝するなど11勝29敗で初めて最下位を脱出(5位)しましたが、中盤は厳しい戦いでした。特に上位のHLアニャン(韓国)とレッドイーグルス北海道には0勝8敗でまだ勝ちをつかめていません

前季は開幕から3勝1敗と波に乗りましたが、その後は7連敗を2回喫するなど勝てない状態が長く続きました。

シーズンは40試合(今季は32試合)と長く、負け続けるなか惰性で試合に入っている面もあったと思います。気持ちを上手く切り替えることが必要でした。この経験は今季に生かせるはずです。

HLアニャンに0対2で惜敗する試合もあったが勝ちはつかめなかった(2022年10月、新横浜)

HLアニャンやレッドイーグルスに勝つには、失点防いで少ないチャンスを生かすしかありません。しかし、PP(パワープレー、1人多い状態)での成功率(得点)が圧倒的に低い状態でした。今季はPPやPK(ペナルティキリング=1人少ない状態)の練習を多くこなしています。

―― 今季のアジアリーグではプレーオフに進出できるのが1位と2位だけになったり、勝ち点制(勝利=3点、オーバータイム(延長)勝ち=2点など)が採用されたりと変更点もあります。目標はどこに置いていますか

今季は「前例のないサプライズを巻き起こす」というチームスローガンを掲げました。前季は5位でしたが、今年は本気で優勝を目指そうという意気込みを示したものです。

チーム内では「12月の全日本選手権も合わせて2冠を取ろう、サプライズを起こすんだ!」という話をしています。

氷上での練習は8月から着々と進んでいる(9月7日、横浜銀行アイスアリーナ)

―― 今季はアジアリーグのほか、前ひがし北海道クレインズの選手らで結成された新チーム「北海道ワイルズ」との交流戦8試合を別に組んでおり、新横浜で来週9月16日(土)・17日(日)に始まります

当初はひがし北海道クレインズが参加する前提で今季も40試合が計画されており、スポンサーの皆さんにもその前提で支援をいただきましたが、クレインズの不参加で32試合に減ることになりました。

また、選手が活躍できる場を減らしてはならないとの思いがあり、当初クレインズとの試合が組まれていた同じ日程で、強化試合的な交流戦として北海道ワイルズさんと対戦することになったものです。

交流戦だからと言って、負ける気はまったくありません。戦力的に見て強敵ですが、ガチで向かっていきます。

―― 前季はシーズン最終の2連戦で本拠地が満員になりました。経営面で安定させることはできそうですか

今年3月の最終戦は本拠地に満員の観衆を集め連勝している(3月5日)

今年3月の最終2連戦でKOSE新横浜スケートセンターがぎっしり人で埋まった姿を見て本当に嬉しく、感動しました。

今季は毎試合あのように多くの方々に来ていただけるよう、さらに努力していきます。

スポンサーは年々増えており、経営的には悪い状況ではありませんが、観客動員数によって経営状況が左右されますので、毎試合コンスタントに1200人を集めることが目標です。

―― ファンへのメッセージと新シーズンへの意気込みを聞かせてください

今年もKOSE新横浜スケートセンターで多くの試合を行う(2023年3月)

アイスホッケー界全体を見てもポジティブなニュースは多くありませんので、日本のアイスホッケーを盛り上げる活動をしていきたいと思っています。

以前のように新型コロナ禍による支障はありませんし、チームの戦力も整ってきましたので、まさに今年は勝負の年です。言い訳はできません。

観戦に訪れた方が「来てよかった」と思えるような試合にすることはもちろん、前例のないサプライズを起こしていきます。

―― ありがとうございました。来年3月のシーズン終了時にファンと関係者一同が驚かされるような結果になっていることを期待しています

横浜グリッツ「アジアリーグ」日程

<9月>

<10月>

  • 10月1日(日)14:00:H.C.栃木日光アイスバックス(新横浜
  • 10月7日(土)14:00:H.C.栃木日光アイスバックス(日光)
  • 10月8日(日)14:00:H.C.栃木日光アイスバックス(日光)
  • 10月14日(土)15:00:東北フリーブレイズ(新横浜
  • 10月15日(日)14:00:東北フリーブレイズ(新横浜
  • 10月28日(土)15:00:レッドイーグルス北海道(札幌・月寒)
  • 10月29日(日)15:00:レッドイーグルス北海道(札幌・月寒)

<11月>

  • 11月4日(土)15:00HLアニャンアイスホッケークラブ新横浜
  • 11月5日(日)14:00:HLアニャンアイスホッケークラブ(新横浜
  • 11月18日(土)16:00:HLアニャンアイスホッケークラブ(韓国・安養=アニャン)
  • 11月18日(日)16:00:HLアニャンアイスホッケークラブ(韓国・安養=アニャン)

<12月>

  • 12月2日(土)15:00:レッドイーグルス北海道(新横浜
  • 12月3日(日)14:00:レッドイーグルス北海道(新横浜
  • 12月16日(土)16:00:HLアニャンアイスホッケークラブ(韓国・安養=アニャン)
  • 12月17日(日)16:00:HLアニャンアイスホッケークラブ(韓国・安養=アニャン)
  • 12月23日(土)15:00:H.C.栃木日光アイスバックス(新横浜
  • 12月24日(日)14:00:H.C.栃木日光アイスバックス(新横浜

<2024年1月>

  • 1月6日(土)15:00:レッドイーグルス北海道(苫小牧)
  • 1月7日(日)15:00:レッドイーグルス北海道(苫小牧)
  • 1月13日(土)17:00:東北フリーブレイズ(八戸)
  • 1月14日(日)15:00:東北フリーブレイズ(八戸)
  • 1月20日(土)15:00:HLアニャンアイスホッケークラブ(新横浜
  • 1月21日(日)14:00:HLアニャンアイスホッケークラブ(新横浜

<2024年2月>

  • 2月17日(土)15:00:レッドイーグルス北海道(新横浜
  • 2月18日(日)14:00:レッドイーグルス北海道(新横浜

<2024年3月>

  • 3月16日(土)15:00:東北フリーブレイズ(東京・東伏見
  • 3月17日(日)14:00:東北フリーブレイズ(東京・東伏見
  • 3月23日(土)14:00:H.C.栃木日光アイスバックス(日光)
  • 3月24日(日)14:00:H.C.栃木日光アイスバックス(日光)

横浜グリッツ「交流戦」日程

<9月>

<10月>

  • 10月21日(土)15:00:北海道ワイルズ(釧路)
  • 10月22日(日)15:00:北海道ワイルズ(釧路)

<2024年2月>

  • 2月24日(土)15:00:北海道ワイルズ(釧路)
  • 2月25日(日)15:00:北海道ワイルズ(釧路)

<2024年3月>

  • 3月9日(土)15:00:北海道ワイルズ(新横浜
  • 3月10日(日)14:00:北海道ワイルズ(新横浜

)上記のほか2023年12月7日 (木)から10日(日)に開かれる「第91回全日本アイスホッケー選手権大会」に出場予定

)今シーズンからアイスホッケー関連の記事は「横浜日吉新聞」にも随時掲載します

【関連記事】

<横浜グリッツ>新横浜の開幕戦に観客1000人超、ゴールが遠く連敗スタート(新横浜新聞~しんよこ新聞、2023年10月2日)リンク追記

・【前シーズン記事】執念の横浜グリッツ、最後は連勝で“初づくし”のシーズン締めくくる(新横浜新聞~しんよこ新聞、2023年3月7日、全試合結果も掲載)

【参考リンク】

横浜グリッツ(GRITS)の公式サイト(チームの総合案内)

9月16日(土)・17日(日)横浜グリッツ vs 北海道ワイルズ(新横浜)などのチケット案内(横浜GRITS)

アジアリーグの公式サイト(各チーム紹介・日程など)


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