【球宴】広島・菊池涼介 侍の宴で4安打に初アーチでMVP

スポーツ報知
MVPに輝いた菊池涼介(左)とグータッチをする原辰徳監督

◆マイナビオールスターゲーム2021 全パ4―5全セ(16日・メットライフ)

 2年ぶりの祭典にふさわしい熱戦に全国のファンの心が躍った。1点を争う真剣勝負は全セが逆転勝利。反撃の起点となり、自身初の球宴アーチも放った菊池涼が初のMVPに輝いた。「コロナ禍で難しい中での開催。全力でやらないと。ファンが来てくれて背中を押してもらえるし、みなさんに見てもらえる野球をやることが大切なので」と球界の思いを代弁した。

 0―3の5回先頭で右前へ。ともに東京五輪を戦う阪神・梅野が適時三塁打で続くと、同じく日本代表の巨人・坂本まで4連打。五輪の激闘を連想させるつながりで2点を返し、一気に試合が動いた。1点を追う6回2死二塁では左越えに一時逆転の2ラン。巨人・岡本の意表を突く二盗の後に「見たことないような和真の盗塁が楽にしてくれた」と放物線を描いた。

 7回連続7度目の出場で初の球宴弾&猛打賞。9回無死1塁では右前へ決勝点につながる4安打目を放った。犠打あり、申告敬遠ありの9回も例年のお祭りムードとは一変。20人の侍が集い、フォア・ザ・チームも詰まった五輪イヤーにぴったりの主役が生まれた。

 「ほぼ地元の球場。格別ですよね」。東京・東大和市出身の守備職人にとって、メットライフは最も身近な憧れの地だ。「自転車で来ていた球場ですから」。9歳だった1999年に開催された球宴も左翼ポール際で観戦。「二岡さん(巨人)が投げてくれたボールを親父が取って」と今も実家に飾る。そんな場所での大活躍に「まさか」と感激した。

 13年から日の丸を背負い続ける男が大舞台での強さを証明した。「球宴も五輪も、選ばれたからには結果を。五輪もあるし、楽しくワイワイもいいけどけがに十分に気をつけて」。祭典の後は、さらに大きな戦いが待っている。「それもね。想像していなかった」。日本が世界に誇る“忍者”が本番を前にアクセル全開だ。(安藤 理)

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