第124回「ETFのデメリットも知っておこう」 ETF解体新書

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第124回「ETFのデメリットも知っておこう」 ETF解体新書

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。何事においても完璧なツールは存在しません。ETFは画期的な道具ですが、もちろんデメリットもあります。まずは「分配金」について。ETFの分配金は自動的に再投資できません。個別株の配当金と同じように払い出されてしまいます。複利効果を目指す投資家にとっては、なんとも「もったいない話」ではないでしょうか。米国の一部証券会社では、DRIPというサービスを実施しています。これは、個別株の配当金、ETFの分配金の自動再投資プログラムであり、このサービスを利用すれば、労せずにETFの分配金を(無手数料で)再投資できます。日本の証券会社もぜひこのDRIPの仕組みを導入してほしいものです。
ETFの分配金は「普通分配金」のみであり、いわゆる元本を取り崩すようなことはしません。したがって、分配金の自動再投資が実現すれば、一般の投資信託との差別化も図れます。

次に、価格の乖離の問題があります。ETFは市場に上場する銘柄であるため、その「理論価格」(基準価額)と、マーケットの「市場価格」の間に乖離が生じることがあります(もちろん、マーケットメーカーが裁定取引を行うことで、「理論価格」と「市場価格」の価格差の是正に努めてはいますが)。特に売買高が少ないETFでは、正味価値(理論価格)より割高に買ってしまうリスク、あるいは割安に売ってしまうリスクが現に存在します。投資家はあらかじめ、市場価格と理論価格の「乖離率」をチェックしておく必要があるでしょう。

参照)モーニングスター 国内上場ETF価格情報

http://www.morningstar.co.jp/etf/

また、ETFは金額ベースで売買ができません。ETFは市場に上場する銘柄であるため、売買は口数単位で行われます。「5万円分だけETFを買う」「10万円分だけETFを売る」ということができないのです。したがって、定時定額で買い付ける「積み立て投資」にETFは馴染まないのです。ここに、若年層になかなかETFが浸透しない要因があるのではないでしょうか。
ただし、証券会社の中には「るいとう(株式累積投資)」を扱っているところもあり、国内ETFの一部については定額積立も可能になっています。その他、持ち株会などでは、自社株を定時定額で買い付けているわけで、証券会社がシステム投資を行えば、金額ベースでETFを売買する、またはETFで積み立て投資を行うことも実現できるはずです。
最後に、ETFには繰り上げ償還のリスクがあります。一般の投資信託同様、純資産額が目減りし、出来高が乏しい状態が続くと、運用会社の判断でETFの運用を中途で終了させる(繰り上げ償還させる)ことがあります。ETFの場合、繰り上げ償還の結果として、上場廃止となります。個別株式の上場廃止とは意味合いが異なるため、注意が必要でしょう。

コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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