iPod Touchに起こる様々な故障

iPod Touchとは、モバイル通信ができないiPhoneのようなものです。
Wi-Fi下であればiPhoneと同じような操作が可能です。
そんなiPod Touchも昨年生産が終了しました。
使い続けている人にとっては代わりの利かないサイズ感と使用感のため、買い直すことができなくなり大変困ったことでしょう。
そのため、当店のような修理屋に持ち込まれる方もたくさんいらっしゃいます。
そこで対応した様々な故障や破損、その修理内容についてなど、紹介していきます。
 

故障箇所ごとの考えられる症状

 

 

バッテリー

私の経験上もっとも多いものがバッテリーの劣化です。
バッテリーが劣化することで起きる症状は意外と幅広く、お決まりの消耗速度が早くなったというものから、膨張して画面が浮いてしまったというものや、電源がつかなくなってしまったもの、果てはリンゴループが起こってしまったというものまであります。
もちろん修理する前の段階では修理箇所を特定できない症状もありますので、上記のような症状なら必ずバッテリー交換すれば直るというわけではありません。
これはこの後紹介する内容にも同様のことが言えますのでご理解いただいた上でお読みいただければと思います。
バッテリーは基板にはんだで固定されているため、iPhoneなどより定位置での固定が難しく、かつ高温での作業を行うためバッテリー交換を繰り返すほど基板へダメージを与えてしまう危険性もあります。
 

充電コネクタ

次に充電コネクタの劣化や破損です。
充電ができないや起動できない、稀に音が出ないなどの症状が出ることもございます。
充電コネクタは思っているより劣化が起こりやすいです。
毎日充電ケーブルを抜き差しするのですから当然と言えば当然なのですが、使えなくなるのはとても困る機能です。
異物も入り込みやすく、特に何かしらの水分が侵入してしまうとショートする危険性がかなり高いです。
こちらも修理には基板にはんだ付けされているライトニングを外す必要があります。
バッテリーのはんだよりチップが細かく数も多くなるため難易度も上がります。
あと、充電できないという症状でよくあるのがゴミやホコリが詰まっているだけとかですね。
iPhoneなどでもありがちですが、充電口を上向きでポケットにしまう男性でよく見ます。
自身で除去作業をすると充電チップを破損させてしまう可能性もございますので、もしやるなら慎重に。
もちろん修理屋でも対応可能ですのでお気軽にご相談ください。
 

画面/液晶

次に画面や液晶の破損です。
基本的には物理的に衝撃が加わったタイミングで壊れがちで、症状として画面割れ、液晶表示不良(一部もしくは全部見えないものやカラフルな線が入るものなど)、タッチが効かない、操作してないのに勝手に動く、触った箇所と違うところがタッチされるなどといったものです。
画面の修理自体はそこまで難しくはありません。
ただ、破損の原因になった衝撃により本体フレームが歪んでしまっていることが多くあります。

この歪みを修正しなくては、新しいパネルが本体の枠に合わず簡単に割れてしまったり浮いてしまったり、無理やりはめ込むと圧迫されて液晶が破損して映らなくなったりしてしまう可能性が出てきてしまいます。
これを削ったり曲げたりして画面をはめ込むスペースを確保することが画面修理で個人的に最も難しかったりします。
 

その他

よく見る症状はこのくらいです。
少し困るのはこれらの修理を行う過程で内部にあるネジ穴が潰れてしまっていることがあります。
故障とは関係ないのですが、このために修理することができない端末もいくつか経験しました。
iPhoneに比べればネジの総数は少なめなのですが、基本どの修理でもほぼすべてのネジを外す必要があります。
これは様々なコネクタやケーブルの配線が基板の裏側にあることが原因です。

構造はコンパクトで簡単なのですが分解は細かな部分を気を付けなければケーブルの断線やコネクタ破損、果ては基板破損などもありえるので少し難しくなります。
 

iPod Touchを使い続けるために…

以上のように修理屋では故障内容から故障箇所を特定していき修理しています。
このとき、故障した原因などの心当たりや詳しい状況がわかると特定の役に立ちますので、
覚えている限りで修理屋さんへ伝えて頂ければと思います。
そして異常を感じたらすぐ相談するのが二次被害を防ぐために重要となります。
今回紹介したような故障や破損でも基本的には修理可能です。
パーツの出回りが少ないため、徐々に在庫切れになりそうな点は心配ですが…。
繰り返しとなりますが、iPod Touchは生産が終了し新しい端末はもう手に入りません。
長く使用するためにはこまめな点検と修理しか無いのです。
これからもiPod Touchを長く使う上での出来得る限りのサポートができればと思います。