本文に移動
全体  > 文化

韓国映画の観客シェア、11年ぶりに外国映画を下回る…収益率も過去最低

登録:2022-02-23 06:23 修正:2022-02-23 07:49
市場規模、2年連続で減少…映画輸出の減少も本格化 
映画関係者503人、政府と大統領選候補に政策を提案
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』が公開から一週間で観客300万人を突破した昨年12月、ソウルのある映画館の電光掲示板に同映画の上映を知らせるポスターが表示されている/聯合ニュース

 韓国映画産業の市場規模が2年連続で減少した中、商業映画の収益率が過去最低水準を記録するなど、韓国映画界が3年間続いたコロナ禍によって致命的な打撃を受けていることが分かった。特に、過去10年間にわたり、外国映画に比べて優位を占めてきた韓国映画のシェアが30%まで落ち込んでいる。これを受け、500人以上の映画関係者が現政権と各党の大統領選候補に韓国映画の危機を克服するための政策を提案した。

 22日、映画振興委員会が発表した資料「2021年韓国映画産業決算」によると、昨年の韓国映画産業の市場規模は1兆239億ウォン(約990億円)で2年連続減少傾向を示している。2兆5093億ウォン(約2420億円)規模だった2019年に比べれば、40.8%に縮小された結果だ。コロナ禍2年目の昨年の映画館全体の売上高は3845億ウォン(約370億円)で、前年より14.5%増にとどまり、観客数は6053万人でわずか1.7%増えた。売上は2020年よりは伸びたものの、パンデミック前の2019年の30.5%に過ぎない。

 これまで韓国映画は、観客シェアで2011年以来10年連続で外国映画を上回ったが、昨年は30.1%で、11年ぶりにシェアが50%を割り込んだ。一方、米国映画の観客シェアは61.0%に達した。映画館全体の売上でも韓国映画の割合は29.7%にとどまったのに対し、外国映画の割合は70.3%まで増加した。韓国映画の期待作が封切りを延期したのに対し、パンデミック初年度に封切りを延期したハリウッドのブロックバスター映画が相次いで公開されたからだ。

1席ずつ間隔をあけて座るようになっている映画館の座席=CGV提供//ハンギョレ新聞社

 実際、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は観客556万人を動員し、ボックスオフィス1位となった。『エターナルズ』(305万人)、『ブラック・ウィドウ』(296万人)、『怒りの疾走:ザ・アルティメット』(229万人)なども興行に成功した。韓国映画の中では『モガディシュ』(361万人)だけがボックスオフィス上位5位にランクインした。

 昨年、人口1人あたりの年平均映画観覧回数も1.17回で、前年(1.15回)よりやや増えたものの、2019年の4.37回に比べ、大幅に減ったことが集計の結果分かった。

 韓国映画制作費簡易調査の結果、昨年公開された純制作費30億ウォン(約2億8900万円)以上の商業映画は17本で、前年(29本)より58.6%減少した。また、これら映画の収益率は-47.3%と推定され、2001年に収益性調査を始めて以来過去最低だった2008年(-43.5%)よりも低いことが分かった。損益分岐点を越えた映画もわずか3本だけだった。

 コロナ禍による韓国映画の輸出減少も本格化したものと分析された。映画完成作の輸出とサービス輸出の金額を合わせた輸出総額は、前年比41.8%減の4863万ドルだった。完成作輸出額(4303万ドル)は前年より20.5%減少し、技術サービス輸出額(560万ドル)は81%も激減した。

 売上が伸びた分野がないわけではない。オンライン動画サービス(OTT)映画部門とウェブハードの売上を合わせたインターネットVOD市場の売上高は167億ウォン(約16億900万円)で35.4%増加し、唯一の上昇傾向を示した。映画館以外の市場で占める割合も前年度の17.5%から27.8%に増加した。

コロナ禍初期の2020年6月、ソウル市内の映画館が閑散としている=CGV提供//ハンギョレ新聞社

 コロナ禍の長期化による韓国映画の観客シェアと収益率の急落を受け、映画関係者たちは政府と大統領候補たちに対策作りを求めた。503人の映画人非常政策提案者らは声明を発表し、「2020年以降のコロナパンデミックによって、映画産業は深刻な打撃を受け、政府の積極的な支援が必要だった中小の製作・配給会社や上映館は餓死の状態に陥った」とし、「映画館の収入に依存してきた国内映画産業が崩壊し、投資と制作環境は枯死寸前になり、映画創作者は死地に追いやられている」と主張した。さらに映画関係者らは「現在の危機を乗り越えるための根本的な対策として、創作・製作・配給・上映の好循環構造を新たに作り、公正な市場秩序を確立することが急がれるという判断の下、緊急政策作りを提案する」と明らかにした。

 映画関係者が打ち出した5つの政策は、崩壊した映画産業の復元に向けた緊急予算の編成▽フランス式の自動選別支援システムを導入し、創作や製作、配給、上映を迅速かつ積極的に支援▽不公正取引行為の根絶、上映および配給兼業に対する規制▽スクリーン独占・寡占規制及びホールドバック制度の定着▽中小企業への支援資金の大企業の使用禁止だ。

 彼らは「韓国映画の生態系の復元のため、政府と映画界が共に努力することで、若者の雇用創出とスタートアップの育成し、K-コンテンツを通じた国威宣揚及び世界人との文化交流で、国家利益はもちろん、市民の文化共有権の増進にも貢献できる」とし、「本提案書を現政権の文化体育観光部と映画振興委員会、国会文化体育観光委員会に提出し、同時にイ・ジェミョン候補、ユン・ソクヨル候補、アン・チョルス候補、シム・サンジョン候補にも送り、今月28日まで回答を要請した」と述べた。

オ・スンフン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/1032090.html韓国語原文入力:2022-02-22 15:59
訳H.J

関連記事