ソフトバンク、イー・アクセスを約1800億円で買収

ソフトバンク、イー・アクセスを株式交換で完全子会社化
10月1日、ソフトバンクはイー・アクセスを株式交換により2月28日付けで完全子会社すると発表。写真は孫正義社長。昨年6月撮影(2012年 ロイター/Jo Yong hak)
[東京 1日 ロイター] ソフトバンク<9984.T>は1日、イー・アクセス<9427.T>を約1800億円で買収すると発表した。2013年2月28日付で株式交換によって完全子会社する。
米アップルの「iPhone(アイフォーン)5」の発売をきっかけにしたスマートフォンの通信量増大で、イー・アクセス傘下のイー・モバイルの通信網を活用する。携帯契約数は業界2位のKDDI<9433.T>に迫る。
<1株あたり5万2000円>
株式交換比率は、イー・アクセス株1株に対してソフトバンク株16.74株を割り当てる。イー・アクセスは13年2月25日付で上場廃止になる予定。ただ、同社は完全子会社化は年内に実施することを目標とし、日程の前倒しを目指していることを明らかにした。
ソフトバンクは、イー・アクセス株を1株5万2000円と評価。株式取得額1802億円と純有利子負債の1849億円(6月末)の合計3651億円が買収価格になる。イー・アクセスの1日の終値は1万9000円。買収価格は割高に見えるが、記者会見した孫正義社長は、顧客基盤の強化やネットワークの共用による統合のシナジー効果が3600億円にのぼるとの試算を示して「評価額は決して高くない」と強調した。
共同会見したイー・アクセスの千本倖生会長は「もともと今の株価は不本意だったが、株主にソリューションを提供することができた。5万2000円の価格は妥当」との認識を示した。
<テザリング解禁がきっかけ>
ソフトバンクは、イー・モバイルの通信網を利用することで、スマホの普及を背景にしたデータ通信の増大に対応する。ソフトバンクはアイフォーン5を9月21日に発売するとともに高速通信LTEを開始。ソフトバンクの2.1ギガヘルツ帯の周波数帯だけでなく、今後、イー・モバイルの1.7ギガヘルツ帯のLTE網もアイフォーンで利用可能にする。
ソフトバンクは同日、アイフォーン5で、パソコンやその他のモバイル端末にインターネット接続できる「テザリング」を来年1月15日から解禁するとしていた予定を12月15日開始に前倒しすることも決定。孫社長は、爆発的にデータ量が増えるテザリングも「イー・モバイルと経営統合することで安心して解禁できる」と述べた。
孫社長によると、イー・アクセスとの経営統合については「強烈にラブコールした」といい、ソフトバンクから提案を持ちかけたことを明らかにした。正式に統合提案することを決断したのは9月19日にテザリング解禁を決めた際だという。
<ウィルコムと合わせて「業界2位」と強調>
ソフトバンクがイー・アクセスを買収することで、業界は3社に集約される。イー・モバイルの携帯契約数は8月末で420万人。ソフトバンクの3491万人と合わせれば、首位NTTドコモ<9437.T>の6063万件、2位のKDDIの3589万人に迫る契約数になる。
ソフトバンクによると、完全子会社のPHS会社ウィルコムとイー・モバイルの契約数を合算するとグループの契約数は8月末で3911万人。孫社長は「これで業界2位」の携帯会社に浮上すると強調した。
ソフトバンクは2010年代に4000万回線を目指す構想を示しており、孫社長は「(ウィルコム、イー・モバイルとの合算で)2012年度中に、確実に達成することになる」と述べた。
(ロイターニュース 村井令二;編集 田中志保)
*内容を追加します。

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