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アップル「iPhone 13」シリーズ、キャリア別ランニングコスト比較

アップルの「iPhone 13」

アップルの「iPhone 13」

今年も登場したアップルの「iPhone」シリーズ新モデルは、トリプルカメラで高性能な「iPhone 13 Pro Max」から小柄で廉価な「iPhone 13 mini」まで、4モデルから選ぶことができます。日本国内では大手キャリアのNTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルが取り扱っていますが、今年の「iPhone 13」シリーズからはキャリア版のSIMロックが廃止されたため、アップルの直販も含めてどこから購入するかも悩みどころです。

さらに、今年の春には各社からお得なオンラインプランが登場したこともあり、最新のiPhoneとオンラインプランを組み合わせて利用したいと考えている人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、最新の「iPhone 13」シリーズと大手キャリアの「使い放題プラン」および「オンラインプラン」を組み合わせた場合のランニングコストをチェックしてみたいと思います。

なお、「iPhone 13」シリーズの本体価格についてはこちらの関連記事(アップル「iPhone 13」本体価格を徹底比較、どこから購入するのがお得なの?)でまとめています。あわせてご覧いただけると幸いです。

※記事の内容は2021年10月24日時点での情報をもとにしています。記事中の価格は特に断りがない限り税込です。

料金プランと買い替えサービスのおさらい

コストを試算する前に、各キャリアの料金プランを確認しておきましょう。NTTドコモ(ahamo含む)、au、povo、ソフトバンク、LINEMO、楽天モバイルの主な料金プランについて、データ利用量と月額料金を以下にまとめました。

まず、今回の試算ではデータ利用量を気にせず通信できる「使い放題プラン」として、以下の料金プランを選びました。いずれも毎月の通信量に応じて月額料金が変わる段階制の料金プランですが、ここでは通信量が無制限になる上限の月額料金で試算しています。

・NTTドコモ:「5Gギガホ プレミア」(無制限:7,315円)
・au:「使い放題MAX 5G」(無制限:7,238円)
・ソフトバンク:「メリハリ無制限」(無制限:7,238円)
・楽天モバイル:「Rakuten UN-LIMIT VI」(無制限:3,278円)

次に、今年春に登場した「オンラインプラン」として、データ利用量が毎月20GBまでとなる以下の料金プランを選びました。

・NTTドコモ:「ahamo」(20GB/月:2,970円)
・povo:「データ20GB追加」(20GB/30日:2,700円)
・LINEMO:「スマホプラン」(20GB/月:2,728円)
・楽天モバイル:「Rakuten UN-LIMIT VI」(〜20GB/月:2,178円)

povoとLINEMOは端末を販売しておらず、ahamoは「iPhone 13」シリーズを取り扱っていないため、それぞれメインブランドから端末を購入するものと仮定しています。

また、現行のpovo(povo 2.0)は月額制ではなくデータ利用量もトッピング(オプション)として購入する形であるため、30日間有効の「データ追加20GB」を対象としました。楽天モバイルの料金プランは月の通信量が3GBを超えて20GB以下の場合で計算しています。

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの主なスマートフォン向け料金プラン(オンラインプランを含む)

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの主なスマートフォン向け料金プラン(オンラインプランを含む)

なお、各キャリアではiPhone本体の返却を前提に、分割支払の一部を免除する下記のサービス(ここでは「買い替えサービス」と表記)を提供しています。そのため、今回のコスト試算では買い替えサービスを利用しないケースの価格を「返却しない」、買い替えサービスを利用するケースで一番安くなる場合の価格を「2年で返却」としています。

また、NTTドコモの「いつでもカエドキプログラム」には早期利用特典が用意されていて、22か月目までにiPhoneを返却すると返却翌月〜23回目までの分割支払額に対する割引を受けることができます(割引額はモデルにより異なる)。そのため、ユーザーが翌年のiPhoneシリーズ新モデル登場時に早期利用するケースを想定して「1年で返却」する場合の支払総額(13〜23回目まで11回分の分割支払額が割引される)も試算しています。

NTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの買い替えサービス

NTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの買い替えサービス

使い放題プランで利用する場合のランニングコストは?

それでは、各キャリアで「iPhone 13」シリーズを利用する場合のランニングコストをチェックしてみましょう。各キャリアがオンラインで販売している「iPhone 13」「iPhone 13 mini」「iPhone 13 Pro」「iPhone 13 Pro Max」の本体価格をもとに、NTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの使い放題プランを2年間(24か月間)契約した場合の合計コストを以下にまとめました。

なお、比較を単純化するために、各種手数料、他社から乗り換え時の本体価格割引やポイント付与、通話定額オプションや保証サービスのオプション料金、定期的に見直されるユニバーサルサービス料などは考慮せず、iPhoneの本体価格と料金プランの月額料金2年間分のみで試算しています。

ただし、楽天モバイルの買い替えサービス「楽天モバイルiPhoneアップグレードプログラム」ではiPhoneの返却時に3,300円の事務手数料がかかるため、この手数料に限り「2年で返却」する場合のコストに含めています。

「iPhone 13 mini」「iPhone 13」のランニングコスト比較(使い放題プラン)

「iPhone 13 mini」「iPhone 13」のランニングコスト比較(使い放題プラン)

「iPhone 13 Pro」「iPhone Pro Max」のランニングコスト比較(使い放題プラン)

「iPhone 13 Pro」「iPhone Pro Max」のランニングコスト比較(使い放題プラン)

4機種のうち「iPhone 13」で本体価格が一番安い128GBモデルの本体価格に注目すると、以下のようになります。

●NTTドコモ(5Gギガホ プレミア)
 返却しない…287,232円
 2年で返却…231,792円(24回目の支払免除)
 1年で返却…225,192円(24回目の支払免除&13〜23回目の支払額に毎回600円の割引を適用)

●au(使い放題MAX 5G)
 返却しない…288,732円
 2年で返却…235,812円(24回目の支払免除)

●ソフトバンク(メリハリ無制限)
 返却しない…289,632円
 2年で返却…231,672円(25〜48回目の支払免除)

●楽天モバイル(Rakuten UN-LIMIT VI)
 返却しない…177,472円
 2年で返却…131,364円(25〜48回目の支払免除)

NTTドコモ、au、ソフトバンクは「iPhone 13」の本体価格と使い放題プランの月額料金いずれも差額がそれほど大きくないため、2年間の合計コストは「返却しない」場合が28万円台、「2年で返却」する場合は23万円台でほぼ揃っています。

NTTドコモの買い替えサービスでは早期利用特典として割引が受けられますが、割引総額が6,600円に留まるため、合計コストは「2年で返却」する場合の231,792円に対して「1年で返却」する場合は225,192円です。合計コストに対する割引率は3パーセント未満となるため、際立ってお得というわけではありません。

いっぽう、楽天モバイルは「iPhone 13」の本体価格が元々ほかのブランドよりも安く、「Rakuten UN-LIMIT VI」で毎月20GBを超えて通信する場合の月額料金も他ブランドの使い放題プランの半額以下であるため、2年間の合計コストは「返却しない」場合が177,472円、「2年で返却」する場合は131,364円と、他ブランドの合計コストよりも10万円以上安いことがわかります。

オンラインプランで利用する場合のランニングコストは?

次に、今年春からスタートしたオンラインプランを利用する場合のランニングコストをチェックしてみましょう。NTTドコモの「ahamo」、KDDIの「povo」、ソフトバンクの「LINEMO」における毎月20GBの料金プランと、楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT VI」で毎月20GBまで利用する場合の2年間(24か月間)における合計コストを以下にまとめました。

なお、前述のようにpovoとLINEMOでは端末を販売しておらず、ahamoも一部機種のみに限られるため、それぞれメインブランドから端末のみ(いわゆる「白ロム」)を購入した場合を想定しています。また、比較を単純化するために手数料や割引などを考慮していない点については使い放題プランの場合と同様です。

「iPhone 13 mini」「iPhone 13」のランニングコスト比較(オンラインプラン)

「iPhone 13 mini」「iPhone 13」のランニングコスト比較(オンラインプラン)

「iPhone 13 Pro」「iPhone Pro Max」のランニングコスト比較(オンラインプラン)

「iPhone 13 Pro」「iPhone Pro Max」のランニングコスト比較(オンラインプラン)

4機種のうち「iPhone 13」で本体価格が一番安い128GBモデルの本体価格に注目すると、以下のようになります。

●NTTドコモ(ahamo)
 返却しない…182,952円
 2年で返却…127,512円(24回目の支払免除)
 1年で返却…120,912円(24回目の支払免除&13〜23回目の支払額に毎回600円の割引を適用)

●povo(データ20GB追加)
 返却しない…179,820円
 2年で返却…126,900円(24回目の支払免除)

●LINEMO(スマホプラン)
 返却しない…181,392円
 2年で返却…123,432円(25〜48回目の支払免除)

●楽天モバイル(Rakuten UN-LIMIT VI)
 返却しない…151,072円
 2年で返却…104,964円(25〜48回目の支払免除)

前述の使い放題プランで2年間利用するケースでは、月額料金が半分以下だった楽天モバイルの安さが際立っていました。いっぽう、メインブランドの使い放題プランを契約する場合の合計コストと比べると、ahamo、povo、LINEMOは2年間で10万円ほど安く「iPhone 13」を利用できることがわかります。

また、オンラインプランは楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT VI」との価格差がかなり縮まります。2年間利用するケースの合計コストを比べてみると、「返却しない」場合ではahamo、povo、LINEMOが18万円前後なのに対して楽天モバイルが15万円強。「2年で返却」する場合ではahamo、povo、LINEMOが12万円台なのに対して楽天モバイルが10万円強となっています。

早期利用特典が得られるNTTドコモから購入した「iPhone 13」の場合、「1年で返却」すると合計コストは120,912円となります。2年で返却する場合と大きくは違いませんが、2年間の合計コストに対する割引率は5パーセント強になるため、使い放題プランのケースと比べて少しお得感が出てきます。

オンラインプランは保証サービスに注意!

総務省によると、国内のスマートフォンユーザーの約9割はデータ利用量が毎月20GBあれば十分とされています。高速・大容量・低遅延が特徴の5Gが本格的に普及すれば20GBでは足りないという人も当然増えてくるはずですが、現時点では使い放題プランよりもオンラインプランを選ぶほうがコストとニーズのバランスが取れるという人が多いのではないでしょうか。

今年10月からのSIMロックの原則廃止にあわせてSIMロックがされなくなった「iPhone 13」シリーズは、大手キャリアの買い替えサービスを利用して購入しつつ、各社のオンラインプランと組み合わせて使いやすいことが魅力のひとつでもあります。iPhoneのモデルが同じであれば使い放題プランで2年間利用する場合と比べて10万円ほどコストが安くなるため、浮いたコストを次のiPhone購入資金に充てることもできるでしょう。

ただし、オンラインプランでは保証サービスに注意が必要です。メインブランドの回線を契約しつつiPhoneを購入する場合、アップルの「AppleCare+」に相当するサービスやキャリア独自の保証サービスに加入することができますが、回線契約なしで端末のみを購入する場合は保証サービスに加入できない場合があります(NTTドコモは「ケータイ補償サービス」のみ加入可能)。

また、オンラインプランのうちpovoは「スマホ故障サポート」(月額830円)として保証サービスを提供していますが、ahamoの保証サービスはahamoが販売する端末向けのみとなっていますし、LINEMOは保証サービスを提供していません。こうした事情があるため、ahamoやLINEMOで「iPhone 13」シリーズを利用したい人は、アップルの「AppleCare+ for iPhone」を直接購入したり、スマートフォン向けの保証サービスに別途加入したりすることを検討するのがいいでしょう。

松村武宏
Writer
松村武宏
信州佐久からモバイル情報を発信するフリーライターであり2児の父。気になった格安SIMは自分で契約せずにはいられません。上京した日のお昼ごはんは8割くらいカレーです。
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三浦善弘(編集部)
Editor
三浦善弘(編集部)
出版社で月刊誌やWebメディアの編集・記者を経験し、2013年にカカクコム入社。「価格.comマガジン」にて、PCやスマートフォン分野を担当。取材歴は20年以上。現在は「価格.comマガジン」全体を統括する。
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