レビュー

8.5万円から買えるお得なM2搭載「Mac mini」を試す! 速くて安くて、小さい

「M2」「M2 Pro」を搭載した新しい「Mac mini」が2023年2月3日に登場しました。システムオンチップ(SoC)のアップデートとともに、注目なのがその価格です。アップルストア価格は84,800円(税込)から! 現行Macの中では最安です。しかも、SoCがアップデートされつつ、「M1」を搭載した1世代前のモデルよりも8,000円安くなっています。円安の影響で値上がりの目立つアップル製品の中で、この価格設定は非常に魅力的なので、気になっている人も多いでしょう。新しいSoCにより一体どれだけ速くなっているのか、最新の「Mac mini」をレビューしていきます。

価格.comの「Macデスクトップ」カテゴリーの人気売れ筋ランキング1位、2位、4位に入っている「Mac mini」。早くも大人気です!

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最新「Mac mini」のいいところは?

最新の「Mac mini」の特徴は、「M2」「M2 Pro」という最新世代のSoCを搭載したこと。しかも、パフォーマンスをアップしながら価格を抑えているのも魅力です。前述のとおり、「M1」搭載の前世代モデルよりも8,000円ほど価格が下がっています(一番安価なモデルを比較した場合)。ノート型を含めた現行Macの中では最安! 初めてMacを購入する人や安くMacを手に入れたい人にピッタリのモデルと言えます。

初心者向けとひと言で片付けられないのも最新「Mac mini」のポイント。「M2 Pro」は12コアCPU、19コアGPUが選べるほか、ユニファイドメモリーの搭載量が増え、最大32GBまでメモリーを積めるようになりました。ストレージも最大8TBまでと、超ハイスペックマシンにカスタマイズできます。盛り盛りにするとアップルストア価格は632,800円(ソフトなし)と高額にはなりますが、パフォーマンスを重視するユーザーの要望にも、しっかりと応えられるのが新しい「Mac mini」なのです。

ベースモデルは、「M2」モデルが2機種、「M2 Pro」モデルが1機種をラインアップ。カスタマイズでかなりハイスペックなマシンに仕上げられます(アップルのWebページより)

ベースモデルは、「M2」モデルが2機種、「M2 Pro」モデルが1機種をラインアップ。カスタマイズでかなりハイスペックなマシンに仕上げられます(アップルのWebページより)

本体デザインは「M1」モデルから変わらず

続いて本体デザインを見ていきましょう。今回試したモデルは「M2」モデルで、メモリーが8GB、ストレージが512GB SSDです。上記の画像のちょうど真ん中のモデルで、アップルストア価格は112,800円(税込)。価格.com最安価格はもう少し安く、106,701円です。

外観は「M1」搭載モデルから変わっていません。というか、インテルCPUを搭載したモデルからもほとんど変わっていません。前面には白色のLEDがあるだけの非常にシンプルな見た目。大きさは、幅と奥行が19.70cm(約20cm)、高さが3.58cmと非常にコンパクトです。ディスプレイの下やラックの中などいろいろなところに設置できるでしょう。横置きだけでなく、縦置きもできます。重量は「M2」モデルが1.18kg、「M2 Pro」モデルが1.28kg。軽量なノートパソコンとほぼ同じなので、デスクトップですが持ち運びもできます。

ボディには100%再生アルミニウムを使用。アップルは炭素排出を実質ゼロにする目標を掲げており、「Mac mini」もその目標に向けて設計されています

ボディには100%再生アルミニウムを使用。アップルは炭素排出を実質ゼロにする目標を掲げており、「Mac mini」もその目標に向けて設計されています

本体サイズは19.70(幅)×19.70(奥行)×3.58(高さ)mm。上部には鏡面仕上げのアップルマークが配置されている

本体サイズは19.70(幅)×19.70(奥行)×3.58(高さ)mm。上部には鏡面仕上げのアップルマークが配置されている

底面は滑り止め用の樹脂パーツが使われています。最近のMacノートと同じく、底面に「Mac mini」のロゴがあります

底面は滑り止め用の樹脂パーツが使われています。最近のMacノートと同じく、底面に「Mac mini」のロゴがあります

電源ボタンと外部インターフェイスはすべて裏側に配置されています。電源ボタンが背面にあるので、電源ボタンが押しにくいと感じますが、斜めに配置されており、目視で確認せずとも押せます。ケーブル類の抜き差しは、本体がコンパクトで軽く、簡単に動かせるので苦労はしません。

外部インターフェイスは搭載するSoCによって、Thunderbolt 4ポートの数が違うので注意しましょう。具体的には「M2」モデルが2ポート、「M2 Pro」モデルが4ポートです。外部ディスプレイへの出力も違い、「M2」モデルが最大2台、「M2 Pro」モデルが最大3台までの同時出力が可能。マルチディスプレイ環境を構築したい人は注意してください。

M2モデルの外部インターフェイス
Thunderbolt 4ポート×2
USB-Aポート×2
HDMI
ギガビットEthernetポート(オプションで10Gb Ethernetポートに変更可能)
3.5mmヘッドホン出力/マイク入力


M2 Proモデルの外部インターフェイス
Thunderbolt 4ポート×4
USB-Aポート×2
HDMI
ギガビットEthernetポート(オプションで10Gb Ethernetポートに変更可能)
3.5mmヘッドホン出力/マイク入力

 「M2」モデルの背面。Thunderbolt 4ポートが2基なのが、「M2 Pro」モデルとの違い。ファンが内蔵されているので、背面に吸排気口が設けられています

「M2」モデルの背面。Thunderbolt 4ポートが2基なのが、「M2 Pro」モデルとの違い。ファンが内蔵されているので、背面に吸排気口が設けられています

「M2」はどれだけ速い?

続いてパワーアップしたスペックをチェックしていきましょう。やはり、気になるのは「M2」の性能です。

「M2」は8コアCPU、10コアGPU、16コアのNeural Engineなどから構成されています。「M1」よりも25%多い200億個以上のトランジスタが詰め込まれており、メモリー帯域幅も50%広い100GB/sへパワーアップ。メモリーは最大24GBで搭載可能です。

ワンランク上の「M2 Pro」は10コアCPU、16コアGPU、16コアのNeural Engineがベース。オプションで、12コアCPU、19コアGPU、16コアのNeural Engineを搭載した高性能な「M2 Pro」も用意されています。「M2 Pro」は、「M2」の2倍の400億個以上のトランジスタが積まれており、メモリー帯域幅も200GB/sと、さらに高性能です。メモリーは最大32GBまで搭載できます。

どちらもエンコードエンジンが搭載されているので、動画の書き出しなど映像編集の場面では高いパフォーマンスを発揮してくそうです。

定番のベンチマークソフトの結果は以下のとおり。ほぼ予想どおりではありますが、「M1 Max」を搭載した「Mac Studio」と比べると、CPUの差はそれほど大きくはありませんでした。ワンランク上の「M2 Pro」なら「M1 Max」に勝てるかもしれません。

グラフィック性能は、「M1 Max」のほうが2倍以上のスコアでした(「Geekbench 5<Compute>」。クリエイターなどグラフィックパワーを求めるユーザーにとっては、「Mac Studio」のパワーは魅力的なはずです。グラフィックパワーをどこまで求めるかで「Mac mini」か「Mac Studio」を選ぶといいでしょう。

※「MacBook Air(M1)」は「Open CL」で計測した結果。そのほかは「Metal」で計測したもの

※「MacBook Air(M1)」は「Open CL」で計測した結果。そのほかは「Metal」で計測したもの

3DCG制作アプリ「Blender」、動画編集アプリ「Final Cut Pro」、音楽編集アプリ「GarageBand」などを軽く試してみましたが、サクサクと動作しました。これからクリエイティブな作業を始めたいという人には十分すぎる性能でしょう。

256GBモデルはSSDが遅いという報告がネット上で見られますが、今回試した512GBモデルでは書き込みが3232.5MB/s、読み込みが2989.6MB/s(Blackmagic Designの「Disk Speed Test」アプリの結果)という結果でした。6GB/sや7GB/sという超高速ではありませんが、実用上は問題にならないスピードです。

周辺機器を選ぶ楽しさ

「Mac mini」の楽しさのひとつが周辺機器選びです。「Mac mini」は、ディスプレイ、キーボード、マウスを自分で用意しなければいけません。ノートパソコンしか使ったことのない人だと、面倒に感じるかもしれませんが、自分の好みのものを選ぶ楽しさがあります。

たとえば、アップル純正で揃えるのもいいでしょう。27インチ5Kディスプレイ「Studio Display」、「Touch ID」搭載の「Magic Keyboard(テンキー付き)」、「Magic Mouse」、「Magic TrackPad」などがラインアップされています。純正のメリットは、相性問題がなく、接続作業などもスムーズなこと。Macノートを使っている人だと、Macノートのトラックパッド部分をそのまま取り出したような「Magic TrackPad」があると便利だと思います。キーボードは「Touch ID」が使えるので、指紋で素早くロックを解除できて、買い物時の認証も指紋でできます。「iPad」を持っていれば、マウスとキーボードがそのまま使えるのもメリットです。

アップル純正以外のものでも、もちろんOKです。ディスプレイ、キーボード、マウスはWindows用のものが問題なく使えます。ただ、キーボードは、Windows用とキーレイアウトが異なるので、できれば両方で使えるものがあればいいでしょう。ディスプレイを設置するスペースがないという人は、モバイルディスプレイやテレビと接続するのもアリだと思います。

純正の27インチ5Kディスプレイ「Studio Display」を組み合わせば、Webカメラも高品位なオーディオ機能も揃います。アップルストア価格は219,800円(税込)

純正の27インチ5Kディスプレイ「Studio Display」を組み合わせば、Webカメラも高品位なオーディオ機能も揃います。アップルストア価格は219,800円(税込)

「Appleシリコン搭載Macモデル用Touch ID搭載Magic Keyboard(テンキー付き)- 日本語(JIS)- ブラックキー」は、「Touch ID」が使えて、素早く安全にログインや「Apple Pay」の支払いが可能。アップルストア価格は25,800円(税込)。「Magic Trackpad - ブラック(Multi-Touch対応)」があると、Macノートのような直感的な操作ができて便利です。アップルストア価格は19,800円(税込)

「Appleシリコン搭載Macモデル用Touch ID搭載Magic Keyboard(テンキー付き)- 日本語(JIS)- ブラックキー」は、「Touch ID」が使えて、素早く安全にログインや「Apple Pay」の支払いが可能。アップルストア価格は25,800円(税込)。「Magic Trackpad - ブラック(Multi-Touch対応)」があると、Macノートのような直感的な操作ができて便利です。アップルストア価格は19,800円(税込)

ロジクールの「MX KEYS MINI」はWindowsとMacの両方に対応したコンパクトなテンキーレスキーボード。3台までペアリングできるので、WindowsパソコンとMacが混在した環境でも使いやすい。マウスはゲーミングマウスですが、問題なく使えました

ロジクールの「MX KEYS MINI」はWindowsとMacの両方に対応したコンパクトなテンキーレスキーボード。3台までペアリングできるので、WindowsパソコンとMacが混在した環境でも使いやすい。マウスはゲーミングマウスですが、問題なく使えました

テレビがあれば、テレビをディスプレイにするのもアリだと思います。「Apple TV+」でドラマを見たり、「Apple Music」で音楽を楽しんだり、リビングに「Mac mini」があっても便利そうです

テレビがあれば、テレビをディスプレイにするのもアリだと思います。「Apple TV+」でドラマを見たり、「Apple Music」で音楽を楽しんだり、リビングに「Mac mini」があっても便利そうです

まとめ

「M2」「M2 Pro」を搭載した新しい「Mac mini」は、これからMacを試したい人や、クリエイティブな作業に挑戦したい人、高性能なMacデスクトップが欲しい人など、幅広い人にピッタリのモデルです。エントリーモデルが約8.5万円という手ごろな価格も、このご時世には非常に魅力的と言えるでしょう。ぜひ自分好みの周辺機器を揃えて、使いやすい環境を整えてみてください。

三浦善弘(編集部)
Writer / Editor
三浦善弘(編集部)
出版社で月刊誌やWebメディアの編集・記者を経験し、2013年にカカクコム入社。「価格.comマガジン」にて、PCやスマートフォン分野を担当。取材歴は20年以上。現在は「価格.comマガジン」全体を統括する。
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