牛島義之のアウトドアのススメ

羽釜炊きのごはんがウマすぎる! アウトドア用の「キャンプ羽釜」は家で使っても最高にイイ!!


アウトドア用品は、家の中で使っても楽しいもの。部屋の電気を消してランタンの明かりだけで過ごしたり、キャンプ用クッカーで料理を作るだけでも、今流行の「家キャン」気分を味わえます。今回、紹介するのは野外のキャンプで炊飯する際に使用する、ユニフレーム「キャンプ羽釜 5合炊き」(以下、キャンプ羽釜)。おいしいごはんが食べられると評判のキャンプ羽釜を家で使い、いつもと違う炊飯中の雰囲気も楽しんでみました!

「キャンプ羽釜」って、どんなもの?

キャンプでごはんを炊く方法は、飯ごうやライスクッカー、ダッチオーブン、普通の鍋などいろいろありますが、基本的に直火で加熱します。家で使う炊飯器のように火加減や加熱時間をおまかせにできないため、慣れていないと失敗することがあるものの、やっぱり直火で炊いたごはんはウマイ! 今回紹介する「キャンプ羽釜 5合炊き」も、もちろん直火で使用するものとなります。釜には蓄熱性にすぐれる肉厚のアルミを採用し、釜底に向かって狭くなる“すり鉢形状”とすることで、炊飯時の対流を起こしやすくして加熱ムラを低減。さらに、重さのあるフタで釜内に圧力をかけ、高温を維持したまま炊飯することにより、昔ながらのかまどで炊いたようなふっくらとしたごはんを炊き上げます。

サイズは約226(直径)×165(高さ)mmで、重量は約1.75kg。炊飯容量が5合ということで、けっこう大きいのではないかと思っていたのですが、内径は約168mmと意外と小ぶりです

釜中央分に羽が付いてはいるものの、かまどに載せるワケではないので本来の役割とは別物。かまど炊飯を想起させるための演出なのかもしれませんが、羽釜で炊くとよりごはんがおいしそうに思えるので、この形で正解です!

沸騰時にフタが浮き上がり、釜内の圧力が下がらないように、フタはあえて重みのあるステンレス製とされています。計ってみると約740gあり、総重量の4割ほどを占めていました

釜底がすぼんだすり鉢形状は、釜内で対流が起こりやすいのが特徴。炊飯中に米粒がかき混ざることにより、加熱ムラが抑えられます。また、釜自体は丸みを帯びていますが、底面はフラット。ゴトクにも安定して載せられます

なお、キャンプ羽釜には、以前から3合炊きモデルもラインアップされています。基本的な構造はそのままに、炊飯容量が増えた「キャンプ羽釜 5合炊き」の登場は、3合ではちょっと量が足りなかった家族にうれしい選択肢ができたと言えるでしょう。

白米を炊いてみよう!

さっそく、キャンプ羽釜でごはんを炊いてみましょう。実力を知るには白米が最適。最大炊飯容量の5合を炊きます。なお、キャンプ羽釜はIHには対応していません。IHコンロでは残念ながら使用できませんが、これから行う検証は、野外で行うキャンプなどで使う際の参考にしてください。

一般的な炊飯器の場合、浸水工程も炊飯プログラムに組み込まれているので、洗米したあと、すぐに炊飯スタートできますが、直火で炊飯する時は基本的に洗米後の米を水に浸します。今回は、30分ほど放置

浸水させた米をいったんザルにあげ、しっかりと水切りをしてからキャンプ羽釜に入れます。キャンプ羽釜の内側には水位線が付いているので、水加減はこの水位線を目安にしてOK。キャンプなどでは水位線がない調理器具を使うことも多く、人差し指の第1関節まで水を入れるという計り方をすることもありますが、適量の水量を入れられることで失敗も少なくなりそう

洗米した米を入れたキャンプ羽釜に、水を注ぎます

洗米した米を入れたキャンプ羽釜に、水を注ぎます

炊飯を行うため、ガスコンロに移動。5合分の米と水、そして本体の重さを合計すると総重量は約3.5kgになりますが、キャンプ羽釜には取っ手が付いているので、それほど苦労せずに持ち運びできました

ごはんの炊き方は「はじめちょろちょろ中ぱっぱ」とよく言われますが、直火での炊飯は最初から強火が基本。沸騰するまで強火で加熱します

加熱してから約11分30秒で、噴きこぼれ始めました。沸騰でできた泡が当たっても、フタが浮き上がることはありませんでした

そして、噴きこぼれが羽で受け止められたのにはビックリ! 飾りだと思っていた羽が、こんなところで役立つとは。おかげで、コンロがほとんど汚れずに済みました

噴きこぼれたのを合図に、火力を落とします。中火〜中弱火くらいの噴きこぼれない程度の火力にして約20分加熱

20分ほど加熱したら、火を止めて約5分蒸らします

20分ほど加熱したら、火を止めて約5分蒸らします

炊き上がったごはんを見てみると、白くて米粒がしっかりと立っています

炊き上がったごはんを見てみると、白くて米粒がしっかりと立っています

直火で炊いたごはんは、おこげができるのもたまらないところ。炊き上がったごはんをしゃもじで混ぜた際、ほんのりと香ばしいニオイが漂ってきて、最高です!

実際に食べてみると、米がひと粒ずつふっくらとしており、粒感もバツグン。それでいてもっちりとしており、噛むとすぐに甘みを感じました

米の甘みや香り、粒感も感じられる炊き上がりなので、ごはんだけで何杯でもいけちゃうおいしさですが、トッピングするとさらに食が進みます。たまごかけごはんも捨てがたいのですが、筆者は明太子推し! 明太子の辛さがごはんの甘みを引き立ててくれるだけでなく、明太子の粒々とごはんの粒感が口の中で広がり、食べ始めから食べ終わりまで幸せが続きます

おこげができるので釜内の焦げ付きを心配されるかもしれませんが、水にしばらく浸けたあとスポンジで洗えば、キレイに落とせました

ここで気になったのが、炊飯器で炊いたごはんとの差。筆者所有のIH炊飯器で5合分の白米を炊いて、食べ比べてみました。

これまで、けっこうおいしいごはんが炊けると満足していたのですが、キャンプ羽釜で炊いたごはんを食べたあとだと、粒感や甘みが物足りない……

炊き込みごはんも炊いちゃおう!

普通のごはんがとてもおいしかったので、炊き込みごはんも炊いてみたい! 炊き込みごはんは具材を入れるため、5合分の米は炊けません。これは、炊飯器でも同じです。

米を浸水させるなどの準備は、白米と同じように実行。米2合に、具材と水、調味料を入れます。水分の多い具材がたっぷりなので、水は少し減らしてみました

炊飯のプロセスも白いごはんを炊いた時と同じ。最初から強火で加熱します

炊飯のプロセスも白いごはんを炊いた時と同じ。最初から強火で加熱します

加熱して約7分後、フタとの隙間から湯気が出てきたものの、しばらく待っても噴きこぼれません。これ以上強火で加熱するのはまずいと思ったので、炊き始めから約9分後に火力を中火〜弱中火に弱めました

火力を落としてから約20分加熱し、火を止めて約5分蒸らして炊き上がったのがこちら!

火力を落としてから約20分加熱し、火を止めて約5分蒸らして炊き上がったのがこちら!

おこげもできていましたが、少々焦げ気味。火力を弱める目安を噴きこぼれのタイミングとしていたため、噴きこぼれなかった今回の炊飯は、強火の時間が少し長かったのか、それとも、しょうゆやみりんを加えていたので焦げやすかったのか……

具材から出る水分を見越し、水の量を少なめにしましたが、ちょうどいいあんばいだったよう。口に入れるとごはんがパラッとほぐれ、これはやみつきになりそうなおいしさです

野外でごはんがあまった時は、どうしたらいい?

キャンプ羽釜をはじめ、直火で炊く調理器具には保温機能が付いていません。家であれば、冷蔵庫や冷凍庫に入れられるのでさほど気にされないかもしれませんが、野外で使う際にはちょっと注意が必要。夕食時にあまったごはんを夜食や翌日に食べる時には、釜内に入れっぱなしにしておかず、別の容器に移すほうが片付けもラクですし、衛生的です。長時間置いておくなら、クーラーボックスで保存するようにしましょう。

おにぎりにしておけば、夕食後、小腹がすいた時に食べられて便利。1時間ほど冷ましておいたおにぎりを食べてみたところ、さらに甘みと弾力が増した印象です。個人的には冷えたほうが好きかも!

野外の場合、夜食に食べるくらいなら出しっ放しでも問題ありませんが、翌日に食べるのなら密閉袋に入れ、クーラーボックスで保存するようにしましょう

キャンプ場などには、冷たいごはんを温める電子レンジは基本的にありません。冷え冷えのごはんを食べるのか……としょんぼりされた方! 熱々の出汁をかけてお茶漬けにしちゃえばいいんです。おにぎりにして保冷したなら、そのままで出汁をかけ、おにぎり茶漬けにしちゃえばOK。ちょっと手を加えて焼きおにぎりにしてから、出汁をかけてもおいしいですよ

なお、室温25℃の環境では、炊き上がってから2時間くらいは温かいままのごはんを食べることができました。蓄熱性の高さはなかなかのもの!

まとめ

キャンプ羽釜は羽釜で炊いているという満足感が得られ、かつ、満足度の高いごはんが味わえます。今回は家で使ってみましたが、コンロに羽釜が載っているだけでいつもと違う雰囲気となり、家族みんなでテンションアップ。フタを開ける瞬間はワクワクし、食べて幸せになるの繰り返し。炊き込みごはんを作った時は、ちょっと旅館の食事を思い出したりもしました(笑)。家庭用の羽釜製品もありますが、キャンプ羽釜のように取っ手は付いていません。キャンプ用ならではの装備ですが、家で使用する際にも役立ちました。

取っ手がない場合、ミトンを装着した両手で運ばなければなりません。取っ手があるほうが持ち運びは断然ラクです

キャンプ用やファニチャーや食器を出して、キャンプ羽釜で炊いたごはんをいただきました。家キャンの雰囲気、すごく出ていると思いませんか?

直火での炊飯は、芯が残らないか、焦げないかなど、何度炊いてもドキドキするもの。米を事前に浸水させたり、蒸らしたり、炊飯中も火加減や加熱時間の調整をしなければならないので手間はかかりますが、その工程がけっこう楽しかったりします。たとえ少々失敗したとしても、自分にとってベストな食感やおこげになるよう火加減や加熱時間、水の量をいろいろ試し、満足のいくプロセスを組み立てられるのもおもしろいところ。しかも、たとえ成功のプロセスをつかんだとしても、野外では番狂わせが起こることも。使用する場所や時期で気温が異なり、風が吹けば火力も不安定になります。薪を使った場合は、ガス火ほど火のコントロールがうまくできないかもしれません。そういった状況下でもおいしく炊けるようにあれこれ思考するのは、なかなか奥深いものがあります。もちろん、それでも直火で炊きたいと思えるのは、炊き上がったごはんが格別においしいから。まだキャンプでごはんを炊いたことがない人は、まず家で炊いてみることから始めてみるといいかもしれませんよ。

牛島義之
Writer
牛島義之
アウトドア雑誌の副編集長職を経てフリーランスとして独立。以降、アウトドアをはじめ、グッズ、クルマ、旅行などレジャー関連を中心に執筆している。
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中村真由美(編集部)
Editor
中村真由美(編集部)
モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。気づけば15年以上、生活家電の情報を追い、さまざまな製品に触れています。
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