第5話 パウル・ヨーゼフ・ゲッベルス

今日の名言はちょっと長い


「プロパガンダの秘訣とは、狙った人物を、本人がそれとはまったく気づかぬようにして、プロパガンダの理念にたっぷりと浸らせることである。いうまでもなくプロパガンダには目的がある。しかしこの目的は抜け目なく覆い隠されていなければならない。その目的を達成すべき相手が、それとまったく気づかないほどに。」


パウル・ヨーゼフ・ゲッベルス(Paul Joseph Goebbels )(1897~1945)はドイツの政治家です。ヒトラーに心酔し、ナチ政権の宣伝大臣を務めました。「プロパガンダの天才」「小さなドクトル」と称されます。ゲッペルスではないので注意。


 4歳の時に小児麻痺を患い、左右で足の長さが異ったため、歩行がやや不自由でした。そのため他の子どもと外で遊ぶことができず、部屋に籠って読書ばかりの少年時代を送ります。第一次世界大戦が勃発すると、従軍を希望しますが兵役不適格者と認定されてしまいます。このことは彼にとって決定的なコンプレックスとして人格形成に大きな影響を与えます。

 豊かではない職工の家に生まれましたが、子供のころから成績は優秀で、最終的にはハイデルベルク大学で博士号を取得するに至ります。学生時代には全く政治に興味を関心を持たず、反ユダヤ的でもなかったゲッベルスですが、大学を卒業したものの、職が見つからなかったことから、社会への不満を募らせ政治活動へと傾倒していきます。

 

当時のゲッベルスの言葉

「この居候生活の惨めなこと。僕にはふさわしくないこんな生活をどうしたら終わらせることができるのか。それを考えると頭が痛い。何一つ成功してくれない。いや成功することが許されないのだ。贔屓と経歴だけが物を言うこの世界で数のうちに入れてもらうためには、自分の意見とか、信念を主張する勇気とか、個性とか、性格と言われる物を真っ先に全部捨てなければならないのだから。僕はまだ何者でもない。大いなるゼロだ。」


 現代にも通じる、実に若者らしい悩みです。

 画家を志しながら、憧れた画家になれず、その代りに目指した建築家にもなれなかったヒトラーを始めとして、基本的にナチの幹部は誰も人生に失敗し屈折したところがありますね。そこが興味深いのですけど。


 その後、彼は、色々あってナチ党に入党、当初はヒトラーと対立しますが逆にヒトラーにその才能を買われ、引き抜かれると、その才能を発揮し出世していくわけです。


 さて、今回の名言ですが、SNS隆盛の今の時代、【炎上】もやがて【炎上商法】に利用されてしまう現在です。ネット上で出会うニュース等情報から、私たちが抱く『感情』は、誰かの『計算』によって生まれたものかもしれません。私たちもまんまと誰かの罠に嵌り、特定の思想の発信者になってしまっているのかもしれませんね。

 ゲッベルスの言うように、誰かに利用されているとは知らず、自分のために行動していると思い込んでいる人間ほど強力な宣伝塔はありませんから。

 ゲッベルスの残した手法はそのまま戦後のコマーシャル業界で利用されたそうです。彼の死後70年以上、その間に宣伝広告業界は物凄い勢いで発展しました。それでもゲッベルスの見抜いた本質は今も変わらないのでしょう。


ゲッベルスはこうも言っています。


 『嘘で塗り固められたプロパガンダというのは、それがニセの大義であることの証である。長期的には必ず失敗するものなのだ』


『優れたプロパガンダは嘘をつく必要がない。むしろ嘘をついてはいけない。真実を恐れる必要はないのだ。大衆は真実を受け入れることが出来ないというのは誤りだ。彼らにはできる。大事なことは大衆が理解しやすいようにプレゼンテーションしてやることだ』


『政治家は時には不人気な政策を実行しなければならない。しかし不人気な政策は入念に準備し、大衆を納得させてから実行しなければならない。なぜならばそれによって一番被害を受けるのは彼らだからだ。彼らにはなぜそうしなければならないのかを知る権利がある』


 少なくともゲッベルスはプロパガンダをイカサマの様には考えていなかったようです。自分たちが行っている行為が正しいという信念と、大衆は必ずそれを理解できるし、理解すべきだという確信があったように思えます。


 今日の教訓

  コンプレックスを抱いたインテリの参謀役という非常においしいキャラクタである彼ですが、私はあまり好きではありません。

 この人、モテたらしいんですよね。

 美人の奥さん貰って、自分の立場を利用して数多の女優と浮気をしたり、好き放題。リア充爆ぜろ。

(おい、ここにもコンプレックスをこじらせた奴がいるぞ)









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