りんごについて

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りんごの品種

紅玉(こうぎょく)

紅玉(こうぎょく)
 

現在国内で生産されているりんごの中で最も古い品種のひとつ 

紅玉の起源には二つの説があります。一つは1804年アメリカのコネチカット地方、もう一つは1826年アメリカのニューヨーク州というものですが、日本には1871年(明治4年)に開拓使(明治2年~15年の間、北海道開拓を任務として設置された官庁)によって導入されたとされています。

“紅玉”という名前になったのは1910年(明治43年)


 日本における西洋りんごの歴史は、外国から入ってきたりんごの苗木が日本各地にわたったことから始まります。しかしその際、苗木から各品種名が書かれた名札が落ちたまま配布されたことから、実が成ってくると各産地では銘々に名前が付けられました。
 紅玉もその時の品種の一つで“六号”“三五号”“千生”“盾無”などと呼ばれていました。青森県内の津軽地方では“千成(せんなり)”、県南地方では“満紅(まんこう)”と呼ばれていました。
 生産量が増えてくると、同じ品種でも違う名前で呼ばれることは不都合ということで、各県の代表者が集まって1900年(明治33年)に名前を統一しようということなり、「紅玉」という名前に決定しました。この時、品種名が決まって現在も栽培されている品種には「国光」や「祝」などがあります。なぜこのようなおめでたい漢字や名前が付けられたかというと皇太子殿下のご成婚を祝ってということでした。
 

鮮やかな濃紅色で酸っぱいりんご


 色は鮮やかな濃い紅色で、かつて“千成(せんなり)”と呼ばれていたように枝に沢山成っている姿は実に奇麗で鮮やかです。大きさは200㌘から300㌘程度とやや小玉。味はとにかく酸味が特徴の品種です。甘さや果汁は少ないですが、懐かしい味ということで根強い人気があります。

 

紅玉特有の斑点障害が出やすい


この品種特有の問題の一つに「紅玉斑点病」(ジョナサンスポット)や茶星(ジョナサンフレックル)という果皮の表面に2~4㍉程度の斑点状で少し窪んだような障害が現れることがあります。収穫時期に被害が見られなくても貯蔵中に発生するのも厄介なところです。

 

かつては大量に廃棄されたことも


 「紅玉」は明治から大正、そして昭和の40年ころまでは「国光」と並ぶりんごの主力品種でした。しかしその後、輸入バナナなど甘い果物が出回ってきたことから、酸っぱい紅玉は次第に敬遠され売れ残っていきました。そして昭和42年と43年には売れ残った「紅玉」や「国光」などのりんごが山や川に大量に捨てられました。この惨状を山や川にりんごを出荷したという皮肉も込めて“山川市場”と云っており、長い青森県のりんご歴史の中でも大きな出来事でした。

 

加工用としてはこれ以上の品種はナシ!いまも根強い人気


 この品種の最大の魅力は、熱が加わると滑らかな食感となり、甘酸っぱい芳香がたつなど、アップルパイジャムなど作る際はこの品種に勝るりんごはないと言ってもいいほどです。
私がお勧めしたいのは剥いた皮を煮出したお湯で入れる紅茶は絶品です。
 当然普通に召し上がるのもおすすめで、キュッキュとした食感と強い酸味は、食べたあとの口の中をさっぱりとさせてくれます。