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『Zガンダム』ティターンズ壊滅の戦犯? カミーユの運命を変えた「失言男」

アニメ『機動戦士Zガンダム』に登場するティターンズのMSパイロット、ジェリド・メサは、主人公カミーユ・ビダンのエゥーゴ入りに一役買った人物です。ゆえにティターンズを壊滅に追い込んだ戦犯とファンの間で囁かれているのですが、はたして本当にそうなのでしょうか。今回は、ジェリドのやらかしを振り返ります。

そこで抱きつかなければ……

ティターンズを壊滅に追い込んだ戦犯はやっぱりジェリドなのか? 画像は『機動戦士Zガンダム Define シャア・アズナブル 赤の分水嶺』19巻の表紙(KADOKAWA)
ティターンズを壊滅に追い込んだ戦犯はやっぱりジェリドなのか? 画像は『機動戦士Zガンダム Define シャア・アズナブル 赤の分水嶺』19巻の表紙(KADOKAWA)

 女の名前なのに、なんだ男か――。このひと言を起因としてアニメ『機動戦士Zガンダム』の主人公、カミーユ・ビダンは、地球至上主義集団「ティターンズ」よりガンダムMk-IIを奪い、敵対する「エゥーゴ」のアーガマへと保護されることになります。そしてエゥーゴのパイロットとなったカミーユの活躍ぶりによって、ティターンズは実質的に壊滅に追い込まれてしまうのです。

 そんな全ての元凶ともいえるひと言を放った男が、ティターンズのMSパイロット、ジェリド・メサでした。彼の失言は今なおファンの間で「ロボットアニメ史上屈指の失言」として語り継がれています。とはいえ名前をバカにしただけならば、まだカミーユと和解するチャンスはあったでしょう。しかしジェリドのとりかえしのつかないやらかしは、これだけにとどまりません。

 そもそもカミーユがMk-IIを奪うことができたのも、ジェリドが無茶な低空飛行をしてMk-IIを墜落させたからでした。それまでティターンズに身柄を拘束されていたカミーユは、墜落事故の騒ぎに乗じて脱走。その足で事故現場へと向かい、ジェリドが墜落させたMk-IIを奪い去るのです。カミーユとエゥーゴの接触機会は、完全にジェリドが作ったといっても過言ではないでしょう。

 しかしそうは言ってもカミーユは、まだアーガマに保護されていた身です。エゥーゴのパイロットとして戦地に赴いていたわけではありません。この後、ティターンズに強烈な怒りを覚え、敵意を剥き出しにするまでは……。きっかけを作った男の名はそう、ジェリド・メサです。

 ティターンズの指揮官であるバスク・オムの策略にまんまと利用されたジェリドは、カミーユの母、ヒルダ・ビダンを誤って殺してしまい、これにカミーユは強い憎しみを覚えます。ジェリドもただ騙されただけとはいえ、いよいよ「ごめんね」では済まされなくなってしまいました。

 そしてここからカミーユはガンダムパイロットとして大活躍し、ジェリドの戦友であるカクリコン・カクーラーやライラ・ミラ・ライラ、マウアー・ファラオを次々と手にかけていきます。ただ、ジェリドも反撃のチャンスがなかったわけではありません。むしろカミーユを討つチャンスはいくらでもあったように思えます。

 たとえば第6話「地球圏へ」でカミーユは、地球に降下しようとするレコア・ロンド少尉を守るべく、片腕のMk-IIで出撃。そこへ居合わせたジェリドはカミーユの不意をつき、一大チャンスを得るものの、なぜかここでMk-IIに組みつきます。せっかく正面をとったのならサーベルで斬り込めばいいものを……。

 百歩譲ってこのときのジェリドは、カミーユにそこまでの殺意を持っていなかったとしましょう。ところが彼は戦友を殺された恨みから、殺意増し増しで迎えた第21話「ゼータの鼓動」で同じようなミスを犯します。カミーユの背後をとるまでは良かったものの、なぜかここでも背後から抱きついたのです。

 さすがに多くの人がジェリドに対して「いやいや、ビームを撃て。なぜ抱きつくのか」と思ったことでしょう。同じく戦闘に参加していたマウアーも「ジェリド何をためらってる。キャノンを使え!」と苦言を呈していました。

 その後もことあるごとにカミーユを討つチャンスを逃し、挙げ句の果てにはティターンズの非道を訴える、敵のプロパガンダ放送に利用されてしまうジェリド。たとえ「なんだ男か」の発言がなかったとしても、彼はティターンズ壊滅に追い込んだ戦犯だといえそうです。

(ハララ書房)

【画像】数多のモビルスーツを操縦した男、ジェリド・メサの搭乗機(4枚)

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