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『Zガンダム』もしブレックスが暗殺されていなかったら…シャアは「絶望」しなかった?

もしブレックスが生きていたら?

「MG 機動戦士Ζガンダム 百式 Ver.2.0 1/100スケール 色分け済みプラモデル」(BANDAI SPIRITS)
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 もし、ブレックスが暗殺されなかったら、どうなっていたでしょうか。翌日の議会で「連邦軍の指揮権をティターンズに譲渡する」法案が成立している情勢ですから、ブレックスの緊急動議は否決されたでしょう。

 その後で、ティターンズが月面都市グラナダにコロニー落としを試みて失敗することは劇中と同じでしょう。違うのは、ブレックスがシャアと共に宇宙に上がり、月面都市フォン・ブラウンでメラニー・ヒュー・カーバインなど、エゥーゴ出資者アナハイム・エレクトロニクスの重役と会談を持つであろうことです。

 このタイミングでティターンズは、サイド2に毒ガス攻撃を試みています。劇中ではサイド2の市長がティターンズに降伏しようとしましたが「見せしめなので降伏されては困る」という理由で、ティターンズは黙殺。エゥーゴの反撃がなければ、毒ガス攻撃は成功していたでしょう。この流れは変わりませんが、その後に効いてきます。

 そして、その直後、ジオン残党の宇宙要塞アクシズが地球圏に帰還し、エゥーゴ出資者がアクシズとの交渉を命じます。劇中ではシャアが交渉しましたが、彼にはアクシズ指導者ハマーンと、過去に確執があったことで、交渉が決裂します。しかし、この仮定では、交渉はブレックスが行ったでしょう。

 ブレックスはシャアより現実主義者ですから、アクシズ側の「ザビ家再興に協力する」などの条件を飲み、エゥーゴはアクシズとの同盟に成功すると思われます。

 その後、劇中のエゥーゴは地球のティターンズ基地攻撃を成功させ、シャアがダカールに乗り込み、地球連邦議会総会でティターンズの非道を訴えて、風向きが変わります。

 ブレックスが生きていれば、アクシズとの同盟後、ダカール演説より前に議員の立場を生かして、より早い段階で連邦政府に働きかけていたでしょう。ブレックスにはブライトの妻であるミライの実家・ヤシマ家のつながりもあります。ブレックスはゴップやジョン・バウアーなど、軍に影響力を持つ有力議員にも働きかけていたと思われます。

 上記の通り、この時点で、ティターンズが「月へのコロニー落とし」「サイド2への毒ガス攻撃」を行っていたことは劇中通りと考えられます。つまり、ブレックスが段取りを整えられたなら、サイド2市長もティターンズの非道の証人に立つことになります。劇中よりもやや早い段階で、エゥーゴの正規軍化が実現する可能性が高く、さらにアクシズが早期に味方なのでエゥーゴの消耗は、劇中よりかなり少なくなるはずです。

 大きく違うのは、シャアが自分の正体を明かす機会がないことです。マンガ『機動戦士Ζガンダム Define』では、エゥーゴの旧連邦軍人たちが「ジオンの赤い彗星には従えない」と動揺する場面が入りますが、シャアがクワトロのままで指導者にならないため、旧連邦派と旧ジオン派の確執は避けられるでしょう。

 そしてブレックスはティターンズとの戦闘をシャアに任せ、アクシズの扱いについて、ゴップや、アナハイム会長のメラニーと協議するのではないでしょうか。劇中ではティターンズのコロニーレーザーにより、月面都市グラナダを狙われたメラニーが「サイド3の譲渡」を条件として、エゥーゴとアクシズの同盟を成立させています。

 この件はブレックスというより、ゴップやメラニー、あるいは連邦政府の主導になりそうですが、落としどころは同じく「サイド3譲渡」と思われます。ただし、ザビ家を忌避するシャアと、ブレックスの間に確執が生まれるかもしれません。

 そして、エゥーゴとアクシズの連合軍が、ティターンズのコロニーレーザーを奪取するでしょう。ここから先は行く通りも考えられます。

 エゥーゴがコロニーレーザーを確保した場合、アクシズとの同盟を破棄する可能性もあります。ブレックスとシャアにはかなりの信頼関係が描写されています。ブレックスの立場で考えると、ザビ家主義のアクシズをここで打倒し、シャアをキャスバル・レム・ダイクンとして、ジオン共和国の指導者に送り込むことができた方が、サイド3がコントロール可能と考えるだろうからです。

 逆に戦争の早期終結のために、ハマーンにサイド3を渡して幕引きということもあり得ます。この場合は、エゥーゴとアクシズが早期から同盟しているため、『機動戦士ガンダムZZ』の冒頭ほどは、エゥーゴが疲弊せず、抑止力が残ります。『ZZ』のように、アクシズがネオ・ジオンとなって地球制圧に向かわず、まずはサイド3を確保して、次の動きに備えるという可能性もあるでしょう。

 アクシズ側がコロニーレーザーを確保した場合も、エゥーゴとの同盟が破棄される可能性があります。コロニーレーザーでエゥーゴの主力を叩ければ、地球圏制圧の障害は排除できますから、「サイド3の譲渡」で満足しなくてもいいからです。

 どちらにせよ、時局を読むシロッコが、この流れでティターンズに味方し続けるとは思えないので、恐らくはジャミトフたちが討たれ、カミーユやエマも無事のまま、終戦になるでしょう。ブレックスとカミーユが無事なのであれば、シャアがエゥーゴから離脱する理由はなくなります。エゥーゴが正規軍化された状況であれば、ブレックスの政治家としての影響力は大きなものとなり、シャアは劇中ほど絶望しないでしょう。

 この状況で、アクシズとの最終決戦が起こるかはわかりませんが、戦乱が一旦落ち着いたなら、地球圏で、シャアは地球連邦軍人(あるいは政治家)としてブレックスと共に、スペースノイドの自治権獲得に尽力したのではないでしょうか。

(安藤昌季)

【画像】カッコいい! シャア専用MSを見る(5枚)

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