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妻の介護は楽しかった ジャーナリスト・田原総一朗さん

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「妻の介護はかけがえのない時間でした」。田原総一朗さんはそう語った=東京都中央区で2021年12月28日、宮本明登撮影
「妻の介護はかけがえのない時間でした」。田原総一朗さんはそう語った=東京都中央区で2021年12月28日、宮本明登撮影

 職場と家庭での顔は違う。ジャーナリスト、田原総一朗さん(87)もそうだった。テレビの討論番組で政治家らに鋭い質問を浴びせる姿とは違い、妻の闘病中は、夫婦で過ごす穏やかな時間をとても大切にしていた。

 車椅子に座った妻の節子さんの下着を脱がせて裸にした。自分も全裸に。節子さんを抱えながら浴槽に入れようとした。床はぬれて滑りやすく、初めての入浴では2人とも転んでしまった。慌てふためいてもおかしくない一瞬の出来事だったが、浴室には夫婦の楽しそうな笑い声が響いた。

 田原さんは2003年ごろ、がんの闘病中に歩行が困難になった節子さんを本格的に介護することになった。「年を取ると妻は夜のベッドで体に触られるのを嫌がりました。でも、病気で体の自由が利かなくなってからは僕に全てを任せてくれた。むしろ喜んでくれる。すると、若い時と同じような裸の触れ合いがよみがえったのです」

 討論番組「朝まで生テレビ!」(テレビ朝日系列)などで政治家らを追及する表情や仕草とは違い、田原さんは柔和な表情を浮かべてそう話し出した。

 食事のときは介助をし、体調がよければ下町情緒が漂う近所を散歩した。車椅子を押す田原さんは、節子さんの「足」の代わりになれたことに充実感を抱いていた。「相手の意識が…

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