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誰でも当たる銃が幕張に 世界の最新鋭武器ずらり 防衛装備品見本市

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防衛装備庁が展示した「16式機動戦闘車」=千葉市美浜区の幕張メッセで2023年3月15日午後2時56分、金森崇之撮影
防衛装備庁が展示した「16式機動戦闘車」=千葉市美浜区の幕張メッセで2023年3月15日午後2時56分、金森崇之撮影

 「Cheers(乾杯)!」。会場の一角で、拍手の音に包まれながらシャンパングラスを掲げる一団に出くわした。イスラエルの国際的軍事企業「エルビット・システムズ」だ。日本企業2社と商談が成立し、祝杯を上げていた。【金森崇之、大野友嘉子】

商談成立、祝杯

 3月15日、千葉市の幕張メッセ。防衛装備品の見本市「DSEIジャパン2023」の初日とあって、来場者でにぎわっていた。その多くは日本人。制服に身を包んだ自衛官の姿も目立つ。

 碁盤の目のように区切られた各ブースには、世界各国の企業が製造・試作した防衛装備品の見本が並ぶ。無人航空機(ドローン)やミサイルの模型、最新のソフトウエア技術、四足で動く自律歩行ロボット……。

 英語が飛び交い、国際色が豊かだ。企業の担当者と来場者がタブレット端末などを手に話し合う姿も見られ、商談に熱が入っていた。

 乾杯が行われたエルビット社のブースには、遠隔操作で無人のまま砲撃できる「リモート・ウエポン・ステーション」などが展示されていた。

 エルビット社によると、同社製品について、「日本エヤークラフトサプライ」(東京都新宿区)が生産や保守管理を担い、「伊藤忠アビエーション」(東京都港区)が販売促進を行うことで合意し、その覚書の締結式で乾杯したという。

「日本と防衛目的で取引」

 エルビット社のモシェ・オア副社長がその場で毎日新聞の取材に応じ、覚書締結の意義を強調した。

 「自社製品をそのまま日本に売るのではなく、地元企業と協力しながらテクノロジーを日本に普及させたいのです。日本(企業)と信頼関係を築くことで、私たちも日本との仕事がしやすくなります」

 民生用・軍用双方に使える偵察用無人機「エルメス900」の製造などで知られる同社。自社製品が過去の戦闘でどのように使われたのかを尋ねた。

 オア副社長は「日用品ではないのでね。(取引先の)国が製品をどう使うかまでは、我々はコントロールできません。もちろん、日本とは防衛目的で取引します。それは絶対です」と力を込めた。

65カ国、250社以上が参加

 熱気に包まれていた「DSEIジャパン2023」。元々は、英国で2年ごとに開かれてきた世界最大級の防衛装備品の見本市だ。日本では2019年以来2回目となる。今回は、米国やドイツ、イスラエルなど65カ国から250社以上が3日間の日程で参加した。

 防衛省や外務省、経済産業省などが後援し、会場内には日本、英国、イタリアが共同開発する次期戦闘機の模型なども飾られた。

 政府は23年度から5年間の防衛費を総額43兆円程度とする方針で、見本市にも力が入っているようだ。浜田靖一防衛相は3月14日の記者会見で「諸外国との防衛装備・技術協力をより一層推進したい」と述べていた。

 こうした中、国民の関心は高いと思われるが、この見本市に一般市民は原則参加できない。参加には審査があり、入場できるのは官公庁や防衛関連企業の関係者、大学などの研究者、記者などに限られる。

 そこで今回、会場の模様を詳細に伝えることにした。

ゲームのような銃

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