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「悲運の天才」宮市亮が語った引退覚悟、無人のスタジアムでのこと

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取材に応じる横浜マの宮市亮=神奈川県横須賀市で2023年11月19日午後3時3分、高野裕士撮影
取材に応じる横浜マの宮市亮=神奈川県横須賀市で2023年11月19日午後3時3分、高野裕士撮影

 サッカーJ1横浜F・マリノスの宮市亮選手(30)にとって、特別なシーズンが終わった。昨夏に再び見舞われた大けがで一時は引退を覚悟しながら、立ち上がってピッチに戻った。その生き様とは。自身のキャリアをこう語った。

 「本当に打ちのめされた瞬間があった。投げ出したこともあった。でも、最後の最後に踏みとどまってやってこられた」

 シーズン終盤の11月、神奈川県横須賀市内で練習後に話を聞いた。10年ぶりに日本代表に選ばれて臨んだ、2022年7月27日の東アジアE―1選手権の韓国戦のことだ。

 右膝に激しい痛みが走った。「またやってしまった。もうここまでなのかな。やめる時なのかな」。苦悶(くもん)の表情の奥で、暗い感情に支配された。

空っぽのスタジアム

 診断結果は右膝の前十字靱帯(じんたい)断裂だった。19歳で日本代表にデビューした12年に続き、13年にも右足首の靱帯を損傷。15年には左膝、17年には右膝の前十字靱帯を断裂した。

 「また走れるようになるのかな」と、手術後も不安でたまらなかった。

 その頃、横浜マのマスカット監督からメッセージが届いた。「乗り越えられるやつにしか試練は来ない。絶対にお前ならできる」

 心を奮い立たせ、リハビリに取り組んだ。ホームの日産スタジアムで、階段をひたすら上り下りし続けた。「まずはこの階段の一歩一歩を踏みしめて、歩けるようにならないと」。7万人以上を収容できるスタジアムは観客がおらず、自分の足音だけが響いた。

歓声響くスタジ…

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