内戦が続く中東の国・シリア。今年10月、過激派組織「イスラム国」(IS)は首都としていた都市ラッカを奪われ、力をほぼ失ったとみられています。しかし、この間に子どもたちを含むたくさんの命が奪われ、街が破壊されてきました。シリアは今、どうなっているのでしょうか。毎日新聞の記者が、シリアにある世界遺産「パルミラ遺跡」に入りました。
シリア中部にあるパルミラ遺跡は、ISが2015年5月から断続的に支配し、17年3月に軍が奪い返しました。有名な神殿や円形劇場がありましたが、破壊され、石材が散乱しています。
ISはアラーだけを神とするイスラム教の教えを極端に理解し、多くの神を信じていた古い時代の遺跡や石像を各地で壊しました。一部を密売して資金源にしました。
取材中、爆発音が響きました。シリア軍兵士によると「地雷の爆破処理」だそうです。ISが約7000発を埋め、たくさんの地雷が今も埋まっています。
変わり果てた歴史の街。IS制圧前には住民は約7万人いました。大半が避難しましたが、一部は戻り、市内ではがれきの撤去も始まっています。町の人からは「どんなに傷ついてもここが私の故郷。必ず復興すると信じる」という声が聞かれました。