連載

毎小85

毎日新聞デジタルの「毎小85」ページです。最新のニュース、記事をまとめています。

連載一覧

毎小85

私も読んだよ!!/下 2001年ノーベル化学賞 野依良治さん(83)(その2止)

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
インタビューに答(こた)える野依良治(のよりりょうじ)さん=東京都千代田区(とうきょうとちよだく)で、竹内(たけうち)紀臣(きみ)撮影(さつえい) 拡大
インタビューに答(こた)える野依良治(のよりりょうじ)さん=東京都千代田区(とうきょうとちよだく)で、竹内(たけうち)紀臣(きみ)撮影(さつえい)

 =1めんからつづく

わかとき世界せかいよう」

 1957ねん野依良治のよりりょうじさんは、志望しぼうどお京都大学きょうとだいがく工学部こうがくぶすすみました。同大どうだい卒業後そつぎょうご博士号はくしごう取得しゅとく。その、29さい名古屋大学なごやだいがく助教授じょきょうじゅいま准教授じゅんきょうじゅびます)に転任てんにんし、33さいとき同大どうだい教授きょうじゅになりました。そして、のちにノーベルしょう受賞じゅしょうする研究けんきゅうみます。10ねん以上いじょうながねんげつ研究けんきゅう完成かんせいしました。

ノーベル賞授賞式(しょうじゅしょうしき)で受(う)け取(と)ったメダルを手(て)にする野依(のより)さん=スウェーデンのストックホルムで2001年(ねん)12月(がつ)10日(とおか)(名古屋大学(なごやだいがく)提供(ていきょう)) 拡大
ノーベル賞授賞式(しょうじゅしょうしき)で受(う)け取(と)ったメダルを手(て)にする野依(のより)さん=スウェーデンのストックホルムで2001年(ねん)12月(がつ)10日(とおか)(名古屋大学(なごやだいがく)提供(ていきょう))

 2001ねん、ノーベル化学賞かがくしょう受賞じゅしょうしました。ノーベルしょう賞金しょうきんやく2800まんえん名古屋大学なごやだいがく寄付きふしました。「研究けんきゅうグループの代表だいひょうでもらったから」というのが理由りゆうです。その理化学研究所りかがくけんきゅうしょ理事長りじちょう政府せいふ教育再生会議きょういくさいせいかいぎ座長ざちょうなどをて、15ねんからは科学技術振興機構かがくぎじゅつしんこうきこう研究開発けんきゅうかいはつ戦略せんりゃくセンターちょうつとめています。

 野依のよりさんはいまつよおもいます。「わたしたちは、のち世代せだい責任せきにんっています。自分じぶんときは、社会しゃかいを、まれたときおなじかそれ以上いじょうにして次世代じせだいわた倫理的りんりてき義務ぎむがあります」と。このため、ども・若者わかもの教育きょういくについて社会しゃかいつたえたいこともたくさんあります。

 「わたし疎開そかいちゅうにいろいろなことをおしえてもらいました。ちいさいころに里山さとやま自然しぜんうことは非常ひじょう大切たいせつです」とうったえます。「夏休なつやすみにねんに1でもいいからキャンプをしたほうがいい。自分じぶんをおこし、みずをくみ、さかなる。きるちからためされます。旅費りょひ時間じかんもかかるけれど、人生じんせい80ねん100ねんきるために必要ひつよう」といます。

 さらに「みずはなぜながれるのか、くもはなぜちてこないのか。スマホで調しらべても本当ほんとうのことはかりません。自分じぶん問題もんだいつけ、自分じぶんこたえをつくるという習慣しゅうかんをつけてほしい。それが人生じんせいゆたかにします」とおしえてくれます。

戦争せんそう、あってはならぬ

 幼少期ようしょうき体験たいけんした戦争せんそうは「絶対ぜったいあってはならない」と、つよ調子ちょうしったうえで、ふせ方法ほうほうつぎのようにかんがえます。「くにくに意見いけんちがうことがあるのは仕方しかたありません。しかし大切たいせつなのは、同意どういはできなくてもおたがなにおもっているか理解りかいふかめること。そして一番いちばん有効ゆうこうなのは、個人こじんてきふか友好ゆうこう関係かんけいです」と、わかいときにおおくの友人ゆうじん関係かんけいきずくことが必要ひつようだとアドバイスします。

 野依のよりさんの座右ざゆうめい大切たいせつにしている言葉ことば)は「事実じじつ真実しんじつてきなり」。ミュージカル「ラ・マンチャのおとこ」のなかのドン・キホーテのせりふです。「えれば『もりず』『鹿しかうものはやまず』ということです」と説明せつめいし、くわえます。「どもはこまかいところまでとど精緻せいちな『むし』をっています。しかしもっと、一部いちぶではなく、全体ぜんたい俯瞰ふかんてきな『とり』も必要ひつようです。そのためには、となり友達ともだち先生せんせいとばかりはなさないで、ちが世代せだいちがくにひととどんどんってはなしてほしい」と熱望ねつぼうします。野依のよりさんのおかあさんはいつも「いい友達ともだちつくりなさい」とっていました。ちいさいころはよく理解りかいできませんでしたが、大人おとなになり、そのとおりだとおもいました。

 「わたし毎小まいしょうんだので『とり』がについたのかもしれません。それと新聞しんぶん全体ぜんたいいたい。カタカナはやめてください。みんなにつたわらないから」。70ねん以上いじょうときて、もと愛読あいどくしゃからあたたかくもきびしいメッセージをもらいました。

あわせて読みたい

この記事の特集・連載

アクセスランキング

現在
昨日
SNS

スポニチのアクセスランキング

現在
昨日
1カ月