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/3 イバラタツ

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イバラタツ
イバラタツ

オスが出産しゅっさんするよ

 タツノオトシゴのなかでも、めずらしいとされる「イバラタツ」。あわ褐色かっしょく黄色きいろ全身ぜんしんに、トゲトゲした突起とっきぶつがあるのが、ほかのタツノオトシゴとのちがいです。まわりにいアイシャドーをれ、びょうをんだ衣装いしょうたヘビーメタルミュージシャンのよう。いつもなにかにきつけ、ながれにまかせて、ゆらゆらしながらうつむいています。

     ◇

 イバラタツは、オスが「出産しゅっさん」します。オスのおなかに「育児いくじのう」というふくろがあり、オスとメスは口先くちさきとおなかをぴったりくっつけ、ハートがたつくりながらたまごわたします。たまごふくろなか受精じゅせいし、そのままふくろなかでかえります。すう週間しゅうかん、オスはからだ前後ぜんごにくねくねとげながら、あかちゃんを次々つぎつぎとしていきます。そのかずすうひゃっぴきにもなります。

 さかなとはおもえない姿すがた行動こうどうですが、イバラタツは魚類ぎょるいです。目立めだたないよう周囲しゅういにとけこみ、ちいさなびれとむなびれをこまかくうごかして、直立ちょくりつした状態じょうたいおよぐこともあります。効率こうりつわるく、速度そくどおそおよかたです。およいでげるより、海藻かいそう海草かいそうもりかくれてびてきたことで、このような姿すがたになったとかんがえられています。

     ◇

 このめずらしい姿すがたから、おみやげひん美術びじゅつひんによく使つかわれ、漢方薬かんぽうやく原料げんりょうにもなってきたため、きんねん、アジアを中心ちゅうしんにあまりにもたくさんられてしまいました。今後こんご急速きゅうそくっていくのではないかと心配しんぱいされています。温暖化おんだんかやヒトによる開発かいはつすすんだことで、海草かいそうもり藻場もば急激きゅうげきり、かれらに「イバラのみち」をあゆませています。(高知県大月町こうちけんおおつきちょうで)

 次回じかいは6がつ4よっか一部地域いちぶちいきは6がつ5いつか)です。


メモ

 タツノオトシゴの一種いっしゅ体長たいちょうは17センチメートルほど。細長ほそながくちふくらんだおなか、くるりとまいたち、独特どくとくかたちをしています。ヨウジウオというさかな仲間なかまです。


写真しゃしんぶん 三村みむら政司まさしさん

 毎日新聞まいにちしんぶん大阪おおさか写真部しゃしんぶ日本にほんサンゴしょう学会がっかい会員かいいんで、国家こっか潜水せんすい資格しかくちます。これまでに1000かい以上いじょううみもぐって写真しゃしんつづけています。

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