スクリーンの中で抜群の存在感を放つ俳優の岸部一徳さん。それでも「僕自身は特に、個性があるなんて思ったことがない」という。そんな岸部さんが考える「本来の自分」とは──。
(聞き手=りんたいこ・ライター)
── 9月23日公開の映画「総理の夫」では政界のドン、原久郎を演じています。出演の決め手は?
岸部 政界物は嫌いじゃないのと、脚本自体も軽めで楽しく見られる一方で、政界の縮図みたいなものがちゃんと描かれていた。それから、(映画などでは)いつも当たり前に総理大臣の奥さん役はいるけれど、女性が総理大臣になるストーリーは初めてで、その夫がどういうふうに描かれるのかな、と。意外と面白く書かれていましたね。
── たまたまですが、映画公開のタイミングが、総選挙の実施時期と近くなりそうですね。
岸部 (総理の夫役の)田中圭さんは若い人に人気があるので、この映画を通して若い人にも現実の政治の世界に興味を持ってもらえればと思っています。僕(が演じる役)自体がすごくいい人じゃないのも面白いかなと。この立場の人は現実の政治の世界では普通にいるわけで、時代劇の悪役でもないので特に役作りはしませんでしたよ。
── 映画では、中谷美紀さん演じる少数野党・直進党党首の相馬凛子が、日本初の女性総理大臣となります。岸部さんは、女性の総理大臣をどう思いますか。
岸部 外国では女性の総理大臣はいますが、日本は意外と古くて、まだ男中心の社会。政治の世界で女性が総理大臣になるのは難しい問題がいっぱいあるのでしょうが、日本も早くそうなればいいと思いますよ。
「ハラグロ」の存在感
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