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防衛費増額で注目の防衛産業! 日本の防衛銘柄や今後の見通しを紹介

【QUICK Money World 辰巳 華世】株式市場で防衛産業が注目を集めています。日本を取り巻く地政学リスクが高まる中、日本の防衛力増強が計画されています。今回は、注目が集まる防衛産業について、防衛産業とは具体的に何か、防衛産業が注目される理由、日本の防衛産業の課題や具体的な防衛関連銘柄、今後の見通しについて紹介します。

■防衛産業とは

防衛産業とは、軍事関連の製品やサービスを提供する産業です。具体的には、自衛隊が使う航空機や艦船、車両や通信システムなど防衛製品の開発と生産に関わる産業です。

防衛省と直接取引を行う三菱重工業(7011)、川崎重工業(7012)、IHI(7013)などの大手企業から、部品などをつくる下請け企業まで含めるとすそ野が広い業界です。戦闘機や戦車はそれぞれ1000社ほど、護衛艦には数千社が関わっていると言われています。

■防衛産業が注目されるわけ

ロシアのウクライナ侵攻で国際秩序が揺らぎ、日本周辺でも北朝鮮や中国などの地政学リスクが意識される中、防衛関連の銘柄の注目が高まっています。

世界の安全保障環境が揺らいだことで、世界各国で防衛費が増額されています。日本でも岸田文雄首相が2023年度から5年間の防衛費の総額を43兆円とするよう指示。これまで国内総生産(GDP)の1%程度だった日本の防衛予算を27年度に2%程度に増額すると決めました。新たな防衛費は11兆円程度になる見込みです。

防衛費の増額により市場が拡大する見込みで、投資の面から見ると、これまで防衛省への導入実績がある銘柄に注目が集まります。また、43兆円の防衛予算を前に新たに防衛産業に新規参入する企業も想定されます。

 

■日本の防衛産業の特徴

日本の防衛産業の特徴を見てみましょう。

・市場規模と防衛予算が比例しやすい

日本の防衛製品のほとんどは国内向けに生産されています。そのため、防衛予算と日本の防衛産業の市場規模はある程度比例しやすい関係にあります。

国内だけでなく海外にも防衛製品の需要はあります。日本は長らく「武器輸出三原則」を掲げてきましたが、14年に政府はこの政策を緩和し新たに「防衛装備移転三原則」を決めました。これにより一定の条件下で防衛製品の輸出が認められるようになりました。日本の防衛産業も海外市場向けの製品輸出に取り組む可能性はあります。

・各企業の一部門として設置されている

日本で防衛産業に取り組む企業のほとんどは、防衛事業を企業の一部門として展開しています。防衛事業を専門で事業展開している企業はほとんどありません。

・撤退している企業も多い

防衛産業は赤字になりやすく、撤退している企業も多いです。防衛製品は一般的な市場での価値があまりありません。主な取引先となる防衛省は、生産費用を構成要素ごとに積み上げた製造原価に適正利益を付加して価格を計算する原価採用方式を取っています。そのため、企業にとって利益が出しにくい構図になっています。

また、防衛装備移転三原則が定める「日本の安全保障に資する場合」の要件などを満たせば海外への輸出も可能ですが、海外市場での競争力で海外製品に押され気味で撤退する日本企業も多いです。

■日本の防衛産業の課題

日本の防衛産業の課題について見てみましょう。

・国外進出にハードルがある

日本の防衛製品も防衛装備移転三原則によって一定の条件下であれば海外に完成品の輸出ができるようになりました。ただ、輸出には国際情勢に不安を与えないやり方が必須であるうえ、さまざまな規制もあり、防衛産業の国外展開は扱いが難しい面もあります。

・広告展開が難しい

企業の立場として、防衛産業の広告展開には難しい面があります。防衛産業を全面に打ち出した広告は控える傾向があります。軍事事業に関わっていることで企業イメージが損なわれる可能性が考えられます。

・国からの適正な支援が受けにくい

防衛や軍事に関わることは国民の意見が大きく分かれる部分があります。防衛予算と防衛産業の関係性は高いですが、防衛費の増大となると財源の問題もあり、増税の可能性もある状況です。そのため反対する意見も多いです。

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■防衛関連銘柄5選

川崎重工業(7012)

航空機、ロケット、船舶、装甲車両などの製造を手掛け防衛事業にも力を入れています。防衛分野での研究開発にも取り組み、レーザー兵器やミサイル防衛システムの研究開発をしています。

細谷火工(4274)

火薬関連商品を製造。自衛隊向けに各種砲弾や煙幕弾、発煙筒などの火工品を開発、製造しています。

三菱重工業(7011)

陸上、海上、航空宇宙など幅広い分野で防衛事業を展開。戦闘機、艦船、ミサイル、エンジンなどを製造しています。防衛事業で高い技術力を誇ります。

・興研(7963)

防じん・防毒のマスクの大手。防じんマスクで国内トップシェアであり、防衛省向けにマスクを供給しています。テロ対策商品や産業用マスクも手掛けます。

・新明和工業(7224)

自衛隊などに水陸両用飛行艇や救難飛行艇を供給しています。同社の飛行艇は世界で唯一、波高3mの荒波でも離着水が可能です。防衛省の航空機の改造や修理も担当しています。

 

■防衛関連の銘柄の今後の見通し

ロシアのウクライナ侵攻で世界の安全保障環境が揺らぐ中、各国は防衛費の増額に動いています。日本周辺でも北朝鮮や中国などとの地政学リスクの高まりが意識されており、今後、防衛関連への注目が一段と高まりそうです。

日本の防衛産業は、防衛予算との関係性が高いです。岸田政権が23年度から5年間の防衛費を43兆円にするなど防衛費を増額することや、政府が防衛整備品の輸出制限を緩和させる方針であることから、防衛産業の市場拡大が期待され「国策銘柄」として防衛関連銘柄の株価が上昇する可能性は高そうです。

防衛製品は一般的な市場での馴染みは薄く、取引先も限定的です。なので、市場が拡大する中でも特に既に防衛省と取引実績がある銘柄が注目されていきそうです。利益率の低さが課題となってはいますが、防衛省は企業との契約価格の算定基準を改め、利益率を高める方針です。

また、輸出制限が緩和されれば国内市場だけでなく海外市場に向けた製品の輸出などで売上高の拡大も期待されます。政府は防衛装備品の輸出を後押しするため、海外向けへの仕様の変更などの費用を助成する基金を創設する法案についても成立を目指しています。

加えて、最近の防衛産業では、戦闘機やロケットなど従来の軍需製品だけでなく、サイバー空間や宇宙などからの情報などこれまでとは異なる新たな分野での広がりもありそうです。こういった新しい防衛分野では、IT分野に強みを持つ企業など新たな防衛関連銘柄などが出てくる可能性もあります。

■まとめ

防衛産業は、軍事関連の製品やサービスを提供する産業です。ロシアのウクライナ侵攻による世界的な緊張や、北朝鮮や中国などの問題など日本を取り巻く地政学リスクは高まっています。日本の防衛予算も増額され、防衛産業の市場規模が拡大しそうです。

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著者名

QUICK Money World 辰巳 華世

2003年にQUICKに入社後、15年間勤務。約5年にわたり日本経済新聞社、日経QUICKニュース社(NQN)にて記者職に就く。QUICK退社後、フリーランスライターとして2020年より「QUICK Money World」に寄稿。


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