【35番】出世しなかったが、超一流歌人だった!!紀貫之!!


ジャンル:春
時代:平安時代 
超要約:君と見た花  

歌の意味(子ども向け):あなたの気持ちはわからないけれど、梅の香りは変わらない。
歌の意味:あなたは、さてどうでしょうね。他人の心は分からないけれど、昔なじみのこの里では、梅の花だけがかつてと同じいい香りをただよわせていますよ。
☟この首に関するクイズ  

Q この歌において、「花」と言えば、桜のことである?〇か✖か?

A ✖
 奈良時代には、「花」といえば、梅のことをさしていた。それが、平安時代になると、 桜のことになる。だから、和歌のなかに 「花」と出てきたときには、その歌がいつの歌なのかが大切である。
 桜といっても、今の桜とはちょっとちがう。今の桜は ソメイヨシノ という種類。昔のは、山桜(やまざくら)のこと。 花が咲くときに、葉も出る。

👇語呂合わせ(覚え方)


 この歌において、「花」は、「梅」のことです。また、ここでの「人」とは、特定の人のこと、宿の女主人のことを指しているそうです。

 「人はいさ」は、「あなたはどうか知らないが」という意味。

 「ふるさと」は、「故郷(こきょう)」の意味ではなく、かつてよく訪ねた昔馴染みの土地のことです。

  「にほひ」は、匂いではなく、元々は、視覚的な美しさをのことを表しているそうです。


 作者には、奈良県の長谷寺に、参詣するたびに泊まっていた家がありました。久しぶりに訪ねたら、「この通り、宿はあるけどね(あなたは、心変わりされて、ずいぶん長い間来てくれなかったですね…)」と嫌味(いやみ)を言われてしまいました。そこで、そばにあった梅の花を一枝折って、「(嫌味を言うあなたとは違い)梅の花は、昔のように私を迎えてくれています。」と返したということです。

 「人の心の移ろいやすさ」と、「梅の花という変わらない自然」との対比が見事です。

 作者の紀貫之(きのつらゆき)は、「古今和歌集」の撰者の中でも、中心的人物。三十六歌仙の一人。勅撰集には、443首選ばれており、藤原定家に次いで、2位の多さです。「土佐日記」の作者としても有名です。

 ところで、この歌の舞台は「初瀬の長谷(はせ)寺」、現在の奈良県櫻井市初瀬町の長谷寺です。長谷寺近辺は、梅の名所なのかと思い、調べてみました。すると、長谷寺のホームページの中に、ちゃんと梅の記事がありました!

 2月には、長谷寺の枝垂れ梅や、貫之の梅を、ぜひ見てみたいものです。

 また、比叡山の東側には、紀貫之墓があります。日本一長いケーブルカーという、比叡山鉄道坂本ケーブルに乗って、行くようです。時間に余裕をもって、訪れたならば、素敵な旅になりそうです。

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