Apple A4プロセッサの速度性能

発表された感じでは、iPhone4のハードの基本的な部分(プロセッサ・メモリあたり)はiPadとほぼ同じだと考えて良さそう。解像度もかなり近い。iPadは1024x768でiPhone4は960x640だ。


iPadは画面解像度がiPhone 3GSの4倍以上になっているので、それなりのスペックが要求されるはずで、特に全画面のなめらかなアニメーションを行うような場合はメモリアクセス速度が大きく影響してくる。それに対応するためにメモリチップを2枚積層してバス帯域を増やしているんだろうと分解記事を見たときに推測した。


実際にどれくらいの性能なのか少しわかるようなベンチマーク結果がGLBenchmark.comに出ていた。
iPhone 3GSの結果 → http://www.glbenchmark.com/phonedetails.jsp?D=Apple%20iPad
iPad の結果 → http://www.glbenchmark.com/phonedetails.jsp?D=Apple%20iPhone%203G%20S


具体的な結果を見るとちょっとわかった気になれる。まずはOverAllのHigh-level 3D Performance。

iPad iPhone 3G S
GLBenchmark HD ES 1.1 CPU Skinning 1797 Frames 1797 Frames
GLBenchmark HD ES 1.1 GPU Skinning 1783 Frames 1761 Frames
GLBenchmark Pro ES 1.1 CPU Skinning 873 Frames 849 Frames
GLBenchmark Pro ES 1.1 GPU Skinning 403 Frames 413 Frames

あんまり結果が変わっていない。iPadの解像度が4倍以上であることを考えれば凄まじく健闘しているようにも思えてくるが、実は60fpsで頭打ちになるようなベンチマーク内容で、3GSはその性能を全部生かせていないとかそういうオチなのかもしれない。ベンチ内容を見てみなければなんとも言えない。


次はCPU Performanceなんだけど、ここでは大きな差が出ている。

iPad iPhone 3G S
CPU Performance: Float 3968 2352
CPU Performance: Integer 26455 9751

Floatの場合、iPadが3GS比で1.7倍、Integerに至っては2.6倍ものベンチ結果を出している。Floatの数値は、iPhone3GSが600MHzのCPUを使っていて、iPadは1GHzになったクロック比だと推測。Integerでそれ以上の差が出ているのはキャッシュサイズの影響などがあるのかもしれない。


ちなみに1GHzのSnapdragonを使ったT-01Aベンチマーク結果も同じサイトで見ることができて、そちらはFloatが2275, Integerが21208という結果になっている。T-01AはIntegerではiPadに迫る数値を叩きだしているが、Floatでは3GSにも負ける数値になっており、SnapdragonのコアとCortex-A8のコアではクロックあたりの浮動小数点演算の速度に2倍くらいの開きがあることがわかる。



最後はメモリ帯域の影響がでそうなLow Level 3D。いちばんわかりやすいのはFill Rateである。

iPad iPhone 3G S
Fill Rate: Multi-Textured 1.1 236559 kTexels/s 105185 kTexels/s
Fill Rate: Single-textured 1.1 173644 kTexels/s 88474 kTexels/s

これは綺麗に双方でiPadが2倍程度高速だという結果が出ている。Low Level 3Dのメモリ帯域に影響を受けなさそうな他のテスト(小さいサイズのポリゴンの速度)などはほぼiPadと3GSで同じような結果になっていることを考えると、グラフィックスコア(SGX535)はあまり変わっていなくて、ピクセル性能だけが増えたという感じだろう。


結論としてはiPad向けのA4プロセッサは解像度が増えた分順当にピクセル性能を増やして、かつCPUを600Mhzから1GHzに高速化した、という感じだ。解像度は4倍になっているがフィルレートは2〜2.25倍止まりで平気なのはなぜかというのが気になるところだが、実はフィルレートはiPhone 3Gから3GSにかけて3倍以上アップしているので問題ないということなのだろう。