【漫画】「えっ？」　教室で「かわいい天使」を飼う話が衝撃的　授業参観の日に豹変して？【作者インタビュー】

■子供たちも読む側もついていけない？

　ある日、学校の校庭に「天使」が落ちてきました。いたって健康体の天使は、そこへ落ちてきた意味を尊重し、教室で飼うことにします。授業中に教室の後ろで見守る天使は、生徒たちからもすぐ人気の的になりました。そんな学校生活でひとり浮かない表情の男の子は、母親が長い間入院していて……？

　塩野ネリコさん（@tonericoto）による創作マンガ『天使を飼う』がTwitter（X）上で公開されました。読者からは「唐突な展開にビビった」「謎な気持ちで終わったけどなんかいい」などの声があがりました。不思議な世界観と驚きの展開をみせた本作品のいいね数は4万件を超えています。

　作者の塩野ネリコさんにお話を聞きました。

ーー塩野ネリコさんがマンガを描き始めたきっかけを教えてください。

　小学生のころからマンガが好きで、憧れの先生の作品を参考に自由帳にお話を描いていました。ここ数年は詩歌（しいか）や小説などマンガ以外の表現も楽しんでいたのですが、大好きなマンガにしかできない表現をしたいと思い、真剣に創作に取り組むようになりました。

ーー『天使を飼う』のストーリーは、どのようにして生まれたのでしょうか？

　映画の題材にもなった「教室で飼育した豚を食べる」という「命の授業」に着想を得ました。子どもたちに何かを教える役目として天使というモチーフを登場させています。「美しい異形のものが、福音か厄災かわからない形で日常に降り立つ」というエピソードは、耽美的であり不気味でもあるのではないかと思い、ストーリーを組み立てていきました。

天使とは思えない禍々しい姿に急変して？　（塩野ネリコさん提供）

ーー優しそうな目をしていた天使が、人を食べてしまう姿が印象に残りました。本作品を描くうえでこだわった点などはありますでしょうか？

　何が正義で何が悪なのか、何が主人公にとっての救済となるのか、あえてはっきりと答えを出さない作品にしたいと思いました。読んでくださった方のなかで、それぞれ違った感想が生まれてくれたらうれしいです。天使のかわいさや美しさに対する、変身後のホラー的な演出のギャップもこだわりのひとつです。

ーーたくさんの感想が寄せられていますが、特にうれしかった感想の声、印象に残った読者の声について教えてください。

　まず、たくさんの方が作品のモチーフやエピソードを細かく考察してくださったのがうれしかったです。制作時の意図よりも広がりのある考察も多く、作者でありながら「こういう読み方もあるのか！」という驚きと感動がありました。

　反対に、「よくわからないけど好き」と、謎を謎のまま世界観を味わっていただいたご感想もうれしかったです。

　少し変わった作品ではあるので発表前は「受け入れてもらえるのかな？」「わかってもらえるかな？」と不安がありましたが、「こんな世界観が好き」「創作意欲が沸いた」というお声もあり、描いてよかったと心から思っております。たくさんのご感想をいただき、本当にありがとうございました。

ーー今後、Twitter（X）で発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか？

　読んでくださった方の心の深いところに残るような作品を描いていきたいです。 Twitter（X）では毎日多くの方が作品を発表し、流行も目まぐるしく変わっていきますが、数年後、数十年後に「そういえばあんな作品があったな」と思い出していただけたら何よりもうれしいです。

　まだまだ技術はつたないですが、自分の好きなものや表現したいものを届けられるように頑張ります。

（マグミクス編集部）