モーガン・フリーマンに対し性的不品行容疑で8人の女性が告訴

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8人の女性がオスカー受賞俳優であるモーガン・フリーマンを性的不品行で訴えた。新たな報道によりフリーマンには、不適切な発言や女性たちが望まないスキンシップという長期に渡る悪癖があったとされる。

モーガン・フリーマンが8人の女性にセクシャル・ハラスメントで訴えられた。米CNNが新たに発表したレポートでは、フリーマンの不適切な発言と望まないスキンシップのパターンが詳しく紹介されている。このCNNレポートの放送作家の一人クロエ・メラスは、オスカー受賞俳優のフリーマンのインタビューを撮影中に、共演者たちの前にもかかわらずメラスに対して好色な発言をしたと訴えた。CNNの取材に対し、多くの男性・女性関係者がフリーマンのパターン化された不適切な行為の信憑性を裏付けている。

20代の制作アシスタントは2015年の映画『ジーサンズ はじめての強盗』の撮影中に、現在80歳になるフリーマンと何ヶ月も一緒に現場で仕事をしたのだが、彼女に対して不愉快な発言やスキンシップを繰り返したと言う。彼女曰く、フリーマンは彼女の体型にあれこれ意見を述べ、腰に手を回したり、さすったりした。そして「私が下着をつけているかをたずねながら」何度もスカートをめくろうとしたと、彼女はCNNに語った。当時、共演者のアラン・アーキンがフリーマンにやめるよう促したと言われている。

また、映画『グランド・イリュージョン』のベテラン制作スタッフの一人は、フリーマンが彼女と彼女の同僚の体型を観察して感想を述べながら攻撃したと訴えた。「彼が近づいてきたら、胸の形が見える服装はダメ、腰のラインが見える服装はダメ、つまり身体にフィットした服装はダメと女性スタッフはみんな思っていた」と、彼女が語った。

フリーマンはロリ・マクリアリーの外見についても意見を言ったことがある。マクリアリーはフリーマンの制作会社レヴェレーションズ・エンターテインメントの共同創業者にもかかわらず、マクリアリーが組合長を務めている全米製作者組合の会議で400人の製作者の面前でその発言をした。フリーマンは出席者に向かって「彼女は真面目な人と思われたいようだが、あの短いドレスは目の毒だね」と言ったのである。この発言の真偽を確認したTodayに対し、フリーマンは何が問題なんだといった表情で肩をすくめて、「これは彼女に初めて会ったときに冗談で言ったことだ。もう20年も前の話なのに、どうして今更持ち出すんだ?」と述べた。

CNNの放送作家メラスは、妊娠6ヶ月でフリーマンの取材をしたときのことも語った。彼はカメラの前で繰り返し「その中に入りたいよ。君は完熟だね」と彼女に言ったらしい。フリーマンと共演した俳優アラン・アーキンとマイケル・ケインもそのときに同席していた。メラスがこの件を上司に相談したところ、人事局の責任者に相談すべきだと助言されたと言う。そして、その責任者が、件の取材を仕切った米ワーナー・ブラザーズの人事局に連絡したが、フリーマンの発言の一部しか録音されていないため、彼らにはその訴えを裏付けすることがでないという返事だった。結局、メラスはこの映画の記事をお蔵入りさせた。彼女と似たような状況で似たようなハラスメントを受けたエンタメ記者は他にも2人いる。

この告発記事が出たあと、「私をよく知る人たち、私と仕事をしたことのある人たちは、私が意図的に人を攻撃したり、不快にしたりする人間ではないと承知している。そんなつもりは一切なかったのだが、もし私の言動で不快感を覚えた人や無礼だと感じた人がいるのであれば謝罪する」という声明を出した。

CNNの報道では、同局の記者たちが関係者に名前を知らせずに話を聞いたにもかかわらず、フリーマンの名前を出した俳優やスタッフが多くいたとも伝えている。もちろん、そのような不適切な言動に遭遇したことのない関係者もいた。

レヴェレーションズ・エンターテインメントは1996年に創業され、フリーマン主演の映画『スパイダー』とCBSのドラマシリーズ『マダム・セクレタリー』の製作総指揮を行ったことで有名だ。同社の元従業員の証言によると、同社は急成長を遂げたが、人事部や人事局という部署が存在せず、たくさんの事件や出来事が闇に葬られたということだ。女性スタッフたちが報復を恐れたことが大きな理由と言う。その中の一人が当時を思い出してCNNに語った話はこうだ。あるとき、フリーマンが彼女を上から下まで舐めまわすように見たあとで「セクシャル・ハラスメントってどう思う?」と聞いた。彼女は嫌味を込めて「大好きよ」と答えた。するとフリーマンは後ろを振り返って「ほらね、こうやってやるんだよ」とスタッフに言った。また、フリーマンが自分の胸を凝視していたと報告した女性スタッフも複数いる。ある男性スタッフは、フリーマンが女性インターンの肩もみをしていたときの光景を「近所に住む気味の悪いオヤジ」のようだったと言った。さらに、フリーマンが女性スタッフにくるくる回るよう指示していたと証言する男性スタッフもいた。

会社主宰のパーティーでのこと。フリーマンは女性スタッフに近寄って、一言も言葉を発せずに、順番に一人一人を凝視したという。「性的な含意があった」とあるスタッフが述べた。

レヴェレーションズの従業員たちは、女性に対してフリーマンが言った言葉の中に「彼女と1時間一緒に過ごしたい」というのがあったと言う。また「君には感嘆の言葉しか出てこない」と言ったことがあると、ある男性がCNNに教えた。「どんな現場でも彼が一番上の立場だからキツいんだ。それに、みんながモーガン・フリーマンを尊敬している。それなのに彼がそんな発言をするって本当に奇妙な話だよ」と。

マクリアリーは#MeTooとTimes Upの支持を公言してきた上に、全米製作者組合に新たな反セクシャルハラスメント規則を提案している。同組合員の中にはマクリアリーが家庭的な女性たちを見下している可能性があると疑う者もいないわけではない。しかし、同組合のスポークスパーソンはマクリアリーへの支援を表明した。彼らの声明には「CNNから訴えの連絡をもらってすぐにその件に関して調査を行い、全く意味のないことだと判明した。ロリ・マクリアリーは素晴らしい組合長だ。ギルドとの仕事に関しても、彼女が常に一貫性を持ち、自由に発言し、同じコミュニティに所属する女性でも誰でも、過小評価されている人がいれば、そのすべての人々への支援を活発に行っている」と記されている。

フリーマンの俳優としてのキャリアが始まったのは1960年代で、1989年の映画『ドライビング Miss デイジー』と『ワイルド・チェンジ』で大ヒット俳優の仲間入りを果たした。それ以降、『セブン』、『インビクタス/負けざる者たち』、『ブルース・オールマイティ』などで主演を務めている。『ミリオンダラー・ベイビー』ではアカデミー最優秀助演男優賞を受賞し、それ以外に4度ノミネートされている。