植村花菜(撮影:野原誠治)
 2005年5月に亀田誠治プロデュースによるシングル「大切な人」でデビューを果たしたシンガーソングライター、植村花菜。デビュー以来、全国各地で数多くのイベント出演を重ね、その存在は持ち前の明るく元気なキャラクターと相まって、より多くの人の間に浸透していった。そして、8月23日には5枚目となるシングル「紙ヒコーキ」をリリース。彼女の軽やかで伸びやかな歌声が、聴く者をどこまでも遠くに運んでくれるような作品となっている。

――今回のジャケット写真では、飛んでますね。

植村花菜(以下、植村):飛んでますね(笑)。

――「今までとは、ちょっと変わったな」というイメージで。割と今までは歌詞の内容も恋愛モノが多かった気していたんですけど、今回はちょっと突き抜けた感じがあって、肩の力が抜けて解き放たれたような印象を受けました。

植村:ずっと恋愛の歌が多くて、そこから抜け出したい、っていうのは前から考えてたんですよ。でも、恋愛じゃない歌をどんどん書いていきたいと思いながらも、8割方ぐらい恋愛の歌になってしまっていて。前回(「やさしさに包まれたなら」)はユーミンさんのカバーで、ある程度「名前も今までより知ってもらえたかな?」っていうのがあったので、今回、「自分のカラーを思い切り出した曲にしないといけない」って結構プレッシャーを感じていたんですね。「もう、ええ曲を書かんとあかん!」と思って、何曲も何曲も書いて、「これもアカン!」ってなっていて。

先にA面になる曲が決まって、B面をどうしようか?っていうことで、色々曲を書いてたんですよ。その時、ディレクターさんに「まだ誰にも聴かせてない曲はないの?」って言われて。「実はこういうのがあるんですけどね、いい曲だと思うんですけど、キーが高すぎて歌えないんですよ」って。その曲は、開放弦を使ったコードの抑え方をしていて、なんとなく作ったので、何のコードの抑え方をしているのか全然分かんないんですけど、「響きが気持ちいいなー」と思ってて。聴いてもらったら「なかなかいいねー」みたいな話になって。「でも、この開放弦の感じは絶対生かしたいから、この抑え方以外は嫌なんですよねー」って話をしたら、「最初、Eから初めて、それをちょっとずらしてみたらどう?」って言われて。抑えてみたらキーはぐんと下がったんですけど、開放弦の感じはちゃんと残ってるんですよ。で、歌ってみたら自分のキーにピッタリだったんですよ。「なんだこれは!全然歌えますよー!」ってなって、デモテープを録って、周りのスタッフの人に聴いてもらったら、評判が良くて。「カッコイイじゃん、これをB面にしましょう!」って決まってたんです。

A面の曲は、詞が出来なくて、「もうちょっと時間を掛けて、詰めた方がいいのが出来そうかな」っていうのは私も周りの人も思ってたんですよ。で、ディレクターさんに「このB面の曲が周りのスタッフの中で非常に評判が良いから、いっそのこと、これをA面にしませんか?」って言われて。でも私はB面の曲だと思って肩の力を抜いて作ってたんですよ、曲も歌詞も。サウンドの方も、やっぱりリード曲となるとパンチの効いた曲、っていうイメージが自分でもあったんで「これをA面にするのは大丈夫かな?」っていう心配があったんですけど、「もうちょっと色んな楽器を増やして、アレンジをもっと面白くしていけば、多分A面でも大丈夫だと思うんですけどね」って話をして。お蔵入りからB面になり、B面からA面になって、出世してきたのがこの「紙ヒコーキ」っていう曲なんですよ。

元々この曲を作った時に、「絶対、恋愛の歌ではないな」って思ってたので。だから結果的に「恋愛じゃない歌を書きたいなー」ってずっと思ってたのが、偶然、今回、自分の中の一つの目標が叶って、しかも変なトコから出てきて(笑)。掘ったら出てきた、みたいな感じだったんで、そういう意味でも今までとは違うのかなー、という感じはするんですよね。

――今までジャケット写真だけを見る限りでは、インドアでおしとやかなイメージを勝手に想像していたんですけど、実際にご本人にお会いすると、全然活発で元気に話される方だったので、良い意味でギャップでした。今回のシングルで、より素の植村花菜に近づいたのかなと。

植村:そうですね。「1番私らしい」っていうのは周りの人に言われましたね、歌のパンチとか。