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強烈冬将軍の襲来で、記録的暖冬から記録的大雪に一変するおそれ

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
富山県の大雪(写真:イメージマート)

まさに記録的暖冬の様相

記録的暖冬の様子(気象庁発表に筆者加工あり)
記録的暖冬の様子(気象庁発表に筆者加工あり)

上図左にあるように、きのう15日(金)は、宮崎県日向で26.5度、新潟県糸魚川で26.0度、長崎県島原で25.2度など、季節外れの夏日を多くの所で観測し、北陸や西日本を中心に、全国の68地点で、12月としては観測史上1位の暖かい(暑い)一日となりました。

さらに上図右は、きのう15日(金)までの過去10日間平均気温の平年差を表したもので、ほぼ全国的に3度以上高く、特に東日本や西日本では4度から5度以上も高い所が続出していて、まさにこの冬は記録的な暖冬という状況でスタートしています。

ところが今後この状況が一変し、少なくとも来週にかけては、記録的な暖冬から記録的な厳冬や大雪へと劇的にシフトチェンジするおそれがあります。

冬将軍が襲来へ

上空1500メートル付近の暖気と寒気の予想(筆者作成)
上空1500メートル付近の暖気と寒気の予想(筆者作成)

上図は上空1500メートル付近の気温の予想です。きょう16日(土)午前9時の段階では、まだ関東など東日本を中心に平年より高いことを表す赤一色となっていて、特に関東にかかる12度以上のラインは平年より15度近くも高い記録的な暖気です。

この暖気の影響で、関東ではきょう16日(土)も季節外れの陽気となっていて、正午までの最高気温は、小田原で25.6度、茂原で25.2度など、夏日となっていて、横浜でも23.2度まで上がり、汗ばむような陽気となっています。

ところが九州からもう冬将軍が入り始めていて、24時間後のあす17日(日)午前9時の予想では、日本付近が平年より低いことを表す青色に一変し、特に西日本の日本海側にかかる-12度以下のラインは、平年より10度前後も低い強烈な下層寒気です。

この冬将軍の襲来により、あす17日(日)は、ほぼ全国的にきょうより最高気温が10度前後低くなり、多くの所で真冬の寒さに一転する見込みです。さらに低気圧が発達し、冬型の気圧配置が強まるため、北日本や北陸は猛吹雪や大雪となる所があるでしょう。

北日本や北陸は猛吹雪や大雪に警戒

雨や雪、風の予想(ウェザーマップ)
雨や雪、風の予想(ウェザーマップ)

あす17日(日)は、北日本から北陸付近で非常に強い風を伴った猛吹雪となり、山沿いを中心に、一気に積雪の増える所があるでしょう。予想される最大瞬間風速は35メートル、24時間の降雪量は多い所で50センチ前後に達し、特に新潟県の山沿いでは80センチに達する所がある予想です。猛吹雪や吹きだまりによる交通障害、暴風や高波に警戒が必要です。

来週後半は西回りでさらに強い冬将軍が襲来か

週間予報(気象庁発表)
週間予報(気象庁発表)

週間予報をみると、あす17日(日)は青森、秋田、新潟で暴風雪、また福岡や長崎でも、雪の降る時間帯があるでしょう。そして注目は来週の後半、20日(水)からの3日間で、福岡、長崎、鹿児島にいずれも雪マークが付いていることです。

来週の後半は、さらに強い冬将軍が西回りで流れ込み、さらに長い時間、居座る可能性があります。このため、九州でも広範囲で雪が降り、積雪や大雪となるおそれがあります。東京も来週は最高気温が10度前後の真冬の寒さが続き、朝の気温も日に日に下がり、23日(土)は1度まで下がる予想です。

来週にかけての大雪や猛吹雪に関して、きのう15日(金)国土交通省から注意をうながす発表がありました。大雪や猛吹雪が予想される場合は、不要不急の外出を控え、やむを得ず自動車を運転する場合は、冬用タイヤの装着、チェーンの携行及び早めの装着の徹底、スコップや砂等の冬用装備の携行が必要です。

今後も最新の気象情報に十分ご注意ください。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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