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中国陸軍、最新鋭の無人偵察攻撃機を初公開

高橋浩祐米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員
中国陸軍が初公開した無人偵察攻撃機(チャイナ・デイリーのサイトをキャプチャー)

中国人民解放軍陸軍は、中国東部の天津市で9月14日から17日に開催された第6回国際ヘリコプター博覧会で最新鋭の無人偵察攻撃機「KVD002」を初公開した。中国政府系の英字紙チャイナ・デイリーなど複数の中国メディアが報じた。

中国メディアは、KVD002が中高度長時間滞空(MALE)ドローン「彩虹4号(CH-4)」の中国陸軍向けのアップグレード版だと報じている。

チャイナ・デイリー紙によると、KVD002は中国陸軍初の無人偵察攻撃機モデルであり、優れた機能、制御とメンテナンスの利便性、マルチタスク能力を備えているという。

同紙は「KVD002は主に広い地域または特定の目標を長期間にわたって偵察し、防空兵器、装甲車両、要塞などの敵目標を正確に攻撃する任務を負っている」と説明した。「KVD002は、中国陸軍初の統合監視・戦闘無人航空機(UAV)システム」と紹介する他の中国メディアの報道もある。

KVD002は主翼の下にAR-1空対地ミサイルを2発搭載し、機体の下には偵察装置を装備している。AR-1の最大射程は約10キロだ。

KVD002の前に置かれた同機の説明文には、「この無人機は戦闘作戦においてヘリコプターと協力することができる。ヘリコプター部隊に戦場情報と火力支援を提供することができ、目標に攻撃ヘリコプターを誘導することができる」と述べられている。高原地域での短距離離着陸も可能であるという。

KVD002のベースとなったとみられるCH-4には、偵察用CH-4A、攻撃用CH-4Bの2つの派生型がある。KVD002はCH-4Bの中国陸軍向け能力向上バージョンだろう。

2021年9月29日、中国広東省珠海で開催された中国国際航空宇宙博覧会(エアショー・チャイナ)で展示された中高度長時間滞空(MALE)ドローン「彩虹4号(CH-4)」
2021年9月29日、中国広東省珠海で開催された中国国際航空宇宙博覧会(エアショー・チャイナ)で展示された中高度長時間滞空(MALE)ドローン「彩虹4号(CH-4)」写真:ロイター/アフロ

中国陸軍はKVD002の開発者を明らかにしていないが、CH-4は中国航天科技集団傘下の研究所である中国航天空気動力技術研究院(CAAA)によって製造された。CAAAの情報によると、CH-4モデルは1回の操作で最大30時間空中にとどまることができる。最高速度は時速230キロで、通常は時速150~180キロメートルの巡航速度で飛行する。

CH-4の最大離陸重量は1.33トンで、ミサイルや爆弾、レーダー、カメラのほか、民用のペイロードを含む約350キロの武器や装備を運ぶことができる。

CAAAは中国有数の軍用ドローン輸出業者の1つである。CH-4は中国で最も人気のある輸出用UAVで、パキスタンやミャンマーなど世界10カ国以上に供給されている。軍事専門家の間ではCH-4が米国の中高度無人攻撃機MQ-9リーパーを模倣したものとみられている。

米軍の中高度無人攻撃機MQ-9リーパー
米軍の中高度無人攻撃機MQ-9リーパー写真:ロイター/アフロ

中国共産党系の英字ニュース「グローバルタイムズ」は21日、KVD002が2022年から台湾島周辺での哨戒や演習に参加している可能性が高く、当時はCH-4と識別されていたと報じた。そして、「KVD002は台湾島周辺で偵察任務を遂行し、必要に応じて精密攻撃を行うことができる」との軍事専門家の見方を紹介した。

●急がれる自衛隊のドローン攻撃対策

中国軍が開発を進める高性能の軍事ドローンは、今後も台湾や沖縄県の尖閣諸島などが接する東シナ海を管轄する東部戦区の基地に、続々と配備される可能性が高い。このため、自衛隊もドローン攻撃への対策が急務となっている。既に官公庁向けに導入実績がある電波探知妨害装置に加え、高出力レーザーや高出力マイクロ波(HPM)など指向性エネルギー技術を用いた装置の実戦配備も急がれるだろう。

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米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。コリアタウンがある川崎市川崎区桜本の出身。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。NK NewsやNikkei Asia、Naval News、東洋経済、週刊文春、論座、英紙ガーディアン、シンガポール紙ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。

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