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元バレー代表・迫田さおり「いつまでも…」久光の長岡望悠に伝えたいこと

好きな言葉は「心(こころ)」だという。バレーボール女子元日本代表のアタッカー、迫田さおりさんは華麗なバックアタックを武器に2012年ロンドン五輪で銅メダル獲得に貢献した。現役引退後は解説者などで活躍の場を広げる一方、コロナ禍が続く中、スポーツの魅力を発信しようと自身の思いつづっている。

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 今季のVリーグ女子を制した久光は結束力や試合中の修正力が引き立って見えました。3連覇に届かなかったJTも安定感は随一でした。2戦方式のプレーオフ決勝はコロナ禍で第2戦が中止となり、初戦で勝った久光の戴冠となりました。個々の役割が徹底された久光に対し、ミスが出ながらも懸命に耐えて接戦に持ち込んだJT。初戦の熱戦を目にしていただけに、最後の大一番で決着をつけてほしかったのが本音です。

 伸び盛りの若手を経験豊かな石井優希選手らが堅守で支えた久光の今季の戦いぶりは胸に迫るものがありました。久光の試合会場では、ある選手の姿をいつも探していました。今夏で31歳になる長岡望悠(みゆ)選手です。度重なる膝の大けがにもめげずに、過酷なリハビリやトレーニングを通じて「新しい自分」をつくり上げようとしていると思っていたからです。

 2016年リオデジャネイロ五輪では一緒に日の丸を背負いました。自分のスタイルを持ち続け、しっかりと前を向いて最後までやり抜く強い意志を持った選手です。現状のままでもすごいのに、さらに上を目指している。どこまで行ってしまうのだろう?と。2012年ロンドン五輪での江畑幸子さんもそうだったように、私と同じ攻撃専門のポジション。守備の負担が少ない分、前衛でも後衛でもトスを呼び、アタックを打ち続けます。そのポジションはチームで一つしかないため、長岡選手が試合でコートに入っている時はベンチから見守っていました。

 国内では久光(当時久光製薬)と東レというライバル同士のチームでプレーし、競い合いました。勝負強く、ここぞという場面では必ずといっていいほどセッターから長岡選手にトスが上がりました。対戦相手としてはすごく嫌でした(笑)。彼女は当時から設定した目標に向かって何が必要かを頭の中で整理してバレーボールと向き合えていました。だからこそ、けがなどの苦難を乗り越えようとする「長岡望悠」というプレーヤーが一層魅力的に映ります。立っているだけでも存在感が際立っている。今季の出場は3試合にとどまっても、チームメートへの励みという点で今回の久光の優勝にきっと無形の力を与えたことでしょう。

 長岡選手が同じポジション、同じタイプで本当に良かった。4歳年下とは思えないくらい良い刺激を与えてくれる関係でした。5年前の2017年に現役を退いた私にとって、彼女のユニホーム姿を見ることは喜びでもあります。今はただただ「選手」としていてくれるだけでありがたくて…元気でさえいてくれればいい。はにかんだような笑顔で「リオさん!」と呼んでもらえるだけで、私は十分幸せです。

 頑張ってきた過程が否定されることはありません。これから長岡選手がどんな道を描いて進んでいくのか楽しみです。その道程を陰ながらずっと応援します。(バレーボール女子元日本代表)

 ◆迫田(さこだ)さおり 1987年12月18日生まれ。鹿児島市出身。小学3年で競技を始め、鹿児島西高(現明桜館高)から2006年に東レアローズ入団。10年日本代表入り。バックアタックを武器に12年ロンドン、16年リオデジャネイロ五輪出場。17年現役引退。身長176センチ。スポーツビズ所属。

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